千年のフーダニット
麻根重次
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刊行日 2025/01/14 | 掲載終了日 2025/01/14
ハッシュタグ:#千年のフーダニット #NetGalleyJP
内容紹介
永き眠りを妨げる殺人者は誰だ――?
時を超えた”奇想”が爆発する――
壮大無比な特殊設定ミステリ!
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若くして妻を喪い失意に沈むクランは、人類初の冷凍睡眠(コールドスリープ)実験に参加する。
さまざまな事情を抱えた男女7名は「テグミネ」という殻状の装置で永きにわたる眠りについた。
――そして、1000年後。
目覚めたクランたちはテグミネのなかでミイラと化した仲間の他殺体を発見する。
犯人は誰なのか。
施設内を調査する彼らが発見したのは、
さらなる“顔のない死体”で――
俊英が魅せる、本格ミステリの新たな地平!
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著者/麻根重次(あさね・じゅうじ)
1986年生まれ。長野県安曇野市在住。信州大学大学院で進化生物学を専攻し、その後現在まで公務員として勤務。2023年、『赤の女王の殺人』で島田荘司選 第16回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞。
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★★★
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★★
出版情報
ISBN | 9784065381793 |
本体価格 | ¥2,000 (JPY) |
ページ数 | 384 |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
千年のコールドスリープを可能にした機械・テグミネ。その蓋が歴史の重みと共に開くとき、発見される仲間のミイラと顔の潰された遺体。
事件発生までの紙幅は短く割かれており、序盤からミステリ好きとしての心をグッと掴まれた。
千年に渡る眠りから覚めた直後の描写もわかりやすくまとめられているので、作中の世界観にスッと入っていくことができた。
参加者のバックボーンもくどくない範囲で綴られているので、人物造詣も把握しやすい。
こうしてミステリを読む上で必須の条件が手際よく固められると、いよいよ『百年以上前の謎』が深掘りされていくのだ。
面白いのは、“時間のクローズド・サークル”によってどこまで彼らの常識が通用するか定かでないということだった(とりわけ顔を潰したことへのホワイダニットへの一考が見ものである)。
そんなミステリの興趣もさることながら、荒廃した外の世界へ繰り出す際には、時間が魅せる自然の神秘とふと垣間見える怪しさがSF小説としての味わいも滲ませる。また、救援の見込めない共同生活を送りながら手を取り合って危難を乗り越えんとする様は冒険小説として捉えることもできる。
いったい、千年後の世界で何が起きたのか?
再び起きる事件が疑心暗鬼を煽ったり、彼らにとって思いもかけない邂逅があったりして、物語はいよいよSFミステリになっていくのだ。
そうして不可解にもつれた糸がするりと解かれていき、あの、時の層に押し潰されそうになる真実──とりわけホワイダニット──が明らかになったとき、瞠目するしかなかった。
人類は千年を経て、何を求めてあるいは培っていくのだろう。
物語は終わるのではなく、始まっていくのだ。
圧巻の特殊設定ミステリだ。
7人による千年の冷凍睡眠から覚めた時、1人が刺殺されていたクラン達。更に施設は無人で外は深い森林に。この千年に何が起きた?その間に誰が殺人を?
確かめるすべもない遥かな過去に向けて、犯人探しが始まった。それが未来に繋がるとも知らず。
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シモンを刺死した犯人探し「フーダニット」に対して、千年という時がクラン達にもたらすマイナス面。それは予想を超える大きなものだと、読みながらひしひしと感じた。
誰もいない施設、歴史の不明確さ、周囲の環境の変化、捜査法などないこと、などなど。
でも一番の問題は、「時間」という大きな壁。それがあるため「状況証拠を元にした推理」しかできず、それを確証する手立てがないし、犯人が死んでいたら自白さえさせられない。つまり、意図的に作られた構造的な欠陥から、ミステリとして完璧と言える解決は不可能だと言うこと。SF的要素だけではない、何という特殊設定ミステリ。
それでも犯人探しやサバイバルに挑んでいく彼らに敬意を表したい。その覚悟は、「真実が明らかになることで、(死者ではなく今生きている者の)魂が救われる」という、普通のミステリとは真逆のセリフからも感じられた。
そして、謎の幕間劇を挟んでストーリーが進む中、シモンが誰に殺されたかという謎と、千年後の世界が何故こうなったかの謎がリンクしてくることに目を見張った。
明らかになった犯人とその動機。でもそれが、シモンが生前行った許されざる行為のトラウマな動機を成就させ、千年後のこの世界を成立させた。この皮肉に唸ってしまった。シモンを殺した事が、彼の「究極の適応度をもつ遺伝子の持ち主」になる願望を叶えてしまうとは。
更に、犯人がシモンを殺したことは、他の人達を救うことにも繋がっていたとは。この真実が明らかになることで、「今生きている者の魂が救われた」のだ。
時間的なスケールなどの発想の大きさに圧倒されるだけでなく、この「フーダニット」の決着が千年後の世界の秘密を明らかにした。
まさに、この分野を専門とする著者だからこそ書くことができた、類を見ない特技設定ミステリと言えるだろう。
千年のコールドスリープという技術、さらにその千年後の世界が舞台とあり、SFの雰囲気があらすじからは感じられており、“フーダニット”の本格ミステリとは相性が悪いように思っていた。
しかし、分かりやすい設定と狭い範囲でのストーリー展開となっており、ノイズが少なく殺人事件に没頭できた。
また、主要登場人物が少なくその背景もあっさり気味にしか語られておらず、殺人事件への展開が早い。さらに、施設の外、新たな発見と、序盤から畳み掛ける展開で常に新鮮な気持ちで読み進められた。
コールドスリープ中の殺人、もう一人の死体、外の世界、など多様な事件が起こりますが、複雑になりすぎずかなり簡潔にまとめられておりとても完成度高く感じました。千年後の世界で行われる推理は不可能にも思える未知の体験でした。
本格ミステリだと長い説明があったり、展開に変わりがなかったりしますが、本作ではそれがなく本をあまり読まない方から本格好き、SF好きな方まで幅広くおすすめできると思います。