うつせみ

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刊行日 2024/12/03 | 掲載終了日 2024/12/04

ハッシュタグ:#うつせみ #NetGalleyJP


内容紹介


「もし自分に飽きたなら、
いくらでも取り替えてしまえばいいのよ」

美容整形をくり返すばあちゃんは言うけれど、
私は、なりたい自分がわからない。

見られることの痛みを描く紗倉まなの最新小説!

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周囲に馴染めずバイト先をクビになり、グラビアアイドルを始めた辰子。
売れっ子の仕事仲間はSNSの評価に神経をとがらせ、79歳の祖母は傷跡の痛みを重ねながら整形手術をくり返す。
ゴールの見えない「美しさ」に追われ、ままならない体と生きづらさを抱えた彼女たちは……。

野間文芸新人賞候補となった
『春、死なん』に続く、新境地注目作!

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著者/紗倉まな(さくら・まな)
1993年、千葉県生まれ。工業高等専門学校在学中の2012年にSODクリエイトの専属女優としてA Vデビュー。著書に小説『最低。』『凹凸』『春、死なん』 『ごっこ』、エッセイ集『高専生だった私が出会った世界でたった一つの天職』『働くおっぱい』などがある。初めて書き下ろした小説『最低。』は瀬々敬久監督により映画化され、東京国際映画祭にノミネートされるなど話題となった。文芸誌「群像」に掲載された『春、死なん』が20年度野間文芸新人賞候補作となり注目される。


「もし自分に飽きたなら、
いくらでも取り替えてしまえばいいのよ」

美容整形をくり返すばあちゃんは言うけれど、
私は、なりたい自分がわからない。

見られることの痛みを描く紗倉まなの最新小説!

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周囲に馴染めずバイト先をクビになり、グラビアアイドルを始めた辰子。
売れっ子の仕事仲間はSNSの評価に神経をとがらせ、79歳の祖母は傷跡の痛み...


出版社からの備考・コメント

★校了前の仮データを元に作成しています。刊行時には内容が若干異なる場合がありますがご了承ください。

発売前の大切なゲラをご提供させていただいております。弊社では、下記のような方からのリクエストをお待ちしております。
○発売に向けて、一緒に作品と著者を応援していただける方
○NetGalleyへレビューを書いてくださる方
○自分には合わない内容だった際、どういったところが合わなかったかなど、建設的なご意見をくださる方

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読み終わりましたら是非NetGalleyへレビューをご投稿ください!
著者・担当編集ともに楽しみにお待ちしております。

※発売前作品のため、ネタバレや、読書メーターやブクログなどNetGalley以外の外部書評サイトやSNS等で発売前にレビューを投稿することはお控えください。

ご協力の程、何卒宜しくお願いいたします。

★★★
作品の拡材や指定配本をご希望の書店様は
恐れ入りますが<講談社 書籍営業部>まで直接お問合せをお願いいたします。

★★



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出版情報

ISBN 9784065378403
本体価格 ¥1,600 (JPY)
ページ数 144

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「どの場所に行っても自分は変わらないから、だから自分を変えることを考える方が楽しいのかもしれないわね」

グラビアアイドルをしている辰子の祖母は70を過ぎてもなお整形を繰り返す。
「日々自分を変えるっていうのは、痛むことなのよ」

もらい子だったという祖母の帰る場所を描いた中編。

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深みのある美しい抒情的な文章。隠さない剥き出しの感情表現。すごく好き。
仕事をうまく熟せない辰子と、美容に執着するばあちゃん。さり気なくお互いをフォローしていて温かい。
親子だと出来ないけど、祖母と孫なら出来る気遣いってあるよなぁ、うんうん、わかる。
美しさについて感情的になったり、感傷的になる気持ちが、文句なしによくわかる。
友達と話してるかような親近感が心地良い、人間性が刻み込まれた作品だ。

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現在はマルチタレントとして活躍されている著者ですが、「カクヨム」で書評をされているのは知っていたのですが、ご自身でも小説を書かれていたとは、しかも随分前に映像化もされていたなんて知りませんでしたね、失礼しました。いやぁ、おばあちゃんやってくれますね。全身整形で果てしなく美を追いかける、その感性なかなかいてません!でも30〜40年後はこんなおばあちゃんでいっぱいになるんですよね…。まなさんでなければ書けなかった作品ですね。

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この本は、高校卒業の女性を主人公に、母親、祖母、従兄弟の登場人物で綴られていきます。

読者層は紗倉まなさんのファンはもちろんでしょうが、ちょっと三世代の女性の日常に興味がある方などです。

祖母の行方不明から物語は始まります。
その祖母は、美容整形を繰り返し、いまなお年金ローンて美を追求している方です。

そして、最後は死へとつながること物語は終了します。

主人公が祖母と旅行する場面があります。
そこでの会話はやはり「美」に関することです。
□ 見せられるものは見せた方がいい。使える武器は最大限駆使すること
□ 綺麗になりたいっていうよりも、みんなと同じになりたいってことなのね
「美」「綺麗」に対しては、年齢は関係ないようです。

祖母の最後を見つめて、登場人物たち会話が始まります。
そこで主人公は、こう思います。
□ 母もばあちゃんも、形は違うのに、違うのに、どこか似ている。醜いものがとても無力であるような気がして、触れてはいけないものだとも思っていた。しかし、最後の姿は、この骨はまるで一緒なのだ。
主人公は、祖母の死を目の当たりにして、何か悟ったようです。

著者の紗倉まなさん。
言わずと知れたAV界のスターです
でも、ここ数年は「春、死なん」「ごっこ」を上梓しています。業界からきちんと評価されている方です。

AVという色眼鏡で見ると、そのような場面はほとんど出てきません。
やはり、そのようなことを知っている紗倉まなさんだから描けた本であると思います。

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21歳の辰子と祖母、母、従兄弟の純矢、辰子の仕事仲間(変ですが)数名ほどで話が進んでいきます。
一番強烈なのは、美容整形を繰り返す70代後半の祖母ですが、母・・名前出てこなかったと思いますが・・の描写や心の動きをもっと知りたかったです。祖母の葬儀のときに神経症的な面が少し出てきたけど、あんなにも強烈な人を親にもった人は何を感じ、どんな生き方を強いられてきたのかとか、興味があります。
流されて生きている辰子、案外しぶといのでは? と思ってます。

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美醜に拘り整形を繰り返す祖母をもつグラドル。委細な描写、畳み掛けてくる意思を持った文章たち。見た目で判断する軽薄さと判断される側の虚実、美醜に対する自意識。人間の心の複雑さや幸せの基準を考えさせられた。タイトルがもつ幾つかの意味を想うとさらに余韻が深まる佳編。


人が見た目の整い具合や美しさにこだわる理由は、生物学的本能、心理的な満足感、社会的な影響要因などさまざまなことが絡み合っていると思う。確かに最終的には「ただの骨」になる。その虚しさも救いのひとつとなると感じる。
また、今この瞬間に価値を見出し、他者と繋がり、自分自身を肯定する手段として見た目や美しさにこだわる。それは、生命の儚さや限られた時間を意識しながらも、そこに価値や魅力を見出し、「今」をより良く生きたいという人間らしい性質の表れともいえる。一瞬のきらめきを追い求めることが、人間の本能や感性に深く根ざしている。人間の剥き出しの願欲、その抗えなさやままならなさが詰め込まれていて、読後ずっと考えさせられている。きっと現代を生きる誰かのお守りにもなる一冊だと思う。

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齢70を越えて整形を繰り返す祖母とグラビアアイドルの孫娘を取り巻く様々な人間模様を、「美醜」という普遍的な正解も無く本人達にも明確なゴールが見えていない朧げな物に翻弄されながらも、時には必死に時には惰性で日々の営みを繰り返しながら「生きるとは?」を問い続ける家族小説。
登場人物を通して語られる作者の人生観や世間の「偏見」への問いかけが垣間見られ、許容と拒絶の境目の曖昧さへの再認識が問われた作品の様でもありました。
一線を越える越えないの分岐点はどこか、その分岐点に意味はあるのか、エピソードの一つ一つに問いかけがされてる様な気持ちになる作品でした。

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いくつものバイト先を首になり、現在はグラビアアイドルをしている21歳の辰子。美への憧れはないに等しい、消費される自分をじゅうぶん理解しつつ仕事をこなす日々。それに比して、79歳にして美容整形を繰り返す祖母の美しさへのこだわりには、執念さえ感じる。出自がわからず貰われ子だったというこの祖母の造詣が実に秀逸だ。終わりなき美の追求も、いずれ死をもって霧散することの容赦ない理には真実がある。辰子と祖母の会話に垣間見える生きることへの熱。そして、美と醜という線引きのままならない鬩ぎ合いが畳み掛けてくる。

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周囲との温度差からネガティブに捉えられがちなグラドル辰子が、79歳になっても整形を繰り返す祖母の美への執着に触れながら、進むべき方向を模索していく。シビアな視線が注がれる生き辛い今を、現役AV女優が独自の視点で描いた作品。

肌を見せる仕事や美容整形へ対する価値観を、その世界の住人として感じるままに表す。ちょっと滑稽さを感じてしまう祖母の行動もあるが、祖母やそういう人たちへの侮りなどはない、とハッキリわかる純粋さも感じられて好感が持てた。特に美容整形をしない側の受け止め方も描かれているのが面白かった。
出来る事と出来ない事の見極めや、物事のハイライトをどこと取るかなど、飾りまくった祖母の飾らない言葉たちが心に響いた。

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読み終えた。深く大きく息を吐く。

変わった。
時折り新聞告知で視界にはいるグラビアアイドルに感情が伴う。
79歳女性が一律でなくなる。

事実には背景がある。
切り取ってしまった肉体が戻ることはない。
その他大勢のつもりの書き込みが他人(ひと)の人生を狂わせる。
亡くなった人には会えない。

一言が残る。
初めは点でしかなかった染みがいつの間にかじんわり広がって
気が付いたときには、取れそうにもない跡形として残ってしまったかのような。

~私は変わりたい。私は変わりたくない。私は今の自分がいいと思う。いや、よくないと思っている。
そのどれもが心にしっくりくる感じがしない。
じゃあ私は一体自分にどのような評価を下しているのだろう。
私はどういう評価でもって周りから自分の価値を決められているのだろう~(文中より)

ほかの誰とも違う世界観を読ませててもらった。嗚呼 あとを引く。

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バイトを転々とし、グラビアアイドルとしてもぱっとしない辰子。
祖母は70過ぎてなお美容整形を繰り返す。
先が見えないまま過ぎてゆく日々が綴られるが、日常って案外こんなふうに淡々とした毎日の積み重ねかもしれない。
熱量を感じない辰子も、傷の痛みに耐えながら飄々と生きる祖母も不思議な強さを感じるが、その間に挟まれた母の心境はどうだったんだろう。

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美容整形を繰り返す79歳の祖母とグラビアアイドルの孫という設定からしてまず優勝している。「ばあちゃん」が失踪し、戻ってきたときには輪郭形成のダウンタイムだったというエピソードに惹き込まれ、読者は美しいとはなにか?醜いとはなにか?という問いを旅していくことになる。たしかな筆致の中に含まれる妙に遠いユーモラスな視点が特徴的で、前述の場面の「なんだかシュウマイが顔の周りにいくつもくっついているようだった」もそうだ。祖母が死んだのち火葬され、頭蓋骨の周辺にチタンプレートと螺子が落ちているという描写もキラリと光る。小説の文章を書くという才以上に、「映像を描く」ことに長けていると感じた。

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