光っていません
イム・ソヌ
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刊行日 2024/11/29 | 掲載終了日 2024/11/29
ハッシュタグ:#光っていません #NetGalleyJP
内容紹介
事故で2年間植物状態になっている恋人を見舞い続ける“私”の前に、分身を名乗る幽霊が現れる。自分そっくりな幽霊が一向に姿を消さないため、“私”は仕方なく一緒に暮らし始めるが……(「幽霊の心で」)。人間をクラゲにしてしまう、変種のクラゲが大量発生する。社会に動揺が走るなか、音楽活動をやめた“私”は、自らクラゲになりたがる人をサポートする仕事につき……(「光っていません」)。所属している劇団が行き詰まり、仕方なく役割代行サービスをしている駆けだし俳優の“あたし”。誰かに代わって別れを告げたりニセの恋人になったりしているうち、ある男から、「冬眠の準備を手伝ってほしい」という依頼があり……(「冬眠する男」)。
閉塞感に満ちた日常に解放をもたらす、韓国発、8つの奇妙な物語!
出版社からの備考・コメント
・多くのレビューをお待ちしておりますが、物語の核心をつくような、所謂「ネタバレ」はお控えください。
・ネタバレ行為はネットギャリーのみならず、読書メーター、ブクログ、Twitter 等の多くの方が目にする場でも同様にお控えいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
・本作は校了前の大切なゲラデータを著訳者よりご提供いただいた上で公開をしています。本作の刊行を楽しみにお待ちいただいている、多くの読者のためにも、ご理解、ご協力のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
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おすすめコメント
担当編集者おすすめコメント
本書は日常の中に起こる奇妙な出来事を描いた短編集です。それぞれの物語の主人公たちは、多かれ少なかれ日常に生きづらさを抱えています。韓国が舞台ですが、今の日本社会に通じる問題や、人々が抱えている「しんどさ」も共通しています。読むと、「自分だけじゃない」と思える人がたくさん見つかるので、勇気づけられる短編集でもあります。読み終わって、「めちゃめちゃよかった」と思うこと間違いなしの素晴らしい本です!
出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784488011413 |
本体価格 | ¥2,100 (JPY) |
ページ数 | 240 |
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閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
まず、翻訳が美しくて素敵で、胸に響く。
人の心の中や何気ない日常を、拡大鏡や顕微鏡を使って焦点を当てたような、正確できめ細やかな心理描写と、軽やかでファンタジックな表現に、心が解放された。読後、生きやすくなる知力を与えてくれる作品だ。
韓国の人々のエネルギッシュさが物語に溢れていて、自分の中に眠っていた熱い気持ちが目覚めた。
あたし、私、僕。自分の幽霊と暮らし、人がクラゲとなる手筈を整え、冬眠する男の手伝いをする。日常の脇に潜む、奇妙な体験の短編集。
そして誰もが更に進む道を見つける。それが見えない読み手を置き去りにして。
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『幽霊の心で』
意味もなく現れた〝あたし〟の幽霊。自分の本心に敏感に反応して、それを話してくれる自分の幽霊。共にいると暖めてくれる、自分の幽霊。
自分の心は自分では分からないもの。だから、この今だからこそ、自分の幽霊が現れたのだろう。幽霊の心、雑念を総べて取り除いたピュアな〝あたし〟の心を呟いて、自分へと残していくために。
『光ってません』
ゾンビクラゲにより変質した社会。でもジソンはクラゲになっても自我を持ち話までする。しかし彼が憧れる、海を覆うクラゲが一斉に発する純粋な光は僅かでさえも発せなかった。
それを見届けた〝私〟の旅立ちは、この社会に共に寄生して生きてきたクとの、〝私〟の決別なのだろう。クラゲとなり心なく生きることより、挫折しながらも自分として生きるために。
『夏は水の光みたいに』
足から根が生えた男とのワンルームマンションでの奇妙な共同生活。ワンが涙すると青いにおいが部屋いっぱいにひろがる。饒舌だった彼が無口になり、そのにおいがいつも感じられるようになったのは、彼が更に木に近付いてきたからか。木として〝私〟との生活に馴染んできた彼がそれでも実行するとは。〝私〟と再び邂逅する時のワンの話はどんなものか、思いを巡らせた。
『見知らぬ夜に、私たちは』
不妊治療に対してナーバスになっていく〝私〟とクモク。クモクとの交流、彼女の気遣いが無ければ、〝私〟はここに到達できなかったろう。信者を一人も引き入れることができなかったクモク。それでいい。クモク自身が立派な支えとなっていたのだから。
『家に帰って寝なくちゃ』
ヤモリのキム・ジェヒョンを探すチョを手伝う〝僕〟。目撃者のジョンウとの深まっていく交流。真相が分かった後の脱力感から抜け出せない〝僕〟。そこに聞こえたささやき声は、きっとキム・ジェヒョンのもの。ずっと探し続けてくれた2人を見ていたキム・ジェヒョンが、〝僕〟にかけてくれた、お礼の優しさに満ちた言葉。
『冬眠する男』
「役割代行」を続けるうちに〝あたし〟が気づいたのは、嘘をつけばつくほど真実味が増すこと。なら、冬眠の準備を手伝ってやった男はいったい?ジョンスはなぜ何回もその場所に? 嘘は少ないほど真実味が減る。だから〝あたし〟は冬の夜明けに通報メールをしたのだろう。
『アラスカではないけれど』
床から生えるヤクルトのストロー。会社員だった〝私〟が猫であったこと。下の階に住むユーとお揃いの呪いの人形。
最後にはアラスカに行くことを夢見る〝私〟の復讐。次いでユーと。願いとは、中途半端ではあっても心が受け入れた時、成就してしまうものなのか?
『カーテンコール、延長戦、ファイナルステージ』
まさにファイナルステージ。その光を、それが照らし出す全てを想像した。きっと〝私〟も浄化された心で、これから旅立っていくだろう。きっと。
この不思議な短編集の末尾を飾るのにふさわしいエンディングに、しばし酔っていた。