ゆびさきに魔法
三浦しをん
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刊行日 2024/11/21 | 掲載終了日 未設定
ハッシュタグ:#ゆびさきに魔法 #NetGalleyJP
内容紹介
クスリと笑えて胸温まる――。しをん節炸裂! ザ・王道“お仕事”小説。育児中も、おじさんも、俳優も、ネイルのある毎日はいつだって幸せ
月島美佐はネイルサロン『月と星』を営むネイリストだ。爪を美しく輝かせることで、日々の暮らしに潤いと希望を宿らせる――ネイルの魔法を信じてコツコツ働く毎日である。そんな月島のもとには今日も様々なお客様がやって来る。
巻き爪に苦しむも、ネイルへの偏見からサロンの敷居を跨ごうとしない居酒屋の大将。子育てに忙しく、自分をメンテナンスする暇もなくストレスを抱えるママ。ネイルが大好きなのに、パブリック・イメージからネイル愛を大っぴらにはできない国民的大河男優……。
酒に飲まれがちながらも熱意に満ちた新米ネイリスト・大沢星絵を得て、今日も『月と星』はお客様の爪に魔法をかけていく
出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784163919195 |
本体価格 | ¥1,800 (JPY) |
ページ数 | 368 |
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以前、知人にクリアネイルを施してもらった際、綺麗になった爪に感激してうっとりしたことがある。
しかしネイリストという職業がどんなものか、恥ずかしながら本作を読むまで詳しくは知らなかった。
だから、『月と星』を営む月島の視点で描かれるネイリストの世界は非常に新鮮だった。専門的な単語は出てくるが、決して肩肘張るような堅苦しいものではない。
それもひとえに、月島と新米ネイリスト・大沢が織り成すユニークでコミカルな会話が適度に脱力を促してくれるからなのだろう。
本作はそうしたお仕事小説としての興趣はもちろんのこと、大沢の力によって『月と星』が地域に密着していく様を通し(たびたび登場する居酒屋「あと一杯」でのシーンが心温まる)、月島の人間性やネイリストとしての姿勢に成長や変化が伴うのも魅力の一つだった。
ネイリストから想起される煌びやかなイメージは、その裏側にひとりの人間の弛まぬ努力や研鑽があるからこそ成り立つものなのである。
それを知らずにネイル職を下に見るような世間の風潮──すなわち『ネイルへの偏見』を論うことで、本作を手に取った読者を介しそうしたマイナスイメージが払拭されることを願う、祈りのような熱を感じ取ることもできた。
私にとって、ページを捲るたびに視界に入るゆびさき──爪は、切っても切れない体のパーツだ。そこを彩ることがどんなに素晴らしいことなのか、先述の記憶と併せて改めて噛み締めることができた。
物語は全体的に温かく優しい空気に包まれているので、誰にでも安心してオススメできる一冊だ。
読後、間違いなく、それまで以上にネイリストへ敬意を払うことができるようになるだろう。
可愛すぎて思わず手に取りたくなる装丁!内容も大好きでした!!
普段ネイルができない職業のため、ネイルサロンに行ったことは数えることしかない私ですが、読んでいる間中ずっとワクワクしていて、次の長期休みは絶対にネイルしに行こうという気持ちになりました。
ネイリストのお仕事小説として知らないことが多くて興味深かったです。また、しをんさんの作品といえば、のナイスコンビ。2人のいい関係性が微笑ましい!
実際にネイルはしていないけど、読み終わった私も魔法にかかったみたいに明るい気分になれました。
ずいぶんと前になるが、ネイリストという職業が世に知られ始めた頃の先駆者の一人、黒崎えり子さんの密着番組をプロデュースしたことがある。ネイルのことは全く知らなかったが、スカルプチュアの技など見せてもらったらば、非常に繊細でデリケートな技術であったことが印象に残っている。最近はチップなども多く発売され、飾りのストーンなども色々ある。そして何よりネイル自体が特殊なものではなくなった。当時はまだネイルは贅沢という感じだった。ショップで施術だけではなく、個人宅に呼ばれることも多いと聞いた。今はどこにでもネイルサロンがある。簡単なチップやジェルは100均でも手に入るほど。しかもジェルはLEDで簡単に硬化させることがスタンダードになっている。
この本の主人公は、ネイルサロンのオーナー。私鉄沿線の商店街にある長屋で開業していて、その同じ建物には頑固そうな主人が経営する居酒屋「あと一杯」がある。かつてはサロンを友人と共同経営していたが、ネイルの志向の違いもあり、友人は離れて別に開業することになる。一人でキツキツにやっているところに一人の女性と知り合い、従業員として雇うことに。そこから始まるさまざまな事件がこの作品。雇った女性はまだ技術は未熟だが、仕事熱心で前向き、そして陽気で明るい。お酒は好きだがすぐに酔っ払ってしまう。けれども自分の分はきちんと割り勘で支払う。この支払ったお金を。主人公はまとめて保管している。このエピソードがいい。そのお金がのちにも登場してストーリーを引き締めている。
お仕事小説と言ってしまえばそうだが、どちらかというとバディ小説のようだ。バディ小説でもありシスターフッド小説でもあり、そして愛すべき登場人物たちの普通で素晴らしい日常の物語でもある。ほっこりとして、にっこりとして、ちょっと目頭が熱くなるキュートなストーリーでした。
もしも私がネイリストだったら、読み終えた後に胸が熱くなるだろうと思う。
ネイリストという世間の固定的な観念を、商店街に住む主人公の地道な生活に落とし込み読ませるところは、さすがの三浦しをんのお仕事小説として、学び多く読める。私も「目に見えぬ何らかの法則によってもたらされてる事象」に強く惹かれる一人。
加えて居酒屋「あと一杯」で食べられる料理描写も垂涎。情念の煮付け!毎日でも行きたい。
私は職業柄ネイルできないのが残念だけど、あの開発した方法ならネイルしてもらいたい!自分の爪が目に入るたびにときめきたい!
主人公たちの仕事に対する情熱が、しっかりと伝わってくる。体温が伝わってくる。
熱すぎず、じんわりと温かい作品!
美佐さんと星絵ちゃんのコンビ、いいですね!
読み始めてすぐに好きになりました。
ネイルサロンが舞台の物語で、私自身もジェルネイルをしてもらっているので、デザインを想像しながら読むのも楽しかったです!
作中にも出てきますが、ネイルってしているだけで気分が上がるんですよね。仕事中だったり、お買い物している時だったり、ふと指先が目に入って、爪が綺麗だと、ただそれだけで嬉しい気持ちになります。派手なネイルはできませんが、毎月好きな色にしてもらって、自分の機嫌をとっています。笑
普段ネイルアートをしない人もこの作品を読むと、やってみようかな?と思うかもしれませんね!
そして星絵ちゃんをきっかけに、人との繋がりも大切さにも気付きました。「あと一杯」にも行ってみたいです…!
仕事、友情、ごはん、などなどボリューム満点のおもしろい一冊でした!
私も昔はネイルは不衛生だしお金の無駄だと思っていました。
でもとある機会でジェルネイルをすることがあり価値観がガラッと変わりました。
シンプルな単色ネイルでしたが、爪が視界に入るだけでとても幸せを感じ、ネイリストさんとの会話がとても癒しで通っていました。
ネイルをしていると以前の私のように「料理できなさそう」「お金がもったいな」と言ってくる方はいます。
ただ実際体験してみるとプロの方に爪を磨いてもらうだけでも気分は桁違いです。
そんなネイルを始めたことのウキウキが懐かしくなるようなお話しでした。
イメージしやすいネイルの描写に、ネイルのわかりやすい説明。ネイルをしたことない方でも楽しめる内容です!
タイプの違うキャラたちのお仕事を頑張る姿に元気を貰えました。
ネイリストや、ネイルサロンに通う人たちはチャラいのか?
ネイルサロンが舞台のお仕事小説。
爪がきらめいていることが生活の潤いになっていたり、
爪の状態で健康状態に気づくきっかけにもなる。
仕事に向き合い、迷い、でも好きを貫く。
商店街での人付き合いが、温かくてすてきです。
来た!!年の瀬を感じるこの時期に最強傑作が来た。
瞬間瞬間 人や体調や形や湿気や感情や事情 試行錯誤 息を呑む 緊張が走る 空気が張り詰める 其処はネイルの現場。
この物語の主戦場。戦いとは大袈裟なと思うだろうか。
著者は三浦しをん
辞書編集部の華麗なる面々と仕事をつまびらかに私たち読者を虜にした
三浦しをんが「ほんとうのきれい」を探る。
待ってました!お仕事小説
ネイルサロン隣人宅は居酒屋「あと一杯」。煮つけが自慢
回転重視の店舗経営にお客さまも自分も機械じゃないのになーなんかちがうなーと辞めた星絵ちゃん
大河ドラマで後醍醐天皇を演じる俳優のそこまでやるか
キッズスペースの母
我がことのように奔走する八百屋の女将
仲たがいじゃない、お互いにために別の道を歩く同士
人と人が「情」と「仕事」でつながっていく
プロフェッショナルな面々に万来の拍手を贈りたい。
読んでよかった。読んだことを後悔しない。明日もういちど読みたい。
三浦しをんさん ぐっじょぶです。
またまた「しをんワールド」炸裂の作品です。読んだ後、心の中がじわ〜と暖かいもので満たされます。涙が出るくらいに嬉しいのにそれを言葉にできない。でもみんなその気持ちはよく理解しているし、主人公以上に彼女のことをよくわかっている脇をかためるキャラクターが皆ステキ過ぎます。とりわけ愛されキャラの星絵ちゃんが主役の作品をいつか読んでみたいですね。
安定のおもしろさ。私は三浦しをんさんの作品が高校生のころから好きで、10年以上前からちょくちょく読んでいる。エッセイは笑えて、お仕事小説はその緻密さに「その職業の人なのではないか」と思うほどだ。
本作はネイリストの女性が主人公のお仕事小説だ。現実でも、物語の世界でも若い女性の敵はおじさん。しかし、そんなおじさんとも仲良くなってしまう主人公らが愛おしい。下町のあたたかい居酒屋で食べる料理の美味しそうなこと。私もここに住んでいいですか? そう思ってしまうほど、登場人物たちがあたたかいのだ。
私はネイルはしないが、友達がしているのを見るときらきらしていてかわいらしいと思う。また、夫がネイルサロンで定期的に爪を整えてもらっている。おじさんのなかには、「男がネイルサロンなんて、気持ち悪い」という人もいるが、おじさんがピカピカになった爪を眺めて嬉しそうに微笑んでいる姿はとてもかわいい。爪が綺麗だと気分が上がるそうだ。私のほうが「ネイルサロンに行ってみたら」と言われる始末。
ベテラン作家の書く物語というだけあり、安心して読むことができた。ネイルが好きな人はもちろん、ネイルに興味がなくても元気になれる一冊。
ネイリストのママ友は当たり前に絵が上手く、砂場の落書きのクオリティの高さに皆驚愕したものですが、技術に知識、接客、開業するなら経営も必要とされる専門職なのに、どうも世間的には低く見られてしまう。サスペンスドラマにおけるネイリストのポジションが、わかりすぎて苦笑い(昔は「小料理屋の女将」が多かったよね)。派手に見られがちな職業だけれど、その裏には地道な努力と情熱の積み重ねがあり、それが小さな爪の上で魔法となって人の心をときめかせる。熱くて爽やかなお仕事小説でした。居酒屋「あと一杯」の料理がとても美味しそう!
東京の職住二階建ての古い長屋でネイルサロンを営む月島三佐が主人公。店の名前は「月と星」文中は月島で通す。最初はなぜと違和感があったがすぐに納得する。前と新で一緒に働いた女性の名前が星が入る。小さなお店だからお客さんと距離が近い。お隣の飲み屋「あと一杯」の店主もいいキャラだしお客さんの人物にも驚く。色々問題は起きるがみんな人間味や情があり、よき日本で安心する。著者らしさ満開で「ええもん読んだな」と思う。知らないネイルサロンの世界を楽しめました。個人店ならではの苦労や喜びを感じ明日から頑張っていこうと元気たっぷり頂きました。
「新刊が出るたびに、必ず読む」という作家がいて、三浦しをんさんもその一人だ。
日々を彩る魔法のように、指先をきらめかせるネイルサロン・月と星。こんなお店があったなら、きっと通いつめてしまう。
あたたかくて、読むと心ほどけるお仕事小説。
大好きなしをんさんの新作は、これまた私の好きなお仕事小説。
しをんさんがネイリストのキラキラを?と思ったのですが、そこは敢えてネイリストはお洒落でというイメージを覆そうとされて・・・というところもしをんさんらしくてよかったです。
コツコツの真面目な月島は、芸術性が高い仕事をする星野に対してコンプレックスを抱いている。
かつては二人で店を経営していたが、今はそれぞれの道を歩く。
敢えて商店街の中で地元に根付いた仕事をする月島、そこに現れた新米ネイリスト大沢星絵。
星絵はパッとみは誤解されやすいが、実はまじめなコツコツ派、それでいて月島にはない、星野に似たセンスが感じられる。
星絵のためには彼女を星野に託すべきか、悩む月島の姿にイライラしながらも彼女らしい優しさが感じられんました。
ママたちのためのキッズスペースを考えたり、老人ホームへのボランティアなど、星絵と歩むことで世界が広がっていく様子もよかったです。
隣人・あと一杯の店主や店の常連のおじさんたちのキャラクターもとても良かったです。
コロナ禍に入る直前で物語は終わりますが、彼女たちはきっとその中でも生き生きとネイルアートを続けていくだろうと思わせてくれる楽しい作品でした。
下町商店街の片隅にあるネイルサロンを舞台にしたお仕事小説。
わたしにとって、ネイルアートというものは、全く未知の世界のものだったので、とても興味深く読んだ。
仕事内容も面白かったのだが、ネイルサロン「月と星」の店主の月島と店員の大沢のやり取りを初め、隣の居酒屋「あと一杯」の店主やその客とのやり取り、商店街の人たちとのやり取りなど、人と人とのつながりに、なんだかワクワクさせられた。
「あと一杯」での酒と煮込みを食べる描写にも惹かれた。
一日まじめに働いた後の酒と煮込みは、さぞおいしいことだと思う。
子育て中のママから、俳優、おばあさんズ、巻き爪に苦しむ中年男性など、客層は様々だけれど、施術後は、みな、ぱあっと顔が明るくなる。
その表情が目に浮かぶようで、なんだか読んでいるこちらまで笑顔になった。
とても気持ちのいい物語だった。
「ネイルサロン」はきらきらとした華やかな場所で、働いている方も美意識の高いお姉さん方というイメージがあり、これまでの人生で一度も利用したことがない。でも、月島さんや星絵ちゃんに楽しくおしゃべりしながら施術してもらえるなら行ってみたいと思った。
センスがあり、一生懸命だけどうまくいかないことも多かった星絵ちゃんだけど、月島さんのおかげで、技術力を上げることができたのだと思う。月島さんもコミュニケーション能力の高さがすごい星絵ちゃんと出会うことで、地域の人々との交流が生まれ、新しいことにもチャレンジできた。
ゆびさきが綺麗だと気分があがる。顔よりももっと目に入る部分だから、荒れていると気になるし、接客業だと所作にも影響が出る。
爪という小さなパーツを彩るために様々な方法がある。お客様に喜んでいただくためには、センスはもちろん必要だけど、新しいものを受け入れて、常に進化させていく努力がかかせない。
すごくよい接客をしてもらった気持ちになった物語。自分もよい接客をしていきたいなとあらためて思った。
ネイルは化学であり、ネイリストは職人だ!
ネイルサロンを営むネイリストの月島美佐は商店街の一角でネイルサロン「月と星」を一人で営んでいるが、ひょんなことから新米ネイリストの大沢星絵を雇うことに。
月島さんの心配性の性格と、コミュ力と行動力の塊みたいな大沢さんが、さまざまな人と出会いながら化学反応を起こしていきます。
ネイルアートだけでなく、ちょっとケアしてもらうだけでも気持ちが高揚しますよね。
そんな素敵な魔法をかけてくれるネイリストさんのお仕事小説です。
ネイルをしている人に対して負のイメージを抱いている人もいると思います。でもこの本を読めばきっとイメージは変ると思います。
もし巻き爪に悩んでいたり、指先にトラブルがあったら、年齢や性別を問わず行ってみたくなるくらい負のイメージを吹っ飛ばしてくれます。
このネイルサロンだけでなく、個性的な店主が集まるこの商店街もカラッとした雰囲気で行ってみたくなります。
2人が施術していくネイルの描写が美しくて、こんな色で爪を輝かせてほしいと思いました。魔法をかけてもらったゆびさきのが放つ輝きに幸せをもらい、心温まる物語です。
美佐のネイリストの仕事に対する情熱。
星絵ちゃんのコミュニケーション能力の高さ。
俳優の男性がネイルするのも、よかった。
読んでいて、気持ちのいい作品でした。
ネイル、やっぱり手先がキレイだとテンションあがるし、やる気もでる!
読ませていただき、ありがとうございました。
三浦しおんのザ・お仕事小説!!
ネイリストという知っていそうで実はよくわからない職業を知ることが出来ます。
またネイルサロンのオーナーである月島とそこで働くことになった新米ネイリスト星絵ちゃんとのバディ小説としても楽しめるます。
ネイルサロン「月と星」にやってくる様々なお客様、長屋のおとなりの居酒屋「あと一杯」の大将やお客さん、店のある富士見商店街の人々。
人と人との日々の交流、愉快な会話、ほっと心和みます。
コツコツと仕事を続け、立ちはだかる問題を一つ一つ解決していった先にある成長。
爽やかな気持ちで最初から最後まであっとゆうまに読んでしまいます。
そしてこの物語の最強の隠し味はなんといっても「あと一杯」の大将が作るお料理!煮つけ!!!
美味しそうすぎて、よだれが出てきてしまいます。
ただ、物語がそこで終わるの????というところで終わってしまったので、ぜひ続編を書いてもらいたいなと思いました。
自分一人でネイルの店を営む月島が、ひょんなことがきっかけで、新たなネイリストを雇い、そこから更に世界が広がっていくという、ネイリストの仕事を中心にした小説。
ネイルを普段から楽しまれている方にとっては、きっと共感するところが大きいのではないかと思う。プロの方にネイルをしていただいたこともなく、自分でもめったにしない私でも、この小説を読んでネイルに興味をもった。特に磁石とマグネットで模様を作るなんて楽しそうだ。ネイルだけでなく、広がっていく商店街の人間関係も温かい。
また、月島が自分にないセンスをもつ星野(かつて一緒に店を経営していた友達)に対して抱く尊敬と憧れと嫉妬がない交ぜになったような感情も、誰もが少なからず抱いたことがあるのではないかと思う。
本の装丁から美しく、ネイリストさんのお仕事もより身近に感じられ、心が温かくなっていく本でした。
人と向き合い、アイデアを形にし、お客様、地域の人達、周りの人達とも心通わせていく過程も素敵でした。一緒に働くことになる星絵ちゃんとの出会いから、努力、修行、経験がより主人公を輝かせていくのも良かったです。
しをんさんの安定のお仕事小説、今回も楽しく読む。ネイリストの仕事を実に細やかに分析、主人公の月島のエネルギッシュなネイル愛を描き込み、余すところなくその仕事の意義ややりがいを語る。月島がひとりで営むネイルサロン「月と星」に押しかけ就職した大沢との掛け合いの軽妙さの合間に挟まれれる、ネイルの可能性やお店の営業形態の拡充など、仕事の深掘りも印象的だった。美しく彩られた爪に心を拡げるひとときの魔法。毎日の生きるよすがと言ってもいいくらいの満足感をネイルは与えられるのだ。月島と大沢、いいコンビ、いい仕事相手として成長したと断言できる。
「本当の美は、そのひとの内面から、あるいは料理やネイルにおいては、入念な下ごしらえの過程から生まれる」
ネイルサロン「月と星」を営む三十代半ばの女性、月島。
ひょんなことからお隣の居酒屋の店主の巻き爪のケアをしたり、老人施設へのボランティアへ赴いたり。
「指さきを、うつくしく彩ることを通して、つかの間の息抜きを、明日もがんばろうという自信をもたらす魔法をかける。三週間ほどで消える魔法」
ネイルに興味がある人もそうでない人もすべての働く人をエンパワメントする小説。
しをんさんお得意の、ユーモア溢れるお仕事小説。今回は特に笑わせ要素が多かったように感じた。
本作で舞台となるのは“ネイル”だ。まさに「指先に魔法」の世界である。ネイルサロン「月と星」を一人で切り盛りする月島美佐は、ひょんなことから新米ネイリストの大沢星絵を雇うことになる。まったく個性の異なる2人は、お互いの足りないところを補填し合いながら、顧客と向き合っていくが……。
ぼくは男だし(←これについては本文中にも言及あり)、ネイルそのものに取り立てて興味はないが、推しの女性歌手がライブの前などに「ギター用の新ネイル」などのコメント付きで指先の写真を投稿していたりすると、「ほーっ」と感心し見入ってしまう。披露される蘊蓄もいろいろと興味深かった。
おすすめの1冊。
ネイリストという職業のこと、仕事に生きてきた女性のかっこよさ、あたたかい人々との交流…読めば読むほど主人公のことが好きになる一冊でした。三浦さんのお仕事小説大好きなのですが、1番好きかもしれません。明日への希望を抱かせてくれる作品です。
ネイリストが主人公のお仕事小説は初めて。
大好きな作品がまた増えました!
ネイルサロン「月と星」。
店主の月島と新米スタッフ星絵ちゃんの二人も、お隣の呑み屋店主との気安い関係もすごく好き。
「ネイリスト」という職業についてほとんど知らなかったので、驚きの連続でした。
こんなに奥深い世界だったとは…!
「何て素敵なお仕事なんだろう」って思いました。
登場人物が魅力的で、彼女たちが繰り広げる日常がめちゃくちゃ楽しくて愛おしかった。
真摯に仕事に向き合う姿は、二人それぞれに素敵。
お仕事小説として、成長物語として面白いだけじゃない作品。
働く人の心理描写にも引き込まれ、夢中で読み終えてしまいました。
しをん節にはクスリ。言葉のセレクトが絶妙で心をくすぐられました。
そして、もうひとつ。
私自身、作中にあった親指の爪にコンプレックスがある人です。そんな人たちの心を軽くしてくれるかもしれない可能性を秘めた作品。
本作を読んで、ネイルショップに1度行ってみようかな…と前向きに思えました。
出会えて良かったです!!
ネイルサロン「月と星」に行ってみたい!
ネイルは心と体を癒してくれてストレス解消などになるかもしれません。たぶん自分の体の中で一番目にすることが多いのが指先。そんな指がきらびやかだったり、かわいかったり、自分の好みのデザインだったら、少し落ち込んでいるときでも指先を見るたびにリフレッシュできるかも。まさに魔法!
周囲の人々の人柄や温かみ、「月と星」の性格の違う2人のネイリストの熱意や不安、優しさもたっぷり伝わってきました。
有名人やボランティアエピソードには、テンションが上がり、さすがしをんさん!しっかり笑わせてくれる場面もあるから更に面白味が増し、楽しめました!
読みながら、思わず自分のボロボロの爪を見てしまいました……。
しをんさんのお仕事小説は、いつもキラキラした登場人物の宝庫ですが、今回はキラキラ度がより増していた気がします。(物理的なキラキラが作中に描かれているせい……?)
恋愛模様も、大きな事件が起きる訳でもない。けど、仕事に真摯に向き合う登場人物はとてもキラキラして見えました。とても面白かったです!
とりあえず、「月と星」みたいな、ステキなネイルサロンを探してみようかな、と思いました。
下町の商店街にあるネイルサロンを舞台にしたお仕事小説。
ネイルってこんなにも奥深いものなんですね。
しをんさんらしく出てくる人たちがみんな温かくてとっても気持ちよく読めました。
特に新人ネイリストの大沢さんが明るく元気で素直なナイスキャラ。
彼女が独り立ちした話もいつか読んでみたいな。
そしてお隣の居酒屋「あと一杯」の料理がどれも美味しそう。
読んでいてとても楽しかったです。
主人公のネイルサロンがあるのはいまどき珍しい二軒長屋(二階に住まい)、最初に物語のなかで施術を受けるのは、居酒屋の大将の足の巻き爪。ネイルというキラキラしたイメージとは違う処から物語が始まっているので、世界に入りやすかった。勿論、ネイルのキラキラした世界も存分に描かれているのだが。
ネイルが、爪を綺麗にするだけでなく、人の気持ちを上向きに変える例は、この小説にいくつも出てくるが、特に印象に残ったのは、子育てに疲れた女性の「もう、もう、この状況に耐えられない! 爪くらいきれいにしていたい!」という叫びと、施術を受けた後の表情である。
300ページを過ぎてからの展開が、殊に良かった。三浦しおんさんならではの、登場人物の造形に、心洗われた。
読後感がとてもよかったです。ネイリストさんの事情がよくわかるお仕事小説ですが、ネイリストでなくても、真摯に何かの仕事をがんばっている人はどこかに共感できると思います。。私もそれなりに経験を積み、自分だけでもそこそこ上手くやれるけど、誰かと一緒だと可能性が広がることがあるなぁと自身を振り返りました。ネイルに関しては、自分で塗っても爪が呼吸できなくて息苦しく感じるし、派手なネイルにはできないので、ネイルサロンは遠い場所だったけれど、この物語を読んでいる間は、ハンドクリームを塗るときに爪のことも労いたい気持ちになって、爪のお手入れにネイルサロンに行ってみたいなと思いました。
三浦しをん先生の描く人間ドラマが大好き。
本書も、感情の機微が繊細に表現されていて、深い感情移入をした。
好きなことを仕事にする、できる、頑張る、ということも素敵だけど、お互いに刺激し合い、高め合える存在に出会えた登場人物達の生き生きした姿がとっても素敵で魅力的。
月島さんと星絵ちゃん。月島さんと星野さん。星野と星絵ちゃん。「二人の関係性」を描くことに、しをん先生の右に出る者はいないと改めて感じた。
ネイルサロンを舞台にしたお仕事小説。
私自身、ネイルサロンは数えるほどしか利用したことがないので、ネイリストさんたちがこんなにも勉強、研究されているとは思わなかった。
次利用する時は、ネイリストさんとの会話やその場の雰囲気をもっと楽しまなければ!と思った。
指先のほんのわずかなスペースに施された、丁寧で気持ちの込められたファッションは本当に贅沢で、だからこそ気分も上がる↑はずなのだとつくづく感じさせられた。
しおんさんのお仕事小説、大好きです。仕事をしている人に対するリスペクトを感じるからです。私も付け爪はちょっと邪魔なのでは?と思っていました。でもやっぱり仕事には仕事ごとに魅力があり奥が深いのだと思いました。今回は大沢さんの魅力、煮付けの力も大きいですね。何回も笑いました。
月と星、どちらが主役、脇役ということでなくそれぞれの輝きがある。そこがとても良かったです。読後、楽しかった、売りたい!と強く思いました。
三浦しをんさんの作品はいつも、徹底したリサーチをしたものが多いですが、今回のお仕事小説のネイルアートについては知らないことばかりでとても興味ぶかく、ページを繰る手が止まりませんでした。ジェンダーに関係なく、ネイルアートを愛する人たちに届けたい1冊です。ネイルアート未経験の私も1歩踏み出す勇気を持つことができました。
私は全くネイルに縁がありませんが、この本を読んだら自分の爪もネイルでピカピカになったような気がしました。
ネイルにも種類があるとか、巻き爪も治せるとか全然知らないことばかりだったので面白かったです。
ネイリストさんの性質も分かり、ネイルサロンに行くハードルがグンと下がりました。
勤務があるので、手の爪はなかなかネイルをするのは難しそうですが、年末年始のお休み中とかフットネイルなら出来そうで、考えただけで心が弾みました。
うちの近所にも「月と星」みたいなネイルサロンと、「もう一杯」みたいな居酒屋さんがあったら良いのにな。
しをんさんの言葉の並べ方はやっぱり素敵。
内容は、ネイルサロンでの施術経験者ならより理解できたかも?
興味はかなり沸いたが、米をガシガシ研がなければいけない身としては
本格的にするにはまだまだ先。
なので早速爪磨きセットを買いに走り、今はピッカピカの爪です。
お隣に美味しくて安い居酒屋があったら毎日通うなぁ。
商店街にあるネイルサロン「月と星」が舞台になったお仕事小説。
最初の数ページを読んで、これは絶対好きな小説だ!と確信してサイン本を購入。
ネイルは他者のためにするものではなく、自分が楽しむためにするもの、という言葉に共感!
主人公の美佐と共に働く星絵の描写から、ネイリストさんが普段ここまでお客様のことを考えながら施術しているんだ、ということがよく伝わってきて、素晴らしいお仕事だとあらためて思いました。
人と人の繊細なつながりが描かれている。何気ない日常に潜む温かさを巧みに描き出し、日常の中にある小さな奇跡を感じさせてくれる。筆致は軽妙でありながら柔らかく、読者の心を優しく揺さぶる。タイトルの「魔法」は特別な力ではなく、人が触れ合うことで生まれる温もりや共感を象徴しているよう。シンプルな言葉で綴られた物語から、日常の中にある大切なものを見つけ出せる、優しく温かい一冊。
表紙が目に入るたびに何度も明るい気持ちになる。本棚にあるだけで気分が上向く可愛らしい装幀も素敵。
三浦しをんさんのお仕事小説。舞台は商店街にあるネイルサロン。主人公の月島を含めネイリストたちが皆とても真面目に真剣にお仕事と向き合っている姿が素敵でした。ネイルサロンはおしゃれな若い人が行く所でネイリストたちもそういう方たちだとばかり勝手に思っていたので、ネイルサロンに行ってみようなどと思ったことは今まで一度もなかったのですが、派手なネイルには抵抗があるけれど、サンダルの季節に足指だけ施術してもらうのもいいかなと思いました。ネイルの施術の細かい描写が言葉だけだと想像するしかなくて、ネイルに無縁の私にはちょっと難しい部分もあったので是非映像化していただけたら嬉しいです。
三浦しをんさんといえばお馴染みのお仕事小説。
今回はネイリスト。
女性が主人公で、女性ならではのお仕事って珍しいな、
と思ったけれど、そこはさすがのしをんさん。
居酒屋「あと一杯」での雰囲気も手伝って、
ネイルの話なのに、全然「女、女」なんてしていない。
爪から炎「あちちちちっ」には笑った!
何より、月島と星絵がいいコンビ!
商店街のネイルサロン「月と星」がとてもあたたかい。
実は私は、読書の次に好きなことがネイル。
十代の頃、自分の外見にコンプレックスを感じていた私を救ってくれたのが、友達に教えてもらったマニキュアでした。
綺麗に塗れると気分が上がって、自分を少し好きになれる。
長年私が抱いてきたネイルへの気持ちも
この本の中に描かれていて、とても嬉しかったです。
男性もネイルが楽しめる、というところも
好きでした。
老若男女、指さきをうつくしく彩って
今日も明日も頑張れる魔法をかけよう。
表紙も可愛い♡
可愛い表紙だけど、ぜひ男性も手に取ってほしい!
みんなにおすすめできる素敵な作品。
自分でマニュキュアを塗るだけでも、気分が上がるので、ネイリストさんにやって貰ったらもっといいだろうなあ、と思いつつ、ネイルサロンに行ったことがありません。そんな私みたいな人はもちろん、ネイルに全く興味がない人でも、この作品を読んだらネイルサロンに行きたくなること間違いなし。
ネイリストという職業が詳細に描かれ、いかに努力と鍛錬の上に成り立っているのかが伝わってきて、著者がいかにネイリストをリスペクトしているのかを感じることができます。
ストーリー自体は穏やかですが、熱い思いのこもった究極のお仕事小説だと思います。
『ネイリストの目から見た世界』を知ると、爪に対する認識が変わる。
勝手に想像していたネイリストのイメージより、ずっと地味で地道で堅実で、職人技な仕事ぶりでした。
爪の上に花を咲かせ、宇宙を創り出すだなんて、たしかに魔法でしかない……!
影響されやすい私は、読了後さっそく爪のお手入れを始めました。
三浦しをんさんの最新刊。
前作だと思うがエッセイ集にネイルのことが書かれていたと思うのですが?それが元になって本刊が刊行されたとなるとそれはそれでやっぱりその感性はすごいことだと思います。同じように有川ひろさんも猫で作品を書かれていますね。そこが作家さんが作家さんであるゆえんなんでしょうね。
ネイリストが主人公のお仕事小説。
ネイルってこんなに奥深いものだったんだ。もうこれは職人じゃないですか。好きなことを仕事にできるって素晴らしいし羨ましい。
内容紹介どおり「クスリと笑えて胸温まる」お話でした。
指先がきれいに彩られるだけで気分が上がる。
昔はネイルサロンで手入れしてもらってたけど仕事上できなくなってからはお出かけの時だけセルフネイル派になった。
でもこの本を読むとまた行ってみたいなという気分になる。
まるで自分の爪にキラキラが施されたような感覚で読み終わった。
素敵なお仕事小説だった。ネイルはタイトルどおり指先にかけられる優しい魔法だと思う。ジェルネイルが元々好きでネイルサロンに行くこともあるのだけれど、客の立場で見える以上のお仕事事情がわかるのが良い。お仕事小説の醍醐味だなと思う。登場人物も皆良い。少しずつ関係が深まったり、少しずつ自分を認められたり。悩むこともあれど、読むのがつらくなるようなシーンがないのも良い。とても好き。
ネイリスト=爪を華美に飾ってくれる人、というイメージが覆った。
日常生活の中で、爪の健康を維持し、心の栄養になるように手入れをしてくれる爪のプロなのだということを、この本で知った。
この本に登場するネイリストたちは、みんな素晴らしいプロ意識を持っていて、仕事に対する姿勢は、働く人たちみんなに共通して大切なものだと思った。
お客様の気持ちを明るくするために、日々の生活や仕事の励みになるように、と考える月島と星野の想いがあったかくてかっこいい。
星絵ちゃんやお隣の居酒屋の大将、商店街の八百屋のおかみさんなど、身近にいそうだけど個性が際立っているキャラクターが良い。好き!
「私も明日からがんばるか!」と思える、元気をくれるお仕事小説だった。