ベランダのあの子

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刊行日 2022/10/23 | 掲載終了日 2022/10/27

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内容紹介

第20回日本児童文学者協会長編児童文学新人賞入選作

小学6年の颯(はやて)には、親友にも話せない秘密があった。たびたび暴力をふるう父。見て見ぬふりの母。そんな時、颯は見てしまう。だれもいない真っ暗な部屋のベランダで、ひざを抱えじっと動かずにいる女の子のすがたを……。

第20回日本児童文学者協会長編児童文学新人賞入選作

小学6年の颯(はやて)には、親友にも話せない秘密があった。たびたび暴力をふるう父。見て見ぬふりの母。そんな時、颯は見てしまう。だれもいない真っ暗な部屋のベランダで、ひざを抱えじっと動かずにいる女の子のすがたを……。


出版社からの備考・コメント

※こちらの原稿は、制作途中のものです。内容を変更する場合がございますが、ご了承ください。

※こちらの原稿は、制作途中のものです。内容を変更する場合がございますが、ご了承ください。


出版情報

発行形態 ハードカバー
ISBN 9784338287265
本体価格 ¥1,500 (JPY)

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NetGalley会員レビュー

すぐに最後まで読んだ。
読まずにはいられなかった。
ようやく虐待をテーマにしたちゃんとした物語が出た。
颯のような子は、きっとどの学校にも普通にいる。彼らは颯と同じく、自分の環境が異常だとは気づけない。自分自身がその中にいるから。そんな子たちが、この本を読んで、まずは颯は自分だと気づいてほしい。そして、理やイワセンが助けてくれたことに希望を見出してほしい。また周囲の子も先生も、この本を読んで、颯の苦しみに気づいて、代わりに声をあげてほしい。

希望をくれるストーリーをありがとうございました。どんな本になるんだろう、楽しみです。

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児童向け書籍なので読むか読まざるか迷ったが、なんとなく気になる本だ。書籍との出会いにはファーストインプレッションが大切なので、気になったからにはまずは読んでみることに。
主人公は父親のDVの被害を受けている小学生。虐待の事実を他の人に告げることができず、母も見て見ぬ振り。行き詰まりの日々を送る主人公は、ある日、ベランダに放置されている少女を発見する。

「虐待」に真っ向から向き合った重たい作品。これを小学生が読むのかとも感じられるくらいヘビーだ。
親は子供が生まれて初めて親を経験する。だから自分の経験を元にするしかない「親ビギナー」からのスタートだ。子供にどう接するのか、全ては手探りだし、子供も子供で千差万別。手のかかる子供もいれば、手のかからない子供もいる。子供も同様に親ガチャで生まれてきた個性豊かな「子供ビギナー」なのだ。
この「親ビギナー」vs「子供ビギナー」は、時にものすごくハッヒーな結果を産むことがある一方、凄惨な結果になることもある。日々のニュースからも分かるように、最近特に親による凄惨な虐待事件が多い。昔のように家族やコミュニティが子供を育てるのではなく、親と子だけの関係で子育てが行われるからだ。
そしてまた、社会には悲観的にならざるを得ないほど貧困が蔓延している。残念ながら金は多くのことを解決してくれる。金がなければ事態は何も改善ず、さらに悪循環を生む。まさに八方塞がりの時代だ。
そんな時代に、子供が自分が虐待されているかを自己判断できるようにするためにも、自分を守る術を学ぶためにも、そして親の世代が自分たちを見つめ直すためにも、この本の存在意義がある。

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小学校で司書をしています。「虐待の本ありますか?」と訊かれたことがあります。今の子どもたちは溢れる情報の中にいて、言葉では知っていても、その問題の深さにまでは知らないかもしれません。
この本は5年生が主人公。自分が父親から受けている暴力の被害者でありながら、向かいのマンションで同じように虐待されている少女を救い出す。小学生が頼れる人はそれほど多くない。自分の家庭が異常だということも気付かない。家族という名の下、その異常な状況で生きていくしかない。自分が悪いんだと思うしかない。
でも。親友の理は気付いていた。助けたいと思っていた。理がいてくれて良かった。保健室の先生は大半の大人(先生)がそうであるように、話を聞かない。でも。担任の先生は違った。話を聞いてくれた。颯のお母さんのケアから始めてくれた。この担任で良かった。窓から飛び降りようとする颯をしっかり優しく包んでくれてありがとう。
颯の、自分も父のように暴力を振るうかもしれないという不安。父に見つかるかもしれないという不安。それは一生つきまとう。でも、颯はきっと大丈夫だ。自分の味方は自分自身であることを知った。自分で考えて、行動に移す勇敢さもある。
今度虐待の本を探しにくる子がいたら、この本をすすめよう。颯のように、理のようになれるかもしれない、と期待を込めて。

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いじめでも、人に相談しにくい原因の一つが羞恥心。いじめでも、虐待でも、それがよくないとされていると知っているからこそ、自分がそれをされるような人間だと人に知られるのが恐ろしくなる。する側に問題があるのであってされる側には問題がないとどうしたら伝えられるのか。それも、この物語に出てくるような情報も知識も世界も限定された年齢の子達に。あなたの声を聞くよ、という姿勢を常日頃から示したり、大事だよと伝えたり、主人公の担任のように威圧感ではなく親しみやすさをにじませたり、という大人の側で出来ることの一つがこういう本を届けることだと思う。当事者でも、その存在に気付いた他の子にでも届いて、いまの状況から抜け出す道を見つける手だてとしてほしい。

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颯が、父に叩かれいつものようにベランダに出され、ふと見ると自分と同じようにベランダに佇む女の子を見た。
中学受験を目前の子達には、多くの試練があるにも関わらず、こんな父の虐待を受けながら成績が上がる訳がない。

ベランダで見たあの子には救いの手になった颯。
自分も助けてとやっと言えたことに拍手を贈りたい。
人と一緒だから「助けて」と言える勇気が沸いたんだと思う。
その展開がよかった。

考え深い作品でした。

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考えさせられる問題でした。私は昭和の子なので、親にも先生にも叩かれるのは普通でした。しかし、最近のニュースをみていると、もっと陰湿な暴力がかなり身近なところに潜んでいるのかもしれないという恐怖を感じます。たぶん、同じような問題を抱えている子は多いと思います。彼等にも味方が必要だと思います。この本が彼等の味方になりますように。同じような問題を抱えている子達に、この本が届きますように。

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こういった虐待は決して氷山の一角ではないだろうが、学校図書館に入れるのは、判断に迷う。
文中に出てきた、養護教諭の先生みたいにならないように気をつけたい。
話すことも、かなりの勇気がいることだから、きちんと受け止めたい。
主人公が女の子を助けたことで、主人公も母親も意識が変わり、暴力からは逃れることができて良かった。
「愛情に暴力は出てこない。」みたいな言葉が印象的

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重い話でした。貧困やネグレクト、外国籍の子の話などは児童書でも最近出てきましたが、DVの話はあまりない気がします。暴力は本当に怖い。小さなアクションを起こすことさえできない恐ろしさがありますね。本作の主人公はラスト、友達や担任に助けを求めて報われます。ハッピーエンドと言えるかどうかはわからないけど、未来に向けて進むことができたらいいな…。重い話でした。読んでよかった、とはちょっと思えないけれど、やっぱり読んでよかった。ありがとうございました。

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小学校6年生の颯は、高級マンションの最上階に住んでいる。
パパはエリート。ママは美人の専業主婦。
パパは平日に休みを取って家族で魚釣りにいくし、ゴールデンウィークには海外旅行に行ったりもする。
はたから見ると幸せな家族なのだが、実は颯はパパからたびたび暴力を受けていた。
母は、自分の身を守るために見て見ぬふりをする。
まだ寒い春の夜、颯はテーブルに肘をついて食べていたことを咎められ、ベランダに出されてしまう。
そこで、向かいの古いマンションに、自分と同じようにベランダに出されている女の子を見かける。

重いテーマにユーモアを交えて軽く書かれる話もあるが、本作品は、重いテーマを重いままで書かれている。
虐待を受けている人が、なぜ自分が虐待を受けていることを隠そうとするのか、外に助けを求めようとしないのか、その心理描写がうまい。
虐待が虐待を産む、負のスパイラルも、説明的でなく、いい塩梅で書かれていた。
この話を、颯のように、自分が虐待を受けていると気がつかない子が読んだら、気づきのきっかけになると思う。
理のように友達のために立ち上がろうとする子も出てくるかもしれない。
素晴らしい物語だと思う。
ただ、読み進めるのがつらい物語でもある。

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今も昔も、こういった環境で悩み苦しんでいる子どもはたくさんいるんじゃないだろうか…と、考えさせられます。

かなり重たいテーマですが、変に軽い感じにせずに、そのままを書ききろうとされているように思えます。平易で分かりやすい文章の書き方をされている為、読み進める作業自体には苦労しません。しかしながら、内容自体はなかなか重たさがあるため、読み手はある程度の心構えをしてから望む方が良いかもしれません。

虐待を受けている子ども、その子の周りの人間たち、またそれに気づき手を差し伸べようとする人間…そういった人々が登場しますが、その心理描写の仕方もうまいと感じました。シンプルな文章ながらも、こういった現場にある独特の空気感をしっかり書かれている印象を持ちました。

ジャンルは児童文学とのことですが、むしろ青年や大人こそ読んでほしい内容です。今までにこういった問題と直面していない人こそ、このようなものを端緒として欲しいと思います。

苦しんでいる人に、手を差し伸べようと思える人間が、この国にもっと増えますように。

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親からの理不尽な暴力を、自分のせいだと思ってしまう子どもの気持ちが切ない。読んでいて辛くなる場面もある重いテーマの作品だが、虐待されている別の児童を見つけたことによって主人公が揺さぶられ、成長していくところに確かな希望がある。

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表紙の子の顔が青白く生気がなく、しかし目線ははっきりこちらを向いて何かを訴えるような圧を感じました。読み進めていくうちに、現在、過保護な親が蔓延してる中でも、一昔前のような暴君の父に母が抗議もできず、じっと耐え忍んでいる家庭もあるのだと身に染みました。身体測定で体を見られる日は学校に行かせない、親の思うままに動いていれば、人が変わったように穏やかになる父親。同じような境遇の子を野生の勘で見抜く少年は、その後勇気を出して自分の現状を訴え、母子は平和な生活へと歩み出していきます。しかし、傷付けられた尊厳は一生本人を苦しめ、既に世界観は変わってしまっているのです。表紙の子の顔は、地縛霊のようにいつまでも我々に訴えている気がしてなりません。

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普通に暮らしているはずのあのおうち。はたからは幸せな家庭に見えているが、実は…。となりのおうちがどんな風に暮らしているか。近くて遠い現代のご近所事情がよく表現されている。豊かな家庭は、本当に幸せなのか?閉じられた家庭の中で、何が起きているかなんてよそには見えない。社会とのつながりが限定的な子どもや主婦に、「暴力」と戦う術は少ない。気づいて、手をさしのべる社会の仕組みについて考えさせられる作品だ。

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小学6年生の颯は父親から虐待を受けている。父の意向に沿わない素行やテストの結果により殴られたりベランダの外に放置されたり。この事は他の人にはもちろん、親友の理にも知られたくない。

そんな颯はある日、ベランダから同じようにベランダの外に放置されている女の子を見つけてしまった…。

颯に好意を抱いている彩香に投げつけた強い言葉、お祭りでみた頭を叩かれる子どもに対する評価、児童虐待の被害者でありながらその価値観に知らぬ間に寄っている事に気づいてしまう颯。

ラストの岩木先生の対応はこれぞ大人という対応でした。冷静かつ慎重に解決に向かわせる行動、この担任じゃなかったら颯は救われなかったと思わせる。

一気読みでした。

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日常的に父親から殴られ、蹴られ、それを助けようとしてくれない母親には恨むよりもあきらめる気持ちの方が大きい。暴力を受けるけど、それは自分が不甲斐ないせいだと思い込もうとしている颯は、ある日、ベランダから見える向かいに佇むちいさな女の子の存在に気づく。どうやら、その子は親から厳しい扱いを受けているように感じる。気づいてしまってから、度々心に沸き上がるもやもやをもてあまし、自分は虐待されている現実が迫ってくるけど、周りからはそう思われたくないけど、だったらどうするべきなのか、助けを求めたいけど、定まらない心がばらばらとまとまらない感じが読んでいる間、ずっと苦しくて、でも、目をそらす事はしたくなくて、何度読み返しても、うまく感想がまとまらない。けど、ひとつだけ確かなのは、この作品を読んで、助けを求める声を聞き逃したくないと1人でも多くの人が感じてくれたらいいと思う。

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虐待はニュースで見る度にその前にどうにか出来なかったのかと悲しくなるけれど、虐待と思ったら児童相談所への通告は学校関係者と医療従事者だけかと思ってたら調べたら国民の義務だったとは知らなかった。もっとこのことを周知徹底してアメリカみたいに子どもが親を通報するくらいになればいいと思った。主人公の言動で虐待の連鎖がこうして繋がっていくのかと解ったので読んでよかったです。

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