ハーベスト
花里真希
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刊行日 2023/04/10 | 掲載終了日 2023/03/06
児童書全般 | YA/児童読み物 | 住まい/ガーデニング
ハッシュタグ:#ハーベスト #NetGalleyJP
内容紹介
ばらばらだから心地よい、三人の園芸部。
花を植えたいアズサと収穫して食べたい男子二人は、花と野菜を寄植える「ポタジェ」に挑戦。
「これ、いいかも。」
「なに?」
西森くんがぼくの手にしている本をのぞきこんだ。
「ポタジェ?」
「『ポタジェとは、フランス語で菜園、または家庭菜園という意味で、野菜やハーブ、果物や花を寄せ植えにしたもののことをいいます。』」
ぼくがその一文を読み上げると、
「そんなのあるの?」
と、アズサもぼくのところにやってきた。
写真を見たアズサの顔が、どんどんゆるんでいく。
「うん。これ、すごくおしゃれ。こんな感じだったら、花のとなりに野菜があってもいい。」
アズサが、右手の親指と人差し指でわっかを作って、オッケーというジェスチャーをした。
「やったー。これでイコンなく部活できるじゃん」
西森くんが大きな声を出したので、図書委員がカウンターの向こうから、眉を寄せてぼくたちを見た。(本文より)
人と話すのが苦手で本が好きなぼく、彫の深い顔立ちで少し怖かったけど実は優しい虫好き少年西森くん、いつもユニコーンのぬいぐるみを抱えた、長いおさげでアメリカからの帰国子女の先輩アズサ、それぞれの事情を抱えた三人の物語です。
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★★★★★
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★★
出版情報
ISBN | 9784065305805 |
本体価格 | ¥1,500 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
個人的に、主人公に幾度となく共感を覚えるお話でした。
人と話すのが苦手。人並みに感情はあって頭の中ではたくさんのこと考えているのに、アレコレ深く考えすぎて結局言葉を飲み込んでしまうところや、コミュニケーションに悩むけれど安心できる人には自然に喋れるところが、まるで自分を見ているようだなと・・・
様々な事情を抱えていて個性もバラバラな3人の部員が、思っていることを口にする事で少しずつお互いの理解を深め、信頼関係を築いていって、補い合って、程よいバランスになっていくのがいい。なんだかポタジェのよう。
人と話すことは苦手でも、頭の中ではよく喋る主人公に好印象。
好きな世界観で表紙の雰囲気もピッタリ。
文章も読みやすいです。
学校図書館に置いて、ぜひ生徒さんに読んでもらいたいです。
面白くて一気読みしました。
平林先生がいい人過ぎて、こんな先生と一緒に部活したら楽しいだろうなと思いました。「知らないってことはわくわくする」とか、「畑にお礼をしたい」「先生に挨拶したい」と意見が合わない時にも、畑の前に立って両方の意見を取り入れてくれたり、名言や名シーンがたくさん。バラバラの3人をうまく繋げてくれて、いい緩和材になってました。
部員もそれぞれキャラが違いながらも、ぶつかり合いながら成長してる姿がまぶしかった。各々の悩みを抱えながらも、乗り越えているストーリーは若い読者にも勇気を与えてくれそう。
脇役たちもいい人が目立つ中で、主人公のお母さんだけが悪者っぽくうつってしまったけど、やっぱり、ただただ心配してただけなんだ。と分かり合えて良かった。
続編希望
同じ場所にいるけれど、それぞれ別のことをしていて、でも自分が困ったらきっと助けてくれるという安心感。
主人公が図書館で感じたことだけど、そういう居場所を作っていくお話。
基本的に、登場人物たちはみんないい人。
もちろん、そうでない子もいるけれど、きっとその子にもその子なりの事情があるのだろうと思えてしまう。
ダメになったように見えても、全てがダメになったわけではない。
そこから出てくるものもある。
花と野菜を育てる部活を通して、本人たちが成長していくその過程がとても瑞々しい。
生徒にも読んでもらいたいけれど、むしろ大人が読んでハッとする本。
消極的な理由で園芸部に入部した朔弥。クラスでも浮きがちな西森くんは意外と親しみやすい人だし、学年が一つ上の帰国子女なアズサは歯に衣着せぬ発言が多いが悪い人ではなさそう。3人しかいない部員だけど、朔弥にとってはこのバラバラなようで程よい距離感が“自分がいていい場所”のようで心地良さを感じ、植物を育てることにも夢中になっていく…。
部活を通して知り合い、お互いに抱える悩みや問題を話せるくらい信頼できる人間関係を築けるようになり、ぶつかってみたり、相手を思いやったり、まるでポタジェのように自立しながら持ちつ持たれつな3人の姿が清々しく輝いていました。
自分も、全ての人との会話を楽しめるタイプじゃなく、うまい返答も苦手なので、朔弥の気持ちが痛いほどわかります。フラットな対応だけどあたたかい眼差しの平林先生が物語のなかで3人をやさしく導く灯台のようでとても素敵です。
後半の母親との会話には心をぎゅっと掴まれました。心配しすぎるあまりすれ違う思いと、あまりにも自己肯定感が低すぎて相手の気持ちをうまく受け止められないもどかしさ。生きててもいいの?と言わせてしまう切なさはぐさりと刺さります。
とにかく、たくさんの人に読んでほしい作品です!
この作品は、自分に自信がなく、声も小さく、いつもどこかおどおどしている中学一年生の主人公 朔弥が、部員が全部で三人しかいない「園芸部」に入部することによって、仲間との絆、そして、母親と自分との関係を見つめ直して成長していく物語である。
お金のない「園芸部」でどうやったらお金を集められるか、を部員達で考える場面がある。「先生が出す」という顧問の平林先生に、それは「おかしい」と断固反対する帰国子女のアズサ、「部費なんか払わないよ」という一見怖い印象の西森君。そんな中、朔弥が緊張しながらも言葉を挟むのだが、はっきりと話さない朔弥にイライラするアズサと違い、西森君が通訳のように朔弥の代わりに伝えてくれ、朔弥は「おかげで、少ししゃべりやすくなった」と思う。「ソーシャルスキル」をいつも母親から求められ、自分の居場所がない、生きている価値がない、と思っていた朔弥が、西森君と友達になり、また、アズサの背景も知ることによって、少しづつ成長していく姿は「園芸部」での作物の成長と重なり、読んでいてとても嬉しかった。
私は「園芸」に関しては、全くといっていいほど知識がないのだが、人間は土の匂いを感じながら、作物を育てていくことで、自分自身も大地に根を生やし、前を向いて生きていけるのではないか、とこの物語を読んでそう感じた。朔弥が母親に思いをぶつけるラストのシーンには、涙がとまらなかった。
感じても考えても、それが口に出ない黒田の苦しさ。自分も同じで、あの頃はひたすら目立たないようにしてきたから、読んで心が痛くなった。
中学生になって彼が「入ってしまった」のは園芸部。彼を含めて部員の3人は園芸の素人。だから顧問の温和な平林先生と共に、慌てず皆で「園芸部」を創っていく。それはコミュニケーション。必要に迫られてではなく、仲間意識からの言葉のコミュニケーション。更に同じ事に取り組む中で非言語コミュニケーションも深まっていく。その中で、それぞれ重荷を背負った黒田達は初めて「相手」を真っ直ぐ見る、知る、すれ違いながらも、認めるようになっていく。それをさりげなく導き、優しい眼差しで見守る平林先生に陰ながら拍手と尊敬の念を。
そう。これは、ソーシャル“スキル”を学んでいく物語ではない。相手との距離感を探りながら、「仲間」「居場所」と言える関係をみんなで創っていく物語。読んでいて、中学生に戻ってやり直したくなる物語。
園芸部の活動を通して、知識を深めたり、他者の意見を尊重したり、地域の人と交流したりして、成長する3人。いろいろな出来事が成長の糧になっているようでした。その中で、それぞれが抱えている悩みや考え方に触れ、友情を深めていくストーリーは、とても清々しく感じます。台風で倒れたとうもろこしのエピソードが良かった。自然の力は素晴らしいなと思います。
考えていることを口に出すことが苦手な主人公が、ひょんなことから園芸部に入ることに。
先生も2人の部員も個性豊かだけどあたたかくて、主人公は少しずつ自分を拓いていきます。
思春期特有の母親との想いのすれ違いや、むしゃくしゃする気持ちが丁寧に描かれていて、同年齢の読者たちはとても共感しながら読める作品だと思いました。
何より学校にポタジェを作るという題材がいいです!
多様な子たちが、それぞれの個性を生かしながら互いに生きあっていく様は、まさにポタジェそのもので、ハーベスト=収穫というタイトルと、物語のラストがとてもさわやかで好感がもてました。
親子関係がうまくいっていない、学校で自分らしく過ごせていない、何か息苦しさを感じているこどもたちに、この作品が届いて欲しいなと思います。
作者の先生のファンです。
私は、植物をなんでもだめにしてしまう人なので、園芸の世界に触れて、驚くことが多かったです。植物や虫の世界がどれほどすばらいバランスで成り立っているかには、生きるためのヒントがいっぱいあるように感じました。
主人公のうまく話せない様子に、子供の頃に大人に上手く説明することを早々諦めてしまいとんでもない濡れ衣をきたりしたつらい思い出を重ねて、切なくなりました。
いつもこの先生の作品は、上手く今の世界を生きることができない子に寄り添ってくれます。そして、作中に、必ず優しくてあたたかい大人がでてくる。彼等は、直接物語を動かしはしなくとも、そこにいるだけで、安心させてくれるんです。私もそんな大人でありたいと思いながら、読ませていただきました。ありがとうございます。
部員たった三人の園芸部を舞台にした物語。
個性豊かな部員達にはそれぞれに抱える背景が見え隠れします。
一見寡黙で大人しい性格の主人公黒田くん。
大柄でクラスでの印象はあまり良くないが本当は明るく優しい昆虫好きな西森くん。
アメリカ帰りの帰国子女ではっきりと自己主張する1つ年上のアズサちゃん。
そして感情の起伏を感じさせず、本気なのか冗談なのかわからない感じでいつも淡々と語る顧問の平林先生。
主人公黒田くんは初めは、相手の事をよく知らなくてもむやみに人を恐れていて、自分の意見とは関係なく「より自分にとってのリスクの低い方」を選択しなから生きています。
黒田くんがその様な生き方をするようになっていった経緯を知ると少し胸が苦しくなるのですが、
他の部員や顧問の先生とのやり取りが軽快で、物語のテンポも良く孕んでいるバックグラウンドを重く感じ過ぎすに読むことができました。
様々な出来事を通して自ら望んで入部した訳ではないはずの園芸部がいつしか主人公にとって居心地のよい場所になっていく心の機微が細やかです。
皆、思い思いに好きな事をしていて、誰もそれを否定せず、干渉せず、でももし僕が困ったらきっと二人とも助けてくれるだろう。
初めはむやみに人を恐れていたはずの黒田くんが素直にそう感じるようになっていく姿は応援せずにはおられず温かい気持ちになりました。
また表紙の装画はそれぞれ自由に好きな方向をじっと見つめているが実は軸足はしっかりとポタジェのある花壇を踏んでいて彼らにとっての園芸部そのものを表しているようです。
主人公は話すのが苦手な高1男子。
人と関わるのを避けてきた彼が、仕方なしに入った園芸部で、2人の個性派部員とともにコミュ力を育み、開花させていきます。
全く合いそうもなかった3人の関係が、植物の成長とともに変わっていくさまがいいですね。
それぞれに苦悩を抱えていた部員たちの行く末も見どころですが、彼らの活動を追体験することで自然と理科が学べてしまうのもこの本の魅力。
アブラムシのびっくり生態や、害虫に益虫をぶつける工夫、相性のいい植物の存在など、好奇心をそそる知識が山盛りでしたよ。
話すことが苦手な主人公・朔弥は、担任の平林先生が顧問を務める園芸部に消極的ながら籍を置くことに。そこには、同じクラスのちょっと強面の西村くんと、一学年上のちょっと変わった帰国子女のアズサがいて、先生を含めた園芸部のみんなと共同作業をしていくうちに、絆が深まって・・・という内容です。
中学生ならではの悩みと言ってしまえばそれまでですが、まだまだ狭い世界で生きている彼らにはとても大きな問題です。それ故に、一緒に過ごす仲間や彼らを導く先生の存在は、とても大きく大切なものです。一人では乗り越えられない問題も、みんなと一緒なら解決できるかもしれないからです。
朔弥の友人・優ちゃんや、クラスメイトの渡辺くんや成瀬くんとの今後の関係も気になります。園芸部の副顧問のような扱いの技術の前川先生にももっと登場して欲しいです。きっと皆さんも続編もしくは番外編が読みたくなるに違いありません。全中学生のみならず、大人を含め大勢の読者に届いて欲しい作品です。
部員3人の園芸部。主人公朔弥と同じクラスの西森と中2のアズサは、強い個性を持つ。とりあえず決めたのはポタジェというフランス風菜園を作ること。人前でうまく喋れない朔弥の悶々とした思いにはらはら。西森にもアズサにも人には言い難い葛藤を抱えているのが見えてくる。実際に植物を相手にしてみると、その成長や害虫の被害に、一喜一憂。そしてお互いのことばが増えてくる。自分の居場所としての部活を感じ始めた朔弥と母との齟齬は痛々しかったが、自分を晒け出せることができたのは大きな成長。育てる喜び、収穫の達成感、仲間との絆、やってみなければわからないことがたくさんあった。畑に一礼、青春の部活が眩しかった。
淡々とした調子で語られるシンプルな物語なのに、読み始めると止まりませんでした。
登場人物のひとりが口にした、
「いつも、ここじゃないどこかを探している感じ」という言葉。
これが物語の中に、通奏低音として流れていて、それに乗って一気に読めたみたいですね。
舞台は公立の中学校。
主人公で人とのコミュニケーションが大の苦手という朔弥、一見怖そうだけど実は真面目で昆虫が大好きな西森、自由に生きているように見える帰国子女のアズサ。
バラバラに見える三人が、園芸部という居場所を見つけて、互いに影響を与えあって成長して変わっていく物語です。三人をを見守る、園芸部の顧問「ひらりん」こと平林先生もいい味を出しています。
三人の園芸部は、野菜畑と花畑を一体にした「ポタジェ」を作ることになりました。
男子二人が野菜を、女子のアズサが花を希望したので、それらが渾然一体となった様式を持つ「ポタジェ」に決まったのですね。野菜と花は、相性がいいものもあり、コンパニオンプランツとして害虫を寄せ付けない働きをしたりする場合もあります。
そんなポタジェは、実は三人の関係そのものであり、台風を乗り越えたあとのハーベスト(収穫)とは三人が踏み出す新しい一歩を象徴しているのでしょう。
「ここじゃないどこかを探している」
人はだれでもそうなのかもしれません。そうでなかったら、人は変われないし成長もできないし。
と、いうようなことを感じたのですが、まとめるのに時間がかかってしまいました。
こんなふうに、育てられたら良かった。そう思った。後悔のない子育てなんかきっとない。それでも。もっと早くこの本と出会えていたら、私はあの子をここまで傷つけなくてもすんだかもしれないのにと思ってしまった。
きっとこの本は、図書館のYAの棚に並ぶのだろう。でも、その親にも届くといいなと思う。
きっとたくさんのことを考え、感じると思う。そしてそれが、誰かを助けることになるんじゃないかなと思う。
花壇に花を植えるくらいの園芸部かな?と軽い気持ちで読み出すとすごく本格的な園芸でびっくり。
「ポタジェ」には憧れがあり、いつか作ってみたいと思っていました。訳ありの中学生3人がまるでポタジェに植えられた植物のようにお互い影響されながら育っていくさまに感動しました。
オクラの花の美しさ、トウモロコシの強さ、土の中で育つニンジン、成長速度も違うし味や見た目も違うけどみんな違ってみんないい。自分の居場所を見つけたい子どもたち、植物や昆虫が好きな子どもたちに読んでもらいたいです。
ちょっとした外れ者3人×園芸部、とくると魚住直子さんの『園芸少年』を思い出しますが、こちらもさわやかな青春部活小説。似た世界観ではありつつも、主人公たちの抱えているものが違うからこそ描かれる世界も違って、どちらも味わい深いです。
自己主張を是とする国からの帰国生のアズサとNoが言える日本人の西森君と触れ合う中で、いいたいことを口に上らせることが不得手な主人公が変化していく様子が繊細に描かれている。主人公が成長するだけでなく、他の2人も部活で関わるなかで互いに影響し合い、育ちあっていく様子こそがポタジェのよう。
世の大多数の人は「園芸部ってお花育てるものでしょ?」というアズサ的感覚かもしれませんが、いつも学内1,2の部員数(中高あわせて今年は80人超)を誇り、花に限らず植物も育てるところから加工まで(花ならポプリやドライフラワー、植物ならたくあん・梅干・ケチャップ・餅つきなどなど)やるのが当然の本校の園芸クラブとはまったく違う活動や畑の様子は、「外の世界の園芸ってこんな扱いなんだなぁ」と、園芸が身近にあるからこそのギャップを感じそうですが、発芽のうれしさ、協働のよろこび、自分が育てたものを食べた時の口福感は、1年生で必修の園芸をやった生徒たちも共感しながらたのしんで読んでもらえると思います。
小学生の最初の頃、クラスで一言も発せなかったサクヤ。転校した先で仲良くなった優ちゃんをきっかけに話せるようになったけど、受験でうまく行かず、優ちゃんとは別々の学校へ。ドキドキの中学生活で入った園芸部。
ここで出会った先生、仲間。クセ強だけど、優しい仲間と園芸部で過ごす毎日で、心配性の母や周囲との関係性も変わって行く、温かい物語だった。
何気に先生がいいなー。
出自や性格は皆それぞれ違っても、一緒にいるうちに、お互いがお互いの良さを生かして高め合う、ポタジェのような青春の物語。言いたいことが言えずソーシャルスキルが弱いことを気にしている黒田くんが、園芸の仲間たちにはボケツッコミまで出来るようになって微笑ましかった。彼らの成長編もぜひ読んでみたいです。
三人しかいない園芸部、それぞれ個性が異なった3人の部員。こんなに性格が違って一緒に部活できるの?
一緒に過ごすうちにわかってきたそれぞれの事情、だからこそそれぞればらばらのことをしていても心地いい。話し合って理解し合い、ぶつかり合って友情を深める。三人の関係はまさに「ポタジェ」のように育っていく。畑作りって、人作りのようだ。
幼い頃から人とうまく話せない朔弥。中学生になり、担任が顧問の3人だけの園芸部に入部!シングルマザーでブラジル人の血を引く西森くん、帰国子女で2年生のアズサとともに花や野菜を育てるうちに、朔弥の心もしっかり育っていったと確信。3人がそれぞれの個性を持っているからこそ、人を思いやり、尊重できる関係を気付けている様子は「君たち、ステキだよ」と言いたい!人それぞれに個性があり、それがどこで開花するかわからない。思春期だから悩みも絶えないけれど、自分を肯定するって大切だな〜。