箱庭クロニクル
坂崎かおる
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刊行日 2024/11/18 | 掲載終了日 2024/11/18
ハッシュタグ:#箱庭クロニクル #NetGalleyJP
内容紹介
// 本年3月に『噓つき姫』で鮮烈デビュー、2作目『海岸通り』で芥川賞候補 //
2024年最大の新人が、文芸界に風穴を開ける。
小説を愛する皆さま、この「才能」を、見つけてください。
ファンタジックな世界観と異国情緒ただよう文体で綴られる、幻想小説×シスターフッド。
唯一無二、明日への願いと祈りに満ちた6篇の短編集!
[ 推薦コメント ]――――――――――
手のひらのミクロコスモス。地獄の口に何度でも出くわす人生、でも私だけの天国に続く糸も確かに光り、ここにある。この物語の中に。----- 一穂ミチ
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とびきり美しい物語群の中に暗さや裏切りがあって、人間の光と影を同時に見せてくる…才能って“これ”のことね!?----- 佐伯ポインティ
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孤立と連帯のあわいを揺れる不器用な人間の心。その迷宮の出口は、意外なところに開いている。----- 千街晶之
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◆ベルを鳴らして
そこにひとつの戯画がある。家一軒ほどの大きさのタイプライターだ。(日本推理作家協会賞短編部門受賞作)
◆イン・ザ・ヘブン
地獄はどこにでもある。内とか外とか関係ない。
◆名前をつけてやる
これは「バッグ・クロージャ―」これは「ランチャーム」これは「ポイ」
◆あしながおばさん
拝啓 盛夏の候、時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
◆あたたかくもやわらかくもないそれ
ゾンビは治る。マツモトキヨシに薬が売ってる。
◆渦とコリオリ
水流は左に渦を巻いている。
邦文タイピストの少女がついた歴史を変える噓や、禁書運動家の母親を持つ少女の始祖サンドで繋がれた絆、流行り病“ゾンビ”で親友を亡くした女性の不思議な一晩 etc.
人生ベストの一編が、ここに。
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著者/坂崎かおる(さかさき・かおる)
1984年東京都生まれ。2020年「リモート」でかぐやSFコンテスト審査員特別賞、’21年「電信柱より」で百合文芸小説コンテストSFマガジン賞を受賞。’24年「ベルを鳴らして」で日本推理作家協会賞短編部門を受賞、『海岸通り』で芥川賞候補となる。ほかの著書に『噓つき姫』。
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★★★
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★★
出版情報
ISBN | 9784065369449 |
本体価格 | ¥1,900 (JPY) |
ページ数 | 256 |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
新しい風を感じる。これからずっと、坂崎かおるの作品と共に生きられることが心強い。
酸いも甘いもユニークも物語にギュッと閉じ込めて、読み手を夢中にさせる確立された世界観。
気持ちがわかって思わずニヤリとしてしまう、スパイスが効いた心理描写。
ああ、なんと贅沢な短編集なのだろう!
まだまだ自分の知らない感情があるのだと知った。その発見が愛おしい。
心が弱っている時、強くありたいと願う時、いつでも手に取れば、温かく包み込んで背中を押してくれる作品に出会えた。
幻想的がぴったりな言葉でした
淡々と映像が流れるように進み、ある瞬間、画面が切り替わるような感覚になりました
カチリと音が聞こえるようでした
終わりを感じた時それぞれ見えない怒りがあった
渦を感じ渦に身を委ねる
ひとつひとつが実にささやかな人間らしさに溢れていて、じわじわと読んで良かったなぁと思える短編集でした。ただただ優しく、癒してくれる感じではないのに、全体を通して「人間讃歌」のような素敵な物語が詰まった作品だと思います。
様々な国と時代。そこに生きる女性達の人生のほんの断片を集めた6つの物語。でもそこには、生きてきた/生きていくという重みがしっかり宿っていた。
ヒロインでなくても皆人生の主人公。その一瞬ごとが名シーンだった。
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彼女らは映画のヒロインではないけど、一人一人がそれに負けないほどの人生を送っている。運命に翻弄され、淡い想いや己の意志は捻じ曲げられ、でも、〝自分であること〟だけは手放さず、必死に生きていく。その隙間に訪れる心和む一時に支えてもらいながら。
『ベルをならして』
太平洋戦争に振り回され、でも巡り巡って先生の想いを知るシュウコ。こんなに大回りでも、歴史さえも変えてちゃんと届くものだとは。
『イン・ザ・ヘブン』
進化論に対する創造論、禁書など、教条主義と純潔主義に凝り固まった母に縛られるエリサに訪れる、永遠の5秒。それこそは真の安らぎ=天国。
『名前をつけてやる』
上司、同僚、新人に恵まれない朝世の努力。その結果よりも、頼りない新人すみれの隠された一面に朝世が感じたものは?
『あしながおばさん』
背負った辛い過去は見えないが、彼女の人生における〝今〟という断片を、しっかりと見届けることができた。
『あたたかくもやわらかくもないそれ』
モモはくるみの葬式にでてはいない。でも、くるみが気づかないはずはない。なら現実は?「ゾンビ・パンデミック」という名前と、この疑問符がずっと残った。
『渦とコリオリ』
那美の今と過去。姉が彼女にかける言葉はいつも同じ。でも、そうに見えているだけだから。コリオリの力と同じに見かけだけのものだから。
どの短編も魅惑的なタイトル。勿論それを囲いこんでいる『箱庭クロニクル』というタイトルも。だれもが、自分を囲む「箱庭」の中で生きている。生きているから人生がある。その中のほんの1片だけを抜き出して記録したから「クロニクル」。なんて深遠なタイトルなのだろう。
あ、私がいる。正確には私じゃないけれど私が。世界の片隅に生きるある女性の人生の一部が、忘がたかったりほろ苦がったりする大切な一部が綴られているこの作品に、登場する彼女達みたいな経験をしたわけじゃないのに何故か〝わかる〟気がしました。彼女たちよ、幸あれ。私も明るい感情も暗い感情を抱えて生きていくから。
時代背景も世界観も異なる6つの物語が魅せてくれる、幻想的な女性の友情と歩みの一片。
どの作品もメインとなる女性二人の性質が真逆と言っていいほど違う事で、選択肢が広がり、世界が広がるのが目に見えるところが面白い。価値観や感性は違っても、反発し合う事はなく、なぜか心地好い。そんな言葉に出来ない空気感を掬い取って閉じ込めたような作品。
女性二人の間に男性が現れた時の微妙な戸惑いと、どちらに向けられているのか自分すらもわかっていない青い嫉妬心が、はっとするほど美しい。
6つの作品は互いに時代背景や社会状況が異なったユニークな作品であり、それぞれの物語の表現スタイルも異なっている。主人公の女性の置かれた立場は互いにまったく違うが、どの作品でも箱庭に閉じ込められたような思いで悩みを抱えている。そのような悩みがまるで絡まった糸のように複雑化しながら、やがて意外な展開を迎えるストーリーに凄さを感じる。作者の巧みで微妙な感情表現やファンタスティックな情景描写も入り混じった不思議な世界に引き込まれるのも魅力的である。いずれも読みごたえのある作品でした。
ひかりがきらきらと降り注ぐような文章をゆっくり噛みしめるように味わって、うっとり輝く光の中にいたと思ってたら、次の瞬間には真っ暗闇から手招きされる。
最大限の人間くささと人間関係の煩わしさの中にチラッとのぞく美しさと表現したくなるなにか。窮屈なようで居心地のよい箱庭にとらわれ、もがき、前進する彼女たちのしなやかさが描かれている。
『海岸通り』がとても好みだったので。
長編をじっくり時間をかけて読みたいな〜と思わせる文体でこれからがとても楽しみです。
本作には多種多様な短編が収録されていて日常的なものからファンタジックなもの、サスペンス的な要素があるもの。
ひとつのジャンルを経て他のジャンルに挑戦する作家さんも多い中で初手からあらゆるジャンルでのびのびと書いておられるのが印象的でした。
好きだったのは『あしながおばさん』と『ベルを鳴らして』
坂崎かおる先生最新刊はこれまでの日常からすこしズレた視点からの作品やマジックリアリズム的なアプローチを踏襲しつつ、新たな境地へと挑戦していく姿勢が見えたかと思います。
それだけ多彩なジャンルを書いて、それが一冊の本に集約しているなと感じました。
そして「ベルを鳴らして」にあるような、さらりとショッキングな描写を挿入する筆致も驚きますがとても好きです。
短編としてこれほどの創作レベルを紡ぎだしている坂崎先生、次回はぜひ長編を読んでみたいと思いますね。
新作が楽しみな作家さんです。