名なしのこねこ
とりごえまり
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刊行日 2023/10/24 | 掲載終了日 2023/10/24
ハッシュタグ:#名なしのこねこ #NetGalleyJP
内容紹介
公園の子猫は、片目が目やにでふさがり、鼻の穴に鼻水がかたまって苦しそうに呼吸していました。わたしは心配でたまりません。
公園の子猫は、片目が目やにでふさがり、鼻の穴に鼻水がかたまって苦しそうに呼吸していました。わたしは心配でたまりません。
おすすめコメント
家に猫が来た時のことを扱っている本は、その後多く出版されていますが、とりごえさんの本では、拾った猫を家にひきとるまでの葛藤、家にすでにいた猫たちとの相性の問題などが、臨場感のある文と可愛い絵で描かれていて、子どもたちの心に響く内容になっています。
家に猫が来た時のことを扱っている本は、その後多く出版されていますが、とりごえさんの本では、拾った猫を家にひきとるまでの葛藤、家にすでにいた猫たちとの相性の問題などが、臨場感のある文と可愛い絵で描かれていて、子どもたちの心に響く内容になっています。
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784752010760 |
本体価格 | ¥1,500 (JPY) |
ページ数 | 64 |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
子どもむけのお話で、主人公が大人なので意外に思ったものの、作者のとりごえまりさんが実際にこねこを保護した際の経験だったのですね。
こねこを保護したあとについて、子どもに伝えるのにとてもよい作品だと思いました。
とりごえさんが描かれる愛らしいねこたちの絵がたっぷりですし、ちいさな命を預かる大切さについて子どもたちが考えるいい機会になると思います。
ある日公園でであった一匹の子猫。
冒頭の描写にまずどきりとさせられる。零時をまわった夜中だったから。夫婦の会話。出先で子猫をみかけたこと。見つけた人がパンと牛乳をやっていたこと。
二匹の猫を飼っているから、子猫にその措置はしてはいけない、大自然かな、といてもたってもいられなくなり、ひとけのない夜中の公園に向かう。猫はみつからなかった。
この冒頭の場面だけで、こねこをどれだけ心にかけているかが伝わってくる。まだ見ぬ子猫にもう出会っている描写だと感じた。
翌日からの、出会いと葛藤。感染症がないかなどの病院での検査や、体力回復までの世話、そして大きな関門の、うちですでに暮らす二匹の猫たちとの出会いと葛藤。
であいから家族になってゆく過程が臨場感をもって描かれる。
とりごえまりさんの実体験に基づくお話です。2006年版の絵本の再編集だそうですが、今だからこそ、意義ある内容になっていると思います。捨て猫は後を絶ちません。小さな命の危機に出会ってしまったら……。放って置けなかったとりごえさんの気持ちは痛いほどわかる。そして、連れてきてしまったからには最後までその子の生きる道を探すという覚悟。獣医さんに診せて、病気の確認、家に今いる猫たちとの相性を考えれば葛藤は当然ある。
とにかく、家に連れ帰ることができる状態まで回復させ、子猫のようす、先にいる子たちのようすをじっと観察する日々は気が休まらなかったでしょうね。
子猫に病気もなく、怖じけることもない性格もよかった。
先住猫とのほんの少しずつの躙り合いが、この猫たちの選んだなじみ方だったのでしょう。
ニヤと名付けられて、とりごえさんちの子になった子猫は生きる場所をやっと掴んだのです。
感動作ですが、それだけではなく、あとがきでとりごえさんが強く訴えていることこそ、受け取るべきメッセージでしょう。
猫への愛情が溢れています。
心が温まる以上に、こんなにも誰か、何かを大事に思うことのできる人がいるものかと、思いやりの気持ちを持つ大切さを考えさせられ熱くなりました。
今ペットを飼っている人も、これから飼おうかと考えている人も、ペットを迎え入れるとはこのように覚悟のいることだと再確認して欲しい。
可愛いからというだけで安易にペットを飼いたいなどと思わないよう、多くの人に読んでもらいたい。
そんな一冊でした。
いつしか、主人公の「わたし」が、読んでいる「わたし」になっていた。
我が家のねこも、今でこそうちの女王様のようにしているけれど、もともとは保護猫シェルターにいた。
ねこを飼おうと決めたときに、シェルターから引き取る以外の選択肢を思いつかなかったけれど、きっとうちの女王様も、どこかでこの本の「わたし」に救われたのだろう。(もちろん生まれてすぐに施設にあずけられたということも考えられるけれど)シェルターの人たちに、ケアしてもらって命をつないで、そして我が家にいる。
だから、この本の名なしちゃんへの応援は、やはり「じぶんごと」なのだ。
そして、この絵本を通じて、ねこや犬を飼っていなくても「こういうこと」が日常的に起こっていること、それによって命が救われていること。命に向き合うというのはどういうことなのか、を肌で感じてほしい。
けっして教訓的に読むべきだとかそういう意味ではない。どんな命も本来はそれ個体では生きられないものなのだということを、なんとなくでもよいから感じてほしい、と思う。
読後の温かい気持ちは、うけいれた先住猫たちへの感謝の気持ちでもある。