スクラッチ
歌代朔 作
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刊行日 2022/06/25 | 掲載終了日 2023/05/31
ハッシュタグ:#スクラッチ #NetGalleyJP
内容紹介
第69回青少年読書感想文全国コンクール
課題図書 中学校の部
コロナ禍で「総体」が中止になったバレー部キャプテンの鈴音。
美術部部長の千暁は出展する予定の「市郡展」も審査が中止。
「平常心」と自分に言い聞かせ「カラフルな運動部の群像」の出展作を描き続ける千暁のキャンバスに、鈴音が不注意から墨を飛ばしてしまい…。
コロナ禍で黒く塗りつぶされた中三の夏。
そのなかでもがきながら自分たちらしい生き方を掴み取っていく中学生たちの、疾走する”爪痕”を描く物語。
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784251073129 |
本体価格 | ¥1,500 (JPY) |
ページ数 | 333 |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
中学生のコロナ禍のモヤモヤが描かれた作品。
私だけ、僕だけじゃないと共感できることが多いのではないでしょうか。
もう二度とと戻ってこない貴重な中学時代の部活の大会、学校行事が抜けてしまったことは、大人になってから、どんなふうに感じるのだろうか…。
ずっと読みたかった作品です。
コロナ禍の辛さだけではなく色々な悩みを抱えながらも前に進んでいく。それも主人公だけではなく登場人物みんなが。
「何気なく過ごしているだけでも頑張っている。」この言葉に非常に共感した。
顧問の先生方もそれぞれいい味出していたし、主人公二人の無意識な誉め合いも良かった。
勢いのある文章で最後まで楽しく読めました。
コロナ禍の中学三年生の多感な様子が、とても生き生きと書かれていた。
もう過去のことになってしまったパンデミックだが、あの頃の閉塞感が、みるみる脳裏によみがえってきた。
黒く塗りつぶしたキャンバス、それを引っかいて新たな絵を描く「スクラッチ」。
コロナの閉塞感、その中から新たな生活環境を見出すメタファーとして、この上ない物だった。
猛獣とよばれるバレーボール部部長の鈴音と、冷静沈着な美術部部長の千暁が、一人称で交互に語る構成が、物語をより奥行きのあるものにしていたと思う。
鈴音や千暁の人物描写はもちろんのことだが、クラスメイト、家族にいたるまでの人物が、細部まで丁寧に書かれていたので、まるで彼らを昔から知っている近所の住人か、クラスメイトのような気持ちで物語を読んだ。
作中では、コロナは終わっていないのだが、制限のある中でも、自分たちが決めた進路に向かって進んでいく鈴音たちの姿は、希望に満ちていて、とても爽やかだった。
これはコロナ禍の中学校、中学生を克明に描いた、歴史の資料となる小説だと思わされました。
今よりもコロナの正体が分かっておらず、何もかもが自粛、中止、隔離となっていた頃。打ち込んでいた部活の最後の大会、コンクールが中止となり、楽しみにしていたお祭りもなくなり、行き場のない思いを抱えつつも受験校を選ばなければならない中三の夏を迎える。そんな境遇の鈴音と千暁が交互に語り手となることで、臨場感のある心情が描写されています。
読者感想文の課題図書となっていますが「あの年」の中学生と今の自分を比べつつ、多くの中学生に読んでほしい一冊です。
課題図書ということでリクエスト。
「成績トップ冷静画伯」の千暁と「コートの猛獣、向かうところ敵なしのエースアタッカー」の鈴音を中心に描かれる、
コロナ禍の中学生たちの姿。
やりたいことは何もできず、みんながやってる正解から外れないように、みんなが我慢する。
そんな環境に多感な中学生たちが影響されないわけがない。
とある事件をきっかけに起きた出来事には泣かされてしまった。
タイトルが様々なことを考えさせてくれる。
読み終えた後きっと、「さぁ、これから目一杯生きるぞー!」
って思える。
コロナ禍の話題はもう食傷ぎみ、、と思っていたのに見事にその考えを覆された。してやられた。
10代の人はもちろん、そんな若者たちをそばで見守ってきた全ての人に推したい。
コロナ禍の中学校生活。何もかもが一変し、思い切りやり抜いて引退するはずだった部活がままならない。美術部でさえ、いつもの予定された展覧会が中止。
中学生たちの迷いと不安と希望が混沌と絡まったひと夏の群像劇。
美術部部長の千暁、女子バレー部キャプテンの鈴音の周りの友人たちとのやりとりがリアルで、コロナのせいでできなくなった諸々のことに苛立ちつつも、自分たちができることの精一杯に立ち向かうパワーは青春そのもの。
絵画のスクラッチ技法に象徴された、彼らの混濁した心とその中の煌めきがみごとにタイトルに昇華されていると思う。
楽しいお話です。コロナ禍によって様々なことが制限され、鬱屈を抱えた中学生の少年少女が、それに反発心を持ちつつ適応しながら成長していくストーリーです。
今になって思い返せば、あの頃は、大人ですら余裕がなく、子どもたちに制限を押し付けてしまったんじゃないかと思います。でも本当に仕方なかったことです。ただ、子どもたちのなかには「仕方ない」けど「仕方ないですませたくない」ことは確かにあったはずだとこの本を読んで思いました。
コロナ禍が収まりつつある今だからこそ読んでほしい本です。そして「仕方ないですませたくなかった」と今一度、誰かに気持ちを思いっきり吐き出し、整理をつけることができれば……と願わずにはいられません。(が、それも大人のわがままなのかもしれませんね。)