空と大地に出会う夏
濱野京子
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刊行日 2022/07/20 | 掲載終了日 2022/07/07
ハッシュタグ:#空と大地に出会う夏 #NetGalleyJP
内容紹介
社会へのまなざしに満ちた、ひと夏の成長ものがたり
佐合理一郎(リイチ)は、言葉できちんと説明できないことやムダがきらいな小学校6年生。成績も優秀、スポーツもピアノもそつなくこなすリイチだが、親友の準也のようには、将来の目標がもてずにいた。
ピアノのレッスンの帰り道、同じ学校の海空良(みそら)と出会う。あきらかにウマがあわないタイプの女子・海空良に連れられていったのは、中上大智の家だった。
4年生のときのある出来事がきっかけで、大智には会いたくないと思っていたが、強引な海空良のペースに巻きこまれるように、大智とも顔をあわせるようになって……
ムダがきらいな少年・リイチが、寄り道ばかりの海空良や大智といった多様な人々と出会うことで、自分の生き方を見つめ、周囲の人間との関係をとらえ直す、ひと夏の成長ものがたり。
出版社からの備考・コメント
濱野京子(はまのきょうこ)
熊本県生まれ。『フュージョン』(講談社)でJBBY賞、『トーキョー・クロスロード』(ポプラ社)で坪田譲治文学賞を受賞。おもな作品に『この川のむこうに君がいる』(理論社)、『バンドガール!』『野原できみとピクニック』(以上、偕成社)、『ドリーム・プロジェクト』『県知事は小学生?』(以上、PHP研究所)、『夏休みに、ぼくが図書館で見つけたもの』(あかね書房)、『ソーリ!』『with you』(くもん出版)、『マスクと黒板』(講談社)、『谷中の街の洋食屋 紅らんたん』(ポプラ社)など多数。
おすすめコメント
現代社会で起こっているさまざまな問題に目を向けて作品を書いてこられた、濱野京子さん最新作。
本書でも、濱野さんらしい「社会へのまなざし」が随所に見られます。登場人物の家族を通して描かれる「新しい家族の形」や「義務教育」についての言及、「校則」や「ジェンダー」……。
小学生の読者に、社会への関心をもつきっかけを提供するとともに、こうした話題を小学生にも考えてほしいと願う大人にとっても関心の高い一冊になるはずです。
SNSで感想をつぶやいていただけたら嬉しいです。ただし、表紙、本文ともに製作段階のものですので、申し訳ありませんが、画像公開はご遠慮ください。
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784774333793 |
本体価格 | ¥1,300 (JPY) |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
米津玄師が歌うパプリカの
アニメーションMVに触発された様な内容。
誰でも何処かに心に刺さる場面がある筈。
みんな違ってみんないい
とただ言葉にするのではなく
それを伝える為に如何に
著者が工夫を凝らしているのかが
文章から伺えて嬉しくなった。
100ページもないのでもっと
ずっと読んでいたくなりました。
無駄な事が苦手で、勉強も運動もなんでもそつなく器用にこなしてしまうリイチは周りからの評価も“冷静なやつ”。両親共に合理的で、家族の中でタイプが違うのは姉の真彩くらい。
親友の準也は中学受験にむけて忙しそうで今までのように遊べなくなってしまった。
ある日、ピアノ教室帰りに、切符をなくした同級生の海空良にお金を貸したきっかけで、転校していった大智との交流が始まる。気が合うわけではないのに凸凹な3人でいる心地好さを感じるリイチ。
そんな中、幼なじみの中学受験とその理由を知り、今まで“知っている”と感じていたのに、周囲の人々の考えてもみなかった側面を知ることになる。
お互いの立場での対話ではなく、1人の人間同士として向き合い始めようとしたリイチの成長しようとする姿が眩しかったです。
自分とは違うタイプの人に、一方的に苦手意識を持ったり距離を置いてしまいがち。それは大人も子どもも同じだと思う。でも、もし子どものときに、タイプの違う人と仲良くなれたなら、お互いの良さを認め合えたなら、それは貴重な財産になる。
大きなイベントや事件は起きないけれど、そんな貴重な経験ができた理一郎のひと夏のお話。キラキラして見えた。
理一郎(リイチ)は少6。父も母も言葉できちんと説明できる論理的、無駄な嫌いな合理的に行動するタイプ。本人もそんなふうに考える子どもだった。兄と母の妹優希ちゃんは別の、感情を優先するタイプ。リイチは優希ちゃんにピアノを習っているが、時々彼女の言葉になってない言葉に戸惑う。
ピアノのレッスンの帰り道、リイチはお金を落とした海空良(ミソラ)を助ける。ミソラはどちらかというと兄や優希ちゃんタイプでリイチとは相容れないタイプなのだが、ミソラに巻き込まれて、以前一緒で転校した大智に再会する。
なんとなく気になる存在だった大智に改めて向き合うことになり、リイチ、ミソラ、大智の三人関係が始まる。
タイプの違う人間が交差することで、お互いを感じ合う関係性がほのぼのといいな。
理解できないなりに、否定しないでいること、どこか認めていること(それも尊敬が含まれて)ができるのは素敵なこと。
大きな事件は起きないけれども、人の心の動きが丁寧に書かれていて、静かな感動を覚える。
#NetGalleyJP
濱野先生らしい、トレンドや社会問題をおさえた、巧みで、テンポのある物語展開。
個性的なキャラクターをちりばめ、主人公をゆさぶり、そして自分探しへと背中をおしていく。
友人だけでなく、その家族、親戚も独特の立ち位置と経歴で、真面目な主人公がしだいに色あせていくところも、今風の時代の流れ。けれど、そうじゃなくて、鉄板だと思っていた人たちが実はそうじゃなくて……というどんでん返しみたいなものもあって、うんうん、そうじゃないと真面目が可哀想ですよね、と。
ただ、いわせてもらえれば、この作品はシリーズ本として出してほしかった。
正直、もっと読み進めたいというところでゲラが途切れ、「うそだと言ってよ、ジョー!」という気持ちになりました。
とはいえ、読ませていただけたことに感謝。多くのことを学ぶことができました。
濱野京子さんの児童文学の大ファンです。すでに立派な大人のつもりですが、ずんと染みるものがいつでも確かに存在します。
小学生、中学生の「夏休み」はそれはそれは特別なものです。
たまらなくわくわくする毎日だったことを覚えています。好奇心の世界、追体験できます。
大人が読むと、確かにこういう夏休みを過ごしたことがある、と遠い記憶を呼び覚まされる。
夏休みというのは、意外と残酷だ。
塾の夏期講習や習い事、旅行などやることのいっぱいある子にとっては、あっという間に過ぎていくものだろうけれど、通常運転が続くだけの子にとっては、遊び相手にも困る退屈な長期休みとなる。
主人公の少年も、親友を中学受験の塾に奪われた結果、知っている程度のクラスメイトと思いがけず関わり、一緒に過ごすこととなる。
主人公のなんとなく不本意なんだけど、意外に楽しかったり、自分の家庭と全く違う価値観にで会って視野が広がる感じが、よく分かる。
そして、面倒なので親には言わないところも成長の証として頼もしく感じる。
夏のお話が読みたくて、
リクエストさせていただきました。
しらこさんの装丁も好きだったので。
小学生たちの、ひと夏の思い出。
決して気が合うとは言えない友人と、
自分の家族との諍い。
きっと、誰もが体験したことのあるような、昔を思い出す作品でした。
理一郎は自分の常識から外れたものや、理解できないものに出会う。
戸惑いはしても、決してそれを否定したり笑ったりはしない。
“うちはうち、よそはよそ”という、優しい無関心が根底にある。
異なる個性を持った登場人物が、みんな自然にお互いを許容し合っている。
これまで自分が普通だと思っていた形に当てはまらないものに次々と出会い、それらをじっくりと見つめていく理一郎の姿勢は、好感が持てる。
少年少女の一夏の思い出、という感じがしてよかったです。
普通とは何なのか、当たり前とは何なのか、多様性が描かれた物語です。
自分には理解できなくても、相手には相手の考えがある……他者理解の上でこれは大切なことだと思います。そういうのを物語で教えてくれる本でした。
コスパという言葉、というより観念が重要視され過ぎる世の中において、
本当にそれだけが大事なのか、ということを問いかける1冊。
合理的である、無駄がない、というのはつまり、
コストパフォーマンスが悪いものは割に合わない、ということで、
道草、寄り道、試行錯誤はムダだということになる。
忙しない毎日の中ではある程度の合理性は求められはするだろうけれど、
子どものうちからそれがすべてになってしまって、
そうでない子と仲が良いとすら親にいえないというのは息苦しい。
リイチが「合理的」以外の良さを小学生のうちに見つけられたことは、
彼のこの先にとってとても大事な気付きだったと思うし、
もう少し上の世代であってもこの本を通してそのことに気付けたら、
呼吸が楽になる子がきっといると思います。
その人らしさって何だろう?無駄が嫌いで合理的に物事を考える小6の理一郎が、周囲と関わりながらそれを考えるひと夏。
登場人物の内面を表すかのような名付けがとても印象的な物語だった。明るく押しも強く、ぐいぐい他人の懐に入っていく海空良、ぼんやりしてそうで実は自分の心をだいじにまさぐっているかのような大智。自分とは違う考え方、自分とは違う行動力。ふたりに関わるうちに揺れ始めた理一郎の心。物事を見る角度や視点によって同じもの、見慣れたものが違う側面を見せることに気づいた遊歩道を歩いた日。多様性を身を以て感じていく理一郎は幅と奥行きが出てきたようだ。亜梨子や準也の選択にも、その裏にある迷いや戸惑いを感じ取る。お互いの違い、個性を嫌ったり排除したりするのではなく、認め合いつつ関わることができると知った理一郎の変化が、清々しく映る。
リイチ君が新しい価値観を見いだせて良かった。海空良とのかみ合わない会話に、いる! こういう子いる! と、自分はリイチ側の人間だなと再確認した。子どもって大人が思う以上に大人の気持ちを気にしているし、その事を大人になったら忘れてしまうな…と感じた。
夏らしい爽やかな物語。
主人公のリイチは理論的に説明がつかないと納得の出来ない性格。ピアノでも楽しそうに、などの言葉につかない感情の表現をどうやって弾いたらいいか分からない。
そんなリイチが苦手とするクラスメイトに偶然出会い、ひょんなことから転校していった子の家に向かうことになる。
読んでから気付いたけれど、タイトルはふたりを表している。
苦手だと思うこともやってみないと分からないし、
人との出会いや仲良くなるきっかけ、タイミングも思い通りになんかならない。
最近ステレオタイプがタブーになっている風潮を感じる。ジェンダーや家族について、国籍や地域性、血液型など。
優しい描写の中での問題提起。濱田さんらしい展開で夏休みの思い出をお裾分けしてもらった気分になれた。