作家の黒歴史 デビュー前の日記たち
宮内 悠介
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刊行日 2025/03/25 | 掲載終了日 2025/03/27
ハッシュタグ:#作家の黒歴史デビュー前の日記たち #NetGalleyJP
内容紹介
\\えっ! 宮内さん、//
そんなことまで明かしちゃっていいんですか!?
デビュー前の「若かりし自分」を徹底批評!?
稀代のストーリーテラーの創作の源流に迫る
宮内悠介、初の傑作エッセイ集!
◆
「もちろん、いま現在も恥ずかしくて間違っていることは疑いない。」
作家・宮内悠介が誕生する十年以上前。
誰に向けてでもなく、一人虚空に吼えるように書き連ねた大量の日記、詩、散文の数々。尖りまくった自己紹介、思想強めに自己を開陳、息を吸うように政治の話をし、プログラマとして働きながら本当に作家になれるのか怯え、終わった恋を引きずり、呪われたアパートに住みながら、深夜に街を徘徊したあの頃――。
ダークサイドに追いやった過去の自分に、あえて向き合うことで見えてきたものとは――?
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二〇一二年ごろ、最初の本を出したときだと思う。それまで書きためていたブログの記事や日記をどうしようかと考えた。それらがどういうものだったかというと、他者に読まれることをあまり想定せず、一人虚空に向けて吼ほえているような、そういう雑文だった。
だから読者数も一桁くらいで、あってもなくても変わらない代物だとは言えた。
だけど直感的には、将来問題になりそうだから消したほうがいいと思った。
というのも、ぼくが書いてきたそれらの文章は癖があるというか、思想が強いというか、なんていうか、ちょっといろいろとソウルフルすぎた。そういう内面を隠して、フラットな、情緒の安定した常識人を演じつづけなければ社会的な死を迎えると感じているのは、何もぼく一人ではないだろう。
(「活動家だったころ」 冒頭より)
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【 目 次 】
1. 活動家だったころ
2. mixi 最初の投稿
3. 二〇〇八年のガザ紛争
4. リテラシーくそくらえ
5. 日記らしい日記
6. 修行僧時代
7. 妄想のなかの敵と戦う
8. 一行で読者を脱落させる
9. 賢明であることを避けるために
10. 呪いのアパート
11. さまざまな記憶のこと
12. それがどれだけしょうもなくとも
・まとめのようなもの
・暗流
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著者/宮内悠介(みやうち・ゆうすけ)
1979年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。2010年に短編「盤上の夜」で第1回創元SF短編賞選考委員特別賞(山田正紀賞)を受賞。2012年に連作短編集『盤上の夜』として刊行しデビュー、同作で第33回日本SF大賞を受賞。2014年に『ヨハネスブルグの天使たち』で第34回日本SF大賞特別賞、2017年に『彼女がエスパーだったころ』で第38回吉川英治文学新人賞、『カブールの園』で第30回三島由紀夫賞、2018年に『あとは野となれ大和撫子』で第49回星雲賞(日本長編部門)、2020年に『遠い他国でひょんと死ぬるや』で第70回芸術選奨文部科学大臣新人賞、2024年に短編「ディオニソス計画」で第77回日本推理作家協会賞(短編部門)、『ラウリ・クースクを探して』で第11回高校生直木賞と第4回加賀乙彦顕彰特別文学賞を受賞。著書に『国歌を作った男』『暗号の子』など多数。
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おすすめコメント
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◆担当編集者より◆
誰にでも一つや二つある、もはや向き合いたくもないはずの「黒歴史」に真っ向から突っ込むなんて! しかも読者に見られるところで! 宮内さんの振り切った企みに驚きつつ原稿を読むうちに見えてきたのは、作家にとって「書くこととはどういうことなのか」という問い。
デビュー前の宮内さんに出会い直し、宮内さんの「純」な原動力に触れられる、稀有な読書体験をぜひ味わってみてください!
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販促プラン
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出版情報
ISBN | 9784065388549 |
本体価格 | ¥1,600 (JPY) |
ページ数 | 256 |
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言葉は尖り、ひたすら空に向かって叫び、火力強めな言葉で綴られるデビュー前のブログや日記は、最初に本が出版されたころ非公開にされ、消されたという。しかし宮内先生のなかに自分の子供の部分を殺しているような感覚に陥り、バックアップをとったという。
当時の日記と、宮内先生が現在の視点で批評を加える形で執筆されている。
その日記やブログからは当時の熱量を感じ、訴えかける言葉で綴られている。
記憶にある事柄は何に対して訴えているのか、当時の背景情報が補足されながら若き日の宮内先生が常に吠えている姿を見ているようだった。
パソコン通信、ホームページ、ブログ、mixi、Twitterなど言葉を綴る媒体が変わっていく。ほぼ同世代なので同じように辿ってきた道を懐かしく感じた。宮内先生と違うのはバックアップをとらず消去してしまったので何を発信していたのかさえ思い出せない。
mixiの足跡機能も今となれば懐かしく、ミニブログと呼ばれたかつてのTwitterは牧歌的だったと思っている。
過去の自分に向き合うこと、昔の日記を読み自分で批評することは宮内先生にどんな心境の変化を与えたのだろうか。
一読者としては黒歴史と題名にあろうが、かつて綴った言葉を読むことができて本当に嬉しい。
尖って、吠えて、そんな時代があったからこそ今の宮内先生のXでの発信に繋がっているのだと知ることが出来た。
私のプログラマの友人は宮内先生の大ファンだ。しかもプログラマとしての宮内先生をひたすら絶賛している。Xで発信されたGitHubを絶賛していたし、『暗号の子』の第一話に出てくるプログラムを実際に作ろうとしたくらいだ。
おかげで『トランジスタ技術の圧縮』や『ラウリ・クースクを探して』について分からない言葉について説明してもらいながら読むという経験が出来た。他にも登場する作品も積読のままなので早めに読みたいと思う。
歴史や宗教、文化をもっと学ばないと私はこの本に目を通しただけになってしまうと感じた。政治的なことや思想強めな言葉を発するつもりはないが、社会背景を学びまたこの本を読むとまた違う感想となるだろう。
ガザ侵攻、ウクライナ侵攻など今現在も世界情勢は変化している。
そのなかで宮内先生は無言を通し、大きな社会問題が起きたときもXでは何気ない日常を綴っている。その投稿がとても好きでXを覗き癒やしをもらっているのだが、あえて無言を通していたのかと納得した。
「人間、二十歳を超えたらパーソナリティは変わらないと昔教わったけれど、それは嘘であったようだ」という言葉がとても印象に残った。
これは私にとっても若い頃からずっと続く宿題でもある。心理学を学んでいた頃、人間の性格は変わるのか?と授業で議論をした。そのとき答えは出なかったが今でも考えることがある。自分なりにそのことについて考え誰にも見せない日記帳に書いてみようと思った。
私はリセット症候群になりやすいので、いつか今のSNSを辞める日が来ると思う。今も誰に向けて発信しているのかも全くわからない状態なのだが、こんな言葉を世界に向けて発信していたのかと思う日が来るのだろうが、自分だけは自分の味方だと思いながら拙い言葉を発していきたい。