画面いっぱいにひろがる、筆跡が感じられるような大胆で美しい色彩、ライオンやフクロウがイキイキと描き出される。眠れない夜はある。でも眠るのは夜と決まっているわけではない。眠れぬ時のおまじないのような歌。そして友情。美しく優しいおはなし。コロナ禍でなかなか自由に旅ができないものの心にも、行きたいところを想像してみる、っていいな。

キャサリン・レイナーのイラストに一目惚れ。
ベッドタイムブックとして最適な内容です。
眠れないこと＝不快。それを読みながらじわじわと溶かしてくれます。
眠れないライオン、アーロの悩みをやさしく解きほぐしてくれるフクロウの歌。
ここの部分は、ゆったりメロディをつけて読むといいな。
眠りを自分に仕向けるいくつかのポイント。安らぐこと。体を楽〜に。楽しいことや嬉しいことを思ってみよう。
希望を描いてみよう。穏やかに…穏やかに…。
萎えて縮かんだ気持ちじゃ心地いい眠りは訪れない。副交感神経への自然なスイッチの切り替えの極意がここにあります。
また、夜行性のフクロウの夜の楽しみ方の妙味もいい感じです。

ダイナミックなライオンの絵に圧倒されます。しかし、怖いというより優しそうな表情が印象出来。
文字の並びなどにも工夫があり、静かに睡眠に誘ってくれそう。寝る前にベッドで読んであげるのには、最適な本だと思います。

なにしろ、最初のページの「もうぐったり」なライオンの絵があまりにも情けなくて、いきなり釘付けになりました。眠れないライオンが、フクロウに導かれて眠りにつく。爽快に目覚めたライオンが、今度は眠れないフクロウを眠りに導く。単純なお話ですが、詩のようなリズミカルで美しい言葉で綴られた物語は、読んでいるだけで体の緊張感がほぐれて、ゆったりと解放されていくような気持ちになります。とても自由で生き生きとした絵も、お話の内容とぴったりあっていて、これこそが絵本の醍醐味！と言った感じです。今日はよく眠れそう。ありがとうございました。