アリゲーターガーは、月を見る

ログインするとリクエスト可能か確認できます。 ログインまたは今すぐ登録
出版社がKindle閲覧可に設定した作品は、KindleまたはKindleアプリで作品を読むことができます。

1
KindleまたはKindleアプリで作品を閲覧するには、あなたのAmazonアカウントにkindle@netgalley.comを認証させてください。Kindleでの閲覧方法については、こちらをご覧ください。
2
Amazonアカウントに登録されているKindleのメールアドレスを、こちらにご入力ください。
刊行日 2025/05/20 | 掲載終了日 未設定

ハッシュタグ:#アリゲーターガーは月を見る #NetGalleyJP


内容紹介

お城のお堀にアリゲーターガーという巨大魚がいるらしい。捨てられ、怖がられ、でもどこにも行く場所のない外来魚のガー。その孤独に引き寄せられるように夜の堀にやって来た3人の若者が出会う。母の信仰が原因でクラスに馴染めず不登校になった航、弟の交通事故死に責任を感じ自分を責め続けている朔哉、高校卒業直前に祖母が急死し天涯孤独になった葉月。ガーはなぜか3人の前にだけ姿を現し、静かに話を聞いてくれる。それぞれの過酷な現実につぶされかけていた3人が、孤独に向き合いながら歩みはじめるまでを描く青春小説。

お城のお堀にアリゲーターガーという巨大魚がいるらしい。捨てられ、怖がられ、でもどこにも行く場所のない外来魚のガー。その孤独に引き寄せられるように夜の堀にやって来た3人の若者が出会う。母の信仰が原因でクラスに馴染めず不登校になった航、弟の交通事故死に責任を感じ自分を責め続けている朔哉、高校卒業直前に祖母が急死し天涯孤独になった葉月。ガーはなぜか3人の前にだけ姿を現し、静かに話を聞いてくれる。それぞれ...


おすすめコメント

「なぜだろう? ガーはぼくらの前にだけ現れる」 町の片隅で、行き場のない3人と1匹が出会った──孤独の向こうに見えてくる、透明な光のような物語 野間児童文芸賞・日本児童文学者協会賞受賞作家による、最新青春小説 ガーは、おれたちがそばにいる間は、決して離れていかなかった。なんとなく……本当になんとなくなのだけど、おれは毎日お堀に通うようになった。別に、航や葉月さんと仲よくなったわけでもないし、アリゲーターガーに興味を持ったわけでもない。

「なぜだろう? ガーはぼくらの前にだけ現れる」 町の片隅で、行き場のない3人と1匹が出会った──孤独の向こうに見えてくる、透明な光のような物語 野間児童文芸賞・日本児童文学者協会賞受賞作家による、最新青春小説 ガーは、おれたちがそばにいる間は、決して離れていかなかった。なんとなく……本当になんとなくなのだけど、おれは毎日お堀に通うようになった。別に、航や葉月さんと仲よくなったわけでもないし、アリゲ...


出版情報

発行形態 ハードカバー
ISBN 9784652206450
本体価格 ¥1,500 (JPY)
ページ数 192

閲覧オプション

NetGalley Reader (PDF)
NetGalley Shelf App (PDF)
ダウンロード (PDF)

NetGalley会員レビュー

名古屋城のお堀で、体長2mある大人しいアリゲーターガーに毎夜話しかける朔哉達3人。生きることを再び始める心の様が、月が見下ろす中で紡がれていく。
息をひそめて読んでみて。静かな静かな、そして心に深く残るこの物語を。

——————————————————

外来種は絶対悪なのか?だから殺してもいいのか? 持ち込んだのは人間なのに、正義の名の下に手を下すのも人間。命を持つものを自分の都合で二つに分け、その一歩を悪として殺すのを楽しむなんて。

アリゲーターガーを巡る人々の様子にそれを感じ取ったからこそ、朔哉達もまた自分を振り返るきっかけを得たのだろう。苦しみに潰されて、それを毎夜アリゲーターガーに一人ずつ交代で話しかける三人。それは自分が写る鏡に向かってつぶやいているのと同じこと。でも、自然に互いに言葉をかけあうようになる。それに気付いて話をするようになる。つながるようになる。だんだん変わっていく三人と、ただその場で傾聴しているアリゲーターガーの様子が、月の光のもとに浮かび上がってくるイメージが音もなく浮かび上がってきた。

でも、それだけでは足りなかったのだね。朔哉には弟についての父の言葉が、航には母の後悔を知ることが、葉月には祖母の喜びが何かを知ることが、必要だった。人は自分だけでは気付けないことがある。近しい人と本当の意味で交わることで、これからの道への扉に気付くもの。

そして、アリゲーターガーもまた、自分の願いをかなえてもらった。

きっとこれからの三人は、自分の意思で、自分の足で人生を歩んでいくはず。でも、きっとこのお堀に戻ってくるだろう。だって、アリゲーターガーは長寿だから。三人がリスタートを始めた証として、ずっとずっとそこにいてくれるから。そして、今どうに歩んでいるか話を聞いてくれるから。

夜のイメージが、こんなに澄んで感じられるとは。こんなに静かなイメージでも、これだけ心にしみ込んでくるものとは。今ままでにない、月の光に照らされた、さざ波もない水面から深い深いみな底をのぞくような希有な読書体験だった。

このレビューは参考になりましたか?