禁忌の子
山口未桜
ログインするとリクエスト可能か確認できます。 ログインまたは今すぐ登録
出版社がKindle閲覧可に設定した作品は、KindleまたはKindleアプリで作品を読むことができます。
1
KindleまたはKindleアプリで作品を閲覧するには、あなたのAmazonアカウントにkindle@netgalley.comを認証させてください。Kindleでの閲覧方法については、こちらをご覧ください。
2
Amazonアカウントに登録されているKindleのメールアドレスを、こちらにご入力ください。
刊行日 2024/10/10 | 掲載終了日 2024/11/20
ハッシュタグ:#禁忌の子 #NetGalleyJP
内容紹介
救急医・武田の元に搬送されてきた、一体の溺死体。その身元不明の遺体「キュウキュウ十二」は、なんと武田と瓜二つであった。彼はなぜ死んだのか、そして自身との関係は何なのか、武田は旧友で医師の城崎と共に調査を始める。しかし鍵を握る人物に会おうとした矢先、相手が密室内で死体となって発見されてしまう。自らのルーツを辿った先にある、思いもよらぬ真相とは――。過去と現在が交錯する、医療×本格ミステリ! 第三十四回鮎川哲也賞受賞作。
出版社からの備考・コメント
・多くのレビューをお待ちしておりますが、物語の核心をつくような、所謂「ネタバレ」はお控えください。
・ネタバレ行為はネットギャリーのみならず、読書メーター、ブクログ、Twitter 等の多くの方が目にする場でも同様にお控えいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
・本作は校了前の大切なゲラデータを著訳者よりご提供いただいた上で公開をしています。本作の刊行を楽しみにお待ちいただいている、多くの読者のためにも、ご理解、ご協力のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
・多くのリクエストをお待ちしておりますが、過去のフィードバック状況やレビュー内容からリクエストをお断りする場合がございます。予めご了承ください。
・いただいたコメントは帯やPOP、X等SNSでのご紹介など、弊社販促活動に使用する場合がございます。予めご了承ください。
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784488025694 |
本体価格 | ¥1,700 (JPY) |
ページ数 | 320 |
関連リンク
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
救命センターに運び込まれた溺死体は、当直医者武田と瓜二つだった。
希望をもたらす不妊治療。ただそれが不信や不幸をもたらすこともある。そんな武田達の心情を鋭く抉る重厚なミステリ。でも「禁忌の子」に罪はない。「We are born」であっても、赤子は祝福のもとに生まれる。
-----------------
不妊治療は悩む夫婦に光明を与える。ただ、それによって生まれた子ども達が、運命のいたずらに振り回され、不信に囚われ、不幸に突き落とされたら? その親達をも巻き込んで。
武田をはじめとする、自らは何の罪もない人々が渦中に巻き込まれていく様、さらに一歩先さえ見えない闇の中を進もうとしていく彼らの心情が、鋭く抉るように描かれていく様子が、読んでいてつらい。
そして、ラストで城崎によって様々なことが一気に繋がり、予想もしなかった事実と直面することになるとは。「禁忌の子」の意味がこの時になって明らかになるとは。
でも、「禁忌の子」には罪も何もない。だから、祝福される中、生まれてくる。そして、幸せに成長していくだろう。必ず。それが、全ての子ども本来のさだめ。それを歪めてしまうのは親。そしてこの子の両親は、それを一番よく知っているから、絶対に大丈夫。
また、このミステリは城崎の物語でもあった。情感に乏しく、分析的な視点から人を見る事しかできない彼だから、この事件を解決することができた。でも、人の持つ感情を知りたいがために、現実(彼曰く「リアルワールド」)で、相手との関係を損なったり危険な状況に陥るように、自分から仕向けていく様子は、まさに感情を知ることへの欲求に駆られるアレキシサイミアだった。そんな彼が「優しい人」と言われるのは、そのように思われるように分析して振る舞っているから。それは、中学時代に相手の感情を捉え損ねて悲劇を止められなかった自分に課した、生涯をかけて背負う贖罪の十字架なのだろう。でも、優しさとは分析と振りだけでは絶対にできないと信じる。彼の心の一番奥底の本質に、それがあるからだと信じる。
だからこそ、そんな城崎の、これからを知りたいと思う。
運び込まれた自分と瓜二つの溺死体に、薄気味悪さを覚える救急医の武田。旧友であり医師仲間でもある城崎を頼り調査を進めるも、更なる闇へと迷い込んでいく、禁断の本格医療ミステリ。
似てる、を超えた自分そのもののような人を見た時、人はどういう感情を抱くのか。ジワジワと変化していく武田の心理に共鳴して膨れ上がる不安。謎解きの前に、その切迫した緊張感にやられそうになった。冷静沈着な城崎という存在がまた、いいタイミングで空気を支配してくるのも面白い。
謎の死体、風変わりな城崎、これだけでもう前のめりになっている所に、複雑な人間のルーツまで絡み合ってくる。どこまでも壮大なテーマだが、一つ一つが無理なく繋がれていき、曖昧に広がりすぎない事で現実味を帯びる、まさに完璧なミステリ。
人間が求めていいものの上限はどこまでなのか?生きていく上でぶち当たる、あらゆる「ガチャ」を突き付けられたような、激しい衝撃を受けた。
第34回鮎川哲也賞受賞作。本格医療推理小説。救急医・武田のもとに自分と瓜二つの溺死体が搬送されてきた…序盤だけでワクワク。中盤辺りまでは予想内な感じでしたがその後怒涛の展開が。色んな意味で倫理観が問われる作品。一片の疑いも抱かせない愛を知っている武田ならきっと大丈夫。タイトルはそっちだったのか。
自分の出自を疑問に思う時、それはどんな時だろう。
救急医、武田が遭遇した、救急搬送されてきた溺死体は自分とうり二つだった。
それをきっかけに、周りは急に不穏な空気に包まれ、更なる事件が起こる。
少子化が叫ばれる昨今だが、
生涯かけて愛する存在が欲しいと思う親が、どんな不妊治療を受けても、その願いは叶わないと知った時、
進化する医療が差し伸べる手を、それがどんなものであっても掴みたいと思ってしまう。
「禁忌の子」になるかどうか、
それは、その家族、周りの視線によって決まってしまうのかもしれない。
それにしても、またクセのある探偵が誕生した。
読むほどに中毒性を帯びてきそうだ。
だって、城崎、武田コンビの続編が読みたいと思うから。
身元不明の遺体の謎を調べていくうちに浮かび上がる産婦人科クリニックの存在。しかし鍵を握っていると思われる人物に会おうとした矢先に、その相手が密室内で死体となって発見されてしまう展開で、自分のルーツを探ることにもなる真相の究明が、思わぬところに波及して繋がっていきましたけど、探偵役となる城崎も掴みどころのない少し変わったこだわりを見せるタイプで、何よりそのタイトルの意味を突きつけられる業の深い結末が、鮮烈な印象を残す物語になっていました。
最後の最後までとても面白かった。
最初の人物紹介の時点でなんとなくの展開は読めていたのですが、伏線回収の仕方も見事だったし読後感まで素晴らしかった。そしてタイトルの伏線回収されたのがまたゾクっとして本当によかった。素晴らしい!