
飛べないハトを見つけた日から
クリス・ダレーシー
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刊行日 2021/11/19 | 掲載終了日 2022/02/09
ハッシュタグ:#飛べないハトを見つけた日から #NetGalleyJP
内容紹介
カーネギー賞特別推薦作
12歳のダリルは、ある日公園で、
つばさが折れて、飛べないハトを見つけた。
ハトの脚には、リングがついている。
だれかが飼っているレースバトらしい。
近所に住む、レースバトを飼育している
ダッキンズさんに、どうしたらいいのか相談した。
すると、元の飼い主に連絡してくれたが、
けがをしたハトはもうレースには出られないから、このハトはいらない、といわれたそうだ。
ダッキンズさんも、
飛べないハトは生きている価値はない、という。
それならば、ぼくがこのハトを飼おう、と
ダリルは決意する。
反対する両親を説きふせ、ハトの小屋を用意し……
その日からダリルは、ハトの世話はもちろん、
学校の勉強にも熱心に取り組むようになった。
しかし、上級生の、ハトの飼い主の息子に
目をつけられ、いじめが始まり……?
一羽のハトと出会ったことから、
世界がぐんぐん広がっていく少年の姿を
生き生きとした筆致で描きだす感動作。
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784198653842 |
本体価格 | ¥1,600 (JPY) |
NetGalley会員レビュー

12歳の少年ダリルは、ある日公園で傷ついたレースバトを見つけます。飼い主はすぐに分かりますが、傷ついたハトなど要らないと言われます。ダリルは、両親からなんとかハトを飼うことを許してもらい、愛情込めて手当てをしてやります。ところが、このことが原因で、上級生から理不尽ないじめに合うことになってしまいます。ハトを飼うことで生まれた自主性や、責任感、困難に立ち向かう勇気などが、感動的に描かれています。面白くて、楽しくて、すっきりさわやかな読後感。とてもおすすめです。

子どもの頃、傷ついた生き物を助けようとした経験があるというのは、そうめずらしいことではないのかもしれません。ですが、それが成功するとなるとちょっと難しくなってきます。ダリルが、自分が見つけた小さな命を守ろうと必死になる様子に、遠い昔を思いました。
ダリルは、チェロキーに出会ったことで、いろいろな、よい変化を見せます。まわりの大人も、そんなダリルに理解を示し、協力的です。この物語に出てくる大人たちが、適切にダリルへの手助けをしていて、こんな大人たちばかりだと、子どもはいい育ちかたをするだろうなと思いました。

世界で初めてアジアの小国である日本を欧米なみに対等に認めたのはイギリスでした。他人の評価や、見た目で判断したりはしない独特な意思の国です。アメリカの好んで創るような、華やかなストーリーでもファンタジーでもない、理知を持った誇りの国です。
けれど、夢がないわけじゃない。夢と、現実に断裂がないだけ。一歩一歩あるく先に見えてくる、そんな夢を大切にする国。魔法を使わないで叶える夢。大げさをいわず、また、現実の人の裏側を無視したりしないで、サッと先回りするしたたかな戦術を持った国。この物語は、まさに、その国で生まれた、夢と勇気の物語でした。
集中力がないダリルと親友のドタバタのギャリー。授業のつまらない国語教師トンプキンズ先生。無愛想に見える老人ダッキングさん。いじめっ子の上級生ウォーリー。その父の冷徹そうな鳩競技の名手スピゴットさん。なかなか、ダリルを理解してくれない、父と母。みんな、ドキュメンタリーのように、普通に近所にいる人達です。だれも、超法規的な力もなく、魔法も使わない。そこに、奇跡は望めそうにはないのですが・・・
ある意味、期待した展開とは違ったのかもしれないけれど、作り物の感動ではない、たしかな、光を灯された感じです。「勇気とは、つばさが折れていても、地面に落ちると知っていても、飛んでみることです」その逆に、自分を大きく見せたくて、人から大切なものをうばいたがる臆病者がいる・・・ダリルは、チェロキーと名付けたハトとの出会いをきっかけに、今自分が住む小さなアイルストーンの町に、夢と勇気をみつけます。周りの人たちへの理解と繋がりを深めていきます。これは、実は「奇跡」なのかもしれません。ありがとうございました。

『強い』というのは、弱いモノを恐怖で従えさせる事ではないのでしょう。
強くなくては、守りたいモノを守る事が出来ないのだと思います。
強くなる為には、厳しさにも立ち向かって、乗り越えなければならないのでしょう。
強くなる為には、優しさが必要なのだと思いました。

わたしたちはペットなどの身の回りの生き物をつい、世話してあげてる気になってしまいます。実際はきっと、パワーをもらったり気付きを与えてもらうことの方がずっと多いのだと思いました。
飛べないハトを見つけた日から、ぐんぐんと成長していく彼らはものすごいエネルギーを帯びていました。

課題図書になりそうな良書でした。飛べないハトに出会って大切に育てようとする様子、主人公の男の子が成長していく様子に思わず応援していました。
小学校高学年向けでしょうか。中学生でもいけるかな。ぜひ子ども達に読んでもらいたい作品です。
中学生向けの翻訳本がなかなか見つかりません。ネットギャリーに紹介されるのを楽しみに待っています。

タイトル通り、飛べなくなったレースバトを見つけた12歳の少年の物語。家族や親友、レースバトの大先輩たち、先生と、いろいろな人たちとのいろいろな関わりの中で、少年は大切なことを学んでいきます。少年は少年なりに必死に生きているということを、大人になった今、忘れがちな気がします。本作は、そんな少年の日のことをまざまざと思い出させてくれる気がしました。ハト、飼いたくなりますね…

タイトルから、鳩と少年の交流を通して成長する物語かなと思って読みはじめました。けれども、ハトと少年の交流が中心ではなく、鳩を飼育することで出てくる周りの人々との関わりや学校生活での問題に向き合い、成長する少年の物語で、とても読み応えがありました。自分にとって素敵なもの大切なものができた時それをどう守るか、勇気と臆病者についての作文のエピソードなど、小学校高学年くらいからの子ども達にも共感できる物語だと思います。
また物語の雰囲気にぴったりの優しい挿絵のお陰で、鳩やレースについて理解することができました。

レース鳩という日本にいるとより親しみのないものながら、ケガをした生き物が目の前にいる、と考えると、どうにかしたい、とがんばる主人公の気持ちはよくわかる。鳩のことならクラスの前でも朗々と語れ、褒められ、そのことによって自信を得ていく姿も読んでいて頼もしく、何かの命を預かることは預かった側をも育てるということが伝わってくる。ちょっと偏屈そうなご老人たちも、ただの頑固爺ではないあたりの描き方が、大人への信頼感繋がる温かみがあって好印象でした。

派手さはないけれど、じっくり読み返したくなる作品でした。
そういう意味で、課題図書や感想文向きかもしれません。
自分にとって何か大切なものができ、それをきっかけに変わっていく主人公の姿が共感を呼ぶでしょう。
対象は、高学年以上~中学生くらいでしょうか。
鳩のレースって日本ではあまりなじみがないですが、やってみたいと思う子が出てきそうです。