忘れもの遊園地
久米絵美里
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刊行日 2022/08/01 | 掲載終了日 2022/07/25
ハッシュタグ:#忘れもの遊園地 #NetGalleyJP
内容紹介
「忘れものですかな?」
忘れものをしてしまい、慌てるトラタとレミに声をかけてきた、
真っ白な姿のおじいさん。忘れもの遊園地の園長だと名乗り、
「忘れたい嫌な記憶を書き込み投稿すると、その記憶は遊園地の
エネルギーに変わり、忘れものは手に入る」という。
園長の持つタブレットに嫌な記憶を投稿し、その記憶を手放して
忘れものを手に入れることができ、気分がよくなった二人だったが。
ママが帰ってこない……。
忘れもの遊園地に行ってしまったというレミのママを探しに、
レミ・トラタ・トラタの姉ツバメの3人は
忘れもの遊園地の中へと飛び込んでいくーー。
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【著者プロフィール】
久米 絵美里(くめ えみり)
1987 年、東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。
「言葉屋」で第5 回朝日学生新聞社児童文学賞を受賞。『嘘吹きネットワーク』(PHP研究所)で、第38回うつのみやこども賞を受賞。
作品に「言葉屋」シリーズ『君型迷宮図』(朝日学生新聞社)など。
かわい みな
愛知県出身。イラストレーター。絵本の作品に『4つごのまじょのおかいもの』(ポプラ社)、挿絵を担当した作品に「ねこやなぎ食堂」シリーズ(講談社青い鳥文庫)、『ゆくぞ、やるぞ、てつじだぞ!』(朝日学生新聞社)など。
出版社からの備考・コメント
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おすすめコメント
長編なので、お早めにリクエストを!
お見逃しなく^^
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出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784752010180 |
本体価格 | ¥1,400 (JPY) |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
『忘れもの遊園地』少し柔らかい響きさえあるタイトルですが、騙されました!
内容はなかなかにサスペンスで、ミステリアス。
これは、わかっちゃうともったいないから、読んでみてください!
作者の久米絵美里さん、渾身の筆は二本。一本は頭脳を使って描くときに使う、硬い筆。もう一本は心を使って描くときに使う、やわらかな筆。硬い筆で描かれたページは、やや、ちょっと読む速度が落ちてしまいます。わたしの脳は、ぐっちょりと汗をかいてフーフーとオーバーヒート気味。ところが、久米さんが心の筆に持ち替えた瞬間、浸透力爆発。ジェットコースターの頂上からの滑降のごとくです。「ああっ」と、胸が張り裂けそうになり、気づくと熱い涙。この緩急が、交互にストーリーを語るトラタとレミを様々な角度から描写してくれます。ふたりは、もう、自分の一部のよう。ふたりのに痛みを直にかんじてしまう。
ひとつだけ。人を傷つけてしまった思いや、辛い思い。これを忘れてしまえるなら・・・もし、そう思うことが一度でもあったら、いや、今、まさにそう思っているのなら、どうか、このレミとトラタの冒険につきあってください。記憶は独りだけのものじゃない。記憶は一つだけの意味じゃない。それは、人とともにあり、そして、自分の心の成長とともに、形を変える未来を創る宝物。自分の嫌いな自分を消すのじゃなく、どうか、その弱さを抱きしめてあげてください。そして、その子をいっしょに、よりやさしい自分の未来に連れて行ってあげてください。
未来の自分を愛して、今の自分と向き合ってください。
今、心に残っている、この本の記憶です。ありがとうございました。
忘れ物をしてしまい大ピンチなトラタの前にあらわれたのは執事のような雰囲気のおじいさん。
トラタの忘れ物を渡してくれる、というなんとも不思議な言葉とともに、本当に忘れたプリントを差し出してくる。その対価は忘れもの遊園地というウェブサイトに忘れたいことを投稿するだけ。深く考えずにトラタはレミを泣かせてしまったことを落ち込んでしまう。
起きてしまった出来事を完全に覚えていることはとても難しいけど、一方で忘れてしまいたい程最悪な記憶はなかなか薄れてくれない。そんな時に“忘れさせてあげよう”と言われたらとても魅力的に感じてしまうかも。
でも、それはただ一時的に回避しただけで、結局は自分で消化し、乗り越えていかないと根本の解決にはならない。そんな、しなやかな強さを感じられる作品でした。
記憶は心理学の分野なんですね。レミのお母さんの成し遂げたかった学問の奥深さに驚くとともに興味がわきました。
過去の重めの事実や、家族間の価値観の相違でやるせない感情にひっぱられる瞬間があっても、始終明るく、屈託のない真っ直ぐさをもつツバメのお陰ですっきり晴れやかに読めました。
素敵な作品をありがとうございます!
忘れたいほど辛い記憶、嫌な思いをした記憶は、誰にでも何かしらあると思う。それを忘れさせてくれる機会があるとしたら、一時しのぎでもいいから忘れたい!と思ってしまうのではないか。
でも、それは未来へつながる大事なエネルギーにもなり得るのだ、ということを、この本から教えてもらった。
まだ小学1年生だったトラタとレミにとって、事故の記憶というのは小さな心では抱えきれないくらいの重さで、心を守るためには忘れることも必要だったかもしれない。でも、それでお互いを傷つけあう未来になってしまうのであれば、辛い記憶を二人で分け合って持ちつづけるという選択肢もあるのだ。
一人で辛い記憶を抱え込んでしまうのは、年齢に関係なく、誰でも苦しい。だけど、誰かと分かち合えれば、どんな記憶もその人の糧になり、経験値として人生を豊かにしてくれるのだと思う。
児童書なのでさくさく読めたが、その中に込められた強いメッセージは考えさせられるものがあり、読み応えがあった。
軽く読み始めて、導入も入りやすくて穏やかで、たぶんこんな感じなんだろうなあと読み進めていると、あれよあれよという間に、奥深い、お話の世界にもぐりこんでいきます。
最後に出てくる参考文献が物語る通り、これは「記憶」をめぐる作家の知識と思いがつまりにつまった素晴らしい物語でした。
タイトルがシンプルすぎてなんだか損しているような気もしますが、ファンタジーとしても、ミステリーとしても、教養小説としても、そしてそして、なんといっても児童文学としてとても秀逸なお話でした。
見逃せない、これから追いかけたくなる作家さんですね。
ありがとうございました。
作品のテーマがはっきりしているため、読後感がよかったです。
表紙のイラストに反してなかなか内容が重い……ですが、人は皆多かれ少なかれ忘れたいことやなかったことにしたいことを背負って生きているんだと、そう感じました。
ですので、読んだあとちょっぴり心が軽くなる、そういう本だと思います。
恥ずかしい失敗、嫌な気持ちになった出来事、忘れたくなることはたくさんある。けれど、その忘れたい記憶が、自分を強く、成長させてもくれる。この物語のメッセージに深く共感しました。(それでも忘れたいと思ってしまうものですが…。)児童書ですが子どもだけでなく、大人が読んでも共感できる作品だと思います。物語の展開自体も読みごたえがあり、いろんな記憶の種類(?)についても勉強になりました。
忘れたいことをタブレットに入力すると、忘れ物を手に入れることができる。
そんなうまい話があるのかと思ったら、やっぱりなかった!
忘れ物は手に入ったけれど、その代償は大きく、主人公たちは、失った大切なものを取り戻すために奔走します。
その向こうにあったのは?
「記憶」を題材にした、成長の物語です。
忘れてしまいたいと思うような経験が増えてくる小中学生に、お薦めしたい一冊です。