ソコヌケ
beco+81
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刊行日 2025/03/22 | 掲載終了日 2025/03/22
ハッシュタグ:#ソコヌケ #NetGalleyJP
内容紹介
底抜けにくいしんぼうなオオカミが世界を喰い尽くすお話
獲物を食べすぎて群れを追い出されたオオカミ。いらだちのままにヤギやウサギを食べ、虫や草花をむさぼり、湖を飲み干し、ついには太陽まで丸飲みしてしまいました。何もなくなった世界にただようオオカミは、やがて底抜けの闇に飲み込まれていきます。
いま注目のイラストレーターbeco+81が描く、衝撃の絵本デビュー作。
さく・え: beco+81
「かわいいだけじゃないかわいい」絵で人気のイラストレーター。「しりみみうさぎ」はUSAGI ONLINEやlilLillyなどのアパレルブランドとも多数コラボし、注目されている。
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784756259585 |
本体価格 | ¥1,400 (JPY) |
ページ数 | 32 |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー

一見普通の人に見えても、内面が底知れない人。
傍にいてもなかなか見分けるのは難しい。
もしそういう人に出会った際、彼はどういう因果をたどるのか。
憧れる面があった場合、突き詰めればどういう風な未来が待っているのか。
欲望の行き過ぎた果てを教えてくれる、日常と狂気が裏表ということも。
感受性の強い、自制心と向き合っている、他人の強引さに戸惑っている、
そういう子に届いて欲しい本です。

ソコヌケの底なしの食欲は、まるで怒りに駆られてそれをぶつけるかのような危機迫るものだ。群れを追い出され、ヤギやキツネを食い尽くし、花も虫も食い尽くし、食っても食っても食い足りないのは、どこかに底知れない穴を抱えているからか⁉︎
世界が反転するほどの食いっぷりは、結局ソコヌケを破滅させた。因果応報と言えばそれまでだが、ソコヌケの求めたものは満腹というような単純な結果ではなかったのだろう。
自分が生きていることを確認し続けるために、あらゆるものを食い尽くしていったのかも知れない。終わりなきソコヌケの命がループするさまは、一種異様な底光りを放っている。

食いしん坊すぎる1匹のおおかみのお話。
あまりにも無秩序に食べ尽くすこのおおかみは、仲間の群れからも追い出されてしまう。
ヤギをキツネをウサギを…
もっと…もっと…!と際限なく欲望のまま食い尽くし、どんどん肥大化していく姿は「人間の欲望」にも似ていると感じる。
狩る側であっても秩序を大切にする者、一方で、欲望のまま狩ってしまう者。一括りに「おおかみ」としてしまうことに躊躇いを感じ、「人間」という括りではどうなのかとまた考えさせられる。
最後、世界がループする。
人間の行いもまたループするのだろうか。

初めはただのくいしんぼうかと思いきや、どんどん膨らむ欲にのみこまれていく。その様子が迫力のある絵で展開され、どうなってしまうのだろうとお話に引き込まれました。
子供向けというより、大人向けなお話に感じました。

内容紹介に「底抜けにくいしんぼうなオオカミが世界を喰い尽くすお話」とあったが、その通りの話だった。
ただ全部そこにあるものを全部食べるだけの話なのだけど、どこか哲学的で、怖くもあった。
難しい語彙も使ってあるので、これは子ども向けというよりは大人向けの絵本なのかも。
イラストがとてもカラフルで、迫力があった。

第一印象はとても迫力のある表紙だと思いました。
読んでいくうちにどんどんと目つきが危なく、怖くなっていく。
何も見えてないんだろうなと思うような目つきにゾクッとしました。
欲望はとどまることを知らないもの。「足るを知る」ことの大切さを突きつけられた気がしました。

腹へりオオカミは、ヤギを食べる。どんどん、どんどん。ヤギを食べ尽くしたら、更に次から次へと。そして今度は……
この絵が秘める迫力に、物語が綴る力に圧倒される絵本。
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黒を基調とした、ダイナミックなタッチの絵が見開きで広がる様に息を呑んだ。
その中で、オオカミの貪欲さに唖然。全てを、全てが……
そして漆黒の中、あまりにも鮮やかな輝きに息を飲んだ。それからのオオカミの有様に、その美しさに言葉もなかった。
そして、また……
理屈ではなく、この絵で、感性で感じて欲しい絵本。

「あらしのよるに」を想起させるオオカミとヤギの場面から始まるが、親愛の情を抱くことなく物語は進む。欲望のまま行動するほど世界は荒れていくもの。孤独の先には強さがあるはずだが、孤立の先には残酷な結末しかない。人と人との間に生まれる対立や欲望を抑えることはできるだろうか。ソコヌケ。欲しいものがある限り求めたくなり、望みを叶えるために他者を追い込む。主人公はブラックホールの闇の先に何を感じたのだろう。寂しさが膨れあがれば爆発するのに。一輪の花の望みさえも踏みつぶしてしまうのなら、叫んでも誰も助けてくれないのに。

「これは そこぬけに くいしんぼうな オオカミの おはなし。まさか じぶんが おひさまを たべるだなんて このときは ゆめにもおもっていない・・・」
こんなふうに始まる物語。そう、これは途方もない食欲のオオカミの物語。結論はたしかに、そこしれぬ悲劇のループ。何だこれはの物語。
でも、どうやら「そんな馬鹿な!荒唐無稽だ!」と、一笑に付すことができる物語では、なさそうです。どこか、真実味を帯びた怖さがしみてきます。
ただ単に、欲も程々にと戒めるだけのものではないようです。おはなしのはじめのころのオオカミだって、まさか、自分がおひさまを食べるだなんて、夢にも思っていなかったのです。悲劇の結末を防げたかもしれない時点に戻れるとしたら、それは、どこだったのでしょう?「このままじゃ、いけない」と、思わなくなって、自分の意識さえなくしてしまう前に・・・
でも、欲望は生きていく上で無意味なものではありません。体を維持していくのに食欲は必要です。こころが目指す夢をかなえるのに、体はなくてはならないものですから。見たこともない素晴らしい世界を夢見る、そのために、今日体に食べ物が必要。食べられる側にももちろん生き続けたいという欲はある。だから、弱肉強食で、遊んだ世界しか見ないものには、いっそ生まれたことが罪。そういう考えもあるでしょう。
だからこそ、ちゃんと考える。自分が生まれた意味を考える。二人の親から生まれた自分が、自分だけのことだけで世界を語れるわけがないはずです。だからこそ、考え続けることが大切なのですよね。生きていくうちにはたくさん間違ったこともするのです。大事なのは、まちがいのままいきないこと。でも、どれが正しいなんてかんたんにわかりっこないのです。だから、欲のままに食欲ソコヌケのこのオオカミの悲劇をくりかえさないためにも、欲のことを、ちゃんと考えましょう・・・そうbeco+81さんはこの物語を書かれたのかもしれません。
深さのない強い欲をいましめること。世界と自分が、一対一だと、おひさまだって食べてしまう。自分とその他に生き、存在する者たち、そんな「一対多」の視点はなかなかもてないけれど、自分と世界を見るときに、自分は他の存在なしには生きられないのだと知ることです。他の存在のない自分は、きっと、何もかも自分の中に取り込んでしまったオオカミのように、こころがなにも感じなくなった状態なのかもしれません。それは、こころの、自分という存在の「死」かもしれませんね・・・
きっとこれは、自分だけの欲にのみ生き、全世界を自分とは別のものと思い上がるような、偽りの自我をいましめて、そして、本当ののしあわせとはなにかを問う物語なのでしょう。
最後に、「大欲は無欲に似たり」といいます。無限に大きく育て素敵な夢!周りの人とともに自分もしあわせにするステキな夢!そんな夢を実現したいという欲は、どんどん叶えていっていいのですよね!そのためにこそ、欲を良く吟味し、深く生きていきたいです。ありがとうございました。

絵が美しい。
次はこれ、次はこれ、次は…とどんどん食べていくオオカミを追いかけて楽しむ絵本かと思いきや、まさかの大どんでん返し。そして、ループ。また始めから読み返したくなります。
ページをめくった時の感動を大切にしたい絵本です。