海のアトリエ
堀川理万子/作
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刊行日 2021/05/13 | 掲載終了日 2021/05/13
ハッシュタグ:#海のアトリエ #NetGalleyJP
内容紹介
少女がのびのびと心を開放することができた宝物のような日々を、まるで映画のシーンのように見応えのある絵で描いた魅力的な絵本
おばあちゃんの部屋には、女の子の絵がかざってある。「この子はだれ?」って聞いてみたら、「この子は、あたしよ」って教えてくれた。
びっくりするわたしに、おばあちゃんが話してくれたのは、海辺のアトリエに暮らす絵描きさんと過ごした夏の日のこと、おばあちゃんにとって、いつまでも色あせない、特別な思い出だった。
出版社からの備考・コメント
【ご注意下さい】 ここに掲載している作品データは刊行前のものです。刊行までに内容の修正があり、仕様の変更がある場合もございますが、ご了承下さい。
おすすめコメント
著者からのメッセージ
子どものころ、近所に住んでいた女性の画家の先生に絵を習っていました。
天井の高い、静かなアトリエに一人で暮らしていたその人は、
わたしにとってはじめての、子どもを〝子どもあつかいしない〟おとなでした。
ちょうど、この絵本に出てくる〝絵描きさん〟みたいな人だったのです。
わたしは、おとなになって画家になりました。
でも、もし、そうならなかったとしても、やはり、わたしには影響の大きい人だったと思うのです。
堀川理万子
販促プラン
【著者紹介】
作 堀川理万子(ほりかわりまこ)
1965年東京生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科修了。画家として絵画作品による個展を定期的に開きながら、絵本作家、イラストレーターとして作品を発表している。おもな絵本に、『権大納言とおどるきのこ』(偕成社)、『くだものと木の実いっぱい絵本』『おひなさまの平安生活えほん』(以上、あすなろ書房)、『けしごむぽん いぬがわん』(ひさかたチャイルド)、『びっくり まつぼっくり』(多田多恵子/福音館書店)、『氷河鼠の毛皮』(宮沢賢治/ミキハウス)などがある。
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784034351604 |
本体価格 | ¥1,400 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
堀川理万子さんの絵を求めて。
上質な短編小説のような世界でした。おばあちゃんの語る子どもの頃の、ある夏の思い出。
ずっと大切に胸の中にしまわれていたことごと。きっと絵描きさんと子どものおばあちゃんは、そう多くはないことばしか交わしてはいないだろう一週間なのに、なんと豊かな時間を過ごしたのでしょう。ただただ心を広げて、観る、聴く、描く。それが全部自分の胸の中に収まっているという不思議。ただひとりの人と人として向き合った貴重な時間が、子どもだったおばあちゃんの背中をそっと押してくれたのでしょう。
そうやって、おばあちゃんは自分を生きてきたのだなぁとわかる最後のことばに甚く感動を覚えました。
出会うことができて幸せな本でした。ありがとうございます。
主人公の女の子の私は 海の見える家で絵描きさんに出会い、自分はありのままで良いことなど、海の風を感じながら気づく…
生きづらさの中に ありのままてで良いことを感じさせてくれる内容と素朴な飾らせないタッチので書かれた絵本であったかい気分になれた。
素敵なお話でした。
おばあちゃんと絵描きさんとの出会い、そして限られた時間。
絵描きさんとの日々は楽しくて、明るいと感じました。
絵描きさんは、自由な発想の持ち主だったのだと思います。
ところどころに出てくる猫の存在感。
最後のページで、おばあちゃんから主人公の女の子に告げたメッセージで心が温かくなりました。
ずっと忘れたくない、大事なひととの出会い。
誕生日プレゼントにも良さそうな一冊だと思いました。
絵本の絵を見て、現実に見た美しいものを思い出すことがあります。
新緑や夏の空、夕焼けなどの、はっとするような色。
堀川理万子さんの絵には、そうした「思い出させる力」があります。
この絵本もそうで、特にさまざまな青と緑に、自分の記憶を重ねて楽しみました。
世界はこんなに美しいのだと、目を洗って見直した気持ちになりました。
孫娘がおばあちゃんから聞く「とくべつな思い出」は、
おばあちゃんの中にいる、小さな女の子の存在をわたしたちに見せてくれます。
とくべつなひとときに、生涯胸に抱き続ける大切なものを見つけた女の子。
ともに過ごした相手にも、やはり大切な何かが残ったのだろうと、想像が広がります。
行きたいところへ憂いなく自由に行けない今、ここではない、素敵なところへ連れて行ってくれる絵本です。
おばあちゃんが孫娘に語る、海辺で絵描きさんと過ごした1週間の夏の思い出。朝起きたら不思議な体操をして、海へ行き、絵を描いたり、美術館へ行ったり。その繰り返しの1週間。なんて豊かな体験だろう。短い日程で慌てて観光地を回ったり、暇さえあればネットを見たりするような休暇ではなく、こんな夏休みを子どもにあげられたら良かったなと思いました。
子どもとしてではなく、一人の人間として対等に扱い寄り添ってくれる。
そんな人と巡り合えていたらそれはすごく幸せなことで、大人になってからも影響を与え続ける出来事になるだろう。
(私にはそんな人いなかった気がするなぁ)
心の休息が必要な時、逃避先がどこかにあるってとても大事なこと。
とくに子どもにとっては家と学校以外にいられる場所がある人は少ないから、
ひとりの人間として受け入れてくれる人・場所があることが、
心を守る大きな力になるということをやわらかな絵で示してくれた絵本。
窓辺の絵MatisseとかDufyとかの絵が連想される。詳しくはないけど昔からそういうのが好き。(一番好きなのはKleeだった)だからどこか懐かしい。海のそばにずっといたので、それも懐かしさの一因かもしれない。祖母が孫娘に語る体裁の、穏やかでやさしい物語。
「だれでもみんな心の中は自由だから。」ロダンの、花子のマスク※という彫刻「つらそうでもすばらしいのかとおもった」
※松方幸次郎氏購入; 1944年フランス政府が接収; 1959年フランス政府より寄贈返還.(国立西洋美術館サイトより、他にもこの名前の彫刻の記録が他の美術館にもある、定かではない)
おばあさんが小さな女の子だった頃、知り合いの絵描きさんのアトリエで過ごしたステキな1週間のお話。
特別な事をしていたわけではないけど、特別な時間を絵描きさんと共有し、それはおばあさんになっても特別な思い出。
大人が自分を子ども扱いしない、一人前の人間として扱ってくれるのはすごくすごく嬉しくて誇らしくて、だからこそおばあさんの孫への接し方も包み込むような優しさがあるんですね。
最後の言葉にぐっときます。
近作では「けしごむぽん いぬがわん」が素敵だった堀川さん。こちらは、また違うイメージだが、読んでみたくなった。
子どもの頃の特別な思い出を孫に話すおばあちゃん。そこに出てくるのは、子どもを子ども扱いせず、一対一の人間として尊重してくれた画家さんだった。彼女と過ごした1週間が、当時悩んでいた少女を解き放ってくれた。
こういう大人、なかなかいない。説教をすることなく、自然体で。でも、さりげなく子どもを気遣い、見守っている。「つらそうでも すばらしい」大事なことを、押し付けることなく、気づかせてくれる。
そんな素敵な思い出を見事な絵で描き出している。
もしかしたら、大人の方が喜ぶかもしれない絵本だと思った。
#海のアトリエ #NetGalleyJP
おばあちゃんが子どものころに、学校へ行くのが嫌だった時期があったんですって。
夏休みになってもどこにも行くところがないなぁって思っていたら、お母さんのお友達の絵描きさんが「うちに遊びにに来ない?」って誘ってくれて、絵描きさんの家で5日間過ごすことになったんです。
おばあちゃんはきっと、ひとりでよその家にお泊りに行くことに、ものすごくワクワクしたんだろうなぁ。
よその家かだら、家の感じも、食べるものも、時間の過ごし方も全然違うんだろうなぁ。
うちにいる時は、子どもなんだから大人のいうことを聞きなさいって、いつもいわれちゃうけど、この絵描きさんは子どもを子ども扱いしないのね。ちゃんと一人の人として扱ってくれる。そういうのって、とっても嬉しいの!
ああ、わたしもこんな夏休みを過ごしてみたいなぁ。
読みはじめ、絵がとてもきれいだけど、少しよそよそしく感じました。
それが、だんだんに、そっけなく見えた絵に込められた、思いが胸いっぱいに押し寄せてきました。
黙ってくれたやさしい気持ちに、気づき始めた時の、胸の中の温かい爆発。
世界が色どりを増し、美しく変わっていく、静かな物語。
この絵本に出会ってすぐなのに、懐かしくいとしいものになりました。
おばあちゃんが聞いた絵描きさんの言葉が、もう自分の思い出
ロダンの話で自分の一瞬一瞬の思いを認められる少し大きくなった自分の心を感じます。
とても、趣のある絵。
著者の方は絵本以外にも、一般文芸作品の扉絵・挿絵のお仕事をされており、絵本=子ども向けにとどまらない魅力のある作品と思いました。
ストーリーもどこか懐かしさ、ノスタルジアを感じさせる内容になっており、大人でも読み応えがあります。
たとえば親しい人へのプレゼントなどで、誰かに贈りたくなるような一冊です。
おばあちゃんが、私に聞かせてくれたのは、子どものころ、海のアトリエで、お母さんの友だちの絵描きさんのふたりきりで一週間を過ごした夏の思い出。
絵描きさんは、とっても素敵な女の人だ。
自分の感性を自由に絵や生活で表す。朝から逆立ちをして、世界を逆さまにみたり、心が見たものを色や形で表す練習をしたり。自由でのびやかな暮らしぶりに、読み手のわたしも、心が軽やかに、解放されるのを感じた。
もうひとつ、素敵なのは、少女を導こうとせず、一人の人間として、そのままに受け入れてくれること。絵を描きたくなった少女に、紙も道具もなんでもだしてやり、「心の中は自由。それをそのまま描いちゃえばいい。どんなふうにだっていい」といってくれる。家の本棚の本は、どれも見ていいといってくれる。
きっとこの絵描きさんは誰に対してもこうなのだろう。いいなあ、こういう人にになりたいなあと思う。
ロダンの彫刻「花子のマスク」のつらそうな顔についての、絵描きさんの言葉には、芸術家ならではなのだろうが、はっとさせられた。気持ちや感情に善し悪しなんてないのだ。
絵の色彩は、瑞々しくて温かみがある。とくに少女と絵描きさんが海辺の岩にすわって髪をなびかせている見開きページは、気持ちよい。海風がページのなかに吹いているようだ。