月とアマリリス

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刊行日 2025/02/27 | 掲載終了日 2025/02/27

ハッシュタグ:#月とアマリリス #NetGalleyJP


内容紹介

記者の道を諦めた私に、この事件を追う資格はあるのか──

週刊誌記者を辞め、北九州でタウン誌の編集をしている主人公の地元で白骨死体が見つかった。所属していた週刊誌からの依頼で、事件を追い始めるが主人公にはためらいがあった──。著者新境地の傑作!

記者の道を諦めた私に、この事件を追う資格はあるのか──

週刊誌記者を辞め、北九州でタウン誌の編集をしている主人公の地元で白骨死体が見つかった。所属していた週刊誌からの依頼で、事件を追い始めるが主人公にはためらいがあった──。著者新境地の傑作!


おすすめコメント

この作品を書きあげたことで、これからもチャレンジし続けられる、という自信がつきました。私にとって特別な作品です。──町田そのこ

この作品を書きあげたことで、これからもチャレンジし続けられる、という自信がつきました。私にとって特別な作品です。──町田そのこ


出版情報

発行形態 ハードカバー
ISBN 9784093867450
本体価格 ¥1,700 (JPY)
ページ数 368

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NetGalley会員レビュー

町田そのこの新境地
今まで読んだ彼女の作風と
全く違うストーリー。


衝撃、慟哭、悲しみ...
ちょっとした行き違いで
人の人生はここまで変わるのか...


完璧に見えた少女は家族との
すれ違いから愛情を外に求め
間違った人との寄り添ってしまう。


そして起きた悲しい事件
その事件の真相を解き明かしていく
女性記者も過去に自分が書いた記事で
人を追いつめてしまった傷を持つ。


恐ろしいけど読むのをやめられない。
町田そのこの新しいチャレンジ。
2月27日刊行予定、是非お読みください。

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事件記者を辞め、蟠りを残したまま実家に戻った主人公の心が、地元で発見された白骨死体事件で再び動き出す。事件との、人との向き合い方に悩みながらも、寄り添う事で真相に迫っていく、歪な人の繋がりを描いたサスペンス。

今までと違うジャンルの中に、しっかりとこれまでも積み重ねてきた著者のマイノリティに寄り添う気持ちが滲んでいた。強さとは何か、弱さとは何か、自分の物差しの歪みに気付かせてくれる物語。偏りのない多角的な視点で描かれる事で、登場人物との距離が近付き、事件の本質がクリアになっていく度に痛みが伴う。フィクションとは思えない、実在の事件ルポを読んでいるようなリアリティに息を呑むほど読み入った。派手な展開で纏めずに、その先の救済から再生にもスポットが当たっている所に、温かい希望を感じられた。

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まさかこんなに泣くことになるとは思いませんでした。
本当のルポを読んでいるかのような、最後の記事がとてもよかったです。
感情を揺さぶられるストーリーでした。
未散は加害者ではあるものの、歪められてきた被害者でもあり、その過程を知るにつれて辛くなり、
未散の祖父の怒りのシーンには同じくらい怒りがこみあげ感情移入しました。

町田そのこさんはとても売れている大人気の作家さんですが、新たなファンが増えると思いました。
私はミステリーが好きなので、今までの作風はそこまでのめり込んだことはありませんでした。
ですが、今作はのめり込みすぎて一気読みしすぎて、
トイレに行く時間も惜しいほどでした。

発売されたらまたインスタでも紹介しようと思いますし、店頭でもしっかり展開しようと思います!

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アマリリス 花言葉 おしゃべり。

物言わぬ死体、言えぬまま死んでしまった
独居老人、DVを愛だと信じた彼女、いじめを苦に自殺したあの子、義父から性暴力を受け自殺した少女…助けて、と泣いたけと伝わらなかった言葉の数々。
それを、誰にも届かなかったその声を掬い上げて、伝えるべきひとのところへ届けたい。
みちるが記者を仕事にした理由。
書かなければならなかったのだ。でも逃げた。
だって、あの子の心を殺してしまった。
自分がトドメを刺してしまった。

口に出すことすら許されないと思っている
「痛い」「苦しい」子供、女性。
強い力に従ってしまう
彼氏の、夫の、親の言うことに従っておけばいい、それを愛だと信じてしまう、男女平等ってこれほど世間で叫ばれていても、この保守的な土地、この狭いコミニティーでは、格差が蔓延ってる。搾取されている。
「それでいいわけがない」そう言いたかった。
でも伝わらないと諦めてしまった。
人を信じて生きるというのは美しいかもしれないが、醜い。強くなんかない。
弱い。女は低い。

アマリリス 花言葉 おしゃべり

おしゃべりしよ、話聞くよ、聞かせてよ。
向かい合って、一緒に考えよ。
どうしよう、助けて、と言う声を。
あなたの罪も、弱さも、聞かせてよ。
きっと、声以外に伝わることがある。

自分の書いた記事で共有できることがある。救われる人が、家族がいる。友達がいる。
自分自身を愛し、守ってほしい。
歪みを受け入れてしまったあなたの心は
ひとによって歪んでしまった。
でもその歪みはひとによって、まっすぐにすることができると信じている。
あなたの気持ちに触れたい。
あなたを見つけたい。

サスペンス、犯人探し、そんなことよりも
もっと大切なメッセージを
町田先生から受け取った…なんて優しい渡され方ではなく
胸を切り開いて、むりやり押し込まれたみたいな、読書体験だった。
もちろん、サスペンスとしても極上だった。
しかし言葉の圧や熱量が、一気に自分の中に雪崩れ込んできて、読者の感情を掻き乱していく、飲み込まれていく。
これほどの作品、過去にあっただろうか。
まだ頭がポゥとしている。チカチカしている。
心身ともに健康な人じゃないと、読むのがツライかもしれない。でも
ブチのめされてもいいんじゃないか、町田先生の言葉に。私は真正面から張り倒された気分だが、この感覚を人にすすめたいって思っているよ。

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これまでの作品とは一線を画す異色の社会派サスペンスだが、随所に散りばめられた胸に刺さる言葉の数々は過去最高頻度で、ズシンと心に響くテーマの重さの反面、よくぞここまで書いてくれた、ほんとそれ!という共感で満たされた。老女の死体遺棄事件を発端に、次々と明るみになる関連事件を取材する主人公の女性記者。仕事も家族とも上手くいかず悩める彼女が、事件の真相を追う過程で気づき変化してゆく心情が激しく切なく胸に迫る。愛情の隙を突いて巧妙に騙され犯罪に巻き込まれていった、社会的被害者とも言える女性たちの姿が浮き彫りになるにつれ、その"紙一重"を分かつ"もしもあの時"を考えさせられる。

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心に傷を負った記者が、ある死体遺棄事件を調査する。犯人を追う中で、事件に関わった人たちの重ねてきた時間を知っていく。

「ーひとはひとで歪むんよ。その歪みをどこまで拒めるかが、自分自身の力ー」
親からの無償の愛を知らずに成長した同級生の言葉だ。
「影響を受けた」のではなく「歪む」という言葉を選んだ彼女の心が、痛くて痛くてたまらない。どんな時間を積み重ねてきたのか…言葉で表されている以上に、彼女の姿が、彼女の傷が、読み手に伝わりすぎてしまう。
もしも、あの時ほんの少し違う道を選んだのなら…そんな風に思わざるを得ない。

主人公である記者と彼女は手紙の
やり取りを始める。一方通行の手紙が言葉のやり取りへと変化するころには、愛情にも似た友情が育ち始める。
彼女が言うように、ひとを歪めるのはひとであるかもしれない。しかし、歪みの中からひとを連れ出すのもまたひとなのだと、この2人を見て改めて思う。

この事件に関わった人たちにも変化が生まれる。
子どもだけではなく親子をサポートする道を切り開いたり、誰もが集える場をつくろうとコミュニティカフェで働きながら勉強を始めたりと、その道は様々だ。

人は誰とも繋がらずには生きていけない。
両親との繋がりから始まり、学校で、地域で、そして社会で…
どんな巡り合わせがあり、どんな人たちと関わっていくかは未知であるけど、人との繋がりのなかで自分なりの強さを持ち輝いていけたら。
歪みのない世界はないかもしれないが、それでも、と抗いたくなる。

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死体遺棄事件から始まるミステリー
でもその根底にあるのは人の弱さややるせない様な家庭事情。
最後まで一気に読んでしまった。
読後感はかなりずっしり重めで、少し引きずる程。
それでも充実感は◎。

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飯塚みちるはある事件取材をきっかけに雑誌記者を辞め、失意の中にいた。ある日、元の上司兼恋人から連絡が入り再び事件取材に取り組むことになる・・・
家族内虐待やマイノリティの生き辛さなど、可視化され辛い痛みや苦しさを丁寧に紐解いていく。またその痛みを社会の痛みとして共有させていく筆力は圧巻だ。そしてその共有感覚すら視野の狭さが一因かもしれないことをみちるを通して教えてくれるようだ。
個人の倒れ方、向き合い方、立ち上がり方全てが個人によるものの筈なのに、そうはなっていない今の世の生き辛さまで炙り出していくかのよう。
痛みへの向き合い方を教えてくれるかのような物語。

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小説を読むのはいつも時間がかかってしまうのですが、読みやすくて一気に読んでしまいました。
サスペンスを読み慣れていない人でも、ハードルを感じず楽しめる文体だと思います。

奔走する主人公を追うようにしてどんどん世界の密度が上がっていく体感は、サスペンスとしてとんでもない満足度でした。人物はみな苦しいくらいに血が通っていて体温があって、人生があって、その繋がりがこの世界の密度そのものでした。
どこまでも残酷で最悪で目を背けたくなるのに、傍に蛍火のような希望があって。生きているせいで苦しいのに「生きてさえいれば」と思わされる、ズルいとさえ感じてしまいます。
それくらい力のある作品だと思いました。
本当に凄い。ありがとうございました。

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町田そのこ史上、最も苛烈な物語。

助けを求める事もできず、救いの手を差し伸べられる事もなく、痛みと絶望の中で生きる人がいる。闇に閉ざされ、声なき声は誰にも届かない。けれど、もしもそんな闇を照らす事ができたら。闇をはらう事は叶わなくとも、時に弱まり闇にかき消されてしまうとしても、繰り返し繰り返し光を投げかける事ができたら。闇夜を照らす、月のように。

決めつけずに真っ直ぐ他者と向き合う事はできるのか。その声を掬い上げる事はできるのか。痛ましい出来事の絶えないこの世界に、救いはあるのか。一切の妥協も容赦もなく重ねられる言葉は、町田先生が幾度も自らに問いかけ、心に傷を受けながら考え続けた、道のりそのものにも思える。

愛するということ、愛されたいと願うこと、それが人を生かしもするし、殺しもする。あるいは、罪を犯させることも。愛を渇望するあまり狂わされていく人生が、自分と地続きに思えて幾度も心を抉られた。

誰もが自分の見た世界を生きていて、それは否応なく偏っている。そして、人の発する言葉は必ずしも真実とは限らない。人と人とがありのまま関わり合う事の、なんと難しいことか。けれど、目を逸らさず、見て見ぬ振りをせず、互いに言葉を交わし合う事でしか、闇はきっと切り開けない。誰かの言葉に真摯に向き合いたい。そう強く思った。

町田先生が作家として積み重ねてきた全てを注ぎ込み、その全てを昇華させた、衝撃のサスペンス。この物語を生きる人々の投げかけた光が、語らいが、あなたの元へ届きますよう。

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著者初のサスペンス・ミステリー!まさに町田そのこの新境地!
読んでいると映像としてリアルに脳内再生されるような鮮烈な文章。
ドラマを見ているかのような感覚ですいすい読み進めてしまいます。
読み物としての面白さだけではなく、今現代社会が抱える貧困の問題、ジェンダーの問題、いじめの問題、生きづらさの問題など、たっぷり考えさせられる問題提起がなされ、面白く読むだけでは終わらない深い物語。
そして何より、愛の物語だと思いました。
愛すること、愛されることとはどうゆうことなのか、考えさせられます。
例えば、自分が当たり前に享受してきた親からの愛情。それはけっしてあたりまえとは言えないかもしれないこと。
自分が愛だと思って人に差しだした感情は本当に愛と言えるのだろうか?

とにかくとても面白くかつ考えさせられるいい物語なので、多くの人に読んでもらいたいと思います。
そして、記者みちるの書く次の事件をぜひ続編として読みたいです。

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町田先生の作品はいつも一気読みの私が、本書は、苦しくて、せつなくて、しんどくて、嗚咽が止まらなくて、何度も本を閉じた。
愛しているとは、愛されてるとは、愛情とは一体何なのか考えさせられた。自分が信じたものは、簡単には疑えないのだと知った。
研ぎ澄まされた人間ドラマと、真相までの疾走感がずっと続く、涙腺崩壊サスペンス!人間、こんなに泣けるんだっていうくらい泣きました。

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ぶちのめされた。
感想がまとまらない。
物語の中に、当事者として入り込んでしまって抜け出せない。

誠実。というのは、こんな筆致のことを言うのだと思う。
細部まで考え抜かれたプロットで、自己満足な語彙が少しもない。
自分が書いたものが、だれかを傷つけないように、
けれども本質を突くことができるように。
物語の細部に張り巡らされた思いやりと怒りと絶望。それでもそこに希望を見出すとしたらそれはどこなのかと手繰り寄せていく本当に本当に細いけれども確かな糸。

誰かを傷つけてしまうとき、自分自身はそれに気づかない。
せめてそのことを忘れずにいたいと思う。
でもそれはとても覚悟がいることだ。

発売されたら、この本を広める。

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記者である主人公が過去の過ちを抱えながらもその道に戻るという物語なのですが、周りの人間を巻き込む力が純粋にすごいなと思いました。また、自分の行動や他人の行動の善悪を勝手に自分の価値観で決めつけていたのですが、それがそれだけ傲慢なことなのかということに気付かされました。

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月とアマリリス/町田そのこ 小学館

加害者側の心情に深く深く寄り添った傑作

中学生が自殺、取材し記事を書き、いじめグループを告発
しかしグループの1人が、罪を告白し自殺未遂
加害者とされていたその少年も脅されており、被害者だった
自身の罪を悔い、心が前を向かなくなった飯塚みちる

報道記者を辞め地元に戻り、地方紙のライターをやっていたが、
近くの山中で発見された遺棄死体の調査と記事を書くことに。
報道記者を辞めた過去のトラウマと向き合いながらも
調べていく中で、次々と真実が見えてくる

サスペンスドラマを見ているように真相が浮かび上がり、
犯人である加害者の姿が少しずつ明らかになっていく過程に
目が離せなくなりました。
そしていよいよ加害者の心情が語られてきて、
切なさや憤りなど混ざりあって感情がめちゃくちゃ揺さぶられました。

どっと疲れるような重いストーリーでしたが、
過去のトラウマから前を向いていくのが感じられるラストが良かったです。
救われた。
欠けている人を描くのが、そしてその欠けたピースを繋ぐのが
町田先生、いつも凄くいい。先生、やっぱりやさしい。

素敵な物語をありがとうございます。

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誰かに危害を加えられた人が誰かにとって加害者になる。
それがたとえ被害者であった過去があってのことではあっても、
次の被害者にとってその人は「加害者」であって、
被害の過去があるからといって罪がなくなるわけではない。
でも、もしも被害の過去がなかったとしたら、
そんな加害を犯すことにはなかったかもしれないという「たられば」。

そして人は自分の痛みには敏感だけれど、
他人の痛みには鈍感以前に気付きもしなかったりするという、
認識の不均衡がもたらすボタンの掛け違い。

そんな人が生きていくうえでのままならなさが詰まっていて、
登場人物たちが抱える生きづらさと重苦しい展開とに息を詰めながらも
先が気になってしまってページが閉じられなくなる本でした。

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最近、個人的に犯罪心理やメディアのあり方について考えることがあり、そんな時に本書が目にとまり読んでみたいと思った。冒頭数ページの「こんなところに、どうして来てしまったんだろう」この言葉が頭から離れないまま、ずっと読み進める手が止められなかった。犯罪に手を染めるきっかけって何なのだろう。みちると美散の運命がこうも変わってしまったのは何なのだろう。ニュースで犯人の生い立ちを見て同情することもあれば、なんて奴だと罵りたくなる時もある。とはいえ、被害者側からすればそんなことはどうでもいい。でも、メディアは犯罪者の背景に何かあればあるほど書き立てる。その他の群衆でしかないニュースを見る側は同情すべき点があれば、少しホッとする。理由もなく通り魔的犯行は恐怖をあおり、いつ自分が巻き込まれるのかと不安が募る。でも、理由がある犯罪にだっていつ巻き込まれてもおかしくないのだ。傷つけられた記憶ばかりで、キッカケが自分が相手を傷つけたとは人はなかなか気づかない。誰もが被害者にも加害者にもなる可能性があるのだ。そして、自分の家族や友人が被害者や加害者になった場合、どうして助けられなかったのか、何かできなかったかと答えの見えない闇に連れて行かれてしまう。また、メディアの報道の自由とは何なのか。最近はゴシップのような記事ばかりが話題になってしまうけれど、みちるのように信念を持って書かれている記事もある。読み手の受け取り方次第で前にも後ろにも向いてしまう。今必要なのは報道を見る側の覚悟と想像力なのかもしれないなと深く考えさせられた1冊だった。

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気がつくと、読みながら涙がこぼれていました。
最初はサスペンスかと思いきや、次第にミステリー要素が出てきて
最終的には壮大なヒューマンストーリーを体験させてもらえました。

町田そのこさんの「月とアマリリス」
想像以上の新しい世界を見せてくれました。
この作品に出会えた事に感謝。

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すごかった!本当にすごい小説だった!
”すごい!”としか表現の仕方が見つからない自分が情けない。
どうしたらこの感動を伝えられるのか。
かわいらしいタイトルは裏腹に、その内容は壮絶だ。
けれど、読む手が止まらず、仕事をしていても、運転をしていても、早く続きを読みたくて、”月とアマリリス”のことしか考えられない2日間だった。
読みながら、町田先生にお会いしたこともないのに、満身創痍で原稿に向かっている姿が浮かんできた。
読書って最高だ!と久々に思わせてくれた1冊。

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他人の何気ない言葉を自分の思い込みや決めつけで解釈して勝手に傷ついてしまうのに、逆の立場で同じように人を傷つけてしまってることにはなかなか気がつかない。そのつもりがなくてもこれまでにたくさんの人を無意識に傷つけてきたかもしれないと考えてしまった。残酷な事件の物語でその背景には共依存や愛着障害という問題があって苦しくなるのですが、ちゃんと愛情を持って気にかけてくれる人たちのそのあたたかい言葉に涙が出ました。探していた美散をようやく発見した緊迫した場面。その想像以上に頑なに心を閉ざしている姿に、どうにか言葉が届いてほしいと願いました。世界はなかなか変わらずに残酷な事件は繰り返し起こってしまうけれど1人でも多くの人に読んでもらいたいと思いました。

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止まることなく読み進められる長編でした。
物語の世界に入り込ませる、町田その子さんの力を感じます。
中心人物・みちるの描き方には惹き付けられました。かつて「ペンの力」で社会をよりよくしようと熱意を持って仕事に取り組んだところ、立場の弱いものを追い詰めてしまった。そんな過去を抱えながらも、事件の取材を進めていく。親にも心配されながらも、真相がつかめないまま長期化していく葛藤が、とても巧みに書かれていたと思います。
そんなみちるを含め、性的マイノリティ、孤独な老人、親からの心理的虐待など、生きづらさや現代社会の課題を抱えたような人物の様子がありありと書かれており「52ヘルツのクジラ」や「ぎょらん」に通じるとともにこれらを越えたものだと感じました。舞台が九州というのも、昔からの男尊女卑の考えが根付いているのが感じられました。
多くの登場人物に寄り添いたくなるような、感動作でした。

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町田さん初のサスペンス作品。主人公はある週刊誌の雑誌記者の飯塚みちる。ある記事を書いたことで、記者を辞めて実家、北九州に戻ってくる。そこに北九州市の高蔵山で白骨化した遺体が発見された。この事件がみちるを記者に立ち戻るきっかけとなった。事件を追うごとに、自分の過去とつながりがあることがわかる。壮絶な体験をしてきた人たちの生き様が町田さんらしい筆致で描かれていて、心に深く響いた。知らぬ間に人を傷つけることは誰にでも起こりうることを実感し、人から愛されたいと切に願う気持ちに涙した。

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記者が事件の真相を追っていく話か、と思いながら読み進めていったが、登場人物一人ひとりの描かれ方にぐっと心を掴まれた。どの人物にも自分と重なるかもしれないと思う部分がある。
訪れたことのない、北九州の町なのに、情景が目に浮かぶようだ。馴染みのない方言にもいつのまにか親しみを覚えてしまう。
人間同士の関係が希薄になっている今の時代。でもそう見えるだけで、実は皆誰かのことを思い遣っている。ただそれを表に出せない、出そうとしない、受け取らない空気感。それを強く感じた物語だった。

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読み終わって3日経ちますが、ずっと頭に「月とアマリリス」がいます。
誰が被害者で、誰が加害者なのか…
人と関わらないと生きていけないなら、搾取されるだけでなく、心の支えになってくれるような人と、美散が出会えることを願ってしまいます。

おしゃれなタイトルだなあ〜と読み始めた「月とアマリリス」
読み終わった後は、なぜこのタイトルなのか、、ずっと考えてしまいました。
自分の価値を見出せず、どんな夜でもそこにある月、昔の楽しかったわずかな思い出しか、明日を生きる活力が湧かない人に届いてほしい1冊です。

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町田そのこ作品ではいつも心を動かされるのですが、これは特別でした。
ミステリー仕立ては新境地でしょうか。作者の書かずにはいられない強い怒りを受け取り、気づいたらこの作品にまつわることばかり考えていました。

 舞台は北九州小倉。東京で記者をしていたみちるは、取り返しのつかない間違いを犯し、自宅でタウン誌の仕事をしていた。山中で埋められた老婆の遺体が見つかり、みちるが取材することになり、事件は思わぬ方向に転がっていくことに…

 「女の低さ」「生きにくさ」について熱く書かれていました。これは地域性だけではないですよね。町田さんの文章を読むことで、第三者として冷静に自分の中のミソジニーと向き合うことになりました。

「心配とか応援とかって言葉を使えば、誰であってもひとの人生に踏み込んでもいいのかなー」
痛みのやり過ごし方ばかりうまくなってしまった

 ホント、町田さんのセリフは優しそうでいてイガイガ。刺さりました。

 『54ヘルツのクジラたち』と同じ位、今回の題名が好きです。アマリリスの花言葉=おしゃべり。

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