spring
恩田陸
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刊行日 2024/03/19 | 掲載終了日 未設定
ハッシュタグ:#spring #NetGalleyJP
内容紹介
♛2025年 本屋大賞ノミネート!
構想・執筆10年――
稀代のストーリーテラーが辿り着いた
最高到達点=長編バレエ小説
「俺は世界を戦慄せしめているか?」
自らの名に無数の季節を抱く無二の舞踊家にして振付家の萬春(よろず・はる)。
少年は八歳でバレエに出会い、十五歳で海を渡った。
同時代に巡り合う、踊る者 作る者 見る者 奏でる者――
それぞれの情熱がぶつかりあい、交錯する中で彼の肖像が浮かび上がっていく。
彼は求める。舞台の神を。憎しみと錯覚するほどに。
一人の天才をめぐる傑作長編小説。
♛読書メーター「読みたい本ランキング」月間1位 (2024年2月2日〜3月3日/単行本部門)
♛今月の絶対はずさない! プラチナ本 選出 (「ダ・ヴィンチ」2024年5月号)
♛キノベス!2025 第10位
♛第1回 「あの本、読みました?」大賞 第5位
史上初の直木賞&本屋大賞をW受賞した『蜜蜂と遠雷』や演劇主題の『チョコレートコスモス』など、
表現者を描いた作品で多くの読者の心を掴みつづける恩田陸の新たな代表作、誕生!
ページをめくるとダンサーが踊りだす「パラパラ漫画」付き(電子版には収録なし)
構成の工夫、際だった輝きをもつ、いずれ劣らぬ魅力的な登場人物たち、
そして作者のバレエに対する深い愛と尊敬から生み出された、傑作バレエ小説。
――池澤春菜 (声優 作家・書評家)/2024年4月14日付読売新聞書評
この自然体を見よ! 誰からも愛される無邪気さと、空恐ろしいほどの天才性を両立させるのは
普通に考えてきわめて困難だが、恩田陸はそのハードルをらくらくと越える。
――大森望 (翻訳家・書評家)/2024年4月6日付東京新聞書評
多視点によって、主人公・春という天才を多角的かつ立体的に描き出すことに成功している。
ドイツの名門バレエ学校で切磋琢磨する、個性的で魅力的な仲間たちや指導者に囲まれて成長していく
春の魅力に押されて、436ページを一気読み必至です。
――豊﨑由美 (書評家)/2024年3月31日付北海道新聞書評
本作は、バレエの魅力についてはもちろん、舞台芸術全般が放つ魔力についての物語だ。
小説は、小説では表現し得ないと思われることを表現することで、進化してきた歴史を持つ。
その最先端の営みが、ここにある。
――吉田大助 (書評家)/「小説 野性時代」2024年5月号
各メディアで続々紹介・7万部突破!
【目次】
Ⅰ 跳ねる
Ⅱ 芽吹く
Ⅲ 湧き出す
Ⅳ 春になる
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【著者プロフィール】
恩田 陸(おんだ・りく)
1964年、宮城県出身。小説家。92年『六番目の小夜子』でデビュー。2005年『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞および第2回本屋大賞、06年『ユージニア』で第59回日本推理作家協会賞、07年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞、17年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞を受賞。ほかの著書に『愚かな薔薇』『灰の劇場』『薔薇のなかの蛇』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』『夜果つるところ』、エッセイ集『土曜日は灰色の馬』『日曜日は青い蜥蜴』『月曜日は水玉の犬』など多数。
おすすめコメント
2005年に『夜のピクニック』、2017年に『蜜蜂と遠雷』で2度の本屋大賞を受賞した恩田陸さん。書店関係者さま・本好きの方々に絶大な人気を誇る作家ですが、多作な著書の中でもとりわけ人気の高い作品が、ピアノコンクールを舞台に若き才能たちが音楽へ挑む姿を描いた『蜜蜂と遠雷』です。
『蜜蜂と遠雷』で音楽を、そして本作『spring』ではバレエをテーマに据えていることから、同じ表現者を主題にした作品として、本作の刊行前から発売を待ち望む声が多く上がっていました。
本作でバレエを描こうと決めた理由について、恩田陸さんは「音楽をテーマにした作品を書き終えたあと、より言語化が難しいテーマに取り組もうと思った」とインタビューで語っています。
そして発売直後からすぐに、テーマとしても、内容としても『蜜蜂と遠雷』から進化を遂げた作品として、「本のプロ」である書店員さんからのお墨付きの声が多く寄せられています。引き続きどうぞご注目ください。
販促プラン
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著者・担当編集ともに楽しみにお待ちしております。
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ご協力の程、何卒よろしくお願いいたします。
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恐れ入りますが<筑摩書房営業部>まで直接お問合せをお願い致します。
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784480805164 |
本体価格 | ¥1,800 (JPY) |
ページ数 | 448 |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー

「この世のカタチ」を見て、表現するダンサーであり、振付師でもある萬春の物語。
私はバレエについて、詳しくはありませんが、読んでいて、自分が春たちの舞台を見ている観客でもあると同時に、たとえば春が跳んでいる時には、なんとなく自分も高く長く美しく跳べているようなイメージが湧くような(実際は全く跳べませんが)、頭でのイメージだけでなくて、脚や腕のないはずの記憶がうっすら掘り起こされるような不思議な感覚になりました。
とても好きな作品でした。

バレエに出逢いバレエをとことん愛した天才ダンサー「春」。彼を軸として外から見る者たちがその才能を語りだす。
以前の作品「蜜蜂と遠雷」を彷彿とさせる壮大なストーリー展開に恩田陸の真骨頂を見た気がした。
天才たちが「春」を語る視点に度肝を抜かれる。映像がありありと浮かび上がる迫力ある描写にただただ驚かされた。
彼は桜の木のようだ。客観的に見た彼は、満開に咲き誇る薄紅の花の部分やその花びらが風に散る叙情豊かな雰囲気で優雅に感じられたけれど、自身の主観的な位置から語る彼は桜の木がじっくりと根を張るような地下深くの執念を思わせる。神々しくもある天才たちの世界観を存分に味わえた。

1ページ目から、もう好きだった。1万もの春を走馬灯のように見た気がした。萬春にとってのDaisyはバレエで、それが全てだったんだなと思った。
もうなんだか胸がいっぱいで苦しいほどだけど、それを遥かに上回る愛おしさが溢れました。この人生で何度でも読み直すと思います。

地元長野で偶然踊っている姿を恩師に見出され、8歳でバレエに出会ったその生い立ち。そしてワークショップで深津と運命的な出会いを果たしたりと、15歳で海を渡ったHALこと春が、かけがえのない出会いにも恵まれながら成長していって、彼の振付家としての天性の才能から目を逸らすことができない様々な人々の視点から彼の特異性を浮き彫りにしてゆくストーリーで、春と才能あふれる彼ら彼女らがバレエに対するまっすぐで真摯な熱い情熱をぶつけ合って、化学反応のように刺激し合いながらお互いに成長していく様子はなかなか圧巻でした。

登場人物達の内省世界で読み手の想像力を掻き立てる。最後に主人公HALの内面世界でHAL自身の人物像が完成、そしてそのまま舞台が完結する。客観的な場面説明抜きで読み手のイマジネーションを掻き立て自然やアートの創造世界へ引き込まれたそんな印象を受けました。恩田先生=HAL なんじゃないか?そう思います。

歌詞も台詞もない踊りで言葉を表現するバレエ。
春の言葉はバレエだった。
バレエ以外では表現できなかった。
だからずっと理解されたくても、されなかった。
いつか理解されることをバレエという言葉で祈りつづけた春に、この世のカタチを教えてもらった気がする。
わたしもあなたを追いつづけてみたい。
そしたらきっと見たことのない世界へ行ける気がするから。

タイトル通り、春を感じ、跳んでいるイメージの、ハルの物語でした。
子供の頃からどこか浮いた存在のハルがバレエと出会い、人や環境に恵まれて、ダンサーとして成功していく過程が、4人の人物視点で語られます。
嫉妬·悪意などドロドロしたものには触れられず、ハルがどんなふうに周囲の人たちを圧倒し、魅了しながら頂点に上り詰めていくのか…キラキラで爽やかで素敵な話だな!と読んでいました。
が、4章で一転。見せないようにしていたものがどんどん語られて、ハルが一気に生身の人間に感じられました。
焦り、恐怖、葛藤などが、彼の中にもあったのだと。
さらに、彼に大きな影響を与えた人たちについてもより明らかになって、話にさらにぐっと引き込まれました。
ハルが小さな頃からいつも探していたもの、それをつかむまでに得たものと失ったもの。
この世のカタチを悟った彼は、この先もずっと、素晴らしいものをつくり続けるのでしょう。

バレエの知識がない私にも、音楽がなり踊る姿が
頭の中で構築される作品でした。恩田陸さんが、
丁寧に取材して、文字を操るとこんな作品になるんだと
思いました。
読むのが楽しくなってくるし、バレエのことが
わかり、実際に観たくなりました。

バレエというものをまともに観たことのない自分は、あわてて動画サイトでバレエを漁りました。思わず触れてみたくなるほど、ここで語られるバレエは魅力的でした。萬春という天才の半生も、いろいろな人が語ることでいろいろな側面が見られて、是非会ってみたいと思わせる人物です。

この作品は、読者の想像力や感性を刺激する。恩田先生の文章力が素晴らしいので、バレエ等の知識がなくとも、春たちが踊っているシーンでは実際の光景が目に浮かぶ。バレエだけでなく、音楽、舞台演出、文学等あらゆる芸術に対する恩田先生の知識と愛があふれた作品だった

ヨロズハル、という天才的ダンサーであり振付師の常人離れした存在が、いろんな人の視点によって立体的になり、まるで目の前で踊っているかのような体温を感じた。
誰もが羨む才能の持ち主である彼も、人と違うということで苦悩する日々があった。辛くて孤独な時間も彼を作るひとつだったと思うことで、少し人間味を感じた。

すごい。すごかった。バレエの世界は全然わからないし知らない。それなのにこんなにも魅了された。私の中に踊ってる春くんがいた。この物語のバレエを全て現実にこの目で観たいと熱望した。登場人物全て魅力的。神童みたいと感じてた春くんが最終章で苦悩を知り胸にくる。章が進むに連れて人間味を増してきた感じがしてあの最後の踊り。鳥肌。

読んでいる最中、ずっと幸せ。恩田陸の、スプリングの世界に浸っていられる。私はバレエのことはほとんどわからない。でも踊りが見える(気がするし)、音楽が聴こえる(ような気がする)。この多幸感を是非味わって欲しい。そして春の「俺は世界を戦慄せしめているか?」このせりふが最高に素敵だ。

天才バレエダンサーを4人の視点から描く。終盤は、まるで天才の思考回路に入り込んだかのよう。その音が、その舞が、鮮やかに浮かび上がった。読んだきっかけは本屋大賞ノミネートだったが、全くの門外漢だったバレエが、いつの間にか崇高な存在になっていた。

spring/恩田陸 筑摩書房
プロローグとエピローグだけの物語
興味をそそられる面白いプロローグと、
語られた物語が集約されて行き着く感動のエピローグ
この2つしかなかった。それだけで1冊が終わってしまった。
450ページ程の物語が、あっという間だった。
容姿端麗、柔軟で強靭な身体、本質を見抜く感性
・・・天から与えられた才能
素質を見い出して扉を開けてくれる人
無限の素養を与えてくれる人
閃きを具現化してくれる友と呼べる人
進むべき頂きを指し示してくれる人
天性の素質で刺激と音楽を与えてくれる人
共にバレエの神髄を目指してくれる人
・・・必要なタイミングでの必要な出会い
バレエの神に愛されているとしか言いようの無い、春(HAL)の物語。
美味しい肉を食べた時の「溶けて一瞬で無くなった」っていうあの感想。
それと同じで、1ページ目から物語に没入し、
あらすじを読んでいるだけのつもりが8割読み進んでました。
そして、あっというまにラストシーン・・・読了。
透き通った一つの世界の到達点の余韻にひたって惚けてました。
面白いと感じる暇もない、最初から最後まで入り込める物語でした。
素敵な物語をありがとうございます。

文章から、バレエにおいての人体の美しさ、動きの美しさが脳内に浮かび上がってくるようでした。
演者は鑑賞者にとっての表現者であるというような表現があったけれど、まさにこの小説を読むことで、登場人物それぞれが持つ才能をまるで自分の才能のように知覚でき、小説というものの素晴らしさを改めて感じました。

そこには音楽があった。いや違うな。そこには“動”があった。んー、これも違う。小説が、動いていた、と評するのもやはり足りないのですが、私の語彙力が足りない。とにかくこの小説は“彼”そのもので、まるで生きているようでした。
私のバレエ知識は漫画程度しかありません、それでも恩田陸先生の手にかかれば背中がぞわりとする高揚や畏敬を感じさせられてしまいます。この力強さはなんなのか、未知の美しい存在を文字でぶつけられているようでした。ああ、凄かった。

馴染みのないバレエの世界にぐいぐいと惹き込まれていきました。HALの踊り、作り出す世界観や匂いまでも間近で感じているようで圧巻でした。ページ端のダンサーと一緒に読み進めていくのもまた楽しくて、細かい所の仕掛けが素敵だなと思いました。

天才的バレエダンサーが成功するまでを、4人の人物の視点で語られる作品。バレエの知識がない私にもその様子が浮かんで来るような錯覚に陥る、恩田陸さんの表現力は流石です。
ページ下、バレエの動きのキャラクター。紙の書籍だとこれがパラパラマンガみたいになる所が凝った作りで面白い。

読後感、超濃密。ぎっちぎちにバレエを詰め込んだ小説。
物語は淡々とした語りで最初から最後まで続くのですが、淡々としているゆえなのか何なのか、ずっと息をつめて物語の行方を見つめてしまいます。
萬春という一人のバレエの天才の物語。
幼少期から彼が彼として成立するまでを語り手を変えながら描いていきます。
彼の人生、そして彼が関わるいくつものバレエ作品がとても隅々まで描かれているので、何公演も立て続けにバレエを見たかのような疲労感を感じました。
つらつらと最後まで読めるのですが、少し哲学的な、人とは?自然とは?神とは?といった感じの問いが浮かぶシーンがあって、この物語を深く理解しようと思ったら何度か読み返さないと難しいな、と思いました。
とにかく本の厚さ以上の超大作。心して読んだ方がいい作品だと思いました。

とても美しい物語でした。複数の語り手を通じて徐々に浮かび上がる、稀代のダンサーかつ振付師萬春の人物像。バレエの知識がなくても、彼や彼を取り巻くダンサーたちの華麗な所作や内に秘めた情熱をイメージして、物語に引き込まれました。芸術を愛し、芸術に愛された人たちの棲む世界がどんなところなのかを、垣間見せてもらったような心地です。

わたしには縁のないバレエの天才・萬春の物語。堅苦しいものという先入観があったのでこんなに多様性があるとは驚きでした。踊りだけで物語を表現する事ができるのか、この目で確かめてみたくなりました。映像化は難しいですかね。

バレエという、自分とは縁のなかった世界へ鮮やかな彩りを持って連れて行ってくれる本でした。
創り出すときに湧き上がるもの。「踊り」や「音楽」という表現を通して突き詰めるということは、自分や他者といった世界に触れ、昇華していくことなのかもしれません。
紙の本できっと手に取りたくなるであろう一工夫も素敵です。

天才バレエダンサー春と彼を取り巻く人物たちの独白による物語は、彼らが息をする音が聞こえ流れる汗や涙が目に見えるほど現実感があり生々しく感じられた。今まで見聞きして知ってはいたけれどほとんど自分と接点のなかったバレエという舞台舞踊。その当事者たちがどのように人生を捧げ高みを目指しているのか、なぜバレエに魅せられ熱狂する人々がいるのかを教えられた。

圧倒的な文章力に、五感が刺激されっぱなしだった。バレエは総合芸術。文芸作品や音楽に繋がっていく世界観が好ましかった。ダンサーの個性について、まったく踊りと縁のない私にも分かりやすく書かれている。読者はきっとバレエに興味がわくだろう。美しくて、大人びた物語だなと感じた。

まさかバレエを「読める」とは思いませんでした!
指先、髪の先にまでも神経を尖らせ、才能を宿らせ踊る春くんの姿が、容易に想像できた。
選ばれし表現者、春くんの濃密なバレエ人生を、豊かな表現力で描き出す恩田先生の頭の中を覗いてみたい。
読後の充実っぷりが凄いです。

とにかく物語の厚みに圧倒される作品だった。人物の背景、作品のバックボーンから、振り付け、舞台を取り巻く人々の感情まで。特に作品とダンサーの動きの解釈は特出していて、文字に動きを、躍動感を、立体的に踊らせる力を感じた。作中の舞台が現実に存在し、私たちもどこかで作品を目にすることができないものか、と願ってしまった。厚みのある語りが、春に肉を与え、花開き、踊らせた。私も観客のひとりとして、彼の虜になった。