遊廓島心中譚
霜月 流
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刊行日 2024/10/21 | 掲載終了日 2024/11/07
ハッシュタグ:#遊廓島心中譚 #NetGalleyJP
内容紹介
// 第70回 江戸川乱歩賞受賞作!//
// ミステリー史上最大級のスケール //
孤島となった遊郭で明かされる
遊女連続変死事件の謎。
犯人は愛人か、憎悪か!?
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綾辻行人、有栖川有栖、真保裕一、辻村深月、貫井徳郎、東野圭吾、湊かなえ
【 激論4時間半!! 】レジェンド選考委員たちが選考会で最も議論を尽くした作品!
・あらすじ・
幕末日本。幼いころから綺麗な石にしか興味のない娘・伊佐のもとへ、父・繁蔵の訃報が伝えられる。さらに真面目一筋だった木挽町職人の父の遺骸には、横浜・遊郭島の遊女潮騒の鑑札が添えられ、挙句、攘夷派の強盗に与した上に町娘を殺した容疑をかけられていた。
伊佐は父の無実と死の真相を確かめるべく、かつての父の弟子・幸正の斡旋で、外国人相手の娼婦であるラシャメンとなって遊郭に乗り込む。そこで出会ったのは、「遊女殺し」の異名を持つ将校・メイソン。初めメイソンを恐れていた伊佐は、彼の宝石のように美しい目と実直な人柄に惹かれながら、その後、潮騒と対面するなど事件の真相に近づいていく。
一方、遊郭島には姉を心中の裏切りによって失った過去を持つお鏡も紛れ込んでいた。お鏡は、「信実の愛」を証明して姉の無念を晴らすべく、「心中箱」を江戸中にばら撒き、さらに遊郭島全体を巻き込む壮大な計画を立ち上げようとするが――。
・担当編集者より・
新人に似つかわしくない大きな構えの題材と、パワフルな書きぶりで、選考委員からもその作品の持つ力には驚嘆の声が上がった将来がとても有望な作家の第一作!
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著者/霜月 流(しもつき・りゅう)
東京都出身。学習院大学 法学部法学科卒。
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★★★
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★★
出版情報
ISBN | 9784065368312 |
本体価格 | ¥1,800 (JPY) |
ページ数 | 272 |
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NetGalley会員レビュー
江戸川乱歩賞同時受賞作ということで、刊行を期待して待っておりました。
本作の設定が幕末の遊郭という点で、なかなかない舞台であらすじから展開が楽しみでした。序章から「心中箱」というおまじないがキーワードとして頻出するので、やや本格とは離れたミステリなのかと思い読み進めていました。
しかし、読み進むにつれ小中大と様々な謎が提示されていき、一気にのめり込んで読みました。書評では、「登場人物の心情に納得しづらい」との意見もあったようで、謎解き要素が得意な作者様とお見受けられますが、幕末という写真や動画、科学捜査といった物的証拠がなかなか得られないなか、それぞれの謎が見事に解決されていき、一つに噛み合っていく展開と結末がとても魅力的で面白かったです。
また、改稿されたと思われるキャラの心情、行動動機についても違和感なく納得できましたし、謎解き部分だけでなく主役二人の魅力もあり、やや短いページながら重厚で隙のない作品に感じました。
「悪人は善人よりも優しい顔をしているのが世の常」
姉を失った鏡と父を失った伊佐はともに横浜の居留地でらしゃめんとして外国人の妾となる。
信実の愛の証明としての心中。
それはこの世では添い遂げることのできない二人が、いつまでも想いを一つにして生きていくためのかすがい。
良質なミステリ作家を送り出し続ける江戸川乱歩賞。
同時受賞のフェイクマッスルも全く違った話ではあるが面白いかったので今後もこの賞から目が離せない。
四時間半の激論も納得の作品だった。
かたや“信実の愛”を求める鏡。
こなた亡父に着せられた不名誉を雪がんとする伊佐。
二人の女性が行き着く『遊廓島』で展開される物語には、束の間ミステリを読んでいることを忘れさせるような文学的雰囲気が漂っていた。
鏡と伊佐がそれぞれに出会う、異国人。
『心中箱』を広めて回る鏡はバーキットと、伊佐は『遊女殺し』の異名を付されたメイソンと、行動を共にし──二人の胸の内側で次第に繊細な機微が膨れ上がっていくのだが、舞台となった江戸の情感も併せてその描き方は新人離れしており、驚嘆とさせられた。
どちらのパートでも綴られる『愛』の物語に、私は感嘆とする他になかったのだ。
これだけでも小説として楽しむことができるのだが、ミステリとしてのギアによってさらなる深みを味わうこととなった。
亡父に着せられた不名誉の真実、かつて遊廓島で起きた遊女連続殺人。
謎解きにかかるホワイダニットは私の胸を冷たく掴み、しかし最後には温かな風で以ってして包み込んでくれたのだった。
鏡と伊佐が惹かれ、追い求めた信実の愛。
読後しばらく、“遊廓島心中譚”の世界観から戻ってくることができなかった。
昨年の乱歩賞の受賞作だということで楽しみに読ませていただきました。ポジティブな意味で不思議な作品ですね。ミステリーなのか?ラブストーリーなのか?主人公の父の死の謎解きと「プラトニックな愛」の追求が同時進行で進んでいく、しかも舞台が黒船来航で沸く幕末というのだから、今までなかった作品ですよね。次作にも期待です。
お伊佐とお鏡がどう絡み合ってリンクしていくのかが気になって、大きな期待を持って読んだ。面白かった〜。
ミステリ小説としても、恋愛小説としても、惹きつける引力が凄まじい!
あらすじ読んで勝手に物語を決めつけたら、完全に迷子になる。不意をつく展開、中盤からの怒涛の伏線回収に目が離せない。そして、お伊佐とお鏡が選ぶそれぞれの愛の形に魂が震えた。
第70回江戸川乱歩賞受賞作。
同時に受賞した『フェイク・マッスル』先に読み、選評からこちらにも興味を持ちリクエストした。特に辻村深月先生の選評が印象的だった。
両作とも面白いのでぜひ二作ともおすすめしたい。
幕末の横浜の遊郭島が舞台。
父の訃報を聞いた娘の伊佐が父の真相を知るために、父の弟子に力を借り遊郭に乗り込む。
そしてもう一人「真実の愛」を確かめたくてお鏡も遊郭に紛れ込む。
外国人相手の娼婦であるらしゃめんとなる2人。
2人が探すものを見つ出すことが出来るのかと読み進めたが、ミステリだけでなく恋愛要素もあり、それを幕末の日本という歴史背景も上手く取り入れられていてとても面白かった。余韻が残るラストもとても良かった。
丁寧に作り込まれた世界観に引き込まれ、登場人物たちの感情や行動に興味深く物語を読み進めました。「真実の愛」の追求というテーマが、人間の滑稽さや愚かさ、そしてその中にある愛おしさを巧みに描いています。特に後半のパワフルな展開と謎解きは圧巻で、息をつく間もなく物語に没入できました。読後に清涼感のある、作品でした。
幕末の横浜に実在した遊廓島を舞台に、大切な家族を失くした女二人が異人の妾となり、それぞれに「信実」を追及していく時代ミステリ。
不審死を遂げた父を想う伊佐と、裏切りの中で果てた姉を想う鏡。まったく違う状況の二人が交互に描かれる事で、そこはかとない不安が演出され、そこに妖しげな「心中箱」が足されてホラーのような空気感に包まれる。人を想う気持ちを芯に動いているはずが、なぜか終わりにばかり向かっていく当時の時代背景や思想を興味深く学んだ。
愛はなぜこんなにも人を狂わせるのか?アホらしいと思ってしまう反面、そのアホらしさにしかない切実さも感じられて面白かった。愛なんてものに筋道はない、とド迫力で突き付けられる爽快さが心地好かった。
終盤に大砲の如く炸裂するミステリの連射も圧巻の、枠に嵌まらない独自のスタイルの物語。
やはり江戸川乱歩賞受賞作にハズレはない。時は幕末で開国の頃、町娘は父親が濡れ衣を着せられ罪を被り殺される。汚名を晴らすため向かった先は遊郭島だった。遊女でも異人の現地妻になる。その男は連続遊女殺しの疑いがある。さあどうなる?現代小説ではない時代の当たり前の小説にない惹きつけられる。この体感がいい。実にいい。と同時に恋愛の美しさを見せられた。クライマックスも好みであった。納得の受賞である。
2つのストーリーが同じ時間で起こっているのかなと思っていたけど終わりになるにつれて違うっていうのと、物語が交差するのが面白かった。
後半までミステリー感がほぼ無かったけどラストの謎解きは壮大で良かった。
テーマが重い!!
昔の話だけど文体は昔の感じじゃなくて今風なので読みやすかった。
純粋に物語がとても面白く感じました。乱歩賞選考委員の選評にあるマイナス点もすべて納得いく指摘ではありますが、そういう小説的な型を無視しても、本作品の世界観はとても魅力的だし、登場人物たちも親近感のわくような人たちで良かったです。時代小説の形をとってますが、ふだん時代小説を読まない読者にもおすすめしていきたい一冊でした。
幕末の横浜、遊郭島が舞台ということで設定を意識して読み始める。
石にしか興味のない娘「伊佐」。
父の訃報に触れ、真相究明の為に遊郭へ飛び込む。
もう一人、遊郭へ飛び込んでいた「お鏡」なる女性とはどんな風にリンクしてくるのか!?
新人にしてこの構想!
乱歩賞受賞作、大変楽しく読ませていただきました。
この世界を描ききっていて遊廓島の景色が目に浮かびました。
中盤までは何が起こっているのかよく分からずここからどうなるのか、と不安になっていましたが、謎解きパートになってからは一気読みでした。
真実の愛とは何か、物語の最後、伊佐とメイさんの出した結論は、例えば男女、例えば国籍、例えば時代によって受け止め方は異なるでしょうか。自分なら、と考えさせられる印象的なラストシーンでした。
幕末の横浜遊郭を舞台にした時代ミステリー。
木挽き職人の娘・伊佐と、綿羊娘(ラシャメン)の鏡(きょう)の2人の視点で交互に語られる物語は、まったく聞いたこともない“洋妾”という女性たちの姿を活写する。その意味ではとても興味深く、おもしろかった。ただ、クライマックスで伊佐が名探偵顔負けの推理を滔々と語り出す場面には違和感しか感じなかった。
まあ、本格ミステリーとして書かれたものならば、お約束の種明かしは仕方ないのかなとは思うけれど。選評でも同じようなことを書かれていた選者がいて、やはりなと思った。
私は正直、この時代の歴史や価値観、考え方を詳しくは知りませんが、それでも面白く読める本だと思いました。
聞きなれない言葉や言い回しも多くありますが、それでも圧倒的にわかりやすいと感じました。
普段時代小説などを読んでる人にも、若い人にもおすすめできる小説だと思います!
読後感はアガサ・クリスティ。遊郭島という閉ざされた空間なのも、そこに空虚な煌びやかさがあるところも。名探偵的存在の最後の謎解きも。
これから開かれていく端境期の時代の揺らぎが、「愛」という確かにあるに違いなくて、信じたくて、でも確からしさを確かめようとするとするりと形を変えてしまって、そうか、確かかどうか確かめたくなる時点でそれはもう確かではないのかもしれないなんて哲学的な問いに絡めとられてしまうようなものの「カタチ」を、かえって的確に浮かび上がらせてくれているようだと思った。
難をいえば、主要登場人物のイギリス人の動きが、やや便利に使われ過ぎているところかと思う。
なので、☆マイナス1。
詳しい時代考証とミステリーとうまく調和して、終盤には本格ミステリーの謎解きは素晴らしいです。
歴史的要素はたっぷりではあるものの、ミステリーそのものとの関連性があればより面白くなるような気がします。
もっと人物像を描くのを工夫するとさらなる飛躍が期待されるのです。
幕末の時代に異人相手の娼婦という奇抜な設定と、「信実の愛」を追い求めるという一見矛盾しているような話の妙に惹かれて最後まで一気読みだった。
ただ、ミステリーとしては偶然性に頼っている部分もあって個人的にはどうかと思うし、心中箱という特殊設定もミステリートリックのためというよりは最後の綺麗なラストに持っていくためのお膳立てのように感じてしまった。
たぶん、最後の「信実の愛」を信じるには、あまりにもあっさりと伊佐とメイソンが心を通わせてしまったことにもあると思う。
もちろんこの作品はミステリーであってロマンスではないのでその辺りを詳細に描写する必要はなかったのかもしれないが、この構成ならばロマンスにはもっと重きを置かれるべきだったのではないかと思ってしまった。
でも幕末でラシャメンで心中という組み合わせに目を付けたのはとても良い着眼点だと思うし、選考が紛糾したというのは納得の読ませる作品だったのは間違いない。
開国後の幕末。〝愛のまじない〟を広める似非易士の娘と、父の無罪を証明したい娘。2人は遊廓島に外国人の妾として渡る。その2人の生き方が交差した時、驚くべき緻密な謎が解けていく。それも、ミステリともう一つの〝謎〟が。
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開国して間もない文久年間。外国人との交わりが良くも悪くも深まり、更に江戸幕府が終末に向かう、人々の生活も心の持ち方も落ち着かないご時世。そんな時こそ、心を乱だそうとする者が現れ、逆に純粋なる心を求める者も現れる。
だからこそ、このような、生き方が平行する2人の娘の物語が生まれたのだろう。
真実の愛、心の愛を実現させるという〈心中箱 〉を流行らせていく、似非易士の鏡。
死んだ父繁蔵の無実を示したい。アメジストをきっかけに石の魅力に取り憑かれた伊佐。
この2人が外国人のめかけ〝綿羊娘〟として遊廓島に行き、そこではありふれた存在の外国人など様々な人々と交流していく。
読んでいて、交互に語られる2人の物語に接点を見出せず、まるで薄暗闇の2本の道を、ジャンプして乗り換えながら読み進んでいくようだった。
しかし、遊廓島と陸を結ぶ一本橋を壊した理由がわかった時、この不可解な書名の意味がわかった。更に、そのあまりにも純なる意思、〝真実の愛〟が明らかとなり、それに驚愕するしかなかった。〝本人〟はまやかしと嘯きながらも、そこまで信じ込んでいたとは。そして、それを〈現実〉のものとするための、あまりにも緻密な手立て。この中で〝もう1人〟に指摘されなければ、決して気づくことはなかったろう。
そして、この時代でなければあり得ないミステリが解決する。それも、一方の娘の推理によって。
でも、それでこのミステリが終わりを迎えるのではなかった。もう一つの〝真実の愛〟があったとは。最後の最後で2人の関係がわかるとは。同じことを目指して、真逆の方向に進んでいたとは。
でも、どちらもきっと〈幸福〉だった。それを信じる。
遊郭を舞台にした推理ものというと、「花園の迷宮」を思い出してしまうのだが、本作は時代が幕末、既に多くの外国人が横浜を闊歩している所が大きく違うのと、主人公の鏡も伊佐も遊女ではないという所。
はっきり言って、幕末物は大の苦手なのだが、本作は驚くほどすらすらと読み進むことができた。多分にこの著者の言葉遣いやら、情景描写が私の琴線に引っかかったのだと思う。読んでいるうちに当時の雰囲気が目に浮かんでくるから不思議だ。
「信実の愛」や「心中だて」といった、時代がかったロマンがどう転んでもハッピーエンドになることはあり得ないと最初から分かっていただけに、最後はあまりすっきりとしないエンディングであることはやむなしかな。
遊郭は遊郭でも、外国人を相手にする「らしゃめん」の女たちが主人公。
異国から期限付きで来ている相手に信実の愛を求めるのは難しく、一方で言葉は拙くとも心が通じ合うこともある。事件の動機も、他人からは推し量れないふたりの世界があったからこそなのかも。
とは言えちょっとプラトニックな世界観で、遊郭で心中で幕末なのでもっと生々しいのを期待していた。時代物感もあまりなく、ミステリだから普段時代物を読まない人にも読みやすくしているのかな?
非常に凝った構成と仕掛けが施されたミステリといってよいだろう。選考けいいのなかで各委員の方々が指摘されているように、納得のできない部分はあるものの、その瑕疵を超える可能性を感じさせる物語だった。HIBK(もし知っていたら)派の要素を持ちながらも視点をずらしているところもアイロニカルでビターな感じが、ロマンチックな雰囲気との対比を良く出していてバランスが良い。「遊女殺し」の掘り下げが少し足りないので結末に唐突感が出てしまっているのは選考委員の東野圭吾が言っている通りではあるが、新人らしい大きな仕掛けがいきなり立ち上がってくるので、なかなかにダイナミックな感じがする。きちんと世界観を構築されておりその中での謎解きも面白く新人らしい新鮮さや挑戦も感じられ非常に面白い作品であったと思う。第2作にも期待したい。