だれもみえない教室で

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刊行日 2023/01/24 | 掲載終了日 2022/12/31

ハッシュタグ:#だれもみえない教室で #NetGalleyJP


内容紹介

いじめという「現実」からはけっして逃れられない――。


『となりの火星人』『あした、また学校で』『サイコーの通知表』と、小学生の生きづらい現実に寄り添った話題作を放った工藤純子氏の書きおろし最新作です。

小6のクラスで起きた、ランドセルに金魚のエサを入れられるといういじめ。被害を受けた子も、エサを入れた子たちも、いじめが起きている空気を感じつつ声をあげられなかったクラスメートも、そして、過去に加害者としていじめに荷担した担任の教師だって、
いじめという「現実」からはけっして逃れられない――。
そんな痛烈なメッセージが込められた一冊です。

著名人が過去の「いじめ」について声をあげたり、中にはその過去から復讐されたりといったことが現実に起きています。そんな今だからこそ、お届けしたい一冊です。小学校の高学年以上であれば読めるよう、ルビがふってあります。

カバー装画は、ミニチュア写真家・見立て作家としてNHK連続テレビ小説『ひよっこ』のタイトルバックや、一般文芸作品の装画で活躍中の田中達也氏が担当します。

いじめという「現実」からはけっして逃れられない――。


『となりの火星人』『あした、また学校で』『サイコーの通知表』と、小学生の生きづらい現実に寄り添った話題作を放った工藤純子氏の書きおろし最新作です。

小6のクラスで起きた、ランドセルに金魚のエサを入れられるといういじめ。被害を受けた子も、エサを入れた子たちも、いじめが起きている空気を感じつつ声をあげられなかったクラスメートも、そして、過去に加害者とし...


出版社からの備考・コメント

★校了前の仮データを元に作成しています。刊行時には内容が若干異なる場合がありますがご了承ください。

発売前の大切なゲラをご提供させていただいております。弊社では、下記のような方からのリクエストをお待ちしております。
○発売に向けて、一緒に作品と著者を応援していただける方
○NetGalleyへレビューを書いてくださる方
○自分には合わない内容だった際、どういったところが合わなかったかなど、建設的なご意見をくださる方

下記に該当する方のリクエストはお断りさせていただく場合がございます。
ご理解のほど、宜しくお願いいたします。

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販促プラン

読み終わりましたら是非NetGalleyへレビューを投稿ください!

著者・担当編集者ともに楽しみにお待ちしております。

また、適したメディアやお持ちのSNSにもレビューを投稿いただき、多くの方に本を拡げていただけますと嬉しく幸いです。

※発売前作品のため、ネタバレになるレビューはくれぐれもお控えくださいませ※

ご協力の程、何卒宜しくお願い致します。

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恐れ入りますが<講談社 販売部>まで直接お問合せをお願い致します。

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作品の拡材や指定配...


出版情報

ISBN 9784065303931
本体価格 ¥1,400 (JPY)

NetGalley会員レビュー

いじめを受けた者、いじめた者、いじめに加担した者、担任教師の視点で物語は進み、周囲の対応や、それぞれの感情、言い分がわかるように書かれていました。いじめはあってはならないことだけど、起こってしまったことにいち早く気づき、適切な対処をすることが必要だと、理屈ではわかっていても、そのように動けないこともあると思います。担任教師のように、最初で間違ってしまっても、それに気づき、過去の自分や、教師としての自分に向き合い、子どもたちのために出来ることを考えられるようになっていく姿に心を動かされました。子どもたちの心の動きも丁寧に書かれていて、いい形でラストが迎えられたことにホッとしました。いじめられた側は忘れないけれど、いじめた側は忘れてしまうとよくいいますが、本当は忘れているのではなく、無かったことにしたいだけなのかもしれないと思いました。

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『サイコーの通知表』を貸した後、研究主任クラスのベテランの担任が、「すごく面白かったです!作者さん、こんなにも学校の内側が分かってらして、なんだかちょっと怖い気もします。(苦笑)」って仰っていたんだけど、本作は、図書室で購入したら、真っ先にあの先生に読んでもらいたい!と思いました。それくらい、たぶん学校の先生にとっては、「怖い」本になり得る作品です。

よくあるいたずらなのか、いじめなのか。謝るとは、仲直りとは、どういうことか。子どもの権利とは?親の立場、先生の立場、その思い。PもTも、もちろん子どもも、それぞれが読んで、感想を聞き合う読書会ができるといいな。。どこに、誰に共感するかは、その人がそれまでにどうやって生きてきたかと密接に関わるから、おもしろいことになりそう。

『茶色の朝』や『チキン!』、それに実際にあった事件のことも、うっすらとした膜の中に溶けている感じがしました。

発売、1月末なのか、、今の学校に入れられるか微妙な時期だな。。なんとしてでも入れたい。

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ある日の放課後、颯斗が「いたずら」と称し、清也のランドセルの中に金魚の餌を入れた。
それを止めることができなかった連。
友だちだと思っていた連が、颯斗と一緒にそんなことを……と裏切られたような気持になる清也。
息子のランドセルの中に金魚の餌を入れられたことに気がつき学校に抗議の電話をする清也の母親。
上辺だけの反省の言葉を颯斗に言わせて「これで仲直り」とおわらせてしまう担任教師。
済んだ事のはずが、水面下でどんどん膨らみ、それが水面上に現れてくる……。

いじめた者を、どう扱うのか。
消すことのできない過去の行いを、許すわけではなく、復讐するわけでもなく、どう決着をつけるのか。
とても興味深いラストだった。

いじめる側、いじめられた側、見て見ぬふりをした側、担任教師の側、と章ごとに視点が変わるので、各々がどのような気持ちや考えで、この出来事と関わっているのかがわかる。
そのおかげで、はじめのうち嫌悪感を抱いた担任教師に、物語後半で好感を持つようになった。
いじめを「子どもたちの間で起きた問題とするのではなく、大人と呼ばれる立場の人間も大いに関わっている問題だと受け止めよ」という著者からの強いメッセージを感じる。
実際、逃げ場のない教室という狭い空間で起きる問題は、人生経験の少ない子どもたち」だけで解決することが難しいことも多いだろう。
そんなときに、頼りになるはずの大人が、子どもたちに「大人に言っても無駄だ」と思われてはいないだろうか。
児童書なのだが、子どもたちよりも、むしろ親や先生といった大人が読むべき物語だと思った。
もちろん、子どもが読んでも、「こういう時、自分だったらどうするか」と、教室内で起きるいざこざの対処法について考えるきっかけになると思う。
子どもたちの考え方が、小学校6年生にしては少し大人びているような気がしたが、今の子どもたちは早く大人にならないといけないからなのかもしれない。

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この教室に私がいました。私は巻き込まれたくなくて見て見ぬふりをした一人。
あなたもこの教室のどこかにいるのではないでしょうか。

p29の「目に見える傷は治るけど、目に見えない傷はいつまでもじくじくと心に残った」
この言葉が読んでいるあいだずっと心に刺さっていました。
いたずらでも、いじめでも、目に見えない傷が癒えるのはとても時間がかかります。

今辛い人たちにとっては、こんな展開にならないよと思ってしまうかもしれません。でもどうか声をあげることを諦めないでと私はこの本を読んで伝えたいと思いました。

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いじめられた子、いじめた子、傍観していた子……それぞれの視点で語られる、小学校六年生の、あるクラスの物語。かなり息苦しく辛い展開が続くが、リアリティがあり、読み応えがあった。子どもだけではなく、(かつて子どもだった)大人の苦悩と葛藤も、きちんと書かれていて物語に奥行きと説得力を与えている。

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いじめられる子、いじめる子、そばで見ている子、担任の先生…色んな人の視点でいじめが描かれている。いじめを止めなかっただけでも、いじめに加担している。いじめられた側は、大人になっても忘れない。いじめた側には一生の傷が残る。よく言われることだけれど、それぞれの立場のリアルな気持ちがこの本に込められていて、改めて身につまされる。
子どもたちが大人に意見することはとても勇気がいるし、怖いこと。そのことを、私たち大人は忘れてはならないし、教師も保護者も大人として、子どもたちを守る責任がある。そして、子どもの話をちゃんと聞いてくれる大人は必ずいるから、子どもたちは、大人に自分の気持ちを話すことを諦めないでほしい。
現時点でいじめがある・ないに関わらず、子どもにも大人にも読んでほしい本。

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さすが人気作家。今作も良かった。
いじめはどこにでもあるし、なくならない。
加害者も被害者も、お互いが心に消える事のない傷や後悔が残っていく。それを持っている間だけでも、もしかしたらいじめは減るのではないだろうか。
物語はそれぞれの目線で語られていくので、それぞれの言い分が良く分かる。
からかい半分の意地悪も、被害者が嫌がればいじめになる。全て被害者側の捉え方で決まる。この定義が自由を奪う時もある。
先生が、お互いに謝って仲直りをさせる。というやり方も、今では絶対にやってはいけない事だと指導されている。
とにかく言い分を聞いて、寄り添って、歩み寄って仲直りまで持っていく。かなりの時間と労力がかかる。
勉強だけを教えるのが教師じゃない。分かっていても逃げ出したい時もある。
大人が読んでも、子どもが読んでも深く考えさせられる内容だった。

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子どものうちに、「消えてしまいたい」といった、闇&ネガティブな感情と向き合っておくことには、かならず意味があるのだろうなと、読みながら思った。

一方で、苦しいときは逃げてもいいことを伝える場面もあり、押しつけがましくなくて良かった。

ラストシーンの、ある教師が追い詰められる展開には恐ろしさを感じたものの、読書の子どもたちにとっては胸がスカッとする気持ちのいいオチなのだろう。

同じ6年生の子どもを育てる親として、身の引き締まるような内容だった。

たくさんの学びや気づきを与えていただいたことに感謝したい。

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トラブルを見て見ぬふりでいいのか?
何もしないのは同罪なのではないか?

一貫してこんな疑問を投げかけてくる作品でした。いじめに対して自分はどうあるべきか、子どもが考えるよいきっかけになりそうです。

大人目線では、子どもの声に耳を傾けることの大切さを実感させてくれる作品でした。主人公の一人が”大人も、学校も、信用できない”と思いつめる場面がありますが、そうなるまで子どもを追い詰めないよう私も気を配りたいです。

子どもだけでなく、大人も含めて主人公を切り替える手法は『あした、また学校で』(2019.10発売)でも使われていましたね。様々な角度から描かれることで、物語の全体像がよりクリアになるだけでなく、大人も感情移入しやすくなっています。

そして、子どもの成長を描く児童書はよくありますが、この作品では大人も成長します。誰にでも気づきがあると思いますので、幅広い層に読まれて欲しいですね。

こんな素敵な本を世に送り出していただけるのが、ただただ嬉しいです。

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誰がなんと言おうとも、いじめはしてはいけない。大切な人を被害者にもしたくないし、加害者にもしたくない。そして、大多数の傍観者にもなりたくない。作中の様々な立場の人たちの言葉がぐさぐさ刺さってくる。
何故いじめがなくならないのか、私たちの本気が試されているような作品でした。

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現在の子どもたちの気持ちや立場は、型にはめることができない。作者はそうした子どもたちの姿を丁寧に表現しながら、学校という閉鎖空間で生きる子どもたちや、周りの大人たちと向き合っている作家の一人である。

ここに登場する子どもたちは、特別な才能や不幸を背負わされた子どもではない。読者の子どもたちに共感できる、一人一人違った、普通の子どもたちだ。
だからこそ、物語は複雑で、見えにくい生きにくさを抱えた現在の子どもたちに近く、寄り添って響く。
さらに、子どもと関わる教師や保護者、大人たちにも、子どもの見えにくい立場を可視化させながら、同じ空間を生きることへの可能性を開いて行こうとする。作者の工藤純子氏は後藤竜二氏の開いた子どもの物語の正統的伝承者である。

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「いじめ」をテーマに扱った工藤純子さんの書き下ろし最新作。『となりの火星人』『あした、また学校で』『サイコーの通知表』など、学校という小さな社会で起こる小学生の心の悩みや苦労を緻密な描写で見事に描ききる工藤さんの作品とあれば、この最新作に期待を抱かない読者さんはいないと思う。そして、まさしく、期待以上の作品だった。

「いじめる側」「いじめられる側」だけの立場だけではなく、「いじめ」に加担してしまう側、見て見ぬふりをしてしまう「傍観者」(英語でいうとbystander)、「いじめ」があるクラス担任、学校、親の立場など、様々な立場の人の視点を交えながら、この話は進んでいく。

仲良しだった小学生5人組の連、清也、幸太郎、渉、そして颯人が、6年生になると颯人の態度の変化により、何かがおかしく回り始めてきた。清也の「いつだって正しい」姿勢にイライラした颯人は、清也をいじめ始める。「何かがおかしい」と思いながらも、仲良しだった清也を助けることもできず、知らずしらずのうちにいじめに加担することになってしまった連。一度回りはじめた歯車はなかなか元に戻らず、親や教師、学校も巻き込んでいくことになる。しかし、「いじめる側」「いじめられる側」「いじめ加担者」そして「傍観者」のそれぞれの心の叫びが、親や教師、そして学校もよい方向に変えていくことになる。

担任のハラちゃん、こと原島先生のかつての友人が原島先生にこういう言葉を投げかける場面がある。「大人が守ってあげなかったら、だれが子どもを守るの?」「子どもたちから逃げないで」―大人は子供の世界に踏み込めない、だから、「いじめ」がおこっても子供達だけで解決できるだろう、と思っていた原島先生の心に重く響く言葉だった。

私たち大人も、子供なのだから子供たちだけで解決できる、と考えがちだが、子供がSOSを発した時には、ためらわず、子供の世界に飛び込んでみるのもいいかもしれない。かつて子供だった自分を思い出しながら。

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いじめかいたずらか。
どちらにしろやられて嫌な気持ちになることは悪ふざけでも決してやってはならない。
ふざけててそうなっちゃっただけで、本当は仲良しなんです。
そんな言い訳を信用する先生もいる。いじめる子は大体言葉が立つ子が多かったりもする。
起こったことだけを見るのではなく、それぞれの家庭環境や心身に何が起きてそうなったのか把握する必要性もある。
保身から無かったことにする教師や学校もあるのは現実で、第三者委員会で現実を突き止められ学校側が初めて謝罪する報道も何度となく見てきた。
見て見ぬふりをするのも傷付いた側からするといじめた側と同じ空間にいるのだ。
息子の学年で特定の子をみんなでからかったり、きつい言い方になってることがあったりしたと聞いた。
一部の子は分かっていてやっていて、分かっていないけど周りがやっているからと一緒になって悪気が無くやっていた子もいたそうだ。どうして悪いのか理解していないのが1番怖い。と先生はおっしゃっていて、きちんとそれぞれに対応しておられた。
相手が嫌な思いをしていたら、悪気が無くてやったとしても、見て見ぬふりをしていても同じこと。
自分がやられて嫌なことはやらない。
(難しいかもしれないけど)人がやっていたら注意する。
もしそれが出来なければ先生でも親でも大人に助けを求めること。(役に立たないケースもあるが、そこはもごもご。)子どもたちに再度伝えたけど、まずはこの本も読んで欲しいなと思ったし、他の方にも色んな世代の方にも読んで欲しいと思った。
工藤さんらしい終わり方で彼らの未来が楽しみになった。

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いじめの事情(クローズアップされがちないじめられた子だけでなく、いじめた子、見ていた子、先生、保護者など)がストーリーに沿ってよく理解できるように描かれていると感じました。
いじめられた子を罰して謝らせれば終わり、と安易に考えられがちないじめの問題の所在がどこにあるのか、こどもも大人も考えるきっかけになる作品だと思います。
特に教師の事情に関してはよくリサーチされているなと感じました。学校側の内情をリアルに描いており、作者さんの問題関心がよくあらわれた部分だと思います。個人的には主人公は先生だと感じましたが、こどもたちは、この作品をどう読み、特に誰に感情移入するのか、興味があります。

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工藤純子さんの新作。可愛らしいお話を書く作家さんだと思っていたけれど、「セカイの空がみえるまち」あたりから、シリアスなお話を発表し始めて、ぐっとファンになりました。今回も、いじめがテーマ。重いけれど、工藤さんはいつも、こどもの側からお話を書いている気がします。
児童文学者と言っても、なんというか、「先生」が抜けないみたいな作家さんもいますが、こどもが読む本が、こどもとちゃんと向き合う作家さんによって書かれているというのは大切なことだと思いました。
お話の初めがドーンと重くて読み始めちょっと苦労しましたが、苦労してでも最後まで読む価値のある本です。読めてよかった。ありがとうございました。

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長男が作中の子どもたちと同じ小6なので、物語の先が気になり一気に読み終えました。
大人から見ればいたずら以上いじめ未満に思える嫌がらせが発覚し、担任と学年主任が初動を誤ってしまいます。
もがく子どもたちに寄り添う大人の少なさに、序盤は暗澹たる思いを抱えながら読みました。
このままでは学校も傍観者のままではないか、と思っていたところに担任の旧友が登場し、担任自身が過去のいじめに向き合うことで事態が少しずつ好転していきます。教員が抱える数々の問題点も丁寧に描かれているので、学校に勤務する一人として考えさせられる部分が多かったです。
単にいじめは悪いことだというだけのお話ではなく、いじめてしまう子が自分を取り戻すために一度家から離れる展開になっているところに希望が持てました。子どもたちの心境の変化を表すような空模様の描写が見事で、田中達也さんのミニチュアの表紙もストーリーによく合い素敵でした。

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工藤先生は、今までも学校や子供に関する、現代的な問題を積極的に取り上げてきて、それを読んできました。
本作はその中でも、現実に起こっている問題を真正面から取り上げ、更にそれぞれの立場から描いているのに、息をのみました。
児童書と言うより、大人、親、教師に読んで欲しい作品だと思います。

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この物語の凄さは、「いじめられた」話ではなく「いじめた」側の追い詰められた心情に迫っていくところ。担任教師の過去のいじめの告白を含め、やったことからは生涯逃れられないという厳しい裁断を突きつけられる。
だからこそ、清也のランドセルに金魚の餌を入れるといういじめを友人を巻き込んでやらせた颯斗の内面を炙り出していく筆致には鬼気迫るものがあった。また、結果的に傍観者になってしまった連たちの居心地の悪さにもきちんと焦点を当てているところが秀逸。学校、教室という閉じた場所で起こることの恐ろしさ。揉み消し、口をつぐむことでねじ伏せられてしまう真実を追求する難しさ。ひとりひとりの心に疵は残った。でも、彼らのこの先にきっと自分を見つめる目は在り続けると思います。

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「いたずら……いたずらって、もっとお互いに笑えるようなやつじゃないのか?」
 いたずら(いじめ)に加担してしまった小学校六年の少年の呟き。物語は、章ごとに「オレ SIDE」「ぼく SIDE」「先生 SIDE」「もう一人のオレ SIDE」と四人の登場人物の主観で語られ、他人には言えない心情が物語にふくらみを出している。何故、いじめてしまうのか。何故、いじめに加担してしまうのか。何故、いじめを傍観してしまうのか。
 傍観していたら、誰も見えなくなるかもしれない。そんな本質に斬り込んだ小説のタイトルであると思った。
 いじめがテーマであるが、読後感は明るい。

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どこまでがふざけ合いで、どこからいじめになるのだろう?

仲良しだった蓮たち小6男子5人。いつからかギクシャクし颯斗が清也のランドセルに金魚のエサをばら撒く。止める事ができない蓮。清也の母は学校に連絡するが、先生の選択は子供達も納得しかねるものだった。

漢字にルビがふってあるので児童書になるのでしょうが、親世代の方にも読んでもらいたい一冊でした。

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いじめをした側された側、その親、教師…。どの側から見てても解決策があるような気がしない。もちろんそもそもいじめをしないのが当然のことなんだけど、その気が無くてもいじめになってしまった場合、そういう場に出会ってしまった場合、正しい行動が取れるのか、考えさせられた。

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教室は小さくて大きな世界だ。
さまざまなことが毎日起こる。
小さな事件やすれ違いが、世界を大きく揺るがすことがある。
一人一人の思いや立場を丁寧に目の前にさし出してくれたのが、この作品の大きな魅力だと思う。
特に先生の立場にいる一人の人間の弱さ、ずるさ、そしてひたむきさを淡々と語っていて、
胸が詰まった。
当たり前だが、一人一人人間は違う。
それぞれもがきながら、笑ったり泣いたりしながら生きている。
希望の光がゆれているような作品だった。

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些細な悪戯がどんどんエスカレートしていく様が丁寧に描写されている。
単純にいじめっ子を罰するのではなく、また不甲斐ない先生や、いじめっ子を歪ませている家庭を単純な悪者にするのでもなく、簡単に答えを出さずに考え続ける姿勢が児童向けとして真摯だと感じた。

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胸がぎゅっと締めつけられるような冒頭。匂いや空気感まで伝わるようだった。
戸惑う先生の気持ちも、いじめを大人に何とかしてもらうなんて無理だと悟っている子供の気持ちも丁寧に描写している。子どもの世界の言い分、大人の社会の言い分、共感できる。学級会のシーンでは思わず涙が出てしまった。子どもだけではなく、大人にも読んで欲しい作品だ。

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歳の近い若い先生は、昔から何だか特別だったなと思います。

わたしは学校生活がとても難しかったですし、いまでも戻りたいとはとても思えません。あの箱の中に自動を押し詰めるのは危険すぎるといまでも思っています。
人が集まるところには必ずなにか面倒が起こると思います。

学校の先生の対応も困難そうでしたが、なにより学校への信頼を失った時のその親たちの心情は、誰しもとても身に覚えがあるのではないでしょうか。

こどもの描写がとてもお上手で、さらに読者の痛いところを突いてくる小説だと思います。

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ほんのイタズラのつもりが、度を越すと相手の心に大きな傷となって残る。小学生の颯斗の生育環境から、「なぜそうしたのか」、担任の過去の経験、蓮の叔母の職場での出来事を含めて、周りが「見て見ぬふり」をするのもイジメに加担した事になる。どんなに謝ろうとも記憶に傷として残る。颯斗がした事に気づけた事は重要だった。小高学年以上の道徳に繋がるような話しだった。「人間には都合の悪い事を消し去るスイッチがあるのかもしれない。」って、大人にも当てはまりすぎて、重いけれど言われなければきづけない内容。これは大事。

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子供達は、大人よりもよっぽどちゃんと考えている。
これはどちらかというと、職員室に置いておくべき本ではないかと思いました。
先生こそ読んだ方がいいと思います。
いじめというのは程度の差こそあれ、あちこちで起きている。
他の人から見たらどんなに小さなことでも、当事者にとってはものすごく嫌な、一生心に傷として残るものかもしれない。それをこの本では最初、先生は無理やり仲直りさせてやり過ごそうとしました。
そんなことでは子供達のモヤモヤは収まらない。
そして加害者になった子にも、颯斗のように何か苦しいことを抱えてその吐き出し口としてやってしまっているのかもしれない。
いじめに加担した人として原島先生が、当時の被害者に出会ってものすごく後ろめたい思いをする。
子供達はそういった禍根を残さないように、教師は問題を解決するのにしっかり子供達と向き合わなくてはいけないなと思いました。

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いじめたこと、いじめられたこと、それを傍観していたこと。誰しもどれかは経験があるだろう。それぞれの立場なりの理由や言い分もあるけれど、いじめた事実は消えてなくならないし、いじめられて傷ついた心も元には戻らない。自分が子供時代を過ごした頃よりも今の子はストレスにさらされ、人間関係も複雑化している。子供の世界は大人が思うより狭くて密だ。もっと大人が眼差しを向ける必要があるのに大人にも余裕がない。この物語のようにきれいにはいかないと思うけれど、難しい問題だからと投げ出さずに社会全体で考えていく問題だと思う。児童書のようだけれど親や教師には是非読んでほしい。それぞれの視点から語られる構成の妙が光る一冊。

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どこの学校でも、どの家庭でも起こり得そうな事で、とても身につまされながら読み終えました。同調圧力に負けてだめなことをだめと言えなかったにたような経験子供時代にあるなぁ。逆に標的になった経験も・・・・。どんな時も、しっかりSOSを受け取ってあげられる大人でいたいと思う。物語のラスト、最初は頼りなげだった原先生がしっかりと先輩教師に意見していた場面が良かった。今の現状の教育現場は本当に大変だと想像しますが、こういう風に子供の立場に立って見方で居てくれる様な先生がもっともっと増えたらいいし、また行政にはそういう環境を維持でき得る体制を整えて言って欲しいと切に願います。

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いじめが0の学校が良い学校という幻想をもういい加減になくしていじめがいくつあってどんな対応をしたのかの方が評価されるべきです。そして先生は忙しすぎて生徒たちに向き合う余裕がないように思うので仕事を出来るだけアウトソーシングして専門的にしたらいいのにと思います。あと、いじめの問題は学校も当事者です。当事者たちだけでは解決しきれないと思うので外部の人の目が必要だと私は思います。

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いじめ 先生 立場 ブラック 大人のいじめ

いろんなコトバが思い浮かびました。

とてもリアルに感じるけれど
どれくらいリアルなんだろうか?

そんなことが思い、考えました。

いろんな角度から描かれていて、とても想像力を刺激されます。

私は、小さい子じゃない、小学校中学年以上ぐらいの子に「あやまって」というシチュエーションが嫌いです。
された子はあやまってほしいわけではなく、やめてほしいのだと考えているからです。

小さい子はあやまる練習をしたほうがいいのかもしれませんが、
十分に自分の考えを持てる年齢の子は自分の考えであやまったりやめたりするべきではないでしょうか?
大人の自己満足で謝罪させるのはちがうと思います。

読んでいて腹が立ったり、悲しくなったりと
とても感情が揺さぶられるお話でした。
よかったです。

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まず表紙とタイトルに惹かれた。

仲良しだったはずの5人。
颯斗が他のメンバーをけしかけて、清也のランドセルに金魚のエサを撒いたのはちょっとしたいたずらだったはず...。
でも、本当にただの悪乗り?悪意はなかった?

6年生という微妙な立ち位置は、自意識と自立、親からの干渉などエネルギーとストレスの間に身を置き、ともすればあらぬ方向に走り出してしまう。
颯斗も走り出してしまった自分の行動を抑える術を、まだ知らなかったのだろう。
そんな彼を受け止める誰かがいれば、もう少し早い段階で止めることができたのかもしれない。

けれど、頼りなかった担任も、葛藤しながらも傍観していた連も変わり始める。
颯斗も自分自身に問いかけ、気持ちをぶつけるべき相手が誰なのか向き合うようになる...。

なかなか息苦しいストーリーだが、最後まで一緒に悩み考えることで読み手も大きく成長する、そんな物語だった。

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