あたたかな手 なのはな整骨院物語
濱野京子/作
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刊行日 2025/01/12 | 掲載終了日 2025/01/12
ハッシュタグ:#あたたかな手なのはな整骨院物語 #NetGalleyJP
内容紹介
人に触れるのが苦手だった
新人柔道整復師の春哉と、
整骨院にやってくる子どもたち、
そして地域ネコのマルがつむぐ優しい物語。
「先生、あたたかい手をしているね。
なんかほっとする」
人に触れるのが苦手だった新人柔道整復師の春哉は、
なのはな整骨院で働きはじめます。
整骨院の同僚や、患者としてやってくる子どもたち、近所の人びと、
そして神出鬼没な地域ネコ、マルとの
ゆるやかなつながりが、春哉の居場所になっていきます。
心がほっとするお仕事小説。
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整骨院で働く柔道整復師の仕事は、骨折、捻挫、打撲、脱臼などのけがを、
手をつかっておこなう柔道整復術という方法で、もとの状態にもどす施術が
もっとも基本的なものです。
とはいっても、実際には、けが以外の理由で、身体の不調をうったえて来院する人も
少なくありません。(本文より)
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出版社からの備考・コメント
ここに掲載している作品データは刊行前のものです。
刊行までに内容の修正があり、仕様の変更がある場合もございますが、ご了承下さい。
【ご注意下さい】
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販促プラン
【著者紹介】
作 濱野京子(はまのきょうこ)
熊本県に生まれ、東京で育つ。『フュージョン』で第2回JBBY賞、『トーキョー・クロスロード』で第25回坪田譲治文学賞を受賞。作品に『バンドガール!』『石を抱くエイリアン』『アギーの祈り』『with you』『となりのきみのクライシス』などがある。
【著者紹介】
作 濱野京子(はまのきょうこ)
熊本県に生まれ、東京で育つ。『フュージョン』で第2回JBBY賞、『トーキョー・クロスロード』で第25回坪田譲治文学賞を受賞。作品に『バンドガール!』『石を抱くエイリアン』『アギーの祈り』『with you』『となりのきみのクライシス』などがある。
出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784037274900 |
本体価格 | ¥1,500 (JPY) |
ページ数 | 207 |
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NetGalley会員レビュー
新人柔道整復師の春哉の語り口が、とても丁寧でやさしく、読んでいるだけで心が安らいだ。
文中に「先生の手は、あたたかくてやさしい」という言葉が出てくるのだが、簡単に想像できる。
実際に春哉から施術を受けているような気分になった。
整骨院の同僚や、患者としてやってくる子どもたち、近所の人びととのゆるやかなつながりが、とても心地よかった。
なのはな整骨院で働き始めた春哉は、元々は人に触れるのが苦手だった。でも、その“あたたかな手”で来院する子どもと触れ合い抱えている問題に向き合っていく。
子どもと大人達が手を取り合い前に進んでいくとする物語。
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温かな雰囲気のなのはな整骨院。
ひかりや地域ネコに囲まれて、春哉の柔道整復師としての仕事は順調に始まる。でも、患者として訪れる子ども達にはそれなりの問題を抱えていた。ピッチャーにこだわる凌太。DVにさらされる星良。
春哉もまたこの道に真っ直ぐ進んで来ることができなかったからこそ、この子たちに真摯に対応したのだろう。「やり直せること」と「時間は戻せないからやり直せない」ことを知っているから。でも、いやだからこそ歩き続けるしかない。春哉もひかりも、ひかりの父親も。
ヤングケアラーのように見えた颯太。そして、美桜がずっと抑えていた思い。
子どもは未熟ではない。まだ小さいだけの大人。様々な事を感じ取り、考え、自分で決めていく。その手助けをするのが、大きくなった大人。時には回り道をして今に至った春哉のような大人。人に触れることができなくて、やっとできるようになった時、「あたたかな手」と言われるような大人。
ただ、そんな春哉もまだ進む道を定めきってない。でも、春から秋までの様々な子ども達との触れ合いによって、彼の心の奥底ではもう決めていると信じてる。同様に色々なことを感じ取り、考え、進もうとしているのだろうから。
子どもと大人が、あたたかな手を結びながら共に進んでいく、読み手の心もあたたかかくなる物語だった。
整骨院という舞台の新鮮さと、児童書にはめずらしい大人が語る物語に、ひきこまれて読み進めました。
整骨院や整体など、身近にけっこうあるので、読む子どもたちにとっては興味津々というところでしょう。
語り手となる春哉の人物像がやや明確ではないので、というか、語りがあまりに丁寧すぎるので、ちょっと距離感を持ってしまいましたが、読み進めるうちにまわりの登場人物たちが浮き上がらせてくれました。
ヘアドネーションという内容も織り込むことで、物語がさらに広がっていくことを感じました。死、離別、をしっかりと描くことができる作家の力量が伝わってきました。
遅咲きの新人・柔道整復師として、なのはな整骨院で働きはじめた西田春哉が語り手となって紡がれていく物語。
整骨院に訪れるのは年配で常連の患者さんはもちろん、近所に住む“お花係”ひかりちゃんが連れてくる痛みを伴った小さな患者さん、たまに期間限定の新規の患者さんもいたり、と様々です。
もともと、人に触れたり触れられたりが苦手だった春哉が少しずつ仕事に馴染み、柔道整復師として成長しながらも、持ち前の優しさは失わず、誰かの痛みや苦しみを少しでも和らげたいと思い続ける姿は見習いたくなります。個人的に、もう少し自信を持って欲しくはありますが。
作中での『 子どもを守ることは大人の責任だけど、 子どもの力を信じることも大事』『信じているよ、応援しているよ、でも、こまったことがあったら相談してね』という、竹村さんの心からの言葉に、いざという時にきちんと頼ってもらえる大人に!、と背筋が伸びる気持ちになりました。
一文が短く、易しくて優しい言葉で描かれているので、集中力のなくなった今の子どもたちにも好んで読まれると思う。野球をやっているような、ふだんは本を読まないタイプの子にも勧めやすい。ネタバレになるからすべては書けないけれど、地域猫、強い口調の親、子どもの肩こり、受験など、いまをまさに生きている子どもたちを囲む社会の問題が、日常生活のなかに、さらりと、いや、どろりと溶け込んでいることに気付かされる。子どもたちも、これは問題なのだ、わたしにも似たようなことがある、と感じるのではないだろうか。わたし自身も、思わぬところで人生が変わったり、仕事を変えたりしてきているので、自分の経験も絡めて、子どもたちにこの本を手渡していきたい。全小中学校の学校司書、これ買った方がいいですよー!
心まで施術してくれるような作品でした!
主人公は27歳の新米柔道整復師。
回り道をしつつその職に辿り着いた彼が
感受性の鋭い少女や真摯な同僚たちに
囲まれながら困っている人々に
向き合うストーリーです。
苦手なことを、強い意志と努力で
乗り越えようとする主人公が
たまらないほど魅力的。
こんな姿見せられたら
誰だって応援したくなります!
子どもたちが深く関わって来るのも
この作品の特徴ですね。
年齢にかかわらず相手を尊重して
一人前のように扱う主人公だからこそ
みんなと心を通わせられたのだと感じました。
そう考えると自分に自信がないのも
悪くないのかも?
堂々としているより親近感がわきますし。
誰にでもおんなじ目線で語りかける
彼の姿勢はたぶんひとつの理想形。
肘を痛めた子の話、受験生の子の話など
多彩なエピソードがありましたが、
特に最後の話にやられましたよ。
自分を抑えてきた少女の感情の発露は
こわいほど胸に迫るものでした。
勉強になったのは柔道整復術の起源や
WHOも認めるという361のツボの話。
医者や看護師以外にも人を健康にする
仕事があるという気づきは、
多くの子どもたちにとって新鮮かも?
どこまでも癒される
あたたかさ溢れるなのはな整骨院。
この作品に出会えたしあわせを
噛みしめつつ読み終わりましたよ。
(対象年齢は11歳以上かな?)
整骨院を題材としたお仕事小説ははじめてよみましたが、こんな暖かな手をもつ柔道整復師さんに肩をもんで欲しいなぁって思いながら読み進めていきました。登場する人物が心になにか抱えていながらも、みんないい人物でストレスなく読める物語でした。なのはな整骨院物語がシリーズ化されるのを楽しみにしています。
これが児童書だということを忘れてしまうくらいでした。
主人公の温かい手に包まれているかのような温かい物語。
「いつだってやり直せる」だけど「時間は取り戻せない」印象に残りました。
子供を信じることも必要。など親としてもハッとする部分がありました。
ぜひ親子で一緒にこの本を読んで欲しいです。親子読書の際におすすめしていきたいです。
失敗や停滞を恐れなくてもいいとストレートに伝えてくれる物語。柔道整復師の春哉は新人としてなのはな整骨院で働き始める。患者さんたち、特に子どもたちに施術するうちに、春哉なりに自分の感覚を新たにしていく。元々人に触れるのが苦手だったのに、寄り添い施術するうちに、自分の手で患部を治療し得ることに手応えを感じ始めていく。春哉自身の語りによって、子どもたちの窺い知れない内面を慮っていくようすは、治療の閾を超えて人間同士の交わりに変わっていく。お互いの心が向き合い、繋がった時の充足感と、見えない部分への不安。それでも、一歩は尊いものだ。
濱野さんの本はうまく現代社会の問題をストーリーの中に組み込んでいて、毎回ハッとさせられます。今回はは大人が主人公のお仕事小説。優しいエピソードばかりだけど、子供たちが抱えているものはそれぞれに重め。こういった大人目線、新鮮な切り口の本がYAの本として子どもたちの手元に届くのは良いなと思います。
人に触れることが苦手で「整骨院」を経営する父親からも後継者として見放され、行き場を失っていた西田春哉は27才で父の弟弟子に当たる藤本先生が経営する「なのはな整骨院」で新米柔道整復師として働くことになる。「ぼく」(春哉)の淡々とした語りで進むこの物語は、「なのはな整骨院」を訪れる様々な事情を抱えた患者さんの心の内が重たく暗くなりすぎず、人とのつながりの大切さを感じさせてくれる。また、凝り固まっていた春哉の気持ちが「なのはな整骨院」で働く人達の優しさや「お花係」で感受性の強い小学生のひかりちゃんがつなぐ人との縁に触れ、徐々に和らいでいく様子は「なのはな整骨院」という場所が、ただ施術を行って患者さんの痛みをなくすだけでなく「人と人とがゆるやかにつながっていける」場所としてそこで働く人たちの傷ついた心までも回復させるのだ、と思った。こんな「整骨院」があったら行ってみたいーそんな気持ちにさせる物語だった。
人に触れるのが苦手だった春哉は、なのはな整骨院で働き始めた新人柔道整復師。なのはな整骨院では様々なケガや持病の患者がやってくる。
大人も子供も老人も、痛みとは別の悩みや心の不調もかかえており、春哉は彼らとかかわることにより自分も成長していく。
子どもたちの悩みが辛かったです。
悩みも自分たちの世界というよりも、親絡みのことが多くて。
春哉含めて、整骨院で働く人たちは彼らを見守ります。
直接その問題を解決できなくても、気にかけて声をかけてくれる人がいるだけで少し違うかなと。
整復師としてはやっかいな、人に触れるのが春哉もここでの仕事を通して人間関係や仕事への取組み、家族との関係などを見直したり考えたりします。
少し遠回りしたけども整復師としての一歩を踏み出した彼も応援したくなりました。
柔道整復師とはどんなお仕事だろう。骨や筋肉などの身体にくわいしけれど、マッサージ師とは違う、など。知らなかった!
手当とは「手を当てる」こと、これって治療の原点なのかもしれない。私たち素人でも痛いところに手を当てると和らぐ気がするから。
新人の春哉の語りで物語は進む。新人らしく、穏やかかつ初々しさが表れている語り口。
近所に住む不思議な女の子ひかりちゃん、彼女が気づいて連れて来る患者さん、地域の子たち。痛めた体を治療し始めるけれど、その奥に抱えているそれぞれの事情が見えてくる。うまくSOSが出せない子どもたち。そんな声に気づいてすくい上げる、やさしい大人たちの働く姿が素敵だ。
街の整骨院を舞台に、子どもたちをとり巻く問題をていねいに描くハートフルな物語。主人公の新米柔道整復師の視点から、現代の子どもたちが抱える、大人からは見えづらい悩みを紐解いていきます。きっかけは、人の痛みを敏感に感じとることができる小学6年生のひかりちゃん。本人も気づいていないような違和感を察知し、整骨院に連れてきてくれます。まずは気がつくこと。誰かの痛みに寄り添おうとするのなら、そこが大事なのだなと思いました。そして、気づきすぎる苦しみも取りこぼさない「大人としての視点」があるのもいいなと思います。現代の子は駆け足で大人になっていき、周りが見逃しがちな苦しみを抱えていることも多いでしょう。それぞれの立場から見守ることの大切さを教えられました。
整骨院って、こういうところなのか・・・と初めて知った気がする。
町の中にあって、看板は見るけれど、よくわからない、わたしにとって、整骨院とはそんな場所だった。
読んでいるうちに、ぐっと近くに感じられるようになった。
病院とはちょっと違うけれど、心と体を良い方向にもっていってくれる場所。
中の人たちが、みんな少しずつ傷ついたり、悩んだりしているけれど、静かに癒されていく場所。
整骨院では解決できない家族の問題も、目の前に差し出されて、ハッと胸を突かれた。
魔法のように解決はできないけれど、そっと手を差し伸べてくれる。こんな整骨院があったら
是非通いたいと思った。