耳に棲むもの
小川洋子
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刊行日 2024/10/08 | 掲載終了日 2024/09/19
ハッシュタグ:#耳に棲むもの #NetGalleyJP
内容紹介
//原作:小川洋子、監督:山村浩二による//
VRアニメから生まれた5編の物語
宝石箱に集められた宝物のように静かに光を放つ珠玉の作品集!
院長先生は父の骨壺から
四つの骨片を取り出すと、
飴の空き缶の中に入れた。
「これがお父さまのお声です」――。
♪---------------------
・骨壺のカルテット
・耳たぶに触れる
・今日は小鳥の日
・踊りましょうよ
・選鉱場とラッパ
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著者/小川洋子(おがわ・ようこ)
1962年、岡山市生まれ。早稲田大学文学部卒。1988年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞を受賞。‘91年「妊娠カレンダー」で芥川賞、2004年『博士の愛した数式』で読売文学賞、本屋大賞、同年『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花賞、’06年『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、’13年『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞、’20年『小箱』で野間文芸賞を受賞。’20年『密やかな結晶』の翻訳版「The Memory Police」が全米図書賞の翻訳部門最終候補となる。’07年フランス芸術文化勲章シュバリエ受章。著書に『完璧な病室』『薬指の標本』『アンネ・フランクの記憶』『猫を抱いて象と泳ぐ』『人質の朗読会』『最果てアーケード』『琥珀のまたたき』『不時着する流星たち』『掌に眠る舞台』などがある。
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おすすめコメント
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VRアニメーション『耳に棲むもの』
[ 原作:小川洋子 / 監督:山村浩二 ]
◆オタワ映画祭VR部門最優秀賞
◆アヌシー映画祭公式出品
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VRアニメーション『耳に棲むもの』
[ 原作:小川洋子 / 監督:山村浩二 ]
◆オタワ映画祭VR部門最優秀賞
◆アヌシー映画祭公式出品
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★★★
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★★
出版情報
ISBN | 9784065368329 |
本体価格 | ¥1,700 (JPY) |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
VRアニメ「耳に棲むもの」のために書き下ろされた作品。
小川洋子さんが、この映画の原作者。
作者が小川洋子さんというだけでこの作品をリクエストしてしまったので、初め、そのことを忘れていた。
だからこの本を読み終わった時、キラキラした石のような1つの作品があって、その作品がパキンと割られて断片になってしまった、その1つ1つを私たちに見せてくれているような、そんな印象を持った。
連作短編集とは違うけど、元は1つの<物>だった、そんな感じ。
私はアニメを見ていないので文章を読んだだけだけど、一見小さいもの、温かいものを慈しむ雰囲気がある中に、そこに浸りきれないような、よくよく考えるとこの状況を受け入れていいのかと思うような、お話たちだった。
静かに穏やかで、どこか幻想的で…そして少し身震いしていまうような作品集。
読みやすく丁寧な文章が、頭の中を鮮やかな情景でいっぱいにしてくれます。
「今日は小鳥の日」は、鮮やかに浮かび過ぎて怖いほどでした。しばらくは忘れられそうにありません…!
耳と音楽で繋がっているこの作品集は、VRのアニメで体験するとものすごいことになっていそうで、ちょっと気になります。
おろしろい作品をありがとうございました!
補聴器を売り歩くことを生業にしていた父が亡くなり、それを悼んで最後の挨拶にきてくれた先生。先生が懐かしむ父。娘が思いを馳せる父。あとに続くのは亡き父が歩んだ人生を垣間見るような不思議な物語たち。
登場人物たちの立ち振る舞いはとても静かでゆったりとしたものなのに、どこか色々な部分が過剰でざらりとした感触がまとわりつく。読んでいるとなぜか落ち着かない気持ちに度々襲われます。特に『今日は小鳥の日』は格別。
生と死の間を揺らめくような短編集。
幻想的な痛みを感じながらも、
繊細で美しい世界観から、最後まで目が離せませんでした。
そして、命が生まれ、尽きていく、
二重螺旋の生命の神秘に魅了されていくようでした。
目に見えないけれど、確かに生きている。
そんな、未知のベールに包まれながらも、
ノスタルジーを呼び起されるような作品集。
特に「今日は小鳥の日」が、
胸に鮮烈な衝撃が刻まれる余韻が残っています。
小川洋子さんが描く、文章と文章から滲みでてくる静かで美しくて幻想的な物語が大好きです。ゆっくりと夜の静寂に没頭できる時間。これは小川さんでしか作り出すことのできないで空間だと思います。だから私は小川洋子さんに畏怖の念もあるとともにとても大好きなのです。
本書は小川洋子さん原作、山村浩二監督によるVRアニメから生まれた5編の物語。補聴器という小さなものに圧倒的な存在感をあたえ、その妖しげで美しい形状は生命が与えられたかのように一つ一つが光を放ち私を取り巻く。この
小川洋子さんがだけが作り出せる世界に今日も私は捕われ続けています。
アニメ映画の原作ということですが、映像が目に浮かぶようでした。
小川さんらしい静謐な文章に、時折ドキッとさせられるような描写が混じり、幻想的な短篇集になっていると思います。
タイトルからして「耳に棲むもの」なので、感覚を研ぎ澄まして味わいたい作品です。
原作:小川洋子、監督:山村浩二のタッグによるVRアニメのために編まれた、美しく静謐な命を刻んだ5つの物語。
やはり小川洋子。どんなに慎重に一つ一つ言葉を手繰っていっても、気付くと想定外の道を歩かせられている。平坦な空間をも異世界へと変える、とんでもない世界観の持ち主。
「補聴器」という小さなものから、大きな世界の音を拾ったり、逆に塞いでみたり―――聴覚がすべてを凌駕していくような不思議な魅力と危うさを孕んだ作品。
「曲線」一つとっても、その溢れる感性で幻想的にしてしまう。いつまでもずっと良い意味での裏切りを与え続けてくれる小川洋子の新たな傑作。
小川洋子さんの描く物語は、唯一無二の世界観がある。
密やかで美しく、囁きを逃さなぬように耳を澄ます。
繊細な繭の中を覗いているような。
ゆっくりと壊さないように丁寧に文字を追う。
そして、また見たことのない世界へ誘われてしまった。
秘密の小箱をひとつ手に入れたような感覚でした。
耳の奥に心の声を響かせる4つの骨のよいなカルテットを宿し、更に不思議な音を鳴らすクッキーの空き缶を手にする、補聴器を売る男。その不思議で暖かな旅路。
特に、老いた彼と高齢者住宅のアルバイトの2人が、互いの境界さえ無くしてその音に合わせて躍る『踊りましょうよ』は必読。
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『骨壷のカルテット』
誰の耳にも、その中に棲んで心の声を発するものがいる。一見4つの骨に見えるもの、カルテットが。その声に耳を傾けられる者こそ、人を大事にできる人。何というイメージ。死せる彼なのに、骨壺を前にしているのに、静かに心に響いてくるのは、清らかなイメージ。
『耳たぶに触れる』
〝早泣き競争〟で本物の涙を流して優勝したのは、補聴器を売る男。そこに現れた縦笛演奏家が、こぼれる泪を音符にしていく、それを演奏していく。何という摩訶不思議さ。
そして最後に、〈男〉の耳たぶに触れた〈僕〉。2人で同じ音を聞き続けた証しの耳たぶの感触。この体験の実在の証として、〈僕〉はずっと忘れないだろう。
『今日は小鳥の日』
小鳥ブローチ。初代会長の〈小鳥の死を悼むブローチ〉と2代目会長の〈小鳥の遺骸に向き合うブローチ〉の違いがもたらした結果に、声も出せず読み続けるしかなかった。小鳥ブローチを創る人達の、自分の生や想いを自分なりに小鳥に託す様々な姿に、感銘から哀れみ、希望など様々な感情が湧き上がってきた。
その会合に招かれたのが、補聴器を売る男。今回の「小鳥ブローチの会」では、彼の補聴器とクッキーの缶によって、会員それぞれの想いが宙に解き放たれていく。
『踊りましょうよ』
客の耳の奥に棲むものたち、平安をもたらすものたちがこぼれ落ちないように、補聴器を売る男の指先は心のこもったもの。50年近くたっても、妻を亡くしても、かわることはない。そのことにほっとすると共に、一抹の寂しささえ感じた。
「神様は、直線をお作りになりません。自然も人間も、全部直接でできています」という彼の言葉が心に残り、それに続く〈最初の友だち〉の話がうらやましかった。更に彼の生き方が語られる。亡くなっていく人たちの物から、一つだけをクッキーの缶に入れていく。その人がいたことを音として残していく旅路。
そうして男は、まるで恋人同士のような会話の果てに、2人は耳を合わせ、一体となり、カルテットの響きの中でドウケツエビのように踊る。そこまでの様子に涙ぐみ、そこに至った時は涙が止まらなかった。
『選鉱場とラッパ』
鉱山の選鉱場の社宅で暮らす少年は、輪投げの景品のラッパが欲しかった。ほら貝を吹いて、その魅力に取り憑かれたから。でもラッパを手に入れても、決して吹くことはなかった。真っ直ぐな彼の性格の現れだった。
だから、この選鉱場がなくなるので引っ越していく前日の真夜中、少年は選鉱場に登り、天の星と地の鉱石の狭間に立つ。そこで少年が取り出したのは、五線紙のノートを引きちぎったもの。それを読んだ時、ハッとした。少年がこれから歩む道を。彼は願いを叶えるはず。
だから、どんなに寂しくても、今ここで行うことが全ての始まりになるから。感慨深い思いにつつまれながら、彼を応援した。
小川洋子節、と私が感じる静謐さがこの作品にも満ちていた。
「音」にまつわる話だけれども静かさがあるのは、
「耳を傾ける」という姿勢あってのことなのかもしれない。
小川洋子さんの作品ではもっと好きな作品もあるので、
大満足とまではいかないけれど小川さんの世界観は十分に味わえ、
ちょっとだけ日常から離れた心静かな時間を持てる作品。
会心の出来の小鳥のブローチが見てみたくなります。
偏った読書をしてきた為、小川作品を読むのはこれが初めてだったのだが、読み始めてすぐに今まで読んでこなかった事を後悔した。気を衒わない平易な言葉を用いて表現されていく世界は実にすんなりと体に浸透していく。このまま過去作を思う存分読み漁りたいと思わせてくれる作品です
静けさと哀しみを帯びた小川さんの文章が好きだ。しんとした水の中にいるような気がする。「骨壷カルテット」にある『心に浮かんだ言葉は耳に棲むものたちによってこそ言葉になるのです』という院長先生の言葉が心に残る。その耳に棲むもの、はどんな姿をしていてどんな風に言葉に変えてくれるのだろうか。思いが深く広がる、その時間がなんとも心地よい。
「骨壺のカルテット」「耳たぶに触れる」「今日は小鳥の日」「踊りましょうよ」「選鉱場とラッパ」
“私の最初の友だちは……耳の中に棲んでいました”
補聴器のセールスマンに絡む5つの連作・・最後の話「選鉱場とラッパ」には登場しなかったが、この少年が後のセールスマン?
独特の世界観。
死んでしまった小鳥を1/3サイズにして小鳥のブローチを作る“会長”の話「今日は小鳥の日」は気味悪いけどクセになりそうな味わい。
結局、手に入れたラッパを吹くことができなかった少年の話は奥が深そう。
ここではないどこか、遠くの見知らぬ場所にこの町はあるのかもしれない、そんなノスタルジーにも似た空気を胸いっぱいに吸い込んでそっと息をつくような静謐な作品でした。
誰かにとっては目にも留めないようなモノが誰かにとっては唯一無二の大事なモノになり得るというのは、いじらしくもどこか恐ろしさも秘めているようです。
「今日は小鳥の日」の会長の姿をかりるのであれば「小さな死を一つ、自分の胸で休ませ」たまま過去へとその痕跡をたどる連作短篇のようで、すべてはひとつの物語であった気もします。
VRアニメもぜひ観てみたいです。
表紙も含めて大好きとしか言えない語彙力のなさよ、、と悲しくなってしまうくらいに好きです。
小川洋子さんの「原稿零枚日記」「ことり」が好きな方は、ぜひとも手元に置いて、ずっとずっと読み返して欲しい本だと思います。
静かに流れるような文体にほっとする。耳というテーマだからか、なんだかひっそりと穏やかな時間が流れている感じがする。少し不思議で、今まで注目したことがなかったようなお話。アニメーションから生まれたとのことでそちらも見てみたい。
補聴器のセールスマンを生業としていた
亡き父の歩んできた日々を垣間見るかのような
5つのお話から成る作品
小川洋子さんらしい、
静謐さと冷たさを感じさせる美しさと不穏さ、
そして時おり顔をのぞかせるグロテスクさに
惹きつけられ、
一文一文じっくりと味わうように読みました
今日は小鳥の日、踊りましょうよ の
2篇が特に好みでした
(今日は小鳥の日 はなかなかに衝撃的なので
苦手な方もいらっしゃるかも)
VRアニメでどんな風に描かれるのか
とても興味があります
フォントの感じや文章から、小川洋子さんだなというのを感じた。
小川洋子さんにしかできない世界だなあと読みながら思った。
特に私は小鳥のブローチの話が心に残った。
読み終わったあと、YouTubeでVRアニメも見てみました。
私がイメージした感じとは違っていたけれどとても良かった。