電子仕掛けのラビリンス
石川 宏千花
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刊行日 2024/03/19 | 掲載終了日 2024/03/13
ハッシュタグ:#電子仕掛けのラビリンス #NetGalleyJP
内容紹介
今、中学生のあいだで、SNSの無料アプリHOOPが大人気だ。夏子の大親友ユキナも登録した。一緒にやろうと誘われたが、読書が好きな夏子は、SNSに乗り気になれない。ユキナはしだいにHOOPにハマっていく。最近、学校を休みがちなのは、ある写真サイトの管理人と、朝までHOOPしているのが原因らしい。「なぜ、やめられないの?」不安な気持ちが広がっていく夏子は、親友を救い出そうと、自分もその写真サイトにコンタクトする。SNSに依存するユキナと、親友を救い出そうとする夏子。その結末は、衝撃のエリアにつながる!?
おすすめコメント
「もう、ここから抜け出せないよ!」という叫び声がリアルに聞こえてきます。SNSの迷宮に囚われた、ある中学生の物語。そして、どこかで同じことが始まる・・・そんな警告の物語です。
「もう、ここから抜け出せないよ!」という叫び声がリアルに聞こえてきます。SNSの迷宮に囚われた、ある中学生の物語。そして、どこかで同じことが始まる・・・そんな警告の物語です。
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784652206058 |
本体価格 | ¥1,400 (JPY) |
ページ数 | 178 |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
「SNS依存 中学生」で検索したら、昨年7月、東京・世田谷区の調査で中学生の5人にひとりが「ネット依存の傾向にある」という結果が目に入ってきました。川島隆太教授が、できれば20歳を過ぎるまでスマートフォンは使わない方がいいと話していらっしゃったのを思い出します。現代の小中高生は、手のひらサイズであっという間に世界とつながってしまう。その使い方次第で、敵にも味方にもなる。ネット環境が世の中に出始めた頃は、パソコンを立ち上げるのにも、インターネットにつなげるにも、検索結果が表示されるのも今より時間がかかっていました。待たなくていいことは便利だけど、ハイブリット車がわざと走行音を立てるように、一呼吸置くということも必要なのかもしれません。ユキナをSNSにうまく取り込み、依存させ、自分の意思を捨てさせようとする手口の、その何気なさを恐ろしく感じたり、夏子が自分を危険にさらしてもユキナを救おうとする姿にはらはらしたり、結末の意外さに驚いたり、対象である中学生を引き付ける内容なのはもちろん、大人である自分たちも警戒心を持たなくてはと改めて思わされました。
先が気になりぐいぐい読めました。
身近に起きそうな危うい状況にハラハラしつつ、途中から意外な(多少は想像していましたが)展開になり、「え、そっちなんだ」と少し引いて読んだのが正直なところです。それでも考えさせられる内容で、スマホ依存、とりわけ人との距離感をつかみかねている若い人たちに読んでもらえたらと思います。
もしも大切な友人がこんなことになったら……?
読んでいる間ずっと、こんな質問をぶつけられているような気がしました。
主人公は自分の考えをしっかり持っている中学生・夏子。一方、夏子の親友・ユキナは楽しみを誰かと分かち合うことが大好きで、流行のSNSにはまっている。夏子も利用を勧められるが、自分の時間を持ちたい夏子は断り続けている。
そんなある日、ユキナがSNSで知り合った大学生と会ったことを知らされる。心配する夏子に笑って「大丈夫」と言うユキナだが、次第に生活にも影響が出始めて……。
夏子がユキナをどのように取り戻すのか知りたくて一気に読みました。事件の奥にあった真相は恐ろしかったのですが、少し呆気なく終わってしまった印象です。でも、表向きの事件はリアルでほんとうにぞっとしました。同年代の読者には他人事ではない物語だと思います。
SNSをやりすぎるとよくない、という事は子どもたちもわかってはいるのだろうけれど、なかなか深刻に受け止めてもらうのは難しい。でもこの本を読んでくれたらその怖さが体感として伝わるのでは。後半のSF的展開も面白くて、最後までドキドキしながら読みました。
スマホアプリが敵になる!
そんなSNS依存の怖さを描いた作品です。
主人公はサバサバした中学三年生。
SNSにハマった親友がよからぬ方向に
進むのを見過ごせなくなった彼女が、
体を張って憎い相手への接触を図ります。
面白かった~。
容易に解決に向かわず
何が信じられるか判らなくなっていく
ストーリー展開に惹かれましたよ。
そして中盤の仕掛けにはビックリ。
そうきたかーー!
謎めいた少年は敵か?味方か?
友だちはどこまでも堕ちていくのか?
主人公の身にも迫る危機とは?
サラッと読める作品の中に
これらキャッチーな要素が盛り込まれ
しかもスマホ依存の怖さがズシン。
これは戒めの意味も含めて
子どもたちに読まれて欲しい作品ですね。
(対象年齢は10歳以上かな?)
子ども達にとって、SNSなどが普通になった今、単に規制したりするよりも、ネットリテラシーを身につけさせる方が大事だと思う。
そのような観点から、YA小説の本書は、SNSの中毒性、依存性、個人情報の大切さ、更に不適切な意図を持つ人の存在などを、物語の中にうまく取り込んでいると思う。
そして、意味深な各章をはじめとして、手に汗握るミステリアスな展開で読み手を惹きつけていく。更に友情や淡い恋心などをうまく入れて、共感を呼んでいる。そして後半は現実から離れた展開になっていくのも、必要以上に深刻なストーリーになっていくのをうまくさけているだろう。ページ数も気軽に読むにはちょうどいいだろう。
このようにして、楽しみながらもリテラシーの必要性を感じさせていく方法は、今後の方向性としては非常によいものではないかと思った。
なるほどなるほどと、作者の伝えたいことがガツンと伝わってくる物語でした。
SNSの危険性、脆弱性を、ある設定をもとに物語を作り上げる作者の力量にはさすがとしかいえません。
ただ主人公の外国系の設定が生きていなかったことがちょっと残念でした。親や学校を巻き込むことでさらにリアルな広がりが出てきたかも。海外の状況も織り込んでも。
それにしても、やっぱりこわいですねえSNSの闇。ぞくりとしました。
たくさんの子どもたちに読んでもらいたいですね。
読ませていただきありがとうございました。
SNS依存、ネット依存に警笛を鳴らしながら、重くなり過ぎないストーリーで、さらっと読めた。
序盤、淡々と出来事を書いてあるだけなのに、なんだかじわじわと恐怖を感じた。
途中からSFの要素が出てくるのは、好きな人と嫌いな人に別れるかなあ、と思う。
若年層のSNSトラブルが事件に発展しニュースで知る…というのは、もはや物語の中だけではなくなっている。けど、自分だけは大丈夫という根拠のない自信がある子が多数派な気がする。作中のユキナも相手を疑おうとはせずどんどん泥沼に引き込まれていく。なんとか引き返せたけど、現実はどうなんだろう…。作品を通して、距離感を間違えずに付き合っていくきっかけになってくれるのも期待できそう。
夏子を助ける謎の少年が敵なのか味方なのか分からなくて心臓はばくばく、ラストの展開には『そうくるのかっ!』と。
ヒト対ヒトだから倫理的にも道理的にも“ない”と感じた扱いだけど、それが別の種族には普通に行われている現実を考えるとうっすらと寒気がする。モノを考える自由と自分で判断する難しさを痛感した。
スマホやアプリでのやりとりに夢中になってしまう依存症。出会い系アプリの恐ろしさ。石川先生はSFという形で思春期の中学生に向けてSNSトラブルに警鐘を鳴らす。一見好印象の相手でも、よく知らない相手が本当に安全な相手かどうかなんてわからない。自分は大丈夫、というなんの根拠もない自信は危ないんだ。謎の男性は何者なのか?何が目的なのか?親友ユキナのため夏子が奮闘する友情の物語。想いが伝わらなくて傷つき、周りが見えなくなってもがく彼女たちのすれ違いが切なくてほろ苦い。
LINEを思わせるようなツールに依存していく怖さが、今の子たちに伝わりやすい文体で書かれている。
開かれていない閉じたところで、毎日何時間も文字での会話をしていたら、その人からの共感や承認なしでは、いられなくなってしまうだろうことが伝わってくる。ただ、ニルとの会話が全く描かれていないので、そこまで惹き付けられるという実感に乏しいきらいはある。
SF要素のある非現実的な設定はあるけれど、ユキナがSNSに依存していく様子はリアルで、恐ろしさが伝わってくる。
スマホが手放せなくなり、生活にも支障が出る。いつ連絡が来ても返事ができるように、部屋に篭りきりになって、学校に行けなくなる。
そんな友人を救うために、夏子は奮闘する。
特別な能力もない、普通の女子高生だけど、友を想う気持ちは強い。
そんな二人の姿を見ていると、胸が熱くなる、
一気読みでした!
SF気味ではあるものの、高校生がアプリを通じて、夢中になり過ぎて「学校に行けない」「起きられない」「手放せない」ほど依存になる様子がリアル。実際に昼夜逆転してしまう人もいるだろうし、それを「もう一つの別の世界」として扱っていた。「自分は大丈夫」と思っていても、いつ当事者になるかは分からない。だからラビリンス。
これは、自分の隣の物語です。SNS依存に陥っていく友だちをどう救っていくか。相手は一筋縄ではいかない大人のようで…。
誰にでも起こり得る身近な問題。適切な距離やペースを見極めないと恐ろしいことになるという警鐘を鳴らしています。
テンポ良く話が進み、あっという間に引き込まれ、気づけば一気読みしてしまいました。