街角ファンタジア

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刊行日 2024/10/31 | 掲載終了日 2025/01/06

ハッシュタグ:#街角ファンタジア #NetGalleyJP


内容紹介

世界は「優しい奇跡」に 満ちている――。


癒やしと幻想の名手が描く5つの物語。

本屋大賞ノミネート作家 最高傑作!


Story

失恋したての青年、亡き祖父を想う少女、行き詰まったイヤミス作家、不器用な本好きの少年、未来が不安な女性ライター……

昭和から令和まで時代を越え、街の片隅で暮らす人々のそれぞれの心の傷が、優しい魔法で癒やされていく。

全5話、珠玉の短編集!


担当編集者 激推し!

本作は、祈りだ。

誰かのための真摯な祈りが

荒涼とした現代社会に

そっと明かりを灯してくれる。

それはまさに美しい幻想曲(ファンタジア)!

実業之日本社・文芸出版部

篠原康子

profile 

著者/村山早紀

1963 年長崎県生まれ。学生時代から新人賞への投稿を続け、卒業後、デビュー。1991 年第 15 回毎日童話新人賞最優秀賞受賞。刊行された同作『ちいさいえりちゃん』にて、1994 年第 4 回椋鳩十賞児童文学賞を受賞。2017 年『桜風堂ものがたり』、2018 年『百貨の魔法』にて、本屋大賞にノミネート。児童文学「シェーラひめのぼうけん」シリーズなどから、「コンビニたそがれ堂」シリーズなど大人向けファンタジーまで、多くの作品を手がける。今年 2024 年は、初出版から 32 年目の年。

【著者Xアカウント】@nekoko24


世界は「優しい奇跡」に 満ちている――。


癒やしと幻想の名手が描く5つの物語。

本屋大賞ノミネート作家 最高傑作!


Story

失恋したての青年、亡き祖父を想う少女、行き詰まったイヤミス作家、不器用な本好きの少年、未来が不安な女性ライター……

昭和から令和まで時代を越え、街の片隅で暮らす人々のそれぞれの心の傷が、優しい魔法で癒やされていく。

全5話、珠玉の短編集!


担当編集者 激推し! ...


出版情報

発行形態 ハードカバー
ISBN 9784408538631
本体価格 ¥1,800 (JPY)
ページ数 296

閲覧オプション

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NetGalley会員レビュー

辛さにうつむき、周りも進む先も見えなくなる時に、街角からそっと訪れるささやかな優しい魔法。そして心の重荷をおろし、改めて進み始める彼ら。その傍らには、猫が。それは人に寄り添い奇跡を呼び寄せてくれる、久遠の存在。

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『星降る町で』
クリスマスイブに秘めし想いが破れた淳。彼が見つけた、チョークで描かれた絵と文字。猫と分け合うホールケーキ。まるで淳を慰めているような巡り合わせに、読みながら淳と共に心が癒される。
その巡り合わせがクリスマスの日にも続くとは。同じ寂しさを抱えた二人。チョークを拾った彼女と、猫を拾った淳。メガネ姿が変身前のスーパーマンに、その心根さえ彼と似た淳に舞い降りた奇跡。それはきっと必然。ノエルが呼んだ、街角に隠れてる魔法が起こした巡り合わせの奇跡

『時を駆けるチイコ』
千世子が千代子に力を貸す様を、息をひそめながら読んだ。それぞれの願いを叶えていく様に、言葉もなかった。過去は現在を運んでくる。ならば、現在が変わるために過去を変える魔法があってもいいじゃないか。街のみんなの幸せを心から願っていた『魔女っ子チイコ』は、きっとそんな魔法が使えたんだ。黒猫のチイコ「たち」が力を貸すことで。千世子と千代子が願うことで。

『閏年の橋』
優しい物語とは生きる世界が違うと決めつけてる、イヤミス作家になるべきしてなった爽花、だと思った。でも、典子の指摘にあれ?と首を傾げた。更に、白猫のたんぽぽの登場から始まる爽花の過去に唖然とするしかなかった。
そして、「魔法に会うため」の閏年の橋への旅。20年の年月をかけて、本当に書きたいものへの準備が整った今、〈2人〉と邂逅したのはきっと必然。この世界でも爽花は幸せになると、魔法が呼び寄せてくれた予兆。

『その夏の風と光』
老いた猫に見守られた、本が大好きな健太郎と幽霊の少年の邂逅。『ライオンと魔女』の話となったのは、偶然なんかではない。だから、幽霊の少年は森から解き放たれたのだろう。それは本がもつ魔法の力。ならば少年はなぜ消えなければならなかったのか。『銀河鉄道の夜』を思いながら。幽霊なのに泣きながら。
あの時の思い出を抱き続ける初老の健太郎に、『銀河鉄道の夜』の一節と共に訪れた、密やかな幸い。それは、大人になった彼がこの世界を幸せにする一助ができた証。それこそが、本の持つ魔法、と思った。それによって、幽霊の少年も「ほんとうの幸い」に出会えたのだから。

『一番星の双子』
零細ライターの美雪は白い猫を助け、子どもの頃を思い出す。美雪とそっくりの美月の事、一番星に祈った事を。子どもの頃のピュアな想いは、今を生きるためのささやかな支えになってくれるもの。
さらに夢の中で、それが大きな支えになっていくとは。あの時救えなかった、でも今回は救うことができた白猫の呼び寄せた奇跡なのかもしれない。また、名も知らぬ人々の優しさに触れ、心がほかほかしてきた。

読み終わり、街に出て見るあまたの星々。それは人々。その幸を願う猫はその脇に。その猫が招く優しい魔法は街角に。

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私達の日々の暮らしや日常を、優しさという角度から物語を紡いでいく村山早紀ワールド全開で、優しい奇跡が疲れた心を癒し、胸をうつ。
日常と非日常が美しく絡み合い、じっくりと世界観に浸れた。
物語の中を縦横無尽に登場する猫達が良いスパイスになっていて、神秘的な余韻も楽しめる。

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五つの物語が紡ぎ出す奇跡と魔法の心揺さぶられるお話でした。
それぞれの主人公が迎えたターニングポイントで、
その人を取り巻く人々との絆と繋がりが運命を大きく変えていく。
本当にホッとするようなお話ばかりで真摯に生きていれば、
きっといいことが待っているのだと信じられる物語でした。

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村山先生から短編5話の素敵なプレゼントをいただきました。
1話ごと綺麗にラッピングされた箱を開けるように、何が入っているのかと楽しみにしながら読ませていただきました。一箱開けるごとに心のなかに優しい光が灯るようでした。
人生には大きな分岐点だけでなく、小さな分岐点もあります。
もしもあの時、違う道を選んでいたら
もしもあの時、あんな行動をしなかったら
誰しもあの時の行動が正しかったのかと思い起こすことがあるでしょう。
でもそのもしもの道が正しかったかどうかは誰にも分かりません。
もしも違う道を選んでいたらの世界が描かれている優しい奇跡の物語でした。

そして村山先生の作品には欠かせない猫たちは、村山先生が紡ぐ今作でも登場人物たちの心に寄り添ってくれます。
村山先生は作品に素敵な魔法をかける魔法使いだと思っていましたが、サンタクロースでもあるのかもしれません。5話の物語を一箱ごと開けるたび一足早いクリスマスプレゼントをもらったような思いになりました。
読んだ人それぞれ心に残る物語があるでしょう。特に私が好きなのは「閏年の橋」です。

大人になった今でも我が家にはサンタクロースがやって来て、クリスマスにはプレゼントを置いていってくれます。
今年はこの本をサンタクロースに頼もうと思います。
素敵な物語を読ませていただきありがとうございました。

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暗い話題が多い世の中だからこそ、たくさんの人に届いてほしい物語。エピソードのどれかひとつを読むだけでも、優しい気持ちで心が満たされます。本や猫といった村山さんの作品ではおなじみのモチーフだけでなく、記憶の奥底に眠っている懐かしい気持ちを呼び覚ますエピソードが多いところも今作の大きな魅力だと思います。小さい頃に仲良くしていた友達、二度と会えない家族、思い出のお店など、今作を読むと読者にとっての大切な思い出にも再会できるかもしれません。5つの物語のすべてを読み終えたらきっと、身近にある小さな奇跡を信じてみたくなります。

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奇跡や魔法を信じている人は運命に導かれて巡り合う作品だと思いますが、それらを信じたいけれど信じきれない人や、「そんなものあるわけない」と思っている人にこそ、届いてほしい作品でもあります。
もちろん、全ての人の全ての願いが叶うなんて、それこそ夢のまた夢で、あり得ないことだと思います。だって、相反する願いがあるならどちらか片方の願いしか叶わないのだから。それでも、奇跡や魔法はあると信じていたら乗り越えられる悲しみや苦しみもあるのではないでしょうか。それが「逃げ」になってしまってはいけないのかもしれませんが、ずっと張り詰めていた糸が突然切れるように人生を終わらせたくなってしまったら、それを実行する前にこの作品を読んで勇気や元気を受け取ってほしいと思います。

5編の短編のそれぞれの主人公は、失恋したての青年・亡き祖父を想う少女・行き詰った女性イヤミス作家・不器用な本好きの少年・未来が不安な女性ライターです。自分とは性別や年齢・境遇が違っても、それぞれに感情移入したり、それぞれになり切って物語の中に入り込んで行けば、彼らや彼女らの体験した奇跡や魔法を追体験できます。
そうした結果、個人的に一番響いたのは行き詰った女性イヤミス作家・清花が主人公の「閏年の橋」です。自分が清花だったら・・・と思うと胸が張り裂けそうになって涙が止まりませんでした。それでも、ようやく全てを乗り越えた清花が辿り着いた答えを応援したいと思いました。

奇跡や魔法を信じるかどうかはこの物語を読んだあなた次第です。信じるもよし信じないもよし。それでも私は、ほんの少しでも心が癒されるよう、多くの読者が魔法にかかることを願っています。

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「星降る町で」うわああああ、大好きだああああ、この物語。猫も大好き、バターケーキも大好き、クリスマスも大好き。さきたん先生、最高です。優しい人には、奇跡が起こる、信じていたい言葉がここにある。とてもとても懐かしく幸せな気持ちになりました。
「時を駆けるチイコ」この物語も大好き!そうそう猫はね、時を駆けるのですよ。それは私も知っています。そして、今回は、あれもこうなって、人の運命はあの瞬間で変わるもので、そうそう、このような結末を待っていたのです。
「閏年の橋」人は誰もあったはずの未来を夢見る。もし、あの時、と思うとチイコさんの物語とは違うテイストの過去は果たして変えることができるのか、そして手に入らなかった未来はどこに。あるはずだった、若いころ少しも疑わずに老いた自分がいるはずだった場所を。それと同時に先細りする仕事というか作家というフリーな職業の不安とか大変さとかああそうなのかなとも読んでいて感じたのと、不仲の両親のもとで育つ人の心まで描くことができる村山先生の書き手としての目に驚きました。
「その夏の風と光」クリスチャンの私にとって、『ライオンと魔女』は今まで何度も読み返してきた一番好きなものがたり。アシュランは、神様なのです。そして、このお話を読んでいたら、書店員としてずっと働けたことをまるで村山先生に肯定されているような気がして、涙がでてきました。本が好きだということと、本屋さんで今までの人生の大半を過ごせたこと、何て幸せなことだったのだろうと思います。戦争の中、病気になり、家族と離れて孤独と闘いながら生きた少年にも、読書という生きがいがあった。本はいつも私たちの傍にいて、心の友となり人生の伴走者になってくれる。子供の頃に見た夏の風と光、忘れられない思い出とともにずっと健太郎の心に灯をともしていたのだなあと思います。
「一番星の双子」こんな友達一人いればいいなあ。そう不思議とどこかでつながっていて、必ず何度でも巡り合うもので、本当の親友というか相棒というのはこういうものではないかなと思いました。それに!猫をつい拾ってしまうというか、動物との出会いも運命ですね。大きなことはできなくても、ささやかなつながりを大切に生きていくのもいいなと思いながら読みました。鍋焼きうどんも大切。

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村山早紀さんらしい、作品。おはなしのどれにも、"ねこ"がワードになっている。ねこ好きならこのお話が、好きになること間違いないでしょう。どのおはなしも、最後は、よかったと落ち着くところに。ひとりで静かに読みのにピッタリ。

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心を揺さぶる優しい五つのファンタジアです。
どんな時でも、奇跡は必ず起こるのでしょう。
やっぱり猫は世界に必要だなとつくづく感じました。
主人公と一緒に悩み続け、そして勇気をもらってまた生きていく。人を幸せにする魔法の力が隠されているような気がします。
辛い時代こそこういうお話が人を感動させるのではないかと考えています。

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まさに「世界はやさしさに満ちている」というキャッチフレーズ通りの短編集。
登場人物や起こる出来事があまりにも優しくて、逆にびっくりしてしまうほど。
猫好きの人にはなおさら、読む楽しみが多いでしょう。

p.107「猫の足にはいささか大変かもよ?」には、少女が「いささか」って言うかな?「ちょっと」じゃないかな?と苦笑してしまいましたが・・・「いささか」厳しいでしょうか。

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猫つながりの神秘や奇跡が
心に沁みてあったまる。

これからの季節にピッタリの作品集です。

私も優しい人でありたい。
そう思わずにいられませんでした。

ストーリーの進展とともに増す
主人公たちの幸福感は
私の胸にもジーンと伝わってきました。

誰かの幸せを祈れる孤独な青年や
兄のために無理をおして奔走する妹など、
ひとつひとつのエピソードに
魅力いっぱいのキャラクターがいますね。

特に、誠実に、熱烈に、作家に寄り添う
編集者の仕事ぶりに惹かれましたよ。

自分自身に刻まれたデータベースから
ストーリーを引き出してくるような
作家の創作手法も興味深かった!

時代に翻弄され、想い半ばにして
たおれた少年の切なさには
胸をギュッと締め付けられました。

やはり平和を、ささやかな幸せを
大切ににしないといけない。

そんな意を強くしましたよ。

多彩なストーリーの一つ一つに
気づきや、前向きのタネが
散りばめられた一冊。

読者の胸を打つ現実や幻燈は
まさにファンタジック!

力の源が贅沢に詰まった五編は
私には最高の贈り物でした。

(対象年齢は12歳以上かな?)

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どの話にも猫が出てきて、村山ワールド全開でした。
特に『閏年の橋』と『一番星の双子』が好みでした。
悲しいニュースの多い昨今だけれど、だからこそ、暗い気持ちでいたらいけないんだろうなと思えました。
『その夏の風邪と光』も、古い家の裏にある森の色や匂いを感じられてよかったです。
どれもちょっと不思議で優しい話で、こんなことが現実にあったら素敵だと思いました。

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これは「とある街」の「とある不思議な体験」の短編集。

誰かのこうあって欲しいなと願う祈りが叶う
なんとも不思議な物語。

読み終わりに心が温かくなる話ばかり。
どの物語にも猫が寄り添い、魔法がかかる。

そんな不思議な世界へ。

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スポットライトは要らない。読後は、たとえ脚光を集めなくても地道にこつこつ歩む人生が愛おしくなる。奇跡が起きるに値しないと決めつけてしまいがちな、ありふれた人生がかけがえのないものに思えてくる。
 誰かの笑顔を喜び、自分や猫の幸運を感謝し、友や町の幸せを願う。喜びや感謝、願いは、またほかの誰かの手で紡がれて、ありふれた街角に小さな奇跡を呼ぶ。地味で不器用なひとたちを見守る作者の目はどこまでも優しい。
 宵闇のなか、街角に次々灯っていくあたたかな灯り。そんな昔懐かしい映画のような情景が、拝読しながら心に浮かぶ。
『街角ファンタジア』は、凍てついた心を照らし、ぬくめてくれるあたたかな光。夜道でも、きっと夜空の星のように、街灯のように、家々の窓からこぼれる光のように、行く先を照らしてくれる。もう闇のなかで道に迷い、心細さに泣くことはない。

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いつもそうだ、村山早紀先生の作品は、作品内でも描かれるように「大丈夫だよ、ここにいるよ」「あなたの優しさを、ぬくもりを私は知っているよ」と寄り添ってくれています。
人生には「どうして」「なんで」と、時には暴力的なほどに理不尽なこともあれば、気がつけば降り積もる雪のように寂しさや心細さが溜まってしまうこともある。「なんで私が、僕が、」ということも。だからこそ、奇跡、あったって良いんじゃない?不思議なこと、起きたって良いんじゃない?というより、我々が知らないだけで今現在進行形で何処かで起きてるかも?
そう考えるだけでも、口角が上がる気がしますね。

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ほんの少し立ち止まってしまった時、ゆっくり世界に目を向けてみると、奇跡のような優しさに溢れている。昭和から令和まで、時代や状況が違えども、真っ直ぐに生きる人々を照らす珠玉のファンタジー。

今まさに本気で追い詰められている、とはまではいかない漠然とした不安や孤独を抱えた人たちの5つの短編集。
このくらいの奇跡なら起きてもいいよね?という、あり得そうな展開だからこそとてもリアル。魔法なのか、奇跡なのか、思い込みなのか、たとえどれであっても、ちょっとしたキラキラのスパイスが人の心を一瞬で前向きにかえていく、希望しかない物語。
村山作品には欠かせない「猫」の存在もまた癒やしとなる。

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村山早紀さんの作品は久しぶりでした。

五編の猫🐈が出てくる短編集でしたが、個人的に一番好きだったのは最後の「一番星の双子」でした。
美雪と美月という誕生日が同じで小学生の頃に仲良しだった2人。あれから2人はその地を離れ今どうしてるかもわからない。そんなある日、美雪の元に人面瘡として現れた美月は夢か幻だったのかは??だけどきっと2人はまた仲良しだったあの頃を取り戻すんだろうなと心温まる1作でした。

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おそらく、5編に登場する”猫”の存在意義に歓びの声が集まるだろう。
おそらく、優しい奇跡のストーリーに賛が寄せられるだろう。
おそらく、思い果たせなかった、と悔恨のなかにかけがえのない幸せがあることに心震わせるだろう。

ならば、敢えて私は、”日”。
クリスマスの夜に失恋してしまった男の部屋は、狭くとも朝日が入る台所。
亡くなったおじいちゃんの古い小さなレストランには、
穏やかな二月の午後の日が、大きな窓から静かに射し込む。
ずっと昔、束の間、彼と暮らしたのは、日当たりだけは良い古い小さなアパートで、
あの頃の記憶のどれを辿っても、いつも光の中にいたようにまばゆくて、明るい。
奇跡を祈るしかない、どんずまりのときにも、いつもあったひかりとあかりの存在を
さりげなく、けれど忘れない光景として残している。
わたしちはいかなるときも日に包まれていて、日差しにあたためられ、背を押され歩みを進められた。

ー星 降る町でー繰り返し読んでいる。
本人の独白で語られる文体は、罰当たりかと思ってしまう事象をも
慌てふためいたり、誰かを攻撃したるり感情を荒げたりしない。
スクリーンでもうひとりの自分を見るような、敢えて距離を保っているように映す。
~古い眼鏡、とっておいてよかったな~
 その一行で人の本質を説く書き手をなんと評価すればいいのだろうか。

幸せになる、ってどういうことなんだろう
デコルテのマッサージの施しをうけながら、私は想っていた。

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幻想的なお話が集まった短編集。心に灯りがともるような優しいお話ばかりで、読んでいて温かい気持ちになった。
『そんなことあるわけないじゃん』と言い切れない、実際にありそうな奇跡に猫ちゃんたちが関わっているのも素敵でした。

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今年もクリスマスがやってくる。その時を待っていたかのように新刊が出る。著者恒例の行事。今、書店が時代の荒波にのまれるかのごとく閉店が続いている。これ以上は悪くならないだろうが長年にだ。この小説には著者の大好きなものがいっぱい詰まっている。小さなレストラン、本や漫画など、もちろんねこも。昔の人はよく運命ということばを呪文のように言った。もしあの時にやっていれば。後悔が幾度も蘇る。夢なのか?それが物語の中にあらわれる。昔も今も、そして未来も人生の分いっぱい一冊の本になった。幸せとは?喜びとは?願いを感じとりました。今年もクリスマスがやってくる。

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少しだけさみしくかなしい人たちが、小さな奇跡に出会って(少しだけ)しあわせになる、そんな短編集だった。ある意味予定調和で、でもそこも含めて物語の中だけは幸せでありたい皆が幸せであってほしい、そんな作者の願いが込められているなあと思う。この本の存在自体が登場人物のうちのひとりの幸せな未来を示しているようにも読めて良い。そしてとにかく猫が良い。どの猫も賢く優しい。クリスマスの贈り物に、誕生日の贈り物に、しあわせになってほしい大切な人に贈りたくなるような一冊だ。

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