アンナの戦争
キンダートランスポートの少女の物語
ヘレン・ピーターズ/作 尾﨑愛子/訳
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刊行日 2023/08/29 | 掲載終了日 2023/08/31
ハッシュタグ:#アンナの戦争 #NetGalleyJP
内容紹介
大戦中、故郷でのユダヤ人迫害から逃れ、英国に避難した少女アンナ。
ドイツ人スパイの企みを見抜き、戦争を生きのびる。
ナチによるユダヤ人迫害や、1万人もの子どもたちを救った
キンダートランスポートの活動などの史実をふまえ、
緊張感いっぱいに描かれたフィクション。
小学6年生のダニエルは、戦争時代の話をきくためにアンナおばあちゃんを訪ねた。
——第二次世界大戦中、12歳のアンナはドイツでのユダヤ人迫害をのがれ、「キンダートランスポート」(イギリスをはじめ各国の家庭がユダヤ人の子どもを受け入れた活動)でイギリスへ避難することになった。列車の発車寸前、どさくさにまぎれて若い母親からかごを渡される。中には赤ちゃんが! アンナはイギリスに着くまで、その子の面倒をみる。
無事に田舎の農場についたアンナ。ドイツにいる両親を心配しながら、英語を学び、里親のもとで新しい生活になじもうと努力する。
ある日、農場の姉弟といっしょに、納屋でけがをした兵士をみつける。イギリス兵だと名乗ったが、アンナは、男がドイツ語をつぶやいたのに気づく。男はドイツのスパイだったのだ。イギリス兵だと信じるふりをして水や食べ物を運んでいると、手紙の投函をたのまれる。アンナはそれをイギリス軍の大佐に知らせ、男を見はる。こっそり男のあとをつけるアンナだが、みつかってピンチに!——
話をきいたダニエルは、アンナおばあちゃんの誕生日に贈るサプライズプレゼントを思いつく。
出版社からの備考・コメント
ここに掲載している作品データは刊行前のものです。刊行までに内容の修正があり、仕様の変更がある場合もございますが、ご了承下さい。
【ご注意下さい】
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販促プラン
【著者紹介】
作 ヘレン・ピーターズ
英国サセックス州の古い農家に生まれる。子ども時代は物語を読み、納屋で芝居をして遊んだ。現在は中学校で英文学と演劇を教えながら、作家として活動している。代表作に『子ぶたのトリュフ』『子ガモのボタン』などがある。
訳 尾﨑愛子(オザキアイコ)
東京大学教養学部卒業後、出版社勤務を経て、東京大学大学院にて学術修士号取得。大学院在学中より児童文学の翻訳をはじめる。訳書に『クレイジー・レディー』『シリアからきたバレリーナ』『オンボロやしきの人形たち』など。
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784037268008 |
本体価格 | ¥1,700 (JPY) |
ページ数 | 350 |
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NetGalley会員レビュー
副題が「キンダートランスポートの少女」(*キンダートランスポート=第2次世界大戦中、イギリスをはじめ各国の家庭がユダヤ人の子どもを受け入れた活動)。
主人公アンナはユダヤ人の少女。ドイツで豊かな生活を両親と送っている。でも、“水晶の夜“を境に、命の危機を感じるように。
アンナの両親は、なんとかしてアンナを助けようと、イギリスへ送り出す、、、。
アンナは強い。両親を思って泣いたり、悪夢を見てうなされたりするけれど、また強くならざるを得なかった環境ではあったけど、それでも持って生まれた芯の強さがあったから、子ども時代を乗り越えてこられたのだろうと思う。
もちろん、そばにいてくれた人たちの助けがあってこそだけれど。
終盤、両親の希望を無駄にせずに幸せになることを選んだアンナの生き方が素敵だと思う。
だからこその現代の89歳のアンナがあるのだろうなあ。
本編の最後の章「終戦」の書き出しにはドキッとするけれど、それを乗り越えないと現在には繋がらない。
この作品については、「日本の読者のみなさんへ」「訳者あとがき」を読むとよくわかる。
本編を読んでドキドキ、ハラハラして、その後ほっとした後で、アンナになれなかった150万人のこどもたちに思いを馳せることを大事にしたいと思った1冊だった。
(小難しいレビューになってしまったけど、もっと易しく、物語に引き込んでくれる作品です。)
我が家には小学生の子どもがいるのですが、ロシアによるウクライナ侵攻が始まった頃から、戦争や平和に興味を持つようになりました。そのことは親として頼もしく感じたのですが、現在起きていることだけを見て
「ロシアは悪い」
「戦争は悪い」
とだけ覚えるのは不十分で、危険である気さえするので、戦争というものを知り、親子で考えることのできる本を探していました。
この作品は戦争が人々の日常や幸せを容赦なく奪ってゆく様子が詳しく描かれていて、特に小、中学生が戦争が自分の身の回りで起きたら?と考えることができる作品だと思います。
テンポも良く、ハラハラ&ドキドキの連続で、読み始めたら止まりませんでした。
ただ、
p. 322 p. 323 p.324 の辺りや、あとがきのところのページの順番が不規則で、読みにくくなっている点が残念に思えました。
第二次世界大戦の開戦直前のドイツから「キンダートランスポート」によってイギリスに逃れたユダヤ人少女の話。
恥ずかしながらキンダートランスポートのことは本書で初めて知った。
物語後半のスパイとの攻防は、エンタメ要素が強すぎると感じてしまった。実際にあったことと、あってもおかしくなかったことでは、受け取れる感情が違うのを実感した。
アンナの戦争/ヘレン・ピーターズ(訳 尾﨑愛子) 偕成社
ー 史実としての第二次世界大戦を学びながら、知的で勇敢な少女の戦いにワクワクする物語 ー
小学生のダニエル君は、大好きなアンナおばあちゃんから
誰にも話していなかった戦時中の体験を話してもらうところから物語が始まる。
ナチスの台頭でドイツ国内でのユダヤ人の迫害が次第に厳しくなる中、
12歳のアンナは、大好きな父母と別れてキンダートランスポートで国内から脱出する
・・・キンダートランスポートとは、迫害されているユダヤ人の子供を救うため、
イギリスなどの各国の一般家庭が里親としてユダヤ人の子供を受け入れた民間の活動
(ユダヤ人の大人はビザが取れない中、子供ならある程度許可されていた背景がある)
キンダートランスポートの列車に乗って(列車の中は小さい子供たちばかり)
ビザが取れてない赤ちゃんを助けたり(バレたら大変…)と緊迫の中での旅を乗り越え、
受け入れ先であるイギリスの田舎街の農家で生活することになるアンナ
アンナは、父母が生き延びていることを信じて、
ドイツ人のアンナはスパイだ!とイジメてくる同級生にも負けず
今できること(勉強と農家のお手伝い)に励んでいく。
そんな中、納屋の中にいた怪我をしたイギリス軍の兵士が実はドイツのスパイであることを知り…
史実としてのキンダートランスポートや、大戦中のイギリス国内の様子を舞台にした、
知的で勇敢な少女の物語を、最初から最後までドキドキ・ワクワクしながら読みました。
後書きがまた良かったです。
あの聡明で陽気なアンネ・フランクがもしキンダートランスポートで救われていたら、
どんな生き方をしたんだろう。そういう想いから生まれたアンナというキャラクター。
フィクションだからこそ、救いや願いをかなえてくれるんです。
そして最後にあっと驚くダニエル君からのプレゼントに物語としても大いに感動しました。
冒険のワクワクと、歴史を学ぶという勉強と、上手くブレンドされた物語だと思います。
素敵な物語をありがとうございます。
#フタバ図書 #読了 #NetGalleyJP
2016年公開の『ニコラス・ウィントンと669人の子どもたち』という映画で初めてキンダートランスポートの存在を知り、キンダートランスポートがパディントンの発想のもとだったと知り驚き、ヴェラ・ギッシングの『キンダートランスポートの少女』を読んでから早何年。前述の2作はともにチェコからの出国の話でしたが、今回はドイツから逃れるということで、その違いなども味わいながら読みました。
中盤にドイツのスパイを見つけたあたりから話の加速度が上がり、緊張感が高まり、思わず夜更かしして読み通してしまいましたが、史実とフィクションの混ぜ方が上手で、あり得たかもしれない話として最後までぐいぐいと引っ張られます。
読後ちょっと気になるのは、アンナが受け取った両親からの手紙はドイツ語ではなかったのか?ということです。話の筋にも関わるところだけれどサラッと流されていたような。ドイツ語だったらアンナしか読めないけれど、赤十字を通す関係上英語で書かれていたり、という設定でもあるのでしょうか。
本書を読んで初めて、キンダー・トランスポートという事業が行われていたことを知りました。水晶の夜をきっかけにユダヤ人迫害が激化する中、英国をはじめとする諸外国のボランティアが約10ヶ月の間に2万人もの子どもを救いました。特に英国では食べ物の配給制度が行われている最中の受け入れとなり、並大抵のことではなかったと思います。
普通、ホロコーストを扱った読み物は、主人公の波乱に満ちた逃避行で終わってしまいます。ところが、本書はここから。なんとMI5が絡んできて思わぬ展開に。もうページをめぐる手を止められませんでした。
副題となっている「キンダートランスポート」
(イギリスをはじめ各国の家庭がユダヤ人の子どもを保護するために受け入れた活動。実際に1万人の子どもたちがこの活動で救出されたそうです。)
イギリスに住む小6のダニエルが、授業をきっかけに、戦争時代の話を聞くためアンナばあちゃんを訪ねた所から話は始まります。
ドイツで裕福な生活を送っていたアンナ(12)。
ナチによるユダヤ人への迫害と、今の生活を捨て国外へ逃げるかどうか葛藤する両親。
ついにその迫害の手は我が家にも迫り、
両親はキンダートランスポートを利用して、
一人娘のアンナをイギリスへ送り出します。
両親の葛藤もよく分かりますし、
国外逃亡を決意したあとも、
様々な困難が待ち受けていて
思うようにはいかない現実。
このキンダートランスポートという制度を初めて知りましたが、なんて素晴らしい制度だろうと思いました。
イギリスの一家はとても暖かくアンナを迎え入れました。
海外では養子を受け入れるのは一般的で、一つの家に肌の色の違う子供達が何人も兄弟として暮らしていたりする、と聞いた事があります。
自分もですが、日本では里親とか養子とか、まだなかなか馴染まないし、難民受け入れも少ないと思いますが、こういう助け合いが自然と出来る風土になっていったら良いなぁと思いました。
愛する両親と別れ、1人、子供たちばかりの列車に乗ってイギリスへと旅立ったアンナ。この道中も、イギリスでの新生活も、ドキドキハラハラの連続です。
そりゃそうですよね。
観光旅行じゃない。実際に怖い目を体験し、しかも今、ナチから逃げているのです。新天地は、ドイツ語ではなく英語の国。新しい家は郊外の農場で、生活様式も習慣も言葉も全く違う中、アンナは辛い事には鍵をかけて前向きに頑張ります。
そんなある日、納屋に怪我をして動けなくなった兵士が隠れているのを見つけます。そこからがまた一層ハラハラの連続。
児童書ですが、ものすごく惹き込まれました。そして、考えさせられる事も、学ぶ事も大変多い作品でした。何より、アンナの心の中の苦しみ…被害者が抱えるトラウマがとても伝わってきました。
とても読みやすく、分かりやすく、考えさせられますが、重たくはなく、戦争の一端を知るのに、とても素晴らしい作品でした。
ダニエルのおばあちゃんはドイツからイギリスに来た。学校の平和教育の話題として戦時中に生きていたおばあちゃんに当時の様子を尋ねる。おばあちゃんが語り部として孫に語り始めたユダヤ人迫害の歴史と自身の経験談は吃驚仰天の内容だった。
実際の手記をもとにして描いた迫害や差別の描写の生々しさに心揺さぶられ、アンナおばあちゃんの勇気ある冒険パートに心沸き立つ。リアルとフィクションの織り混ぜ方のバランスがよい。
日本国内の戦争の記憶だけでなく、他国の戦争の記憶について知ることは世界平和にとって大変に意義のあること。自分事として考えることが自国のことのみになると今現在の世界情勢のようなことになるのだから。戦争の悲惨さは私たちに他者を尊重することの大切さを教えてくれると感じた。
90歳になるおばあちゃんが、孫に話して聞かせる戦時中の体験談。現代から過去へワープ~。
主人公アンナは、ドイツに住むユダヤ系の少女。
両親に大切にされ幸せに暮らしていましたが、ナチの台頭で家族と離れて、「キンダートランスポート」でイギリスに行くことになります。
出発直前に突然預けられた赤ちゃん!乗り合わせた子どもたちは驚き困惑しながらもしっかり守っていきます。
この間に急速に成長していくアンナの様子には驚くばかりです。
イギリスでは、心優しい養父母とその子どもたちと暮らしながら、心は残してきた両親のことでいっぱい。
それでも寂しさを心に封じ込め、新しい家族と折り合いをつけながら頑張って過ごすアンナ。
田舎暮らしや子どもたちとのやり取り、心の動きまでもが、目にが浮かぶようにうまく描かれていますね。
やがて、大事件が!
アンナが暮らしている家の納屋に、ナチのスパイがイギリス兵と偽って隠れている。
それに気づいたアンナの思慮深い計画と大胆な行動には、ハラハラ・ドキドキ。
イギリス軍の将校もつい子どもたちの作戦に頼ってしまうほどです。
危機一髪のときのアンナの冷静さ!
やがてドイツ軍が降伏し、やっと平和が訪れますが・・・。
両親がアウシュヴィッツ強制収容所で亡くなったことを知り、生きる意味を無くしてしまうアンナ。
寄り添うパウルおじさんの励ましで、ついに自分の生き方を見出します。 よかった!!
そして、長い歳月の後、90歳の誕生日を多くの人がお祝いにやってきます。
なんと、あの赤ちゃんが(おじさんになり)訪ねてきて、お礼を言うところ! 感動の再会です。
心温まり勇気をもらえる素敵な本です。映画になるといいですね。
そして、ロシアのウクライナ侵攻が終わらない今、巻末の文章にも考えさせられます。
逆境のなかを生きる少女の姿に、冒頭からひきこまれました。
キンダートランスポートについても、この本ではじめて知りました。第二次世界大戦の欧州を描いた作品は、小説を読むだけでなく映画やドラマで何度となく観てきたせいか、読み始めるとすぐにビジュアルが目に浮かびました。読書中は文章を追いながら、自分もアンナと同じように鉄道に乗り、海を渡り、イギリスへと向かい、そこで暮らす、そんな体験をさせてもらったような気がします。
両親とはなれて生きる少女をめぐる心温まる物語であるいっぽう、冒険小説、スパイ小説としてのエンターテイメント性も抜群。子どもにも大人にもおすすめの一冊です。五歳の娘が大きくなったら、ぜひ読んでほしいと思います。
6年生子が祖母に戦争の話を聞くところから始まる。その祖母がアンナ。両親の思いで、アンナは、ドイツからキンダートランスポートを利用してロンドンに向かった。電車の発車時に、知らない女性からかごを渡された。その中には赤ちゃんが入っていて、アンナは驚くが、強い意志と賢さでこの子もイギリスまで無事に届けた。また、アンナを預かってくれたのは農家で、同い年のモリーと、その弟、両親の4人家族。学校ではドイツから来たアンナをナチのスパイだと騒ぐクラスメイトがいて、アンナが大切にしている両親からの手紙をモリーが持ち出した。アンナはモリを許さなかった。そんな時、この農家の小屋に一人の怪我をした兵隊が隠れていた。それが偶然にもドイツ兵のスパイだと見抜いたアンナは、賢さと勇気で見事な行動を見せた。スパイとの駆け引きなどドキドキしながら読み進める場面もあり、最後の伏線回収の終わり方も良かった。