川滝少年のスケッチブック
小手鞠るい
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刊行日 2023/06/27 | 掲載終了日 2023/07/09
ハッシュタグ:#川滝少年のスケッチブック #NetGalleyJP
内容紹介
おじいちゃんの絵日記で読む
「戦争」と「昭和の生活」
戦争を生き抜いた91歳「少年」の絵日記をめぐる物語。
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スケッチブックに描かれている漫画を見て、また、父の書いた文章を読んで、私はとても驚きました。こんな大変な戦争を、父はよく生き抜いてきたものだと、感心もしました。けれども、これらのスケッチブックは、長いあいだ、私の机の引き出しの奥で眠ったままになっていたのです。
なぜなのでしょうか。私はその頃、戦争にも、平和にも、関心がなかったからです。
日本は憲法で戦争を永久に放棄した平和国家なのだから、戦争や平和について、考えたり、悩んだりする必要はない、と思っていたのです。
それは大きな間違いでした。
平和な世界は、ちょっと油断をしていたら、あっというまに壊れて、いつのまにか戦争が始まってしまいます。戦争とは、いつのまにか忍び寄ってきて、あっというまに平和を侵略してしまうものなのです。(あとがきより)
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作/小手鞠るい(こでまり・るい)
小説家、詩人、児童文学作家。1956年、岡山県備前市生まれ。岡山県立岡山朝日高等学校、同志社大学法学部卒業。1992年に渡米。以後、ニューヨーク州在住。2019年『ある晴れた夏の朝』(偕成社)で小学館児童出版文化賞を受賞。児童書、一般文芸書、ともに著書多数。代表作として『女性失格』(文藝春秋)『ごはん食べにおいでよ』(講談社)『母の国、父の国』(さ・え・ら書房)などがある。
絵/川瀧喜正(かわたき・よしまさ)
1931年、愛媛県宇和島市生まれ。岡山県第一工業学校(現在の岡山県立岡山工業高等学校)在学中、太平洋戦争を体験。卒業後、日本電信電話公社(現在のNTT)で定年まで勤務。退職後、関連会社などで働く。勤務のかたわら、絵や漫画を描き続けた。岡山市在住。エッセイ集『お母ちゃんの鬼退治』(小手鞠るい作、偕成社)にも漫画イラストを寄稿している。
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おすすめコメント
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Twitterで話題、実在のマンガ日記で読める昭和の風俗と戦前戦中戦後!
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出版情報
ISBN | 9784065317310 |
本体価格 | ¥1,400 (JPY) |
閲覧オプション
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コメント付きのイラストは、初めて見る人もふっと吸い込まれるような作品で不思議に懐かしさを感じます。
山陽中学生新聞にも4コママンガを描くことになった小手鞠るいさんのお父さんがスケッチブックに書いたイラストに深青くんの物語が加わりました。
両者の視点が交互に組み合わされた内容は、親子の物語でもあることから両親または祖父母が読んだ後に子どもに薦めて感想を言い合ってみてはいかがでしょうか。
深青くんとお母さんの言葉、そして著者のあとがきを通じて、今、世界で起こっていることに目を向ける貴重な時間になるかと思います。
当時のスケッチと祖父が語る言葉で、当時の様子や、人々が思い込まされていた思想などが伝わってきます。絵のタッチがちょっとかわいらしいのと、孫に優しく語る様子から、他の戦争を伝える本よりは、戦争というものの残酷さや衝撃はあまり強くない気もしました。ですが、感受性の強い人にはあまりにもその残酷さが伝わりすぎると、拒否反応や、トラウマになることもあるかもしれないし、一方で、読んでいてふっとその恐ろしさを感じる瞬間も度々ああり、祖父から孫への大切なメッセージが私たちの心にもしっかりと届く本でした。
著者・小手鞠るいさんのお父さんが描かれたスケッチブックとそのスケッチブックから
構想を得た物語が綴られています。
宇和島出身の少年の12歳の絵日記から始まるスケッチブック。新聞の4コマのような絵が
この年齢で描けていて本当に上手い。少年時代の生活のあれこれ、戦争の色がどんどん
濃くなっていく1944年、そして敗戦。
十代の少年が体験し感じたことがストレートに描かれ書かれているので、親子で戦争について
話し合うときに読むのにふさわしい本だと感じました。
素朴でシンプルなイラストが、昭和の時代の懐かしさを感じさせる。
そして、その素朴なイラストの中で描かれる戦争の悲惨さは、どんなにシンプルに描かれようと、ひどい時代だったとしか言いようがない。
でも、写真やリアルな絵ではなく、戦争のおぞましさを全面に出しているわけではないので、そういう描写が苦手な子には、戦争があったという事実を知るのに最適な教材だと思う。
漫画風のイラストや、祖父と深青(みお)くんの会話から、第二次世界大戦がどんなものであったのか、当時を生きていた人の貴重な話がやさしく読めるので、いつか子どもと戦争の話をすることがあったら、この本を紹介したい。
まずは、大切なお父様の思い出の日記を公開してくださった小手鞠るい先生にお礼を言いたい。ありがとうございます。
優しい文字と暖かくも可愛らしいイラストは、戦争から目を背けているこどもたちにも、抵抗なくすんなりとうけいれられるのではないかと思います。
この作品の素晴らしいところは、
有名な誰かではなく、自分の身近な誰かの体験として受け止めることができるところです。
戦争や、戦争に散った人たちを美化するような話ではない、こうした本当にその中にあった普通の人びとの話にこそ、これからの子どもたちに触れてほしい。
アメリカに住む小学生のぼくは夏休み、岡山の祖父に会いに行くことに。
繙いたのは祖父が自分のこども時代を振り返って描いた絵日記。
それは宇和島で送った学生生活、戦争の記憶だった。
祖父は語る「間違っていると分かりきっていることでも、正しいと信じて疑わなくなる。それが戦争」と。
平和な世界について考えたい一冊。
小手鞠るいさんの『お母ちゃんの鬼退治』で初めて拝見した、お父様の漫画、イラストに魅了され、どうにかもっと見たいものだという願いがここで叶いました。
実は既に予約していますが、こちらで先読みできるということで拝読いたしました。
るいさんの創作部分に、お父様の漫画がぴたりと嵌って、過去と現在とみごとに繋いでいます。
お父様12歳当時の、戦時中の日記とスケッチ、川滝少年の目と心に焼き付けられた世相と思いが、みずみずしく、しかし厳しいものとして描かれています。戦争を直接知る人々が減少し続けている今、貴重な証言となる資料に値します。孫の深青くんに語る、戦争というものの与える理不尽で一方的な抑圧。考える契機を、深青くんはきちんと受け止めています。
知ること。考えること。そして、その先へ。悲惨な経験とその事実を、消し去ることがないように、心に留め置く事の大切さ。敗戦という事実を受け止めた川滝少年の心の波立ちはいかばかりだったでしょうか。今のわたしたちに改めて平和の意味を問う作品です。
貴重な戦争体験の語り部たちはどんどん居なくなっていってしまう。
このことを改めてガツンと突きつけられる。
この場にいたからこそのいきいきとした臨場感をどこかユーモラスで親しみやすい線で描いた川滝少年、は著者小手鞠るいさんの祖父だという。
アメリカに住む日本人の少年が、夏休みに帰省しておじいちゃんの話を聞く、というストーリーはフィクションだが、スケッチブックは実際に著者の祖父の手によって描かれたもの、ノンフィクションに限りなく近い作品。
体験した人たちは必ずしも全てをすらすら語ってくれるものではないだろう、生き延びたのが奇跡のような体験、語ることもできない思い、記憶に留めるということすら、重くつらい作業であることだろう。
戦争はいけない、という思い。読んだ者には必ずそんな思いが湧き上がる。
でも現実には、まだ戦争は、ある。今日も人の命が無為に失われてゆく。
巻き込まれてしまうと抗えない、駆り出されて一番先に命が失われる、そんな存在が残したノート。
起こさせない、巻き込まれないためにも、どうしたらいいか、一人一人がこれからも考え続けるべき、重い課題。
おじいちゃんのスケッチブック。なんで心踊る題材なんでしょう。実際のスケッチブックが挿入されていたわけではなかったのが残念だが、その絵柄も昔懐かしい昭和のタッチで、いつしかおじいちゃんの若かりし時代へこちらもタイムトリップしていた。昭和のこの時代、理不尽を理不尽とも思わず、国民誰もが同じ方を向いて労働し、日本の底力を信じて前を向いて進むその姿に改めて敬服する思いだった。
小手鞠るいさんの父、川滝喜正さんが軍国少年だった中学生時代に描いたスケッチブックの漫画と文章を、戦争体験として創作。日本の戦争を語り継ぐ人が少なくなったからこそ、過去の事ではなく、憲法で戦争をしないと宣言したとしても、学校で家庭でそれぞれの場所で考えていかなければならない。いつ死ぬかもわからなかったデッドエンドの青春、残酷な事に慣れてしまう感情、玉砕という言葉で多くの命が失われた。敗戦した時の「何のために戦ってきたのだろう」と、そんな事を知らなくて良かった年齢のはずなのに。綺麗な言葉は必要ない。
今から思えば、たしかに、不便で、理不尽で、悲しくて、滑稽でもある川滝少年のスケッチブックに描かれた70年以上前のこの国の風景、人々の営み。なのに、いきいきと、はつらつと、躍動するようなそこ明るい川滝少年の感性が、わたしの目の前に運んでくれるのは、さわやかな風景や匂いや、濃密な暑さや、すずやかな風。けれんみなく、生きていく姿。嫌なこともある。変えられないような不安もある。でも、そこで、一生懸命弾けるようにきらめく命のパワー。素敵だと思ってしまう。残念ながら、やがて、川滝少年の信じたも軍国少年の輝きは、あっさりと覆ってしまうけれど。信じたものが覆ってしまっても、少年の躍動した命の奇跡は、感じた喜びや、楽しさや、幸せ、それは何一つ、なくなりはしない。だから、このスケッチブックはこんなにも美しい・・・
この国の良さは、そこに生きる人々のおおらかに明るく、潔いことに由来するのではないでしょうか。困難な時代を、自分の時代を、嘆かず、淡々と、まっすぐに生きる姿の清々しさ。私はこの国のそんなところがだいすきです。すこし、おっちょこちょいでも、また、ちゃんと歩こうとしてる、そんなところが大好きです。
川滝少年は自分のできることを精一杯し用途まっすぐに生きました。不幸な時代ではあったけれど、決して不幸ではなかった・・・そう、感じます。
そして、川滝少年は今、90歳を超え、深青くんという孫ができた。この孫の未来のために、今できることをしようとしているのですね。自分を大切に、仲間を大切に、未来を大切にするためには、時代に流されていくだけではいけない。泳ぎ切るだけの、心を鍛えよ、目標を見失わないよう、情勢を見極め、理性をきたえよと。
ちゃんと自分のルーツを知ることは、必ず自分の未来をはっきりとさせる。そして、その2つの過去と未来のありありとしたアンカーの間にピンと線を引く。太い太い線を引く。いま、自分はここにいる。どこから来て、どこへ行くのか知っている。これは、腰の座った「幸せ」なのではないでしょうか。
小手鞠るいさんは、人任せの幸せは、ホントじゃないよって、教えてくれたのかもしれません。
ありがとうございました。
いまは「平和」といわれるけれど、本当に平和なのだろうかと立ち止まって考えさせてくれる本。
他国と軍事的な交戦をしていない状態ではあるけれど、本当にいま日本は「平和」なんだろうか。
そして、どうしたら「平和」な状態を保つことができるんだろうかと問われている気分になる。
日本人の母を持ち日本ではない場所に暮らしている子ども(孫)の目を通すことで、
日本と当時の戦争を客体化し、現在に暮らす私たちの架け橋ともなっていて、
まっさらな視線で「戦争」を見つめること、見つめ直すことができるようになっている。
「戦争や平和について、考えたり、悩んだりする必要はない」と思えることはステキだし、
まだどこかに「戦争は他人事」という思いが拭い去れない部分もあるけれど、
そう思って思考停止してしまうことが平和を遠ざける、と反省させられました。
深青の祖父のスケッチブックには、日本の歴史があって、文化があって、暮らしがあって、家族がある。美味しそうな食べ物、にぎやかな祭り。日本人の血を受け継ぎアメリカで暮らす深青は祖父が暮らす土地岡山に憧れをもつ。2冊目のスケッチブックは1冊目とは様相が異なる。玉砕という言葉の衝撃、戦時下の暮らし、凄惨な戦争被害。
2冊のスケッチブックと、その後の敗戦日記、全てあわせて日本という国の姿。あとがきの小手鞠先生のことば「平和な世界は、ちょっと油断をしていたら、あっという間に壊れて、いつのまにか戦争が始まってしま」うということばが印象に残った。今この世界情勢が緊迫しているからこそ読むべき作品だ。
『平和だなぁ』と思う事も、感じる事も無く日常を当たり前に過ごしている人が私も含め多い今日だが、過去とは言え決して忘れたり、見ないふりをしてはいけない事がある。『戦争』を実際に体験した人達が少なくなる中、貴重な作品だと思う。悲しみ、悲惨さ、愚かさだけしか残さなかった『戦争』を再び起こさない為にも語り継がれていかなければならない。『戦争は嫌だ』と声を上げる事の大切さ、『戦争を再び起こさない』という強い決意を持つためにも本書を多くの人に読んで欲しい。
小手鞠さんのX(旧Twitter)を以前からフォローしていて、お父様のスケッチを見た時、あまりに素晴らしく、魅力的な絵で描かれていたのに惹かれたのでこのように本として刊行されて嬉しかったです。
当時10代の少年だった川滝少年の目から見た、体験させられた戦争が率直な、本当に率直な言葉と絵で伝わってきます。それこそ、SNSのようなリアルさでした。亡き祖父母から聞いた話を思い出しながら読みました。
本の中では孫のアメリカ暮らしの少年が祖父の日記から知る様々な驚きと現代との違い、国の違い、そこから考える戦争について考えることの大切さ等が分かりやすく書かれています。
読んでほしいですね、十代の少年少女に本当に。いま読める彼らが羨ましいです。