トモルの海

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刊行日 2023/12/08 | 掲載終了日 2023/12/08
フレーベル館 | フレーベル館文学の森

ハッシュタグ:#トモルの海 #NetGalleyJP


内容紹介

第4回フレーベル館ものがたり新人賞大賞受賞作

未知の可能性を秘めた 輝きをはなつ新人作家、デビュー!

野球に燃える小学5年生のトモルは、はじめてやってきたおばあちゃんの住むいなかで、

年上の少女・めぐるちゃんと出会う。

いばりんぼだけど、面倒見のいいめぐるちゃんと会うようになってから、

ふしぎな夢を見るようになったトモルの現実は、

だんだん、夢と溶けあっていく……。

第4回フレーベル館ものがたり新人賞大賞受賞作

未知の可能性を秘めた 輝きをはなつ新人作家、デビュー!

野球に燃える小学5年生のトモルは、はじめてやってきたおばあちゃんの住むいなかで、

年上の少女・めぐるちゃんと出会う。

いばりんぼだけど、面倒見のいいめぐるちゃんと会うようになってから、

ふしぎな夢を見るようになったトモルの現実は、

だんだん、夢と溶けあっていく……。


おすすめコメント

*選考委員の激励を受け、つむぎあげた意欲作!

《最終選考委員の選評(抜粋)》

「現実と幻想が入り混じった世界が展開され、個々の描写は、優れた感性と表現力を感じさせる」ーー山本省三氏

「設定もさることながら、この姉が非常に魅力的に描かれていることと、生き生きした二人のやりとりが作品を輝かせている。そうした独特の輝きこそ物語の質を決めるものだと思う」ーー高楼方子氏

「小学5年生が小学5年生の目で見ている世界の描写がきらきらしている」ーー石井睦美氏


※くわしい選評は「フレーベル館ものがたり新人賞」のサイトをごらんください。https://book.froebel-kan.co.jp/award

*選考委員の激励を受け、つむぎあげた意欲作!

《最終選考委員の選評(抜粋)》

「現実と幻想が入り混じった世界が展開され、個々の描写は、優れた感性と表現力を感じさせる」ーー山本省三氏

「設定もさることながら、この姉が非常に魅力的に描かれていることと、生き生きした二人のやりとりが作品を輝かせている。そうした独特の輝きこそ物語の質を決めるものだと思う」ーー高楼方子氏

「小学5年生が小学5年生の目で見ている世...


販促プラン

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出版情報

発行形態 ハードカバー
ISBN 9784577051894
本体価格 ¥1,400 (JPY)
ページ数 224

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NetGalley会員レビュー

生きているということは、
それだけで素晴らしいんだ。

そんなメッセージが直に伝わってきました。

主人公は野球好きの小学5年生。
祖母の暮らす町で、不思議な少女と出会った彼が、
夢と現実のはざまで、生涯忘れがたいような
とびきりの時間を過ごします。

大人たちの、何か大事なことを
隠すかのような違和感の残る言動や、
年上の少女にどこかついてまわる異質さへの
疑問が氷解していく終盤には、
完全に心を持っていかれました。

切なさが胸に迫る一方で、心にあかりを灯し、
明日への希望を感じさせてくれる一冊でもありますね。

これを読んだ子の胸には、命の尊さやありがたみが
しっかりと刻まれるのではないかと思います。

著者の祈りにも似た願い、
たくさんの親子に届いてほしいです。

(対象年齢は10歳半以上かな?)

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小学五年生の夏、トモルは生まれて初めておばあちゃんの住む田舎へ行き、そこで二週間を過ごすことになった。
公園で壁を相手にキャッチボールをしていると、地元の女の子、めぐるちゃんががやってきて、友だちになる。
それから、毎晩、めぐるちゃんがトモルの夢に出てくるようになった。

愛し合う家族の物語だった。
トモルとめぐるちゃんのやり取りが微笑ましく、切なかった。
トモルもめぐるも変わった名前だなと思っていたが、最後に、二人の名前の由来が明かされて、なるほどと思った。
夢と現実の境目が曖昧な描写がうまくて、トモルと不思議を共有できたように感じた。

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幻想的な始まり。「あの人」とは、誰?
山間の祖母の家で2人きりで過ごす、5年生の野球少年トモル。そこで出会ったのは、15歳の少女めぐる。
トモルの心の機微とそこから生まれる仕草が子供らしくて微笑ましく、時に見られるちょっと大人びたところにはっとしながら、読み進めた。
キーワードは、トモルが憧れる「海」。その幻想的なイメージがトモルを包み込む。神社の石段が、図書館が、水族館が、夜空の星が、縁日の人々が、海のイメージとなってトモルを包み込む。読みながら、トモルと共に泳ぐようにめぐり巡る。「想像や夢が、現実を追い抜く瞬間だってあるわ」と言った、めぐるの言葉のように。
そんな海に浸るトモルの夢の中のめぐる。ある時は姉、ある時は………… そして、現実にもいるめぐる。トモルの両面に当然のようにいるめぐるとは? でも、それを当然と受け入れていくトモルの想いを大切に、大切に読み進めていく。
トモルが応援してきた海色のユニフォームの野球部が、甲子園の準々決勝で惜敗する。落ち込むトモルに、めぐるは「一回きり。でもその一回きりの大切さ」を諭すように語る。めぐるの言葉が優しく優しく積み重なっていく、不思議な感覚。
そして、トモルの母が15年振りに祖母の家に帰ってくる。それほどの時を必要とした理由を知った時、めぐるが積み重ねてきた言葉が一気に蘇った。それは、めぐるの果たせなかった想い、そのものだったとは。
めぐるの海ですごすトモルとめぐる。トモルはその海でのたったひとつの灯台。ふたりの名前の由来を知った時、涙しかなかった。
そして、「一回きり」のこの夏休みが終わった。その最後の一行から、しばらく目を離せなかった。今までのふたりのやり取りをずっと噛み締めていたから。そして、最後に浮かんだのは、あの、最初のシーンだった。あれは、そうだったのか。
一回きりの、不思議で、暖かい、大切な絆の物語をありがとう。

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現代の話のようで、どこか懐かしい。
文から漂うそんな雰囲気は、トモルとめぐるの温かくもあり、どこか不思議なやりとりから感じるのだろうか。

トモルはなぜか引き寄せられるようにおばあちゃんの家で夏休みを過ごすことになる。
海いろのユニフォームの高校生たちによる高校野球に勝ち進む姿が通奏していくが、その色と友人の話から
海に惹かれるトモル。

でも行った先は山だった。
しかし海というのはこの話のなかで、海であって海ではない。

それは自然の木々の葉の木漏れ日だったり、緑のうねりだったり、また母の胎内だったり。
海はこの小説のなかでのメタファーの役割をしている。

トモルのなかにめぐるからの視点というものが生まれて、自答しながら行動していくのが今後頼もしい。

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人は胸の中に、自分だけの海を持ってるのですね。でも、そこは見つけようと、ホントの心で探そうとしないと見つからないのです。自分が見つけられずに、主人不在で生きているのです。
わたしたちはみんな、生身の体を晒して、「現実の強くて、容赦のない世界」で生きています。生傷の絶えない時間を生きています。でも、その自分だけの海をちゃんと見つけられた人は、本当にたおやかで、無敵で、へっちゃらで、この世のぜんぶに勝てそうなんです・・・
その海を、トモルくんは見つけたんですね。めぐるちゃんと過ごしたかけがえのない、たった一回の夏に。
トモルくんは、どんくさくても心の目が澄んでいて、相手の言葉にならない思いを知らず知らずに受け止めている。頭ではわからない、でも、わかる、そんな少年です。そんなトモルくんだから、めぐるちゃんはまっすぐに、トモルくんを見つけられたし、自分の海に招くことだってできたのでしょう。
そして、こころに広がるこの自分だけの海の世界では、容赦ない現実がこころに与えた強烈なダメージであっても、たとえそれが一回きりの出来事で、決して変えられない現実だとしても、一瞬に、闇を晴らすような光に変えることができるのです。過去の「事実」は、変わらない。決して。でも、この海から見るその事実は、別のホントを見せてくれるのです。自分のその時の肉の目が見た風景が、決してすべてのホントじゃないんです。この海では心の目がひらきます。自分をつつむ暖かな人たちの心配が一瞬に心に染み渡ります。自分が勝手にあまりにも可愛そうだと感じたことも、実の当人はもう、まっすぐに、つよく優しく、透明に成長してる、そんな、時空を超えた、すてきな、すてきな笑顔がはっきりと見えたりするのです。
それなら、たとえ、今、現実があまりにも厳しくて、苦しくて、むなしくて、からっぽで、真っ暗で、こころが死んでしまったとしても、なんのことない、きっと、だいじょうぶ・・・心の海でしっかりやすもう・・・
そして、キャチボールは、一人ではできない。相手に向かって投げるボール。ぱしん。相手が自分へ投げたボール。ぱしん。わたしたちは、当たり前のように生きてるけれど、ちゃんと、キャッチボールできてるのかな?それは、現実の世界で、勇気を持って自分の海を見せること。心から相手の海を見たいと思うこと。そのキャチボールこそが、自分の海を豊かにしていく方法なのかもしれませんね。
せつなく美しい、一つの夏の物語。大事なことを暖かな涙と、爽やかな笑顔で教えてくれました。
戸部寧子さんが招き入れてくれた、戸部さんの海。わたしは、戸部さんから投げられたボールを誰に投げ返せばいいでしょう?
ありがとうございます。

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この子はだれなんだろうと考えながら読み進めていろんなパターンを考え、わかったとき、自然に涙が流れました。
序盤からトモルにとって特別な夏休みになるような予感。
ラストは家族の様々な思いが全部海に溶けていくような、不思議な感覚。

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トモルの小学5年生のひと夏。初めておばあちゃんの家で過ごす夏休み。トモルは海への憧れを持っている。この「海」というキーワードがが物語の中でそこここにすばらしい陰影を投げかける。15歳のめぐるとの出会い。不思議な夢が導いてくれたもの。たゆたう思いにとまどいながらトモルが掴んでいくもの。野球にぞっこんのトモルに根気よく付き合ってくれるめぐるの不可思議な存在感が明らかになった時、ことばにできないような感激を受けました。生きていることの唯一無二の意味。家族を繋ぐもの。愛はこんなにも確かにあった。トモルとめぐるのひと夏が輝きをもって迫ってくる。

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