子どもたちが知っているカプセルトイから、想像が広がっていく楽しいお話でした。
「もし私だったら何をお願いしようかな？」と、読んでいて考えがふくらむ幼年童話だと思います。
所々に絵の仕掛けがあるのも、楽しい。絵もかわいくて、とても読みやすくて、今度はどこに出没するのか続きも楽しみです。

不意にどこからともなく現れる、がっちゃん。ひとつだけ夢を叶えてくれるという。コインを拾って入れてカプセルトイを回すと、出てくる夢のアイテム。4人の子どもが遭遇するがっちゃんですが、子どもたちの夢を叶えながら、人間の心の作用を教えてくれています。
夢が叶っても飽きてきたり、夢の伝え方が不十分だと後から困ったことが起こったり。それを子どもたちは学んでいきます。時として願いというのは、今を抜け出すための方便だったりするのかな？
斉藤洋さんの新シリーズということで、だんだんがっちゃんの正体もわかってくるのでしょうか？２巻も楽しみです。

ゆめをかなえる。叶ったらいいなあっていつも小さいころから思ってきた。
今の子どももだいたい同じだろう。すっと今の夢が言える子供たち。
深く物事を考えても浅かったとしても、前向きに自分を進められるのが今の子とよくわかる。

よくある自業自得的な、欲望を出したら悪い部分に足をすくわれる、
というものでなく、ちゃんと夢が自分に寄り添ったり、
自分の成長に帰するところが今の時代にあっている気がするいい読後感のいい所がおすすめです。

短い四つの話からなる物語。
一篇がとても短いし、漫画のようにコマ割りがあったり、吹き出しがあったりして、読書が苦手な子でも読みやすいと思った。
逆に言えば、読書が好きな子からすると、少しものたりなさを感じそうだと思う。
短い分、「え、それだけ？」という感じなので、その後の展開を自分で想像するという楽しみ方ができると思う。

とても楽しく読ませていただきました。カプセルトイって、夢が詰まっていますよね。子どもだけではなくて、大人も大好きだと思います。それぞれの子どもたちのエピソードは短いですが、なんとなくその子どもが背負っている世界が透けて見えるのが不思議です。きっとどの読者も、自分だったらどんな願い事をしようかなとワクワクしながら、読み進めていくのではないでしょうか。読後ほんわかした気持ちになれる素敵な作品でした。