一流会社に就職したのに1年で辞めて、故郷に帰った私。

今年は、杏のあたり年で、ジャムを作って売ってみることにした。

来る日も来る日も杏ジャムづくりに励んだ。

ようやく納得のできる味のジャムが仕上がったので、町に売りに行った。

だが、全然売ることができない。しょげて家に帰ったら。

何と、きれいな女鹿が一匹、椅子にこしかけてパンを食べていた。

私が作ったジャムをパンにたっぷりつけて、紅茶にもジャムを入れて。

女鹿は、言った。ジャムは、味も香りも最高だから、きっと売り方が悪いと。

すると女鹿は、レッテル（ビンに貼るラベル）を作成し始めた。

それは見事な風景画のレッテルだった。

そのレッテルを貼ったジャムを町の店にもっていったら、売れ始めた。

それからというもの女鹿は毎日きては、たくさんのレッテルを作成してくれた。

ある日、女鹿はブルーベリーがたくさんある森へ連れていってくれた。

すると、見事なツノの牡鹿が、すっと立っていた……。

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心がほっとする安房直子の傑作童話。

本シリーズ「安房直子絵ぶんこ」は、小学校中学年が読みやすい文章量の作品をとり上げて、

人気イラストレーターの絵で綴ったシリーズです。

【公共、学校図書館向き】

対象➟小学校中学年　

シリーズ全9巻刊行予定

★各巻ごとに挿絵担当が変ります。

①ふろふき大根のゆうべ（アヤ井アキコ 絵）刊行中

②猫の結婚式（西淑 絵）刊行中

③空にうかんだエレベーター（えがしらみちこ 絵）刊行中　

④遠い野ばらの村（高橋和枝 絵）刊行中

⑤雪窓（長谷川あかり 絵）刊行中　

⑥ひぐれのお客・初雪のふる日（松村真衣子 絵）刊行中

⑦北風のわすれたハンカチ（eto 絵） 刊行中　

⑧海の館のひらめ（くの まり 絵）刊行中

⑨あるジャム屋の話（伊藤夏紀 絵）10月下旬刊行予定