夏の匂いがする
木爾チレン
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刊行日 2024/12/20 | 掲載終了日 2024/12/10
ハッシュタグ:#夏の匂いがする #NetGalleyJP
内容紹介
「ずっと私たち二人だけの美しい世界が続けばいい」
――現代女子の心理を描く俊才、木爾チレン初期作品集
I hope this beautiful world just for the two of us continues forever.
――A collection of the early works of Chiren Kina, a genius who depicts the psychology of modern women.
☆ ☆ ☆
【ゲラを読まれる方へ大切なお願い】
・校了前のデータを元に作成しています。刊行時には内容が異なる場合があります。
・レビューなどでのネタバレ行為はネットギャリーのみならず、外部サイトやSNS等の多くの方が目にする場でもお控えください。
・自分には合わない作品だった場合、今後のためにも建設的なご意見をよろしくお願いします。
※今作は作者のご厚意によって提供いただいた校了前の大切なゲラを公開をしています。
※今作にこれから出会うであろう多くの読者のためにも、ご理解の上、素敵なレビューによる応援とご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
☆ ☆ ☆
【あらすじ】
恋とも友情とも言えない同性に強く焦がれる気持ちを描く、
少女たちのひと夏の物語――。
「制服を着ているときにしか聴こえない夏の音や、大人にも子供にも見えない夏の映像を、私たちはちゃんと日々感じながら生きていた。」
――瑠璃色を着ていた
「ねえ白、人はみんな、半分で生まれてくるのかもしれない。そしてその半分を、必死で埋めようとしている。」
――植物姉妹
……ほか、R-18文学賞優秀賞を含む、初期短編五篇を収録。
著者自らそれぞれの作品コメントも書き下ろしたファン必携の一冊。
【目次】
瑠璃色を着ていた
植物姉妹
りかちゃんといづみちゃん
溶けたらしぼんだ
夏の匂いがする
◆著者について
木爾チレン(きな・ちれん)
短編小説『溶けたらしぼんだ。』で第9回『女による女のためのR-18文学賞』優秀賞を受賞し、
2012年『静電気と、未夜子の無意識。』(幻冬舎)で単行本デビュー。
その後、少女の心の機微を大切に、多岐にわたるジャンルで執筆。2024年『二人一組になってください』(双葉社)が大ヒット。
他の作品に『みんな蛍を殺したかった』(二見書房)『神に愛されていた』(実業之日本社)等がある。
◆写真
岩倉しおり(いわくら・しおり)
香川県出身 写真家 おもにフィルムカメラを中心に自然や人物を切り取る。
自身のインスタグラムはフォロワー数が21万人を超えるほどの人気。
CDジャケットや書籍のカバー、広告写真などを手掛ける。
◆イラスト
有村佳奈(ありむら・かな)
鹿児島出身。画家。
ウサギの仮面をつけた女性をモチーフにした絵を描き『現代を生きる乙女』の表現に取り組む。
近年、パリ・台北と国内外で展覧会を行い、活躍の幅を広げている。
装画や広告のイラストも手掛ける。
出版社からの備考・コメント
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おすすめコメント
「この作品集には、これまでの人生で大切にしてきた感情が詰まっていて、
読み返すと、私はいつでも少女だったあの頃の最も美しかった夏に帰れる。
誰にとっても、そんな特別な記憶のような一冊になってくれたらうれしい。」
――木爾チレン
◎各短編それぞれに著者自ら書き下ろした「あとがき」が、読み手の作品への理解を深め、何度も読み返したくなります。
◎誰しもが通ったであろう友情や恋愛の心情を描ききった本作は女性だけでなく男性の心にも響く物語となっています。
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出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784867166802 |
本体価格 | ¥1,650 (JPY) |
ページ数 | 248 |
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少女から女性へとなる、一番敏感な世代。明るく、辛く、寂しいそんな主人公達の想いの様を、比するもののないほど繊細なタッチで、文字として描きだしていく短編集。
更に、登場人物の一文字の名の意味になんと深みがあることか。
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『瑠璃色を着ていた』
高校の制服との別れは瑠璃との別れ。それが近づき距離感も変わっていく様が辛い。だから、最後の写真は卒業花を外したのだろう。卒業ではなくて、制服=瑠璃との別れだったから。自分であるための2人だけの殻との別れだったから。楽しく悲しく嘘をついていても、この制服を着ていた時が一番輝いていたから。
12年後に再び「会った」その時、ハリの心はその服を自ら纏ったのだろう。だからこその、奇跡。
『植物姉妹』
黒が雨の音が好きなのは、白と心のために2人の前では泣けない、その代わりの雫の音だから?
白の代わりに黒がまとう死の匂いを嗅ぎ取る毒だから、白は素直でいられる。生きていられる。ならば心は?白の側でずっとその時を待つ心はどうやって生きている?
そうして、雨の音を聞きながらの黒と心の会話。互いを語り合う、初めての会話。それは儀式だったのだろう。心がいたことを黒の心に残すための。
そして、記号のような、でも血の通ったハートを持つ4人の物語が終わった時、しばらくは何も手をつけられなかった。涙もながしてはいけなかった。
『りかちゃんといづみちゃん』
理想の容姿のりかちゃん。決めたことは曲げないりかちゃん。そんなりかちゃんに身も心も捧げたいづみこと泉。でもそれは、泉を森が優しく取り巻いていたから。りかちゃんへの想いがこんこんと湧き出る泉が枯れないように、森が守ってくれていたから。
泉のアンビバレンツな想い。それが最後に溢れ出た時に聞こえたりかちゃんの声。それこそ、りかちゃんの存り様。そして、これからの泉の声となるのだろうか。
『溶けたらしぼんだ』
描いた絵には自分の中にいる人が染みでてくる。だから、描く栞の絵は偽りにしかならない。
でも、栞はそれを乗り越える。命の繋がりは心の繋がりから始まるから。その長い長い繋がりの一つの〝しおり〟となれたのから。
さらに、ゆりがいてくれたから。だって、栞は暑くなくなってもサンダルをはいている。栞が好きな夏の匂いがするのは、サンダルと、ゆりがもってくりアイスクリームなんだから。
胸が苦しくなるような甘酸っぱい気持ちや、新鮮なまま保存された少女の煌めきが美しく表現されている。
今まさに少女の時を過ごしている人には、刺激的で、心が自由に解き放たれて、支えとなる1冊。
もう大人になった私は、懐かしい錯覚に色んな思いが重なり、心の動きや揺らぎが丁寧に描かれている1ページ1ページを、大切にかみしめた。
人生を共に歩める、希望のかたまりのような作品だ。
少女のころに閉じ込めた大切な思い出の中にある夏の匂いを感じました。
友達と行った海、大切な人と過ごした日々、放課後の教室、友達の部屋の匂いなど、各小説ごとに私の記憶の中にあるそんな匂いが鼻の奥に蘇りました。
「瑠璃色を着ていた」のように一緒にいるのが当たり前で手を繋いで笑い合っていた友人と、離れてから仲良しごっこをしたくないという思いにとても共感しました。そうやって一定の距離をとってしまったけれど、読み終えて大切な友人に会いたくてたまりません。
少女のころ誰もが通り過ぎてきた道が描かれていて胸いっぱいに懐かしさが込み上げ、記憶に中にある夏の匂いを思い出すことでしょう。
個人的には京都の文学フリマで「植物姉妹」を購入して読んでいたので、書籍化されることがとても嬉しいです。
そして短編ごとにコメントが付けられていて、先生の思いが伝わり作品への愛が伝わってきました。
私のように少女のころを懐かしく思い出すだけでなく、今まさにこの世代の人が読んでも深く心に残ると思います。また性別を問わず、毎日が楽しいのに苦しいそんな特別な日々の記憶の匂いを思い出しながら、大切に閉じ込めた宝物に触れるような気持ちになれる作品です。
目を閉じたらいつもそこに浮かんでくる、未完成な少女時代の夏の焦燥を惜しげなく描いた、耽美的な初期作品集。
憧れ、恋、愛―――同性間のまだ名前も付けられないような曖昧な感情が、生まれては流動していく。その貴重な一瞬一瞬をとらえて解き放つ、身を削る芸術のような5つの短編集。
眩しいほど色鮮やかで、それぞれから音やニオイや温度も感じられ、繊細さと大胆さの共存がとても心地好かった。
ちっぽけな世界を自分たちで広げてやったような錯覚や、そのくせ変化に怯える矛盾だったりを、痛みをともないながら曝けて受け入れあっていく。優しさの定義や、悲しみの乗り越え方など、独自の視点で先へと促してくれる「植物姉妹」に一番心を掴まれた。
「ラメ入りの声」など、天性のセンスが光る表現が作品とマッチしているのもめちゃくちゃエモい。
R-18受賞作は官能的な要素を残したままマイルドなタッチになっていて、オリジナルと読み比べてみるのも面白い。
すべてに著者の解説があり、作品を自分なりに感じ、解説を読み、そしてもう一度新しく感じる事が出来るのも魅力。
少女から大人への輝かしい時代の彼女たちはふんわりと現実味が無いような夏の残像を見てるような感じなのに脆くてガラスみたいな剥き出しの感性は五感を刺激して心に刺さりました。
金魚鉢の中をふわりとたゆたうような二匹の美しい金魚を眺めているような気分になりました。二匹だけの世界がありながら餌をもらうときは人の存在が有り、それもまたこの二匹の現実世界で。ただただ美しく泳ぐ姿だけでなく、生理現象は生々しく発生する。
短編の間にその作品の書かれた心境を語られていて、それが作品の魅了を深めてていいな、と思いました。
大人になる前の少女の不安定な気持ちが、とてもうまく表現されていた。
最初の『瑠璃色を着ていた』を読んだ時点で、一気に感性が十代に戻されてしまった。
もう戻れないあのころが、夏の終わりの一抹の寂しさとシンクロしていて、とにかく切なく、悲しく、でも美しかった。
わけもなく笑ったり、泣いたりしていたあの頃のように、知らない間に涙が頬を伝っていた。
各作品の後に、著者の解説があるのもよかった。
淡く、甘く、青く、切ない。
奔放さが眩しくてそしてちょっと羨ましい。
永遠ではなく儚いものだからこそ価値や魅力がさらにきらめく。その瞬間を繊細な感性で描きだし、掬い取り詰め込んだ一冊だと思った。物語が織りなす空間が好き。各作品への書き下ろしコメントもとても良かった。
表紙写真と物語の世界観がぴったり。
いまだからこそ思った形にできたのだろうというのも、
作者によるコメントが各作品についていてわかるし、
読み手としても著者の思いが伝わる形で届くのはありがたい。
通して読むと、本当にこの時期特有の危うい関係性が好きで、
あの肌感覚を言語化したいのだなというのが伝わってくる。
恋愛感情とか愛情とか、そんなのとは別の次元の「好き」が、
あの頃には存在したな、というのを思い出しました。
制服のあの頃、きっと私たちは無敵だった。クラスで目立つあの子も、教室の外に秘密の居場所を持っていたあの子も。少女だけが、持つことができる空気の中にいた。
懐かしくて痛ましくて、そしていとおしい。「大丈夫だよ」と、その肩を抱きしめたくなる。
自分が幼かった頃に感じたこと、考えたこと。大人になって感じること、考えること。それは同じこともあるかもしれないが
大方変わってしまう感じ方、考え方。
それは否定してはいけないんだと思う。自分の生きてきた証がそこにはあるのだろうから。
今があるのは過去の自分があったから、そして自分とかかわりを持ってくれた人たちがいたから。
それは忘れてはいけないんだと思う。心の中にしまいつつもずっと持ちながら生きていくんだと思う。
作者コメントが好きなので、各章にあるチレン先生のコメントを噛みしめるように読みました。
どの作品も10代20代の瑞々しさ、苦々しさを思い出すような甘いだけではなく酸っぱさもあるような短編集でした。
特に「植物姉妹」が良かったです。
匂いが伝わってくるような文章にうっとりしました。
タイトルのように全体的に季節の香りがするような、眩しい気持ちになれる作品ばかりでした。
多感で感傷的な思春期の頃が鮮やかに甦ってきて、ノスタルジックな気持ちになりました。
壊れてしまいそうな繊細さと、文章から伝わってくる夏の匂いになんだか胸がギュッとなる。
性別問わず多くの人にこんな時期があったんでしょうね。
各話に添えられた著者の思いも良かったです。