見えない轍
心療内科医・本宮慶太郎の事件カルテ
鏑木蓮
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刊行日 2019/04/05 | 掲載終了日 2019/04/12
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内容紹介
京都を舞台とした、本宮慶太郎シリーズ第1弾!
人は誰しも「見えない轍」に足を取られながら生きている・・・。
ひとり暮らしの女性・小倉由那がある日、自ら命を絶った。
由那の最後の姿をみた女子高生・棚辺春来は「由那は自殺なんかしていない」と訴える。 心療内科医・本宮慶太郎は、彼女の訴えを聞き、独力で由那のことを調べ始める。
それは、大きな悲劇へとつながる第一歩となる――。
乱歩賞作家が満を持して贈る、人間の業と再生を描いた「純文学ミステリー」
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784267021800 |
本体価格 | ¥1,600 (JPY) |
NetGalley会員レビュー
食品ロスを柱に、自殺か殺人かを紐解いていくお話なのですが、なかなか奥が深くて真相に辿りつけそうで、辿りつけないもどかしさを感じながらの読書でした。この人は良い人なのか、悪い人なのか・・・とつい考えてしまうのですが、結果として悪い人はあまり出て来なかったので読後感は悪くありませんでした。慶太朗が余りにも優しい性格のように思えたので、シリーズ続いていく中で危ない目に遭わなければ良いなぁ、とも思ったり。最後は夫婦仲も良い感じで、ほっこりしました。
ほんの少しのすれ違い生んだ悲しい結末とは?
スーパーの総菜コーナーで働く女性が自殺したー事件にショックを受けた女子高生が心療内科医・本宮慶太郎のもとに訪れる。治療のために事件の真相を探るのだが・・・
心療内科医の目から、関係者の心を揺れ動きを見抜き真相にたどり着いていく様は圧巻です。
「食品廃棄」というテーマに鋭く切り込んだ、社会派ミステリー。
心療内科医の本宮慶太郎、なかなか魅力的な人物だ。患者の訴えを元に、自殺とされた女性の死の真相を求めて奔走する。悪友や妻も本宮像を浮き彫りにする。関係者の心理分析が随所に出てきて、カウンセリングの事例研究を読んでいるような感覚になる。心理学の勉強になりそうだ。食品の廃棄ということについても改めて考えるきっかけをもらった。
ここには《私》がいて、《あの人》がいるのかもしれない。もしかしたら道ですれ違ったかもしれない人々の物語。ふとこんな想いを抱きました。この物語には、物語でしか出会えないような人物はいないし、極端に言えば、私がこの物語の登場人物だとしても違和感の無い物語です。そんな身近な人の心を知る、知りたいという、傲慢ではあるけれど当然の感情が絡み合った謎をほどいてゆきます。
宮澤賢治『よだかの星』と食品ロス問題をテーマにした本書は、とても静かで、そして真摯な姿勢で紡がれたことがしっかりと伝わってくるミステリです。一人の女性の死をめぐって、人の心の強さと弱さが立ち上がります。切なくて哀しい、けれどささやかな希望が残ります。そんな優しい物語に手を引かれてたどり着いた結末に、ちいさくひとつ息を吐きました。
シリーズ第一段と言うことで、主人公の紹介といった意味合いの作品です。
心療内科に縁がない人には、目新しい感じかもしれません。
内容の展開は、もしやどす黒いものになるのか、と思いきや、事件の真相は呆気なく、でもそれがかえって現実的でもありました。
次回作以降に期待が持てる作品でした。
食品ロス、アレルギー、どれも身近な問題で色々考えさせられました。
もう少しドロドロした感じだと思いましたが、読了感はスッキリとした感じ。
こんな素敵な診療内科の先生が近くにいたら救われる人も沢山いるだろうな。