青柳さんちのスープごはん
森崎緩
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刊行日 2025/02/05 | 掲載終了日 未設定
宝島社 | 宝島社文庫
ハッシュタグ:#青柳さんちのスープごはん #NetGalleyJP
内容紹介
妻を病で失った主人公・青柳和佐は、3歳の娘・二瑚とふたり暮らし。
東京を離れ、故郷の函館へと戻った引っ越しの荷解きの最中に1冊のアルバムを見つける。
遺されたアルバムには妻の手料理と、笑顔でスプーンを握る二瑚の姿があった。
偏食がちな娘の為に、妻が得意だった《スープごはん》を作り始める和佐。新生活で出会った職場の仲間、疎遠だった母との再会、ぎくしゃくとした関係の義両親……。
優しい《スープごはん》が父子と周囲の人々を繋ぐ、ほっこりグルメ物語!
「青柳さんちのスープごはん」
1、柔らか白菜の豆乳胡麻スープ
2、ふんわり卵のつみれあんかけ
3、野菜たっぷりクラムチャウダー
4、思い出のカオマンガイ風雑炊
5、まだまだ甘口カレーリゾット
出版情報
発行形態 | 文庫・新書 |
ISBN | 9784299062840 |
本体価格 | ¥720 (JPY) |
ページ数 | 256 |
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NetGalley会員レビュー
大切な人を亡くして、まだ小さい子供と2人の生活。優しくて温かい人たちに囲まれて、少しずつ前に進んでいく親子の姿に、胸を鷲掴みにされました。
周りの空気を読んで、年齢以上に大人びてしまっているような二瑚ちゃんに、苦しくなったりもしましたが、やっぱり二瑚ちゃんの成長していく姿が愛しすぎる…!ずっと見ていたいし、大人になっていくのはゆっくりでいいからね〜!と、親戚のおばちゃんのような気持ちでいっぱいになってます。
「ぴもこん」が「リモコン」になっていくのも、嬉しいけれど少し寂しかったり。
そして、思い出のスープごはんがどれも美味しそうでキラキラと輝いてみえました。
体の芯から温めてくれて、励まして、元気をくれるスープごはん。私も食べたいです!とくに、ふんわり卵のつみれあんかけは興味津々です!
あたたかいものがたくさん詰まった一冊でした!
素敵な作品をありがとうございました!
私にも3歳になったばかりの娘がいます。あらすじを読んだ時から読まない選択肢はありませんでした。主人公の状況や心情が痛いほど胸にささり、彼を支えてくれる会社の方達の優しさや娘ちゃんの言葉に触れる度に目頭が熱くなってしまっていたので、読んでいる間ずっと泣きかけ状態になっておりました。子どもが出来てから何が恐ろしいって、本当に様々なことによりこの子を失うことです。夜中にふと、娘の寝顔を見てあまりの愛おしさに涙ぐんでしまいます。私は主人公の彼よりよほど年嵩のくせに、彼より全然しっかりしていない人間です。本当に毎日周りの人に支えられ続けています。読みながら心を温められ、改めて自分の周りのかけがえのないありがたさを噛みしめました。
本書は勿論、スープご飯のレシピに惹かれたというのもあります。全部作りたい…しかし、うちも娘が食べてくれるかという問題がありまして。もっかの悩みはどうもカレーライスのウケが悪いことです(笑)。様々なカレーを試してはいるのですが、なんかこう、当たりが来ないのが、カレー好きとして悔しいので、カレーリゾットも試してみたくなりました。
妻に先立たれ娘と2人、東京を離れ故郷函館へ戻った青柳。とのっけから不幸感溢れるシチュエーション。しかも実母との関係性も微妙というかむしろ悪くて…と。
ところが物語はそんな逆境もなんのその、心温かい同僚に支え、支えられてとほっこりする。
妻が残したレシピで作るスープごはんも各種ありどれも美味しそう。個人的にはカオマンガイ風雑炊が好みです。
そして折り合い悪かった母と娘の二瑚も最後には仲良くなりめでたしめでたし。
温かく可愛らしいお話でした。
にこちゃんの成長とともに、様々な良い変化もあり、スープごはんを食べている時と同じようにポカポカの心で最後まで読めました。
周りの人たちもいい方ばかりで助け合いながら暮らせてシングルだけども恵まれた環境です。
スープごはんのように、心温まるお話でした。
親子の絆や仕事仲間の気遣い。仕事仲間が理解のある人たちでよかった。
手探りの子育てのなか、自分なりの答えを見つけていき悲しみを乗り越えようとする主人公と、子供なりに理解していこうとするにこちゃんの親子愛にほっこり。
北海道の描写も丁寧で、訪れてみたくなりました。
『妻に先立たれて一人娘を育てていく』という胸を締め付けられるような設定の中、和佐や二瑚を取り巻く人々の温かさが心に染みる。スープのようにじんわりと体に染みわたっていくような温かい作品だった。
作りたくなる美味しそうなスープご飯ばかりで、巻末にレシピだけまとめていただけたらありがたいなぁと思った。
幼い娘二瑚の為、亡き妻が残したレシピで様々なスープご飯をつくっていく青柳。無邪気に前に進んでいく二瑚と、踏み出せない青柳……
そんな2人が温かな人々に囲まれ、スープご飯に温められ、どのように変わっていくのだろうか。
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「にこのまちみたいだねえ」
そう二瑚が言った時、読んでいてドキっとした。そう、必ずうまくいく。何があっても幸せになる。まだ3歳の二瑚が宣言したように感じて。
そして、様々な壁が立ちはだかってきても、終始柔らかな雰囲気なのは、育っていく二瑚と青柳との会話の様子がそうだからだろう。特に、微かに母のことを覚えている4歳の二瑚に灯里が撮った写真を青柳が見せながらの、2人のやり取りが、特にそうだった。
そして、とうとう二瑚がキッチンに並んで青柳の手伝いをするまでに。それは喜ばしいことであるが、灯里を亡くしてから一歩も進めていない青柳にとっては、どんなに歯痒かったことだろう。でも、それが大人。それだけ深い想いを抱ける大人なのだから。
そんな青柳も、少しずつだが、確実に変わっていくのがわかった。生前の灯里は「迷惑をかけるのは当たり前。その分誰かを助ければいい」だったのに対し、「迷惑をかけてはならない」とする青柳だった。二瑚を育てる中でそれがだんだん変わってきた彼が迎えたターニングポイントは、あれほどやがっていた母と話をしたことだったのだろう。まさに親になることの偉大さだと感じた。それに気づいたからこそ、母も「負い目」に思っていたことを口に出せたのだろう。人と人とのつながりはとても大切。でも、ボタンを1つ掛け違うと、それがずっと続いてしまうことを実感した。
そうして、二瑚に続いて青柳も歩き始める。2人して、歩き出していく。灯里の残してくれたレシピからできた様々なスープご飯達とカメラと、2人を取り囲む人々によって。
そう言えば二瑚とは灯里が愛機のメーカー「ニコン」から付けた名前だった。でもその更に奥には、いつも「ニコニコ」している子になって欲しいと言う願いがあったに違いない。そして、それが現実になっていく。そう信じている。この「にこのまち」で。
ほっこりした気持ちになれました。
素敵な、そして、とってもおいしそうなお話でした。
てっきり、スープやさんを開くとか、そういったお店系の話かと思っていたのですが、そうではなかったです。
ある一家の日常が、父と娘の日常が、ほのぼのと描かれていきます。
たしかに妻が幼い娘をのこして亡くなるという設定には、あざとさを感じないでもないのですが、物語が安易な展開に走らず、生活、仕事、そして家族との関わりという、どこにでもある普遍的なテーマを扱っていることで、そういった設定のかたよりは、あっさりと解消されました。
主人公たちが、イヤなやつに会って嫌な目にあう、よく平気でこんな設定をいれる作家さんがいますが、この物語はちがいました。
だって、現実は案外、思いやりに満ちて、しっかりと助け合っていこうという状況になっているのですからね。
スープご飯、今度作ってみます!
若く不器用な父、青柳と幼い娘、二瑚(にこ)の成長の物語。
義父母や実の母との変わりゆく関係。転職、引っ越しなど
誰の人生にもありえる人間関係や生活の変化、大切な人を
失うということ。そんなひとつひとつの事柄を丁寧に描いていて
読みながら自分も成長していけるように感じた。特に青柳と
実の母の関係性には血が繋がっていてもよい関係を保っていくには
歩み寄りが必要だとしみじみと感じた。
そして、お話のなかに出てくるスープごはんが心を和ませてくれる。
どれも体と心をほっこりと温かくしてくれそうで作ってみたいと
思った。生きていればなんとかやっていける、前に進んでいけると
静かに背中を押してくれるやさしいお話だった。
妻に先立たれ3歳の娘を連れ故郷・函館に帰った20代の和佐。目まぐるしく変化する日々の中で、大きな喪失感を抱えながらも、妻の遺した温かいレシピと、愛らしく成長する娘と、素敵な人たちに支えられて前進していく。芯まで沁み渡るしあわせのグルメ物語。
辛い現実に直面した時、どういう形で影響が出るのかは人それぞれ違う、という事をいくつかの異なる例をもって知る事が出来た。病んでしまうと「普通に考えればわかる事」すらわからなくなる。色んな困難に向き合い、どこで折り合いを付けるのか、小さな葛藤から大きな幸福まで、心情が具に読み取れる描写がとても好かった。物語の雰囲気からすると少し異色なキャラも居たり、それぞれの子供との距離感の違いなども興味深く愉しめた。
各話出てくるお洒落で美味しそうな「スープごはん」も魅力的で、北海道らしさも感じられる一冊。