はなの街オペラ
森川成美/著 坂本ヒメミ/絵
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刊行日 2021/05/01 | 掲載終了日 2021/04/19
ハッシュタグ:#はなの街オペラ #NetGalleyJP
内容紹介
逆境に立ち向かう時、支え励ましてくれた音楽の力
時は、大正時代。宇都宮で生まれたはなは、東京へ奉公に出る。奉公先の主人の仕事は、夢の街・浅草でオペラを上演する歌劇団。なれない都会暮らし、なれない奉公に、はじめのうちはとまどうはなだったが、ひょんなことから、歌のレッスンをうけることになる。おさない頃から歌うことが好きだったはなは、次第にオペラに関心をもつようになる。
大正時代の浅草オペラを題材に、逆境のなかでも音楽の力を信じ、音楽に励まされながら、力強く明日を進んでいく少女の、人々の物語。
【著者プロフィール】
森川成美
東京都生まれ。東京大学法学部卒業。「アオダイショウの日々」で第18回小川未明文学賞最優秀賞受賞。主な作品に『くものちゅいえこ』(PHP研究所)、『マレスケの虹』(小峰書店)、『フラフラデイズ』(文研出版)、『妖怪製造機』(毎日新聞出版)、『はじめくんがっこうへいく』(ナツメ社)、『さよ 十二歳の刺客』(くもん出版)、「アサギをよぶ声」シリーズ(偕成社)などがある。全国児童文学同人誌連絡会季節風同人。
坂本ヒメミ
イラストレーター。装画を多数手がけながら、さまざまな媒体で活動。装画を手がけた作品に『起終点駅 ターミナル』(桜木紫乃・作)『京都スタアホテル』(柏井 壽・作/ともに小学館)、『花嫁は墓地に住む』(赤川次郎・作/KADOKAWA)、『百貨の魔法』(村山早紀・作/ポプラ社)、『駅鈴』(久保田香里・作/くもん出版)など多数
おすすめコメント
『さよ 十二歳の刺客』(くもん出版)や『マレスケの虹』(小峰書店)など、話題作を発表し続ける作家・森川成美さんによる、十代の少年少女が活躍する歴史小説です。
ともすればエンターテインメントは不要不急と言われかねない、閉塞感のある今。だからこそ、音楽の力を信じ、夢に向かってまっすぐ進んでいく主人公の姿が「音楽や演劇のもつ芸術の力」を伝え、一歩前に踏み出す勇気をくれるでしょう。
何より、歌うことが好きでたまらない、「はな」がとても魅力的です。
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784774331980 |
本体価格 | ¥1,500 (JPY) |
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NetGalley会員レビュー
田舎から東京に出てきたハナ。客観的に見れば厳しい環境なのに、前向きで、チャンスを逃さず頑張っている様子が素敵でした。話の結末が少し意外でしたが、きっと前向きに幸せを掴む違いない!でも続編が読みたいです。
田舎から東京へ奉公に出た少女、はなが
どうやって自分の意思で行動していくのか
ドキドキしながら読みました。
ページをすすめるごとに少女のはなが大人になり
恋を見つけ、運命を見つけるさまは
読んでいて爽快でした。
はなの行動を見て
「文化や娯楽は、どんな状況でも、心に希望を灯してくれる」
ということを教えてもらった気がします。
お店を開けることに迷いも生まれる最近ですが
はなの行動を見習っていきたいと思いました。
田舎から東京へ、作曲家の家で奉公するために出てきた主人公の少女が、1度聞いた歌をすぐに覚えて歌える才能を同じ家のイケメン音楽学校生に見いだされ、浅草オペラのスターになっていく、という辺りまでは、少女漫画にありそうなシンデレラストーリーだなあと思っていましたが、音楽学校生はあっさりと渡米していってしまい、主人公は1人で劇団のスターを背負っていくことになります。そこへ関東大震災が襲い、意外な結末に。主人公と対比させるために殊更わがままに描かれる奉公先のお嬢様など、気の毒なキャラクターは気になりますが、時代や舞台の設定が珍しくて良かったです。
コロナによって「不要不急」は避けるようにいわれる中、
「不要」ではないけれど「不急」なものをも規制されてしまっているからこそ、
この本に描かれている音楽・オペラ…広く芸術の持つ力が感じられる。
第4波がささやかれる中満員の観衆で、というようなことは現実的ではないけれど、
劇場に足を運ぶこと、劇場で公演をすることは「不要」なんかではない。
ただ、どんな中でも続けてくれる人たちがいないとそれを楽しむこともできなくなるので、
日本でももっと芸術活動が守られるようにと願うばかりです。
冒頭、奉公人を迎えに来た書生さんが「手が大事だから荷物を持たない」とのたまうところで、
この物語がこの時代の「一般的」から外れた姿を見せてくれる兆しを感じました。
この時代なら奉公人同士でも男女なら男子が荷物を持つと期待し(され)そうなところ、
最初からそれがひっくり返された主人公の先行きを暗示しているようでもあり、
それを悪びれなく口にする書生氏の人柄がにじみ出る描写に期待をふくらませながら読みました。
奉公に行くため東京に行くことになった歌が大好きなはなが奉公先で娘の歌のレッスンにつきあうことになりその際にオペラと出会い。逆境の中、それでも成長し、オペラで成功していく少女の物語。
最初は単なる少女の物語だと思ったが成長と夢を叶えていく素晴らしい作品だった。オペラ好きでもそうでなくてもこの素晴らしい少女の物語にひきこまれていくと思う。
毎日毎日、たくさんの本が出版されます。その中でも本著はすばらしい輝きを放っている。
田舎町から東京に来た娘はな。彼女は一度聞いた曲を覚えてしまうという特技があった。
そのうえ、歌うことが大好き。本人はそれとは気づかず、響介との芸術論を戦わせるところも
圧巻だ。音楽を文学に置き換えて読めば、作者の書くことへの姿勢を見る思いがする。
世は、日本が文明というものに気づきよちよちと歩き始めたころだ。そのなかで懸命に生きるはなと
仲間たち。凌雲閣が地震で崩れるエピソードも、時代や人生の困難を表していてじんとくる。
彼女たちが前に進む決意をするところで物語は終わるが、ぜひこの先のはなの奮闘を読んでみたいものである。そうなれば、きっと100年残る物語になり得ると思うのだ。
とにかく読んでいて『頑張れっ!負けるなっ!』と力んでしまった。『好き』という気持ちはとっても強い。そして『歌』の持つ力も凄いなぁと。時代的に女性というだけで生きるのが大変な中、様々な逆境にも負けず前へ進んでゆく姿に勇気をもらえた。夢を叶えるのは大変だけど、叶えてからも苦難の連続なんだという事に気付かされた。