ライラックのワンピース

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刊行日 2020/10/01 | 掲載終了日 2021/08/04

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内容紹介

第9回ポプラズッコケ文学新人賞大賞受賞作!
「総体的に、文句のつけようのない作品」那須正幹(選評より)

サッカーチームで大活躍のトモには、誰にも言っていない秘密がある。
それは――裁縫が大好きだってこと。

“クリーニングのプロ”の祖父と、“仕立て名人”の祖母の影響で裁縫少年になったトモ。
ある日、ハーブ園で出会った華奢な女の子・リラちゃんに、お母さんとの想い出のワンピースのお直しを頼まれた!
でも、サッカーと裁縫の両立は思ったより大変で……!?

針と糸が奇跡を織りなす、感動のソーイング小説!

第9回ポプラズッコケ文学新人賞大賞受賞作!
「総体的に、文句のつけようのない作品」那須正幹(選評より)

サッカーチームで大活躍のトモには、誰にも言っていない秘密がある。
それは――裁縫が大好きだってこと。

“クリーニングのプロ”の祖父と、“仕立て名人”の祖母の影響で裁縫少年になったトモ。
ある日、ハーブ園で出会った華奢な女の子・リラちゃんに、お母さんとの想い出のワンピースのお直しを頼まれた!
でも、サッカーと...


出版社からの備考・コメント

※ アップロードされている本文データには、挿絵の代わりに白ページが挿入されております。

※ アップロードされている本文データには、挿絵の代わりに白ページが挿入されております。


出版情報

発行形態 ハードカバー
ISBN 9784591167878
本体価格 ¥1,400 (JPY)

NetGalley会員レビュー

サッカークラブで活躍しながら、実は裁縫も好きな少年・トモ。そんなトモが、ある日ハーブ園で出会った少女・リラのために、一生懸命ワンピースを手直しする場面に心を打たれました。「好き」なものを、あきらめなくていい。そう背中を押してくれる、心あたたまる物語です。

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裁縫が好きだけど周りにひた隠しにしている主人公のトモ。サッカーも裁縫もどっちも好きなのに、どちらも好きな自分の“自分らしさ”をうまく乗り越えられない…。
裁縫の師匠の祖母が残した最後の仕事をきっかけに出会ったリラちゃんのお願いを叶えるために、自分の選択に、今後どうあるべきか…、と揺れ動きながらも、周りの優しさに助けられながら答えをだしていく姿は、時々じわりと涙しながら、晴れやかな読後感でした‼️
人は大切なものに出会えると強くなる。
好きな世界があるっていうのはこんなにも素敵な事なんだなぁ、と素直に感じることができる作品でした。

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メインストーリーから少し外れるが、ものを大切にすること、そのこと自体の大切さ、貴重さに気付かせてくれる本だと思う。
おじいちゃんの手仕事で続けられているクリーニングも、おばあちゃんが行っていた(そして主人公が引き継ごうとしている)お直しも、ファストファッションブランドが台頭し、同じ服を大事に着る、親の服、祖父母の服をその思いも含めて譲り受けて着る、ということから離れてしまった大多数の人たちに、立ち止まることを促してくれると思うのでSDGsを考える1冊としても薦められると思う。

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サッカー少年の小6の山田智弘(トモ)。
裁縫名人の祖母とクリーニング達人の祖父が営むクリーニング店。
祖母が突然亡くなり、祖父が骨折で急に入院することに…。
トモは学校帰りに店に寄って、祖母のいた場所で
薄紙に包まれたクリーニング済みの衣類を発見する。
ボタンなどが取れた衣類は、クリーニングとともに修繕しお返ししていたのだ。
「衣類だけじゃなく、衣類を大切にする気持ちも預かっている」のだと。
祖母の言葉と思いを胸に、トモは丁寧な針仕事でボタン等を付けて、預かった衣類を客の家に届ける。
その一つがハーブ園。そこでトモは同い年の少女リラに会う。
リラは、丈の短くなった青いワンピースを、裾を気にしながら着ている。
そのワンピースは亡くなった母がリラに似合うと言って用意したものでリラもお気に入りだった。
リラはトモの祖母が裁縫得意なのを知っていて、ワンピース丈のお直しを依頼する。
トモはその依頼を引き受けるかを迷うが、リラの母と娘の愛の絆、
祖母のがやり残した衣類に対する思いなどを感じとり、引き受けることにする。
感受性豊かな智弘が、祖父母やリラの青いワンピースに込められた母の想いに一代決心する感動のストーリー。

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裁縫とサッカーが好きな少年トモの語るこの物語は、青いライラックの花盛りの庭に迷い込み、青いワンピースの少女リラと出会う恋物語であり、ドイツ教養小説の成長物語を思い浮かべました。
 読み進めていくうちに、読み手もいつしか心の奥底にある懐かしい庭に分け入り、忘れていた思春期のあの甘酸っぱい初恋の感覚も呼び起こされます。ちょっと切なくて気恥ずかしかったり、がんばってと応援したくなったり……。家族や大人や友人たち、それぞれの立場や想いも折り重なりあい、いつしか現在と未来の図までイメージさせていく――。
 子どもが読んでも、大人が読んでも、老いてから読んでも、それぞれの心に響く、甘辛な思い出をさまざまに呼び起こしてくれる物語だと感じました。人生はこんなふうに真摯につながって開いていくのだよ、というポジテイブなイメージも伝わって来る“珠玉の贈り物”のような素敵なメルヘンです。

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裁縫好きがちょっと恥ずかしくて友達に言えないサッカー少年トモが、ハーブ園の女の子と知り合い、ワンピースの丈を直してあげたいきさつを通して、堂々と裁縫の趣味を友達に話せるようになる。私も転職エージェントに趣味は読書とハンドメイド、と言ったらもうちょっとアクティブな趣味無いの、と言われて世間の見方にガッカリしたことがあるので、トモくんが友達に言えない気持ちがよく分かります。裁縫の際の注意を記したおばあちゃんのノートもぜひもっと見たいので、トモくんのラベンダーパッチワークの手提げ袋レシピ付きでシリーズ化して欲しい。

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【好きなものは一つだけじゃないとダメなのか?】

”「サッカーと裁縫、どっちか選ばなくちゃいけないのかな?」
じいちゃんはなにも答えない。
「大事なことが重なったとき、ぼくはどうすればいいんだろう」
だれも答えてくれない。きっと、自分で考えなくちゃいけない問いなんだ。”
(本文 より)

主人公のトモはサッカー少年。チームメイトには隠しているけど、裁縫少年でもあります。
ひょんなことから、ハーブ園の少女リラと出会います。
リラは、身長が伸びてしまったら、母親から譲られたワンピースを着られなくなることを悲しんでいました。
そして、そのワンピースを彼女に合わせてお直しをする約束をするのですが…。

第9回ポプラズッコケ文学新人賞大賞受賞作。
この本は作者の小川雅子さんの初めての本とのことです。

”ぶーんと音がして、顔を上げると中庭に続く木戸のところにミツバチが飛び回っているのが見えた。ライラックの花の方から来たのだろうか。静かだった庭に、命の音がする。”

盛り上がりの場面ではないけれど、美しくて好きな文。

裁縫の表現が鮮やかで、自分でもやってみたいという気持ちにさせられます。
さりげなく説明がされているので、裁縫の知識がなくても大丈夫です。

大きく二つのテーマに沿って書かれているな、と思いました。
一つは、「男の子らしい趣味・女の子らしい趣味という差別への問いかけ」、
二つ目は「好きなものは一つに絞らないといけないのか」。

自分の好きなものを大切にしたい時に読みたい本です。

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これは、サッカー少年だけど祖母に教わった裁縫が大好きな山田智広という小学年6年生の男の子の物語。その祖母が亡くなり、クリーニング店をやっていた祖父が自転車で転んで入院します。クリーニング店で未了になっていたワイシャツに智広君がボタン付けをして、里見ハーブ園に届けますが、そこで里見リラという同級生の女の子と知り合います。
 本書の内容を端的に言えばボーイ・ミーツ・ガールのお話でしょうか。そして流れるテーマは好きなことをあきらめる必要はないということです。智広君は、サッカーと裁縫、どちらをとるべきかと一時は悩みますが、結局は両方頑張ることを決意しました。友人のサッカー少年・広瀬君もサッカーばかりでなく好きな昆虫のこともやっていくそうです。「二兎を追う者は一兎をも得ず」という諺がありますが、自分が好きなことなら何兎でも追っていい。この物語はそのことを教えてくれます。

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ある日出会ったリラちゃんに、ワンピースのお直しを頼まれちゃって、彼女が余りに可愛いので思わず「やります」と言ってしまったけど、サッカーの練習とワンピースのお直しの両方をするには時間が足りないんです。どうしようと悩むトモくんでした。

 人間はいろんなものを好きになるんだから、男子が裁縫を好きだって、女子が釣りを好きだって、そんなこと構うわけないんだけど、男子の方が悩んじゃうのよね。彼のようにサッカーと裁縫の両方をやりたいと思っても、誰かにそれを相談するってムズカシイのねぇ。

 おじいちゃんが入院することになって気づいた、パンツに刺されていた名前の刺繍。あれはおばあちゃんからの愛だわね。真似して刺繍をしてみたトモくんも偉いわ。

 自分の好きなこと、やりたいことが見つからないって悩む人が多いけど、トモくんとリラちゃんのように、自分で見つけることができるって幸せだなぁ。大人になって、その夢はもっともっと大きくなっていくんじゃないかしら?2人がどんな大人になっていくのか楽しみだわ!

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裁縫が好きな智広は手当たり次第に袋をつくり、家族から袋小路とからかわれています。もうひとつ好きなのはサッカー。大事な大会を控えて練習に励む日々です。

そんなときワンピースのお直しを依頼され、張り切って取り組みますが、サッカーとの両立に悩み、どちらか選ばなくてはいけないのかと考えるように。

好きなことの間で悩む智広の心情と、周囲で見守る人たちの温かさが丁寧に描かれています。クリーニング店を営むおじいちゃんの話はまさに至言!

自分自身の好きなこととの向き合い方も思い返し、好きこそものの上手なれ、をあらためて実感しました。

智広の成長物語であると同時に、周囲の人たちとの温かいつながりのお話です。

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心がふわっとあたたかく、軽やかになるような物語だった。ライラックのワンピースの完成形、どんななんだろう。見てみたい。
「男が裁縫かよ」みたいな周りの反応(トモ本人は気にしてるみたいだけど)がなかったのは、時代もどんどん変わってきてるんだなと。もちろん良い意味で。

好きなことは全部やればいい。やさしく背中を押してもらえました。

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同い年の素敵な女の子から、彼女が大切にしているワンピースの「お直し」を頼まれて、つい引き受けてしまった裁縫少年。ピュアで面映くて、読んでいて照れまくってしまう、幸福な理想空間がここにあります。

サッカーと縫い物が趣味の少年が登場する物語というと、近々で『ぼくのまつり縫い』(偕成社)が思い浮かびます。あちらは手芸男子で、こちらは裁縫少年ですが、男の子的にはやや恥ずかしい趣味であることはこちらも同様です。勿論、そうした意識を越えていくところに妙味があります。この物語では、仕立て名人だった亡くなった祖母のスピリットを受け継いだ主人公の小学六年生の男子、トモが、同じ小学六年生の清楚なお嬢さんであるリラに「お願い」されて、彼女が亡くなった母親から受け継いだ大切なワンピースの「お直し」をすることになります。それは元々、トモの祖母が仕立てたものであり、トモは試行錯誤しながら、祖母の工夫と知恵をトレースしていくというプロセスがなんとも楽しく読ませるものとなっています。その過程でトモが考えを深めていくことや、大人たちの仕事への矜持や、子どもたちの純粋な気持ちなど、美しい価値観が心地よく響き渡ります。家族を亡くした哀しみは消えないものですが、悼みながらも、子どもたちが、これからを生きていく未来と希望が灯されています。実に爽やかで、幸福な読書時間を約束できる、なんとも楽しい一冊です。

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ハーブ植物園、裁縫好きな男子…、と、女の子が好きそうな素材が沢山。
読後さわやかな青春小説です。
大事なワンピースを落として、見つからなかった時は、一緒にドキドキしました…。
裁縫の知識、川の水流の知識、ちょっとしたウンチクも、読んでいて楽しかったです。
ボリュームも230ページ程と読みやすく、小学生も楽しく読めると思います。

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小6のトモはサッカー少年。でも、実は、もうひとつ大好きなものがある。それは裁縫。
ところが、こちらは家族以外には内緒。
サッカー好きは友達に言えても、裁縫好きは言えないのはなぜ? 
好きなことが沢山あるのはいけないの? 
大事なことが重なったら、どうすればいいの? トモは悩む。

同じ小6のリラにも、悩みがある。
トモのじいちゃんも、ばあちゃんに先立たれてから、様子がおかしい。

みんな、どうなるんだろう?

うまく収まったかな?と思うと、次の問題が持ち上がり、先が気になる~。
これがデビュー作とは思えない、次作も楽しみな作家さんの誕生だ!
ミカ姉ちゃんが主役の話も読んでみたいな。

第9回ポプラズッコケ文学新人賞大賞受賞作

#ライラックのワンピース #NetGalleyJP

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