エツコさん

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刊行日 2022/12/25 | 掲載終了日 2022/12/10

ハッシュタグ:#エツコさん #NetGalleyJP


内容紹介

エツコさん、78歳。最近自分の輪郭が、ゆらゆらしているーー。

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友達の家に向かうとちゅう迷子になって、前を歩くおばあさんに声をかけた、樹(たつき)。

あれ、このおばあさん、どこかで会ったことがあるような……。そうだ、エツコ先生とよばれていた、認知症のおばあさんだ。

すこし不安になりながらも、自信にみちた足どりで進むエツコ先生のうしろを歩いていると、ある苦い記憶がよみがえってきて……

エツコさんと5人の小学生の、少し不思議で幸せに満ちた「記憶」をめぐる連作短編集。


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【著者プロフィール】

昼田弥子(ひるた みつこ)

1984年岡山県生まれ。子どもの本専門店メリーゴーランド主催の童話塾で学ぶ。作品に、第52回日本児童文学者協会新人賞を受賞した『あさって町のフミオくん』(ブロンズ新社)、『コトノハ町はきょうもヘンテコ』(光村図書)などがある。


光用千春(みつもち ちはる)

1986年神奈川県生まれ。漫画家・イラストレーター。2009年『こどものころから』が第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門審査委員推薦作品に選出される。作品に『コスモス』(イースト・プレス)、『たまご』(小学館)などがある。

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エツコさん、78歳。最近自分の輪郭が、ゆらゆらしているーー。

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友達の家に向かうとちゅう迷子になって、前を歩くおばあさんに声をかけた、樹(たつき)。

あれ、このおばあさん、どこかで会ったことがあるような……。そうだ、エツコ先生とよばれていた、認知症のおばあさんだ。

すこし不安になりながらも、自信にみちた足どりで進むエツコ先生のうしろを歩いていると、ある苦い記憶がよみがえってきて……

エツコさんと...


おすすめコメント

『あさって町のフミオくん』『コトノハ町はきょうもヘンテコ』など、日常がぐにゃりとゆれる、ユーモアあふれる作品を手がけてきた昼田さん。

今作では、昼田さんらしい視点で、記憶の尊さや不思議さを、あたたかく描いています。

もし、いろいろなことを忘れてしまったとしても、そのとき見たものやきいたこと、その時々の気持ちは、自分のなかにきっと積み重なって残っていく。そう思うことができる一冊です。

子どもたちだけでなく、大人の方にも、大切な人のことを思い浮かべながら読んでいただきたい作品です。


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※校了前のデータを元に作成しております。実際の刊行物とは異なる場合がございます。




『あさって町のフミオくん』『コトノハ町はきょうもヘンテコ』など、日常がぐにゃりとゆれる、ユーモアあふれる作品を手がけてきた昼田さん。

今作では、昼田さんらしい視点で、記憶の尊さや不思議さを、あたたかく描いています。

もし、いろいろなことを忘れてしまったとしても、そのとき見たものやきいたこと、その時々の気持ちは、自分のなかにきっと積み重なって残っていく。そう思うことができる一冊です。

子どもたちだけでなく...


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出版情報

発行形態 ソフトカバー
ISBN 9784752010210
本体価格 ¥1,300 (JPY)

NetGalley会員レビュー

とても不思議で優しいお話でした。
児童書だけれど、これは大人にこそ勧めたい本です。

エツコさんには、中村さん、エツコ先生、エッちゃん、お母さん、おばあちゃんと呼び名があります。その呼び名で思い浮かべる人がいるかもしれません。私は母が認知症なので、自然とお母さんと呼び掛ける娘の気持ちで読んでいました。
エツコ先生自身も「ときどき自分がみつからなくなるの。」と忘れていく自覚があるのもとても切ないです。
忘れてしまってもなくなったりしないものがあるということに、とても救われました。
何よりエツコ先生と関わる人たちの優しさに心が温かくなりました。

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認知症のエツコさんと、同じ街に住む子どもたちが交流していくお話。記憶をなくしたり、自分や相手が誰だか分からなくなっていくことは、本人にとっても家族にとっても、とてつもない恐怖だと思う。でも、孫の真名ちゃんみたいに「おばあちゃん」と呼びかけてくれる誰かがいたら、記憶を手繰り寄せることができるかもしれない。もし自分の家族が認知症になったら、絶望的になりそうだけど、記憶の命綱を握っているのは自分かもしれないと思うと、諦めずに呼びかけ続けたいと思う。
記憶がなくなっても、その人が経験したことはなくならない。覚えていられる人がいれば、それでいい。そんな気持ちで寄り添えたらいいなと思う。

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中村さんちのエツコさんと、5人の小学生がふとしたきっかけで体験する、日常から非日常へ足を踏み入れるちょっと不思議な出来事のお話。
3編目の『お守り』がエツコさんと旦那さんの絆というか愛情を感じられてほかほかした気持ちになります。航平くんも苦手をすこし克服したようだし、どのお話も優しさがあふれているけど、個人的にこのお話が大好きです。
まだ認知症の初期の段階だからか、“なにかを忘れて”しまっている自分に気づいてしまうエツコさんの心細さ、思い出せた時の安堵に、こちらまでぎゅっと心が絞られるようでしたが、忘れてもなくなってしまった訳ではないと、空白を許容する真名ちゃんの気づきにはっとさせられました。児童書だけど、年齢を問わず読んでほしいです。

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どうしたら認知症の人に対してやさしく寄り添えるかな。そんな気持ちで読みました。
作品の初めのうちは、時々わからなくなってしまうけど、アクティブで、ちょっと魔法使いめいたおばあさんだったエツコさん、でも最後の方には、小学生だった孫の真名ちゃんも中学生になっていて、エツコさんの様子も以前とは変わっていて、、、少し寂しくなりました。
でも、子どもたちは優しいですね。エツコさんと会った時は、初めは訝しむけど、すぐに受け入れていくように思いました。
児童書ではありますが、もしかしたら身近に高齢の人のいる大人に、より受け入れられる作品のような気がしました。

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認知症のエツコさんと、ご近所で生活する子どもたちの交流がしみじみと味わい深い物語。エツコさんは、端から見れば危なっかしいけれど、子どもたちがエツコさんとの関わりで気づきを得たり、決意をもって行動に出たりする。こういう物語を読むと、他人との関わりが希薄な時代だが、異世代との交流は社会生活において必要なことだなぁと感じる。とにかくエツコさんがチャーミング!

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むかし、小学校の先生をしていたエツコさん。
忘れっぽかったり、むかしに戻ってしまったり、ぼんやりしてしまったり。
「認知症」のエツコさんと出会う子どもたちは、みんなはじめは戸惑う。
でもエツコさんの住む世界の不思議な温かさに引き込まれて、すこし不思議な体験をした子どもたちの心は、エツコさんに会う前よりも豊かになるのだった。
優しい気持ちになれる連作短編集。

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職業柄、日頃から認知症の方やそのご家族に関わっています。
昔のことほどよく覚えていたり、記憶の時代へとトランスしたり、混乱してしまったり。よく目にする光景かもしれません。
作中に出てくるエツコさんは現役の頃は小学校の先生をしていて、今は娘さん一家と一緒に生活しています。
そして現実と昔の記憶の狭間で時々迷ってしまいます。
記憶が無くなったとしても経験は無くなりはしない。
忘れてしまっても人格を否定せず、その人なりを大事にする。
児童書にしておくには勿体無い作品でした。
心が温かくなる作品です。
全ての人に勧めたいです。

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もと小学生教師、認知症のエツコさん。その、ピントが合ったりぼやけたりする記憶がリアルで、時には傍らにいる人も彼女の見ている世界を体感してしまうほど。認知症をこのように描く作品は初めて読んだ。小学生から若者、中高年まで幅広く読んでほしい本です。

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人によって、中村さん、エツコ先生、エッちゃん、お母さん、おばあちゃんといろんな呼び方をされているエツコさんは、きっとみんなから愛されている人なのでしょうね。

 認知症の初期の頃は頭がはっきりしているときと、そうでないときが「まだら」なので、周りにいる人たちが困惑してしまうことがよくあるんです。でも、一番困惑しているのは本人だから、周りの理解が大事だということ、優しくフォローすることが必要です。

 認知症を隠すのではなく、こんな症状だから、みんなで助けてねというスタンスで暮らしているこの家族はいいなぁって思います。近所の人たちも、そんなエツコさんを優しく見守っているところがいいですね。

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エツコ先生は、まだ今の時代、若いのでは、と思うけれど、やはりもうそういう年なのかなあと思うこともあります。このお話を読んで、年をとるというのは避けられないことで誰にでも必ず起こることなのだから、年をとることに対して優しくならなくてはいけないなあと思いました。自分が子供の頃は、おばあちゃんやおじいちゃんのこと、あまり気にかけてあげられなかったけれど、このような作品を通して、たくさんの子供達が年配の方に理解と優しさを向けてあげてくれるといいなあと思います。

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認知症の近所のおばあさんと子どもたちの物語。
優しい人がたくさん出ていて、認知症って怖くないよ、変じゃないんだよって、そっと教えてくれている本。
認知症患者さんにとって、その家族さんにとって、ありのままに受け入れてもらえること大変助かります。

ただ、子を持つ親から見ると、自分が仕事で留守にしているとき、他人に子どもしかいない家に入られるのはゾッとしました。元教師であっても、退職後地域ボランティアしてくれて見守ってくれたとしても、それは受け入れられないです。ごめんなさい。
お話の中では仕事中なのに母がメールに気づき、早退して帰宅することができる環境であること…我が家では現実的ではないので特に印象に残ってしまいました。

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エツコさんは、最近、 体はそこにいるのに、心はそこにいなくなるのです。ときどき自分で、自分が見つからなくなるのです。わたしは誰なんだろう? この人達は誰なんだろう?ここはどこなんだろう?どうしてわたしはここにいるんだろう?でも、いつも、誰かによばれて、それまで深い霧の中でいたとしても、その声は霧を光で吹き飛ばしてくれる。声のお陰で、明かりがパァッてついたみたいに自分を見つける。「ああ、わたし、ちゃんとここにいるんだって」・・・「エッちゃん!」「おかあさん!」「おばあちゃん!」「エツコ先生!」・・・そばで見ている者からすると、そんな「いなくなった」エツコさんは、さびしすぎるものね。おぼえてないの?わたしだよ。あんなに楽しかったこと、一緒に見た映画、一緒にただ笑ったあの日、それはエツコさんとの間の記憶。エツコさんの心の不在に、自分の一部をなくすような痛みを感じてしまうのです。実さんだけはすべてわかっている心配だけど、ほかのみんなは困惑と、喪失感におびえながらの心配です。必死に、「自分とエツコさん」を抱きしめようと声をかけるのです。なくしたくない、そんなの悲しすぎる、さびしすぎる・・・
残念ながら、生きている間に、私たちは時々、色んな理由で、自分が見つからなくなることがあります。エツコさんは、認知症と一般に呼ばれる症状が出て、自分も周りも、困惑しています。
物語に登場した、ユウトくん。二年前の一日の記憶がどう手繰っても、思い出せないのです。ユウトくんはほかのみんなと違う感性、成長速度。それが理解できない父親とのギャップ。そのままを受け入れてくれた ” オオノさん ”との大切な思い出のはずの一日。その前日は日記を書かないでおこうとしたことまで、しっかり覚えているのに、大切なはずのその一日だけが思い出せないのです。
こたえは、「忘れても、ちゃんとあったこと」という言葉の中にありそうです。エツコさんもユウトくんも、一時、アクセスできないけれど、ちゃんとあったことはなくならないんです。パスワードをかけただけ。大切なものだから、決してなくしたりしないように、念入りの場所にしまった思い出。エツコさんには「声」、ユウトくんは、大切すぎてなくしたことを受け入れきれずに鍵をかけてた、「友達のなまえ」。
記憶というもの。忘れてもちゃんとあったこと。思い出は一人だけのものではない。一人で生きているんじゃない・・・人に、自分に優しくなる力を呼びもどすパスワードのような深く温かな作品です。
ありがとうございました。

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それぞれの章で主人公が変わる連作短編集。
章の主人公の小学生が、認知症のエツコさんと関わることで、記憶にまつわる不思議な体験をする。
章が進むにつれて、エツコさんの認知症も進んでいくのが切ない。
エツコさんの現状は物悲しいのだが、読後に悲観的な気持ちは湧いてこず、むしろ愛に包まれたような温かい気持ちになった。
エツコさんと関わることで、記憶が曖昧になったり、夢なのか現実なのかわからなくなったりする小学生たちの感覚や、記憶が飛び飛びになったり、若いころに返ったり、今がいつなのか、自分がどこにいるのかわからなくなる、エツコさんの不安な感情が、とても丁寧に書かれており、認知症を疑似体験しているようだった。
友情の物語であり、家族の物語であり、ファンタジーでもあり、心に残る作品だった。
小学校高学年から。

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まだらに、現実と過去を行き来するエツコさん、かつて街の人たちから愛され、信頼されていたエツコさん、今は誰もが少し心配で見守ってしまうような存在ですが、子供達と触れ合いながら、シャキッとしたエツコ先生になったり、若かりし頃のお母さんになったり。子供達はしばし戸惑いますが、不思議なエツコさんのほんわかな魅力に引き込まれて、いつしか自分達の置かれている状況を客観的に見ながら物事に折り合いをつけられるように成長していきます。現実と過去の記憶がまだらになるとは、どういう感じになるのだろう…エツコさんのように周囲を笑顔にするような未来が自分にも待っていてくれればいいなと思いました。

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認知症のエツコさんと5人の小学生との関わりを描きながら、記憶というものを解き明かしていく短編集。
思い出せないことは、記憶がなくなったということではない。思い出せなくとも、その時々の気持ちはちゃんと自分の中に降り積もっているはずだという真名ちゃんの気づきは、人が生きることの意味を言い当てていると思います。
自分の輪郭がゆらゆらしてしまうエツコさん。亡義父も認知症でしたが、こんなふうな寄る辺ない気持ちを抱えていたのかと今更ながら感じました。真名ちゃんの、祖母エツコさんを見る目が成長していくようすに目頭が熱くなりました。

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ガチ当事者家族として期待していた作品ですが、正直に言うと、序盤だけ読んで「これでは子どもたちに認知症のことが伝わらない」と感じ、投げ出していました。

ですが、発売が近くなったので、一応続きを読んでみたところ評価が大逆転。

終盤の認知症の本人の視点で捉えどころのない苦悩が語られる章と、彼女の孫の視点で語られる章が素晴らしかった!

気づきあり、共感ありの良質な児童書なので、最後まで読むことを強くお勧めします。

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やわらかい色合いの表紙と、何となく美味しそうでかわいらしいデザインの見た目と違って、ハードな内容だった。と言ってもどぎつい表現があるわけではない。章ごとに違う目線から語られる。子供たちのみたもの、感じたこと。
エツコさんとは誰なのか。同じ人物に色々な方面から光りが当たる。
これは現実だ、という思いに包まれる。これからもたくさんの人々の身の上に起こりうること。

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こんなふうに老いることができたら、どんなに良いか。
そしてこんなふうに、認知症の身内を受け入れる家族でいられたら、どんなに良いか。
現実は、厳しい。認知症の症状のひとつの暴言や妄想は、周りを抉り、痛めつける。それが認知症によるものだとアタマで理解していても。
優しくしたい、そう、この本の登場人物たちのように、受け入れたい。でも現実は想像以上に苦しく重い。

因果は巡るのだろう。
エツコさんは、ずっと、他者を受け入れてきたから、今、空白が増えたエツコさんになっても、町中に差し伸ばされる手が数々あるのだろう。

エツコさんのように、そしてエツコさんの家族のように。
理想の形がしめされる物語だ。
でも、今の私にはちょっと苦しかったので、全く個人的な要因により、おすすめ度は星3つです。作家さん、ごめんなさい。

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エツコさんは元学校の先生。
どうやら認知症のよう。
今日もふらりと町を散歩している。
エツコさんと近所の子どもたちの交流がほっこり。
認知症の高齢者も元気な子どもたちもこの街ではのびのびと過ごすことができる。

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