中受

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刊行日 2025/06/24 | 掲載終了日 2025/04/23

ハッシュタグ:#中受 #NetGalleyJP


内容紹介

//『サイコーの通知表』『だれもみえない教室で』など学校における子どもたちの生きづらさに寄り添った作品を生み出し続ける児童文学作家・工藤純子。書き下ろし最新作!//

何のための受験? 
都立中学の受検、私立中学の受験、AO入試。
加熱する中学受験リアルを描き出す!

「中受」を考えている方「中受」真っ最中の方「中受」を終えた方そして保護者の方にも読んでいただきたい一冊です。
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──「学歴」というのは、ゲームでいう「武器」のようなものだ。いい学歴は最強の武器になる。だったら、ゲームオーバーにならないために、そのアイテムを獲得するのは当然のことだ。
中学受験は、そのために必要なこと。
ステージをクリアしていくため「魔法の鍵」。そう感じ取って、「ぼくも中学受験する!」と、その場で宣言した。
( 本文より )
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小学6年生の新は、都立中学合格を目指し、進学塾に通いながら勉強漬けの日々を送っている。かつて夢中だったサッカーを辞め、中学受験にすべてをかけてきた。しかし模試の成績が下がり、塾の先生からも私立受験の提案を受け、ふがいなさに心が揺れる。そんな折、あこがれだった従兄が有名高校を中退したことを知り、「進学校に行けば成功するわけではない」と思い知らされる。
なんのために、誰のために受験をするのか? 悩む新。


一方、クラスメイトから軽く扱われがちな広翔は、自分の意見をうまく言えず、自分のことを透明人間のように感じていた。広翔にとって学校とは「楽しくない場所」なのが当たり前。しかし私立中学の見学に行き、「ここなら友だちができるかもしれない」と自分なりの受験を決意する。


バレーボールに打ち込むつむぎは、勉強が得意とはいえない。近所の公立中学にはバレーボール部がなく、中学生になったらバレーをやめなければならないと思っていた。だが、憧れのバレーボール選手の言葉をきっかけに、ペーパーテストではない「AO入試」があるということを知る。6年生の12月という遅い時期から、家族一丸となり合格を目指し……。

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著者/工藤純子(くどう・じゅんこ)
東京都生まれ。2017年、『セカイの空がみえるまち』(講談社)で第3回児童ペン賞少年小説賞を受賞。おもな作品に、『となりの火星人』『あした、また学校で』『サイコーの通知表』『だれもみえない教室で』(以上、講談社)、『てのひらに未来』『はじめましてのダンネバード』(ともに、くもん出版)、「恋する和パティシエール」「プティ・パティシエール」シリーズ(ともにポプラ社)、「リトル☆バレリーナ」シリーズ(Gakken)、「ミラクル☆キッチン」シリーズ(そうえん社)などがある。日本児童文学者協会会員。全国児童文学同人誌連絡会「季節風」同人。

//『サイコーの通知表』『だれもみえない教室で』など学校における子どもたちの生きづらさに寄り添った作品を生み出し続ける児童文学作家・工藤純子。書き下ろし最新作!//

何のための受験? 
都立中学の受検、私立中学の受験、AO入試。
加熱する中学受験リアルを描き出す!

「中受」を考えている方「中受」真っ最中の方「中受」を終えた方そして保護者の方にも読んでいただきたい一冊です。
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出版社からの備考・コメント

★校了前の仮データを元に作成しています。刊行時には内容が若干異なる場合がありますがご了承ください。

発売前の大切なゲラをご提供させていただいております。弊社では、下記のような方からのリクエストをお待ちしております。
○発売に向けて、一緒に作品と著者を応援していただける方
○NetGalleyへレビューを書いてくださる方
○自分には合わない内容だった際、どういったところが合わなかったかなど、建設的なご意見をくださる方

下記に該当する方のリクエストはお断りさせていただく場合がございます。
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※※リクエストの承認につきましては現在お時間をいただいております。

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販促プラン


読み終わりましたら是非NetGalleyへレビューをご投稿ください!
著者・担当編集者ともに楽しみにお待ちしております。
また、適したメディアやお持ちのSNSにもレビューを投稿いただき、多くの方に本を拡げていただけますと嬉しく幸いです。

※発売前作品のため、ネタバレになるレビューはお控えくださいませ※

ご協力の程、何卒宜しくお願いいたします。

★★★
作品の拡材や指定配本をご希望の書店様は
恐れ入りますが<講談社 児童書営業部>まで直接お問合せをお願いいたします。

★★



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★★★
作品の拡材や指定配本をご希望の書店様は
恐れ入りま...


出版情報

ISBN 9784065399101
本体価格 ¥1,500 (JPY)
ページ数 224

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NetGalley会員レビュー

大人だなと思った 巧みだなと思った 
本のタイトルから、物語の中軸が何であるかか想像できた
で、受かったの?落ちたの? そんなのどうでもよかった
超える とでも言ったら伝わるだろうか
わからない に困惑し
どうせ を常套句にし
やってみたい に蓋をしようとしていた
彼ら 一人一人が きらっきらの原石だった

学校教員 学校事務職員 塾講師 卒業生 そして親
それぞれに迷って苦しんだ時間があったと思う
そうでなきゃ 
~何かを決めるきっかけなんて人それぞれだよ。たとえそれが人生に関わるものだとしてもね~
ってこのタイミングで言えない

先生になりたい!という人の気持ちがわかる気がした
なりたかったんだ・・・叶わなかった親の夢の吐露がわかりすぎた

それが楽しいかどうかは やってみた 君しか知らない

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中学受験に飲み込まれた、3人の6年生の物語。
合格をゴールとして他には目も向けない子、自分に合った中学を求める子、たった一つの自分の良さを生かそうとする子。互いに交わっていく事が、3人の心にどんな変化を促していくのだろうか。
それを確かめて欲しい。

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同じ小学校の6年生で、中学受験をすることになった3人の、もう幼くはない心の遍歴の物語。

『稲葉新』偏差値65
「合格が正義で正解」と猛勉強する新。斜に構えすぎて、より広い見方、目指す理由、学ぶ楽しみなどを、自分を陥れる罠だと決めつけて背を向けるなんて。そうやって自ら押しつぶしている自分の心には、素晴らしい感性がやどっているというのに。
だから今の新にとって大切なのは、迷ってみること。そしてどうか、自分の感性に気づいてくれますように。

『深谷広翔』 偏差値42
ワンテンポ遅れがちな広翔は、嫌な事には独り目を瞑り、終わるまでひたすら我慢する。それしか知らない生き方なんて。そんな彼が新に「中学受験をする」と言ったのは、「わかってくれる」友だち、理解者が欲しかったからなのか。そう。上を目指すのではなく、そんな中学受験だっていい。
夏休みの経験をきっかけに広翔のいい面が目覚めていく。目的が見えてくる。楽しくなっていく。どうか広翔のその心のが、足踏みをしてしまっている新に届きますように。

『小野寺つむぎ』偏差値50
勉強を尺度に自分を低く評価するつむぎ。あんなにバレーが上手いのに。輝けるものを人はたくさんは持てないけど、つむぎにはそれを活かす道を探して欲しい。だからこそ、つむぎの選んだのは私立中学のAO入試。多様性の現れ。
そんなつむぎへの新のその言葉かけ。彼の変わりように読み手も驚き、うなずいた。

『稲葉新』
お試し受験に落ちた新は、癖になっている分析に入る。でも、親の本音に触れて逆に感謝された彼。更に塾の先生に「試験は敵じゃない」と言われた新の心は、更にどう変わったのだろう。
自分らしく取り組み、「ジュール」を味わって読む心にたどり着いて欲しい。

『深谷広翔』
自分なりのやり方を見つけた広翔。そう、自分では気づくことができなくても、アドバイスし道を示してくれる人がいる。それが本当の人の繋がり。そして、それを素直に受け入れたから広翔の方が「ありがとう」といわれたのだね。
きっと1年後は笑顔で遠藤先生と再会できるはず。

『小野寺つむぎ』
確かにAO入試は特技や熱意が問われるもの。だからといって、何もしなくてもいいわけではない。それに応じる家族の団結力に、つむぎ一家の底力を見た。
とうとうAO試験。「つむぎ」という名前の由来がバレーボールへの熱意と結び付いた時、拍手をしたいくらいだった。これが家族を見つめ直し、また受験を楽しむということなのか。
そして、その経験を学級に広めていくつむぎの姿が眩しかった。

『稲葉新』 卒業式
今までの経験や、広翔やつむぎとのやりとりで、自分の偏見に気付き素直に人と接することができるようになった新。
そして、ミナミ先生の本心と触れる。これが夏休みの頃だったら、その言葉を素直に受け入れることはできなかったろう。それだけでなくミナミ先生も教え子たちに諭されるとは。彼女の想い、その示し方が子ども達に誤解されていたとは。だからミナミ先生もまた、一回り成長していく。子どもは幼いのではなく、小さな大人。そんなみんなに感謝。

そして、新の合格から彼の本当の物語が始まる。今までは、それを始めるための長い準備期間。まだ迷う新が入ったのは、修鷗中の学校図書館。そう、彼の心が目覚める時。

受験は自分実現の為にある。小学生6年生の3人にそう教えられた。

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未来への一歩を後押ししてくれる
未体験の中学受験ストーリーでした!

主人公は3人の小学六年生。

理想と現実のギャップに
ストレスを感じていた彼らが、
中学入試に関わる中で
それぞれの生き方を見出していきます。

一風変わった背景に、
見たことがない展開。

これは中学受験モノとしてはどこか異質。

でも、だからこそ面白い!

中受界隈のアナザーサイドを
描いているという点で、
これを読めば中学受験がわかる
という作品ではないかもしれません。

しかし子どもの成長物語という点では、
まさに王道ど真ん中。

歪んだ人生観からの目覚めなど
核心を突いた教訓も盛りだくさんです。

しかも夢にも思わなかった展開になる
終盤の迫力は、まさに鳥肌もの。

とくに、担任の先生の想いが
あらわになる瞬間はぜひとも見てほしいです!

親のあり方や、塾の先生の
あたたかいアドバイスも必見!

何より心に残ったのは
荒んでいた少年の見事なふるまいですね。

正直、コレジャナイ感に
染まる瞬間もありましたが、
読み返してみて、全体を通しての
バランスの妙にあらためて気づかされました。

みんなの頑張りが勇気をくれる一冊。

心をフワリ軽くしてくれる言葉にも
きっと出会えますよ~。

(対象年齢は10歳半以上かな?)

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中学受験をする3人の物語。
受検の目的も、スタイルも異なる3人の受検はいったいどんな結果になるのか?

新は都立の中高一貫校を目指す。そのために塾に通い好きなサッカーはやめた。先生は学ぶことの楽しさをしってほしいというが、学ぶ楽しさとはいったい何なのか?
受験する理由とは何なのか、自分が何をしているときがたのしいのか?新は周囲の声を聞きながら自分の進路を悩み始める。

広翔は小学校で嫌なことがあってもじっとしていて、嫌なことがあってもいつかは終わると思っている。
先生に言われた、友達は嫌がることはしないという言葉により友達とはいったいどんな存在なのか考え始める。
小学校は楽しくないし、自分の意見も上手く言えない。だからこそ少人数で手厚いサポートのある私立中学校を目指す。

つむぎはバレーボールが大好きだが、行く予定の中学校にはバレーボール部がないのでバレーボールをやめないと思っていた。
だが、とある人物が小学校を訪ねてきたことから自分の進路を考え始める。

3人は受検のために、家族一丸となり志望校を目指していきます。家族が受検のためにピリピリしているわけではなく、子供の意思を尊重し楽しんでいる様子がとても印象的でした。
AO入試のことなど偏差値だけでは測りきれない側面も描かれます。
子どもたちは可能性の塊であり、輝きを秘めた原石でもあります。
親に言われたからではなく、自分で悩んで出した結論を応援したくなりました。
私は中学受験をしたことはないのですが、進路で悩んでいた学生時代の自分に言えるとしたら、どんな道を選んでも間違いではないよと言ってあげたいと思いました。
中学受験を目指している小学生に、そして保護者の方に、そして進路を迷う人にもぜひ読んでほしいです。
自分で決めたことなら間違いはないと、背中を推してくれると思います。

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地方の公立高校教員です。とても楽しく読めました!
特に、唯一の女性主人公であるつむぎの、家族を巻き込んだ直前からのドタバタ受験劇が最高に面白く、また愛おしかったです(中受でもAO入試があるのですね!)。

中受は過度に美化されたり、あるいは過度に闇の部分を強調されたりしがちな面があるように感じるのですが(正直、私自身も親の経済力に左右されること、塾が過剰に公立中学に不安を抱かせることで利益を得ているようにも感じること、どうしても判断能力が低い小学生に選択させていること、授業料無償化などで私立を優遇することが果たして国の教育政策として正しいのかという公立学校側からの不満、などから、どちらかというと批判的な立場ではあるのですが)、この作品は公立に進む生徒への配慮も随所に感じられ、上手くバランスが取れており感心しました。私自身も同年代の子どもの親の一人として、色々と学ぶこと・考えさせられることが多かったです。

「中受は必ずしも東大合格を目指す高偏差値中学ばかりではないし、学力試験バトルばかりでもない」
「高偏差値学校とはいえ、受験一辺倒の6年間には疑問。高偏差値学校に合格しても合わない子もいる。逆も然り」
「合否のみに拘泥するのではなく、大切なのは(入学するのがどこであれ)その後の子どもの成長である」
というメッセージ(?)は非常に共感するものであり、また世間の中受観にも一石を投じる作品ではないかと思います。

最後に、小説としては、どうしても合格か不合格かのどちらかに行き着きそうな受験モノを、終盤にも上手く「転」を入れることで展開の起伏を作っておられて、大変参考になりました。また登場する大人たちも皆、誠実で好感が持てる人たちばかりでした(特に星榎の校長先生が最高!)。
首都圏などの中受が多い地域に限らず、子どもを育てる多くの大人に読んでほしい良作でした。

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『中受』というタイトルから、中学受験に挑む小学生とその家族、ライバルたちの黒い部分が描かれているのでは?と思って読み始めました。
しかし、こちらの小説は中学受験に向き合う小学生たちの内面が描かれていて、受験する意味とは?という受験する、ある意味では根本的な部分を読者に問いかけてくれます。
周りに言われるままに受験勉強を始めた新、友達が欲しくて受験を決めた広翔、バレーがしたくてAO入試を目指すつむぎ…新のような小学生がもしかしたら多いのかもしれないし、私も個人的に今までの中学受験のイメージは新のような子たちでした。でも、もしかしたら中学受験も高校受験も、広翔やつむぎのような理由で始めてもいいのかもしれないと感じました。

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いわゆる偏差値70超えの超名門校をイメージすることが多い「中受」だが、もちろん我らが工藤さんの手にかかると、その側面からだけでなく、もっと立体的に浮かび上がらせてくれる。これまでかけてきた時間、お金、熱量がもったいないから、初めは都立の中高一貫だけ受けようとしたのに、直前になって私立も受けておきたくなるなんていうあるあるネタから、実際に合格した後のズレの可能性までも網羅されている。読んでいると、いろんな過去の中受してきた6年生の顔が思い浮かぶ。ネタバレだけど、学校図書館と学校司書が出てきたシーンもすごくよかった。あの冊子の中のテーマの数々にも、ふふっと笑みがこぼれた。学校三部作と『ルール!』の作者が書いた中学受験の本なんて、もうこれ絶対次の中受の問題になるにちがいない。断言できる。

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好きなサッカーを諦め都立高校付属中学への入学を目指す新。両親を含め周囲の干渉がやけに気になるのだが・・・。
中学受験を軸に、3人の児童の心の揺れを瑞々しく描いている。地方在住で勿論未経験、さらには二周り、三周り近く離れた世代からするとより複雑化し、混沌と化している中学受験の状況は魔境に踏み入れるようで複雑な感情を呼び起こす。外野ですらそう感じるのだがら、踏み込んだ本人、周囲の人とたちはいかばかりかと不憫にも思えてしまう程だ。その一方で、自立心が芽生え、自己確立に挑み始める児童から生徒への成長は心強く微笑ましい。
成長へのエールを送りたくなるような中学受験奮闘記。

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中学受験を巡る小学6年生3人のお話。
なぜ中学受験をするのか。なぜその学校なのか。
夏休み前の小学校の担任との三者面談を機に、今まで考えもしなかった問いに向き合うことになった新。
同じクラスの広翔やつむぎもそれぞれの事情で中学受験を考えるようになり…。
子どもたち3人の揺れる思いは読んでいて胸が熱くなった。ただ、私立中学に通うには、家庭の経済的な問題も関わってくる。行きたい学校があっても経済的に諦めざるを得ない行けない子どもはどう自分の気持ちと折り合いをつけていかねばならないのか。行かせてあげられない親の気持ちは…といったところも読んでみたいと思った。

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私が小学生の頃は「中学受験」というものはなかったし、受験をするなら高校から、というのが一般的で、その後アメリカに移住したので日本の中学受験に関してはSNSや新聞・テレビ等で入っている知識くらいしかなかった。そんな中、工藤純子さんの新作『中受』を読んだのだが、日本の中学受験ってこういうものなのか、というのがよく分かったし、また中学受験も様々なレベルや受験方式があり、受験をする子どもたち(小学生)の揺れ動く気持ちや「自分で決める」ことの難しさみたいなものもよく書かれていた。中学受験まであと一年をきった小学六年生の一学期から物語は始まる。中学受験をした四歳年上の従兄に憧れ、また大人の強い勧めもあって好きなサッカーを諦め偏差値上位校の中学受験を決めた新(あらた)、勉強が苦手で友達もあまりいない広翔(ひろと)、そしてバレーボールが好きで本当は中学でも続けたい、と思っているつむぎ。この三者三様の小学生三人がそれぞれの思いで中学受験を目指すことになる。中学受験をする子としない子の間の微妙な心のすれ違い、教室内での担任の先生の立ち位置、受験生を抱えた両親の揺れ動く気持ち、そして当日の試験会場で問題用紙と必死に向かう三人のリアルな光景などが描かれており、これから中学受験を考えている子どもたち、親御さんにはぜひ読んでほしいと思える本だった。また、中学受験を単に「親のエゴ」や「教育虐待」「かわいそう」と思っている人たちにも読んだもらいたい。中学受験をきっかけに家族が一丸となってまとまることもあるし、それは結果がどうあれ、無駄なものにはならない。そして、まだまだ子どもだと思っていた小学生にも「自分自身で選ぶ」という道がほんの小さなきっかけで生まれるかもしれない、ということを分かってほしい。

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中学受験生のリアルな姿が描かれている作品。
一昔前は、公立校の教育では満足できない優秀な子向けに、私立や公立中高一貫校受験の道が開かれているというのが常識だった。しかし今は、作中に登場する子のように理不尽な高校受験(内申点重視した受験)を回避し伸び伸びと6年間を過ごすため中学受験する子、得意な科目をより伸ばすために私立中学を選択する子もいる。どんな道に進むにせよ、子供達が自分で納得して決めた学校で、自分の得意なことを極めたり友達とくだらないおしゃべりに花を咲かせたり、とにかく生き生きと楽しい毎日を過ごして欲しいと願わずにはいられない。中学受験を予定している親子や、無事中学受験を終えた中1の子にもしみじみと懐かしさを感じながら読んでもらえる内容だと思った。

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直截的なタイトルに驚き、さてどのような切り口で小学生たちが登場するのかなと、中学受験塾の講師目線で読み始めたところ…

リアルな世界がそこにあった。
芯があって、行動すると結果が出せるタイプの新。
行動や思考に時間がかかり、周りからいじめられやすいタイプの広翔。
習い事やスポーツを頑張っていて、得意なことがあるけどそれは勉強じゃないよね、なつむぎ。

彼らのありかたや、考え、行動はたくさん存在している。
それから傍目に中学受験は嫌いな公立の教諭。
親たちに友達、そして塾講師。

いまや中学受験は「御三家レベルに勉強ができる子ども」だけの世界ではなく、
自分が自分らしくあるために生きる道と環境を得るためのもの、に変化している。
そして私もそういう子たちが、巣立っていくのを見送ってきた。

この本は、ぜひ親御さんに読んでもらいたい。
だけどこの世界を知らない人たちが読んでも、子どもたちの心の動きに感動するだろう。

大人が思うほど、子どもは子どもじゃないし、かといって大人ではない。
そして子どもが思うほど、大人って大人じゃないし、子どもの心も持っているものだ。
それをリアルに描き出した一冊だ。

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受検…?と戸惑いながら読んでいたら、そういうことだったんですね。
中学入試のあり方もいろいろだなぁと考えさせられました。
自分が中学入試を受けたころといろいろ変わったことを事実としては知っていても、
どうしても1日2校受けるのが当然、合格者ニアリーイコール入学者じゃない、
…という現代の入試の当然が、なんだか違和感をぬぐえないままもう何年も過ごしていますが、
そうはいって、大きな決断を迫られる大きな存在だということは変わりなく。

それぞれがそれぞれなりに自分の道を切り開こうとしている姿がいじましい。

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自分自身は中学受験はしていないし、自分の子にもさせてないので、何のために苦しい思いをしながらも中学受験をするのか、世間には色々な意見や方針があるのは理解していながらも、ピンと来ていないところがあったけど、作中に、中学受験が救いの手になる可能性もあることが描かれていて、まだ見ぬ未来への選択肢を考えるきっかけにもなる作品だなぁ、と認識を改めるきっかけとなりました。

なれるとか、なれないとかではなく、好きかどうかが大切って、シンプルだからこそ心にぐっとくるし、悩みながらも自分の納得いく未来を引き寄せるため頑張り続ける登場人物たちの姿に心があつくなり、何度も何度も涙をぬぐってしまいました。
作中で『いつだって、「すぐ」が肝心なんだ。』
と、まわりと合わせることの困難な自分を責めてしまう広翔の心の声が切なくて、それでも、絶望せず、南野先生や遠藤先生のような助けてくれる大人の存在に気づける柔軟さは本当に素敵で、この先、たくさんの出会いを自分の糧に出来るんだろうな、とあたたかい気持ちでいっぱいになれました。
ひと足早く読ませて頂き、ありがとうございました。

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