がんと折り合いをつけて生きる
熊坂義裕、高橋都、村上晶彦、熊坂伸子
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刊行日 2024/11/14 | 掲載終了日 2024/11/30
ハッシュタグ:#がんと折り合いをつけて生きる #NetGalleyJP
内容紹介
がん罹患100万人時代の道標――。元宮古市長で医師の熊坂義裕氏が、自らのがん闘病を通じてすべての患者と家族に送るメッセージ。
がんになった本人は、家族や職場や地域社会とどう折り合いをつけたらよいのか、逆に周囲は、がんになった本人にどのように接していけばよいのか、よく分からないというのが日本の現状ではないでしょうか」(本文より)
本書は岩手県宮古市の市長も務め、内科医として地元に根ざした診療を続けてきた熊坂義裕氏。自らのがん治療をつづった闘病記と鼎談2本を収録。鼎談では熊坂氏と妻伸子さんが、がんサバイバーシップ国内第一人者・高橋都医師、がん検診の受診率向上へ尽力する村上晶彦医師(岩手県対がん協会専務理事)それぞれを交え、「がんでも働ける」「がんでも笑える」、そして「がんと折り合いをつけて生きる」ためのヒントを提示。国内のがん罹患が年間100万人を超える時代の、必読の書。
おすすめコメント
「がんサバイバーシップ」という言葉をご存じでしょうか。
がん患者は治療後もさまざまな課題や悩みを抱え、不安な日々を過ごしています。患者の家族・友人・職場、そして地域や社会全体が、がん患者を支えて一緒に乗り越えていこう、という考えを「がんサバイバーシップ」といい、国内でも少しずつですが取り組みが進んでいます。
国内のがん罹患者は年間100万人を超えます。本書は、医師でもある熊坂義裕氏が、自らのがん闘病を通じて「がんサバイバーシップ」の大切さを広めるべく手がけた一冊です。
出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784872018585 |
本体価格 | ¥1,400 (JPY) |
ページ数 | 280 |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
がんに罹患した医師の方がその体験を本にしているものはたまに目にする。何冊か読んだこともあるが、いまひとつピンとくるものが少なかった印象。なんだろうか、ちょっと達観した視点から振り返ってしまうので、いまひとつ我々にガツンとくるものが少ない。体験談としては読めるが、そこにとどまるものが多い印象だ。
その点、この本はちょっと違う。「がんサバイバーシップ」という視点から体験を振り返る。身近な人たちのがん体験も、そしてがんの周辺を専門とする医師の人との鼎談も、同じく「がんサバイバーシップ」というキーワードで展開している。
前に医療番組を担当していた時に、がんの患者会の人の話を聞く機会がたまにあった。もちろん専門家ではないが、罹患したことからネットなどで勉強し、そこに自信の体験を絡め話をしてくださるので、色々と勉強になることが多い。
その後ある時から、がんサバイバーの方の話を聞く機会が増えていることに気がついた。コロナの中あたりだろうか、がんサバイバーの方たちが積極的に発信するようになり、それをメディアが聞くチャンスが増えた。
多くの方が話されるのは、まず検診の大切さだ。企業で働いている人は会社の健康診断があるから、最低限のセーフティネットにかかっている。しかしそこで異常が告げられても放置する人が多い。「自分だけは大丈夫」という正常化バイアスだ。そんなことはあり得ない。高血圧や糖尿病を警告されて放置することと、便潜血検査やPSA検査、ピロリ菌などの「がん検診」関連の検査で指摘されることはちょっと意味合いが違う。
しかし多くの人は、どちらも同じように放置してしまう。せっかくの検査の意味がない。よく言われるように、がんには早期発見、早期治療が何より効果的だ。そのための検査なのに、結果を無視していては意味がない。
とはいうもののこの本の著者の医師も、糖尿病に知見がありながらも自身は糖尿病というまさに「医者の不養生」。「自分だけは・・・」という真な自信、正常化バイアスは本当に恐ろしい。
がんサバイバーの方たちも生活していかなければならない。リアルに金を稼がなければならないということもあるし、死というものを現実として実感したからこその人生観というのもあるようだ。人は誰でも必ず死ぬ。つまり人生には限りがあるということだ。その限られた時間をどう過ごすか、普段は考えもしないようなことを、がんを経験すると考えるようになるとのこと。
がんサバイバーが普通に働いていける社会、その実現のためにはこの本にある「がんサバイバーシップ」という概念はとても大切だ。がんサバイバーを積極的に支援する環境、静かに矯正できる環境、その両方が自然にあってこと、がんサバイバーが普通に生きられる社会が実現する。
「がんと折り合いをつけて生きる」という本のタイトルはまさに至言。「がん=死」という時代ではない。治療の選択も広がり、延命だけでなく寛解を目指す治療だって増えている。そんな時代には「折り合いをつけて生きる」=「共生」ということが大切になっている。
その社会実現には、周りの人もがんサバイバーについて知っておかなければならない。知識が理想を実現していくからだ。
バリウム検査をするくらいなら胃カメラをやった方がいいとよく聞くが、この本を読んでバリウム検査にも得意分野があること、バリウム検査でも何もしないよりはずっといいことを知った。またピロリ菌除菌ののちもある程度は定期的に内視鏡検査をすべきだということも初めて知った。
まだまだ知らないことはいっぱいある。世の中には知らないことの方が圧倒的に多い。それをちょっとずつ知っていくこと、それには読書がとても効果的だ。