みかんファミリー
椰月美智子
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刊行日 2024/08/06 | 掲載終了日 2024/07/04
ハッシュタグ:#みかんファミリー #NetGalleyJP
内容紹介
// 野間児童文芸賞、坪田譲治文学賞、小学館児童出版文化賞受賞
椰月美智子が贈る、人生の賛歌 //
さあ、“あたりまえ”の先へ!
その生きにくさ、
ひとりで抱えなくていいのかもしれません――。
2つの3人家族が始めた共同生活。
でもあっちの家族にいたのは、となりのクラスの変わり者で…!?
明るく泣ける、心やさしい物語。
--------------------------
◎ あらすじ ◎
主人公・美琴は、シングルマザーのお母さんとおばあちゃんと暮らしている中学1年生。
ある夏、お母さんがかつて同級生だった朱美さんと再会し、古い家を買って一緒に住むという計画を突然発表します。
お母さんはこんな勝手な人ではなかったはずなのに……。
どんな人たちなのかよく知らないまま、共同生活がスタートするのですが、紹介されたのは、すこし変わった人として名を馳せるとなりのクラスの子。
でも、6人で一緒に暮らす中、いろんな“あたりまえ”が色あざやかに変わっていきます。
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著者/椰月美智子(やづき・みちこ)
1970年神奈川県生まれ。2002年『十二歳』(講談社)で講談社児童文学新人賞を受賞しデビュー。07年『しずかな日々』(講談社)で野間児童文芸賞、坪田譲治文学賞をダブル受賞。17年『明日の食卓』(KADOKAWA)は神奈川本大賞を受賞し、映画化もされた。20年『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』(小峰書店)で小学館児童出版文化賞を受賞。その他の書籍に『十四歳の水平線』(双葉社、講談社青い鳥文庫)、『ともだち』(小学館)など多数。
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おすすめコメント
◎担当編集者より◎
中学1年生の主人公目線で、再構築されていく家族がとても瑞々しく表現されています。
子どもだけでなく、大人にとっても大切なメッセージが込められています。
ぜひご一読頂き、感想をお寄せ頂ければ幸いです!
◎担当編集者より◎
中学1年生の主人公目線で、再構築されていく家族がとても瑞々しく表現されています。
子どもだけでなく、大人にとっても大切なメッセージが込められています。
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出版情報
ISBN | 9784065364925 |
本体価格 | ¥1,500 (JPY) |
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みかんファミリー
ああ、そういうことか、と終盤にきて納得。
表紙絵にイメージがしばられてたけど、どちらの意味でもステキと思った。
節子さんの娘を心配する様子がいい。孫の美琴がそれを理解しているところも。
また、娘であり母である響子さん・優菜さんは両方の立場だからちょっとたいへんそう。
家族の形が1つのテーマだけど、皆、それぞれを思いやる気持ちを持っているのが読み取れて(表現の仕方はそれぞれだけど)、ほんのりと暖かさを感じる作品だった。
まず個人的に、物語の中のルームシェアという設定が好きなので、最初からワクワクして読み始めました。中学生の美琴は母と祖母との3人暮らし。ある日突然母の同級生で友人である朱美さんと、その娘と孫と暮らすことになってしまう。美琴は朱美さんの孫を小さい子だと思っていたけれど、なんとその孫は同級生でちょっと変わり者の野々花だった。最初から家族だったら、ある程度分かり合えたり、適度に距離を取ることを覚えたりして、なんとかなるものだけれど、育ってきた環境や、個人の価値観の違う朱美さん一家とどう接していいのか戸惑う美琴や、お母さんのかくしごと、家族のあり方や生命の不思議についてなどを交えて、美琴たちが少しずつ家族になっていく様子が描かれていました。庭の畑で採れたダイコンやホウレンソウがおいしそうで食べたくなりました。
ある日、突然、母親から引っ越しのお知らせをされる美琴。そこには同居人として母親の同級生・朱美ちゃん家族も一緒に住むという。場所はいつの間にか購入していたという古民家。諸々決まった後での事後報告だけど、弟か妹らしき存在が出来るのかぁ、とわくわくも少しな美琴に打撃を与える野々花の存在。彼女は学校でも有名な変わり者だった。自分の母親は何故こんな共同生活を始めたのか困惑する美琴の心が整うのを待つことなく、女だらけ六人での生活は始まった!
最初は納得いかず、嫌で仕方なかったはずなのに、ちょっとしたきっかけで、かけがえのない存在になっていく美琴と野々花の友達のような姉妹のような型にはまらないやわらかな関係性が素敵です!
タイトルの『みかんファミリー』の“みかん”はそういうことだったのか!と納得の、野々花の優しさあふれる発言に、喜びも悲しさも乗り越えて“みかん”のままでも支えあう絆はゆっくりとしなやかに結ばれていく、家族って少しずつ“なっていく”ものなんだなぁ…、としみじみ感じました。
中学生の美琴は母親と祖母と暮らす中学1年生。美琴にとって暑い夏はなにかか起こる。今年はいい夏になるに違いないと思った矢先、母親から中学時代の同級生である朱美さん一家と一緒に暮らすと宣言される。しかも古民家をすでに買ったので、今住んでいるマンションは引き払うという重大発表をされる。美琴の今年の夏に何かが起こった瞬間だった。
そしてどんな人なのかよく知らない朱美さん一家との暮らしが始まる。なんと朱美さんの孫は同じ中学校の同級生の野々花。野々花とは顔を知っている程度だが、ちょっと変わった子という印象の隣のクラスの子だった。
そして大人4人、中学生2人の合計6人の共同生活が始まる。
家事を分担し、家で自分のやりたいことをしたり、干渉し過ぎない6人の暮らし。
突然共同生活を始めたのには理由があり、ちょっと変わった子だと思っていた野々花の本質を知り、美琴の気持ちにも変化が生まれていく。
タイトルの『みかんファミリー』の意味が分かるとなるほどなと思う。6人の暮らしは楽しい時間ばかりではなく、悲しい気持ちもお互いに分かち合いながら、血の繋がりなど関係なく一つ家族のようになっていく。一人では乗り越えられないことでもこんな家族がいれば何とかなると前向きな気持ちになる。
決まった家族の形なんてない。家族の数だけ形がある。きっと他人から見たら我が家だってみかんファミリーなのかもしれない。でも他人の視線を気にするよりも、家族がお互いを思いやり日々の暮らしを大切にしていけばいいと改めて思う優しい物語だった。
中一の美琴は、母親の勝手な決断により、とつぜん母親の中学時代の同級生朱美さん一家と一緒に暮らすことになった。
しかも、その朱美さんの孫というのが、隣のクラスの爬虫類を愛する野々花。
美琴は、そんな野々花と、ふすまで仕切られただけの和室で寝起きすることになる。
『みかんファミリー』というタイトル通り、さわやかな物語で、ただの同居人から、家族になっていく様子が、緩やかに描かれていた。
おばあちゃんと野々花が耕した畑の野菜や、美琴の吹くクラリネットの音、おいしそうな食事を囲むダイニングテーブルなど、読んでいて、とても心地がよかった。
独断で決まった母の級友家族との古民家での生活。戸惑う中1の美琴の前に現れたのは、まさかの隣のクラスの苦手な女子で―――女だけの3世帯×2家族という独特な支え合いの形を描いた、やさしさを与えてくれる包容力ある作品。
繊細で、大胆で、それぞれのキャラの弱いところを精確に映し出す言葉のチョイスが圧倒的で、芸術的で、天才的。1ページ目、まだ何もない「夏」を詠うシーンだけで、胸を締め付けられるノスタルジックな痛みを感じた。
知らない人たちとの共同生活への戸惑い、よく知っていると思っていた家族への不満、手探りの日々の中で少しずつ形が整い嵌っていく。すべてが上手くはいかないけれど、補い合って繋がれていく絆がじんわりと沁みる。
関係性や気分で紙一重に変化する、共同生活の表裏一体の利点と欠点が描かれているのも非常に面白かった。
不変だと思っていたものを変えるエネルギーをアルベドに含んだ「みかんファミリー」から、前向きな気持ちをたっぷり吸収させてもらい、心が軽くなった。
中学一年の夏、突然、母親から、母親の友人一家との同居を決めたことを告げられた美琴。引っ越し先の一軒家に、あとから来た一家を見ると、なんとそこには、隣のクラスの野々花の姿が。実は美琴は野々花が苦手で、困惑する。野々花の方も、素っ気ない。
同居を強いられた二匹の見知らぬ猫のように、距離を取り合っていた二人が、次第にその距離を縮めていく様がかわいい。野々花の祖母と母、美琴の母と祖母とも馴染んでいく。家族のかたちには様々なものがあるし、「家族とは何か」を考えるよりも、運命共同体となる方が、ずっと力強い。そんなことを感じた。
物語の後半、それまで疑問であったことが、すとんすとんと腑におちていった。冒頭からのテンポの良い話の運びも相まって、するすると読めた一冊だった。
確かにこれはみかんだ、と思った。
作品の中に、ほんのりとあたたかいみかん色の空気が漂っている。
突然いっしょに暮らし始めることになった二つの家族のお話だ。
おそるおそる近づいてはちょっとぶつかり、また近づいてははなれる。
そうやって作り上げていく家族の姿は、うらやましいくらい暖かい。
家族一人ひとりがどこかで見たかことがあるような、ないような・・・。
近くにいるような、いないような・・・。
それにしても、女6人は強い。
少々のことでは負けないだろう。
憧れを感じつつエール送りたいを気持ちになった。
家族ってなんだろう。血縁関係のある者同士が一緒にいても、いがみ合ったり会話もないほどこじれたりする。時には憎しみ合う。
仲良しの友だちと家族になりたいと思うこともあるが、それも上手く生活していくことが出来るとは限らない。
この物語では、主人公が母親の友人家族と同居することになる。同居した家族の中には隣のクラスのちょっと「変わり者」の女子もいて、当初の生活ぶりはぎこちない。しかし、祖母との関わりを軸に家族が徐々に結束していく様が、あたたかなホームドラマを見ているかのようにテンポ良く描かれていて心地よかった。中学1年の娘たちが、襖1枚隔てた隣室で徐々に心の距離を縮めていく描写が特によい。
こんな風に、個性あふれる人達が家族になっていく過程で、お互いへの敬意や愛情が生まれたら本当に素敵。子供達もしなやかに逞しく育つことだろう。いろんな形の家族があるのは良いこと。むしろ現代にはこうしたステップファミリーが必要かもしれないと思わされた。
子供にも大人にも、年代問わずおすすめできる1冊。
小学生の美琴は母が同級生だという女性の家族と同居することに。
美琴の母と祖母、美琴の同級生とその母と祖母の六人でみかんファミリーを結成することに。
突然同居を決めた母の思いとは。
みかんファミリーとは何なのか。
身近な人を大切にしようと思える一冊。
椰月美智子さんの小説を読むたび、風景が頭の中にフッと浮かんでくる感じがする。
色鮮やかに想像できるというか、光を感じるというか…
この作品も例にもれず。
さて、みかんファミリー。
シングルマザーの母とおばあちゃんと同居している中学生の女の子が、再会したばかりの母の友だちとその家族との女ばかりの6人暮らしを始める。母の友達の家族には変わり者とされる隣のクラスの子がいて…という物語。
2つの家族が少しずついい具合にバランスがとれていく様子が愛おしく思えた。
欠けている部分を人生経験だったり、得意分野を生かしたりで上手に補いあっていく感じ。
最初はただの同居人(同居する別の家族)だったのが支え合う疑似家族になっていく様子が描かれる。
同居するには実は大人が隠している理由があって…
みかんファミリー、なるほど。
切なくも心温まる優しい家族の物語だった。
大人にもYA世代にもおすすめできる1冊。
児童文学を多く書かれる椰月美智子さん、本作も中学生が主人公のYA。
おばあちゃんとお母さんと私の3人で暮らしていた中1の美琴。
ある日、突然、お母さんが再開した同級生と一緒に住むと言い出すところから物語が始まります。
お母さんの同級生・朱美の家族は娘と孫、小さな孫との暮らしを予想していたら、洗われたのは同級生だった。
それも変わり者で有名な隣のクラスの野々花だったとは・・・
美琴の戸惑いをよそに他の5人は異論もなく、6人の女たちだけの暮らしが始まる。
シングルマザー同士の新しいファミリーの形、無理がなく、自然な暮らしっぷりがよい。
しかし、そんななか、美琴のお母さんが体調不良になり、まさか余命半年!?
新しい家族を作ることで美琴の居場所を作ろうとしていた母の想いが切ないです。
家庭菜園を通じて美琴と野々花の距離が縮まったり、おばあちゃんの友人とのエピソードなど、おばあちゃんの描写がとても良かったです。
そんな大好きな祖母の突然の死、母の病状回復など伏線の回収も心地よく、よい作品でした。
みかんですが、夏休みの一冊に小中学生に読んでほしいと感じる一冊でした。
うまいなあとしきりに感嘆しながら読みました。タイトル自体にあんな含みがあるなんて、やられたなあ。この作家さんの独特の家族観はやっぱり秀逸。ただ、時には、誰も死なない、逸脱しないふつうの家族のお話も読みたいような気もしました。やっぱり、こんな家族ものになると、男子は消化できなくて省かれてしまいますよね。
シングルマザー2組の古民家での共同生活という設定に惹きこまれて、ぐいぐい読みました。
美琴と野乃花の距離が縮まっていく様子も好ましかったです。
美琴のおばあちゃんのおおらかさが自分の母親と重なり、なつかしく思い出しました。
ほかの方が書かれているように、みかんファミリーの意味が最後の方でわかり、ナイス!と思いましたです。
これからの時代、こういう家族があってもいいなと思わせる内容でした。
面白かったです!
新たな日常。「同級生と同居」という特別な展開がおもしろくてページをめくる手が止まりませんでした。
古民家での暮らしは、映画「となりのトトロ」の風景をイメージしてワクワクしました。
同級生の美琴と野々花が、距離を縮めていく嬉し恥ずかしな感じもとても良かった。
まるで修学旅行みたいで、読んでいて楽しくなってきました。
元々二つの家族だったのに、その関わりかたは無理なく自然で、和やかですごくリラックスした気分になる。
そしてまた、大人も子供もみんなでワイワイ美味しいものを食べながら楽しく過ごす様子も目に浮かぶ。
血の繋がりはなくても、だんだん「家族」になっていく。
いいなぁ。
楽しくて人の温もりがあって、元気が湧いてくる家族小説。
面白くてほぼ一気読みでした。
後半の展開に泣いてしまいました。でも登場人物がみんな思いやりがあってやさしい気持ちになって助けられました。
未来はどうなるかわからない。いつもあたりまえだと思っている家族との日常を大切にしたいと思いました。
予想以上によい作品でした。
タイトルの意味も希望があり、とっても良かったです。子供たちにも分かりやすいし、明るい未来が想像できる終わり方でした。
色々な家族の形に、こんな形の人も含まれている。この集まりで家族になっていく過程は、新鮮で愛おしい。今の時代にあった作品でした。
いろんな家族のかたち。支えあったり、助け合ったり。それぞれバラバラだった登場人物達が、起こす行動や言葉にだんだん惹かれていきました。
奇跡を信じる事、他人を信じる事、自分だけでなく相手も同じってなかなか感じる事ないけど、一緒に笑って、泣いて、子供の気持ちになったり、親の気持ちになったりそれぞれの感情が汲み取れた。
人間関係って難しい、と悩むことが多いいけど、ヒントがたくさんもらえた気がする。
みかん私も3個までなんで、羨ましい。
畑も耕すから虫いても怖くないよ。
家族をテーマにした物語を読む時、つい自分の家族を投影してしまいます。突然同居する事になった二つの家族は6人とも違った性格で、特に朱美さんの一家はなかなか個性的。それぞれにどこか我が家の面々の一部を見るようで愉快でした。
中学1年生の美琴と野々花が素直な気持ちで相手を思いやる心を育てていく様が、なんとも愛おしくなります。
子供たちに読んでほしい心温まるお話だと思います。
変わり者の同級生・野々花の家族と一緒に暮らすことになった美琴。微妙な距離感だった2つの家族が、だんだん「家族」になっていく様子が微笑ましかった。
「みかんファミリー」の意味、いいなあ。どんな家族も、各々のベストな形を探して、一緒に築いていく途中だと考えたら、同居人の気に食わないところも許せる気がする。
物語が進むにつれて、子どもたちに隠されていた事実が明らかになってきて、心を痛めるシーンもあるけれど、きっとこの家族はこれからも一緒に幸せな生活を築いていけるんだろうと希望を持てるお話だった。
「家族」って何だろう。血が繋がっていれば「家族」というのが今までの考え方、でも最近では「多様性」をテーマに描かれた児童書も多く、その中に「家族もの」も多く存在する。血縁関係がなくても、一緒に暮らしていれば「家族」のようになれるのではないか、それが完璧なものでなくても「家族」のようになっていくのではないかーそんな希望をこの物語から感じた。中学1年生の美琴は、小学1年生の時に両親が離婚してからは、母と祖母の三人暮らし。工務店でインテリアコーディネーターとして働くお母さんと、家をきれいにするのが得意で80才までバリバリ仕事をしていたおばあちゃんとの暮らしは美琴には全く不満のないものだった。それが突然、お母さんから「重大発表があるの」と真面目な顔で言われ、あっと言う間にお母さんの中学の同級生で友だちの朱美さん、その娘でまだ32才の優菜、そして優菜の娘で美琴の同級生、野々花と古民家で一緒に暮らすことになってしまった。最初は食事も別々、役割分担式で始まった女6人の共同生活が、それぞれに心を通わせ「家族」のようになっていく過程はなんだか羨ましくも感じた。血縁関係がある、というだけで「家族」という枠に入り、相手を気遣わず、結果、家族であって家族でなくなってしまう家庭も多いのではないだろうか。この作品は「家族」とは決して完璧なものではないこと、そして共同生活を通して作っていくもの、という新たな考えを教えてくれた。
いきなりの古民家ぐらし?
しかもよくわからない人たちと一緒に?
子どもの事情などおかまいなしに
みえた大人たちの決断の裏には、
底抜けの気遣いがあふれていました。
主人公は母子家庭の中学一年生です。
二家族の共同生活という急展開に
戸惑う彼女の前に現れたのは、
絶対に関わり合いたくない学校の問題児。
女だらけ、トラブルだらけの
非日常な日常の先に見えてきたのは、
最初のイメージとは違った
それぞれの意外な一面でした。
血のつながりを超えた優しさに
癒される作品ですね。
感情を出さない少女がほんのり気持ちを
表わす場面に頬が緩み、激する場面には
手放しで揺さぶられました。
沁みすぎる!
とくに心の壁と部屋の仕切りが
いっしょに取っ払われる場面。
そして、お互いがいてくれてよかったと
思い合える瞬間。
これには本当にやられた!
なんってあったかいんだろう・・・
主人公と最悪の同居人の関係は
どのように移り変わってゆくのか?
突然はじまった共同生活の
本当の理由とは何なのか?
ぜひ、楽しみにしていてください。
(対象年齢は12歳以上かな?)
みかんファミリー。まさかそんな意味があったとは。
まるであたたかいお湯にゆっくり浸かっているような、やさしいお話です。普通の家族ってなんだろう、幸せってなんだろう、と考えさせられました。
この物語は男の人はほとんど出てこなくて、女だからこそ分かる、女の世界が描かれています。母と娘だから反発したり、一緒に住んでいても血のつながりがないからむしろ信頼関係が築けたり。人との縁は面白い。いざというときは結託して、背中を預けられる関係っていいよな、と思いました。
以前、日々を追われるように過ごしていたときは児童文学を読む時間など全くなかったが、ここのところ歳をとって仕事のペースもかなり緩くなってきたので、時間ができるようになった。そんなわけで児童文学にも目を通すことがある。
児童文学といっても、子供用とバカにはできない。けっこうきちんとした文学だったり、エンタテインメントだったりする。侮ってはいけない大切なジャンルなのだ。しかも次の時代を担う子供たちを育て、読書習慣へと導いてくれる。
中学一年生の主人公は、お母さん、おばあさんとの3人生活をしている。お母さんはある日、家から離れたスーパーで中学時代の友達と偶然に出会う。その友達は、娘、孫娘との3人家族。
そしてこの2家族がなぜか古民家で共同生活をすることになる。
これって意外にいいかもしれない。
本郷では、学生と独居老人が一緒に生活するという試みをしている。老人宅に学生が下宿することで、年寄りは生活にハリが出て、学生は学びを得られる。そしてセキュリティ的にもいいということでなかなか好評のようだ。もちろん、世代と価値観と生活の違う二人が一緒に生活するのだからぶつかりやトラブルもあるかもしれない。しかしそれを超えるほどのプラスがあるということなのだ。
ちょっと時代を先取りしたかのような児童小説。そして大人が読んでも納得で楽しめる。
突然、自分にとっては関係ない人と一緒に暮らすなんて、
自分事だったらごめんだなとも思いながらも、
この2家族の同居はなかなかに素敵で、これもありかも?と思わされました。
同級生のおばあちゃんが自分の母の同級生とか、ドッキリしちゃいますが。
血縁だけではない、ゆるやかな家族のかたちがもっと当たり前になって、
核家族、という分断された人間関係の中だけで暮らさなくて済む、
そんな人たちが増えるともっと生きやすい人も増えるのではないかと期待します。
みかんの印象的な表紙と「みかんファミリー」ってどういうことだか知りたくて読み始めました。
終盤で、なるほどそれでみかんファミリーか!と納得。
大人たちの都合で突然他人の家族と暮らし始めるなんて言われたら戸惑うのは当然。でも、徐々に受け入れ、家族っぽくなっていく様子に心が温まります。
多様性を重んじる今の時代、家族の形も色々あってもおかしくないと教えてくれる作品でした。
突然母に引っ越しを伝えられた、中1の美琴。しかも友人一家とともに住むと言われ、その一家には学年でも変人で有名な野々花がいて…。子どもたちは多感な年齢の美琴の視点を通して自分の生活と共有しながら、様々な人生観を知ることができそうだと感じました。
母親が同級生というだけで古民家を購入する?女三人の家族が二組で六人が一緒に住むことになる。初顔あわせの初日、驚くことに中一むすめはなんと同じ中学の同級生だった。お互いに印象は最悪。それぞれが悩みを抱えている。この同居生活だいじょうぶなのか?前から感じていたが著者は一気に読ませる力がある。設定もそうだがあたたかい血が流れている。また最高の時間を過ごせた。タイトルの意味はそういうことだったのですね。
椰月美智子さん初読みの作品でしたが、宮島未奈さんの「成瀬は天下を取りに行く」の書風を彷彿させ、とても読みやすく、面白かったです。ミカンファミリーの意味が最後で腑に落ちました。すべての登場人物のキャラクターが際立っていて、ぜひ、その後のミカンファミリーの変遷を読みたいです。
椰月さんの作品は、
いつもちょっと面白い角度の設定で、
そして、そこに問題提起があったりするのですが…
本作は、それよりもほっこり感が
とても目立った気がしました。
女ばかり3人家族の2組が同居生活を始める事になります。
大沢家は、80歳のお婆ちゃんと、お母さんと、主人公の美琴(中1)
同居相手はお母さんの中学生時代の同級生と、その娘と、孫。
しかも、なんと、その孫が、美琴の同級生!
隣のクラスの変わり者で、初めは関わりたくない、
と、思っていた美琴。
共に暮らしていく中で、
だんだんと理解が深まり、
関係性が変化していきます。
女6人の生活なんて、最強じゃないですか?
楽しそう!
まして同級生との暮らしなんて、
気が合えば、そんな楽しい事はない。
問題は「気が合うか」
大人になっても、
様々な社会グループの中で、
距離感は、常に付きまとう問題。
「みかんファミリー」
タイトルに込められた意味を知った時、
これは大切な事だなって
感じました。
謙虚になれる。
優しくて、そしてそれぞれが自分のペースで生きているのに、無理がなくて自然で、
もしかしたら「新しい家族の形」が
本作の問題提起だったのかもしれないけれど、
あまりにも自然で、全然思考せずに読んでしまいました。
でも改めてよく考えたら、これは、日本が抱えている様々な問題のひとつの解決法かもしれないと感じます。
とても素敵な作品でした。
まさかのみかん違い。でも、そういう家族のカタチがあってもいいなと思う。いろんなことが認められるようになった今の社会。まだまだ不自由に思う人はたくさんいるだろうけれど、今までありえなかったことを声に出せる、出す人は確実に増えてきた。こうでなければならないと思っていた、もしくは当たり前だと思っていたことは変化してもいい。そこにふさわしいあり方があればいいと思う。
てっきり家族で農業を始める物語かと思ってましたが、本当の意味を知るとなるほどー!となりました。
親が再婚した相手の子どもがまさかの自分と同級生だった!とかは漫画でよくあるストーリーだけど、こちらは親の友達家族と同居することになって孫が同級生だったパターンの話。仲良くなっていく過程の描写がすごく良かったです。出てくる登場人物に嫌な人はいないのでノンストレスで読めます。
同居が急に決まるところは、いやもう絶対イヤでしょ!勘弁して〜と思うのに、少しずつ慣れてきて、馴染んできて、気づいた時にはもう仲良くなっている。なんて素敵なファミリーだろう。朱美さん優菜さん野々花の親子関係も独特だけど愛情があり、優しくて温かいおばあちゃん、悩みながら病身を抱えながらも抜群の行動力を見せるお母さん。美琴はみんなに支えられていくんだな。心が温まる物語だった。
中学生の主人公は母親と祖母との3人家族。母の友人である元ヤンの家族と同居するのに古民家を買ったと唐突に言い出す。多感な中学生にとって酷とも言える決定だ。読者である私は何となく嫌な胸騒ぎがする…。緊張しながらも少しずつ『家族』となっていく過程や、同居の理由など、安堵したり涙したりと感情が目まぐるしい読書となった。『多様性』が叫ばれる中、様々な家族の型の物語だったが、他人には分からない理由や想いがある事、物語の中での周囲の反応もとても良いと感じたし、私自身もそうでありたいと強く思う。子供達に是非読んで欲しい。
椰月美智子さんの作品で一番好きな作品になりました。中1の美琴の視点で、家族、友情を含め、自分が普通だと思っていたことが変化していくようすを鮮やかに描く。美琴の母の独断で、母の同級生の朱美さん一家三人と、古民家で突然の同居を始めることに。しかも、朱美さんの孫の野々花は美琴と同学年の変わり者。うんざりしながら始めた女ばかりの六人暮らし。何事もやってみなければわからないとはこのこと。人と人は歩み寄り、理解しあうことで、新たなものが開けていくのだ。タイトルの意味がわかった時には胸がじんとしました。思い合う心、伝え合う気持ち。家族は自分たちが作っていけばいいというまっすぐな気持ちが響きました。
こんな家族のかたちがあってもいいなぁ...
悩みや不安を抱えるシングルマザー同士であり、昔の思い出を共有する同級生でもある響子さんと朱美さん。
突然の同居に、中学の同級生でもある響子さんの娘美琴と朱美さんの孫野々花はお互い距離を置こうとする。
でも、暮らしていればお互いの知らなかった面が見えていき、クッション役の同級生の存在もあって段々と距離は縮まっていく。
生きていればいろんなことがある。
若いうちは体力と気力で突っ走れても、50を超えるとそうもいかないし、先のことを相談する相手も欲しくなる。
こんな風にうまくいくことばかりではないだろうが、希望をもらえる小説だった。
久しぶりに椰月美智子さんの小説を読めて、心がほっこりした。
完璧な家族じゃなくたっていいんじゃない?
シェアハウスがだいぶん浸透してきた近年、思いがけずに母親同士が意気投合、同級生と同じ家で暮らすことになっちゃった。美琴と野々花、タイプが全く違う二人、最初はよそよそしく接していたけれど、少しずつお互いを理解し合っていく。人と違うということを認め合って受け入れること。困った時に助け合うこと。世界中でこんな当たり前のことができれば、争い事なんて起きないのかもしれない。
年齢は違うが祖母、母、娘の2つの家族が共同生活を始める。その理由は…。中1の美琴は同級生の野々花と暮らすことに抵抗を感じるが、少しずつ距離が縮まり新しい家族を受け入れていく。椰月さんらしさ全開で中学生の揺れ動く感情や不安を丁寧に描く。突然襲う悲しみも1人ではないから乗り越えられる。みかんが好きなだけでなく、未完な家族のハートウォーミングな物語。