ソリアを森へ
マレーグマを救ったチャーンの物語
チャン・グエン/ 作 ジート・ズーン /絵 杉⽥七重 /訳
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刊行日 2024/01/22 | 掲載終了日 2024/01/31
ハッシュタグ:#ソリアを森へ #NetGalleyJP
内容紹介
ベトナムの自然保護活動家チャン・グエンの若き日の活動に基づく自伝的グラフィックノベルです。幼い頃、虐待されているクマを目撃したチャーンは、野生動物を守る仕事に就くことを決意。目標に向けた日々の努力が実り、保護活動センターのボランティアに採用されます。ある日、生後二週間で親を奪われたマレーグマの女の子ソリアがセンターにやってきました。ソリアを育て、森に帰すまでの日々と、ベトナムの雄大な自然を鮮やかに描いた感動作です。
出版社からの備考・コメント
ベトナムの自然保護活動家、環境活動家、作家であり、アフリカやアジアで横行する違法な野生動物の取引と闘っていることでも知られている。イギリスのケント大学で生物多様性を学んで博士号を取得し、アジアの伝統医療に野生動物の体の一部を使用することが、アフリカの野生動物にどう影響するか研究している。2018年にはドキュメンタリー映画『Stroop:Journey into the Rhino Horn War( ストループ:サイの角戦争に潜入する旅)』にジェーン・グドールとともに出演。2019年には、2019年版「BBCが選ぶ100人の女性」のひとりに選ばれ、2020年には、フォーブスが選ぶ、その年に目覚ましい活躍をした「『世界を変える30歳未満』30人」のひとりに選ばれた。また2022年には、社会に大きな変化を起こすべく、果敢にチャレンジした世界の若者に与えられる「ジローナ財団国際賞」のプリンセスに輝く。チャンは、非営利組織WildActの創設者であり、常任理事。WildActは違法な野生動物取引が行われている現場を監視し、ベトナムの若者たちに野生動物保護の教育プログラムを提供している。チャンはまた、国際自然保護連合(IUCN)の種の保存委員会(SSC)のクマ専門家グループのメンバーであり、自然のなかで生きる世界中のクマたちの保護に力を尽くしている。本書はチャンが初めて書いた児童書。
ジート・ズーン
コミック・アーティスト兼イラストレーターのグエン・ティエン・ズーン(ペンネームはジート・ズーン)は、1988年にベトナムのダナンで生まれ、ハノイで育つ。主にクリエイティブな分野で活動し、幼児から大人までを対象とした本の文章と絵を手がける。作品は、マンガやコミック(言葉のあるもの、ないもの)、グラフィックノベル、絵本などさまざまで、冒険や自然観察、民俗芸術、スポーツ、子ども、野生生物に材をとることが多い。描写スタイルもまた多様で、写実的なものから始まって、アニメ、マンガ、ベトナムと日本の伝統美術を融合したスタイルなど、内容に合わせて技法を変える。お気に入りの画材は、水彩画用紙、和紙、ベトナムで昔からつくられる手すきの紙、キャンバス、マンガ用ペン、筆、インク、水彩絵の具、ガッシュ用絵の具、アクリル絵の具、アクリルガッシュ用絵の具。自然保護活動家のチャン・グエンと共著で、本書と、本書の続編であるSaving H'non :Chang and the Elephantの2冊のグラフィックノベルを出版し、大成功を収めた。本書で2023年のカーネギー賞画家賞を受賞。
杉田七重
東京生まれ。東京学芸大学教育学部卒業。小学校での教師経験ののち、翻訳家として、児童書、YA文学、一般書などフィクションを中心に幅広く活動。主な訳書に、『海を見た日』『ぼくの帰る場所』『青空のかけら(いずれも鈴木出版)、『ガリバーのむすこ』(小学館)、『ロザリーのひみつ指令』(あかね書房)など多数。グラフィックノベルの翻訳は、本書が初めて。
おすすめコメント
この作品の画家、ジート・ズーンは、その圧倒的な画力が評価されて、イギリスの児童書最高峰の賞、カーネギー賞画家賞(旧ケイト・グリーナウェイ賞)に輝きました。
2023年6月21日、カーネギー賞発表セレモニーが、ネットで生中継されました。『ソリアを森へ』の原書Saving Soryaがノミネートされていたので、編集担当はドキドキしながらスマホで視聴していました。ところが、作品紹介など前説がとても長く、ちょっと飽きてしまってスマホをいったん置きました。そして、次にスマホを取り上げたとき、Saving Soryaの画家ジート・ズーンが受賞インタビューを受けているのを目撃したのです! なんと発表の瞬間を見逃してしまいました! しょんぼりでしたが、受賞は大変嬉しく、翻訳の杉田さんと喜びを分かち合いました。
ベトナム人の若い画家が、グラフィックノベルで受賞という快挙に、世界が湧きました。2024年1月、ようやく日本の読者にお届けすることができます。見事な自然描写と可愛いソリアをご堪能ください。そして作者からの力強いメッセージを受けとめてください。
販促プラン
2024年1月17日 毎日新聞カラーサンヤツ 出稿します
2024年1月22日 朝日新聞カラーサンヤツ 出稿します
2024年1月17日 毎日新聞カラーサンヤツ 出稿します
2024年1月22日 朝日新聞カラーサンヤツ 出稿します
出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784790254409 |
本体価格 | ¥1,700 (JPY) |
ページ数 | 119 |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
今の時代、特に今年なんかは熊が人里に降りてきて獣害が多いらしい。
熊を殺さないでほしいという嘆願と、被害にあっている人の対立もある。
主人公のチャンの搾取されて痛めつけられる動物を見たことで、
自分の生き方を8歳で強靭なものを決められる人生はとても強く憧れる
搾取する際に敬意があったり、上下関係がなく互恵関係だったりすれば、
チャンもこんなに強く自然保護への道を考えることもなかっただろうか。
人の事情とクマの事情。常に人の事情のほうが優先されがちな世の中。
自分が生きてきて、その自分のいのちの使い方を、自然保護に費やすんだと決めた、
チャンの相手に対する思いやりが、悲運から心底救いたい人の手助けになりますように。
鈴木出版の本なので期待して読んだ。動植物の生態、森林環境保護、職業選択、伝記など、様々な視点から読める本で、いろいろな子に広く勧められる。
カーネギー画家賞を受賞した作品だけあり、森の風景や動植物がそれは美しく描かれている。カラーイラストで描かれたコミック本なので、本を読み慣れていない子も手にとりやすい本だが、大人の目も楽しませてくれる良書である。
鈴木出版初のグラフィックノベルということで楽しみに読みました。
まず絵が美しい! マレーグマの女の子ソリアがかわいい!
絵と文章のバランスがよく、語りすぎない文章で、ソリアを野生にもどす過程が描かれています。お子さんから大人までたくさんの方に読まれるといいなと思います。
自然環境や生物、更にそこでの人々の暮らしが説得力のある絵で迫ってくる。特にヒル対策は、野外調査の時に自分でも苦労するので頷いてしまった。
8歳の少女チャーンの決意に対する偏見は日本にも未だ根強い。だからこそ、それを貫くチャーンの努力に敬意を評した。そして念願の「野生動物保護センター」や「フリー・ザ・ベアーズ」のクマ救助センターでのボランティア。そこにさりげなく書かれた文の一つひとつの意味はとても深かった。特に、「クマは一度人間につかまると自然には戻れない」というくだりには、心が痛んだ。
それだけに、マレーグマの子供ソリアを野生に返そうというチャーンの頑張り。ソリアが暮らせる森を探す過程は、人による環境破壊や密猟の実態を読者に伝えるものだった。
そしてとうとうソリアの訓練開始。そこで描かれる自然や動物達の緻密さに目を奪われ続けた。
そして、チャーンとソリアの別れ。ソリアは自分の生きる道を見出し、チャーンはそれを認める。そう、どんなに感情的な結びつきを感じても、野生に戻す瞬間の判断は冷静にくださなくてはならない。その厳しさをチャーンは身をもって感じただろう。
そして、チャーンは新たに歩み始める。でも、その心の中には、ずっとずっとソリアがいるのだろう。
このグラフィックノベルを単なる物語と読み、見るだけで終わりにしてほしくないと思った。この中には、自然への向き合い方、自然の中でも生きるもの達の様々な姿、そして、信念を持って活動する人々の姿が語られ、描かれているのだから。
グラフィックノベル、普段はあまりなじみのないジャンルですが、ジート・ズーンのかわいらしくもあるのに、ベトナムの大自然の猛々しさを余すところなく描いたイラストは息を呑む場面がいくつもありました。
若き自然保護活動家、チャーンの情熱の熱さに胸を打たれながら、これは彼女が今しなくてはならない喫緊の課題なんだなと感じました。
自然を守る、そこに生きる動物たちを守ると言っても並大抵の苦労ではありません。チャーンが絶対にやるんだ‼︎と努力を続けたこと、その意志の強さに感じ入りました。
マレーグマの女の子、ソリアを育てるうちに芽生える愛情を、断ち切る決意を秘めながら野生に返す日を探るチャーン。
人間と自然界の生き物との共存がどういう形で行われるのがいいのか。学ぶべきところの多い物語です。