タブー・トラック
羽田圭介
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刊行日 2024/08/20 | 掲載終了日 2024/08/22
ハッシュタグ:#タブートラック #NetGalleyJP
内容紹介
世間のルールや価値観に、
生まれながらのスペックに、
DNAやホルモンに制限される人生を、
思考停止で受け入れちゃいないか?
時代や場所が変われば変容するもの、アンコントロールな要素に左右される日常で、私たちは何を疑い、何を信じればいい――?
芥川賞作家・羽田圭介が突き付ける問い。
「その人生、自分の力で変えられますか?」
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[タブートラック]--- 改造車。世間の目を気にせず、禁忌を犯せるプライベートスペース。
世間が抱くクリーンなイメージを維持するために、押しつぶされそうになる俳優。
過去の失敗から、自らをコントロールすることに腐心する脚本家。
不祥事を起こした著名人をSNSで弾劾し、恵まれない人生の憂さ晴らしをする会社員。
親に黙って整形し、歌とビジュアルを武器に動画配信で荒稼ぎする女子高生。
タブーに縛られ、タブーに魅せられた人生が交錯する先に現れたのは、「理想」の世界か、それとも――?
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著者/羽田圭介(はだ・けいすけ)
1985年東京都生まれ。高校在学中の2003年に「黒冷水」で第40回文藝賞を受賞。明治大学商学部商学科卒。2015年に『スクラップ・アンド・ビルド』で第153回芥川賞を受賞。その他の著書に『不思議の国の男子』『走ル』『「ワタクシハ」』『盗まれた顔』『メタモルフォシス』『コンテクスト・オブ・ザ・デッド』『成功者K』『ポルシェ太郎』『Phantom』『滅私』などがある。
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おすすめコメント
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『Phantom』(文藝春秋)で「FIREムーブメントを」、
『滅私』(新潮社)で「ミニマリスト」を描いた
著者が今回選んだテーマは、「タブーと忖度」!
鬼才・羽田圭介が、規制と忖度蔓延る現代に放つ、衝撃の問題作!
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『Phantom』(文藝春秋)で「FIREムーブメントを」、
『滅私』(新潮社)で「ミニマリスト」を描いた
著者が今回選んだテーマは、「タブーと忖度」!
鬼才・羽田圭介が、規制と忖度蔓延る現代に放つ、衝撃の問題作!
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出版情報
ISBN | 9784065363584 |
本体価格 | ¥2,300 (JPY) |
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普段抑圧されている人間が素の自分をさらけ出せる唯一の空間、改造車タブートラック。
自分を保つ為に、踏み外さない様に、多くの人が己のタブートラック的存在を隠し持っているのはず。高揚した気持ちで読んだ。
現代社会の切り取り方が抜群で、タブーや忖度で息詰まる世の中に疲弊しながらも鼓舞して生きて行こうとする登場人物達に共鳴し、頷ける。
心の揺れ方の過程や、ちょっとした変化がリアルに描かれていて、「あれ?こういう人知ってる」と、登場人物達を身近に感じた。
「大事なのは、今を生き延びるためにはなにに従い、なにを守るのかということだ。すべてのルールは、人々がまともに生きられるようにするために、あるべきなのだから」
普段抑圧されている人間が外ではできないようなことをやることをタブートラックと呼んでいた俳優の橘。
脚本家の井刈、かつての神童で平凡なサラリーマンやその娘の七海。
道徳やルールにがんじがらめな極端な社会の先に待つものとは。
現代の日本社会を濃縮したような芸能界。
不用意なことをメディアで口走ったり、SNSで発信したら、一般人でも叩かれる。
それがイメージを大切にする芸能人であれば尚更で、すぐに契約解除、表舞台から消し去られる。
閉塞感でいっぱいの現在の日々の中で、もがく登場人物たちが、とても現実味があった。
どうやって圧迫される気持ちを律するのか。
登場人物たちによって、その方法も考え方も違っていて、興味深かった。
最後の100ページは10年後くらいに飛んでいて、2030年くらいの近未来の話になっていた。
登場人物たちのその後が知れたのはよかったが、少し荒唐無稽なような気がしないでもなかったが、こういうことも起こり得るかもしれない、と思いながら読んだ。
至るところで気遣いと不条理に精神を病んでしまう現代。己が不在だ。ならばと人間回帰の為にタブートラックに潜り込む。トラックの中に禁忌はない。このシチュエーションって「箱男」ではないかと最初に感じた。ところが何人もの登場人物のエピソードを読んでるうちにどこに帰結するのかさっぱり分からなくなる。メンタルな話かと思っていたら最後はとんでもないところへ。状況によって価値観が変わっていく様を非平時の日本で。
クリーンなイメージを損なわないよう気を配って生活する俳優の橘響梧、
ストイックな生活で心身を整えながら仕事をする脚本家で監督の井刈蒔、
英会話教室社員の中松優一と動画配信で収入を得ている高校生の娘の七海。
4人を軸にした400ページ超の長編。
全体を通して不穏で不安定な足場に立っている感じ。
特に残り1/4の十数年後の北海道には驚きもしたし、関心がなくはないが、安全な場所からの傍観者であることが恥ずかしくなりもした。
今、このことを書き記しておきたいという羽田圭介さんの作家としての気概を感じた。
時代が、社会が、この作品を書かせた!
480ページ超えの読み応えある作品だ。
「タブー・トラック」とは世間の目を気にせず禁忌を犯せるプライベートスペースのこと。
4人の人物を中心に物語は展開される。
強いものに巻かれる人、憂さ晴らしのためにSNSに書き込む人、友達さえも利用しようとする人。すごく今っぽいなという展開であると同時に、自分もこういうところあるなと思うところもある。
さらにラスト100ページにきてまさかの展開。
毎日ニュースを見ていてもどこか現実感がなくて火の粉が自分には降りかからないと思っていたんだと思い知らされた。もしもの未来の話だけれど、他人事として捉えるのではなく自分の目で見て、自分の頭で考え行動していくことを忘れてはいけない。
様々な立場の人目線で描かれる群像劇ではあるがテーマであるタブー・モラルなどに関しては他人事ではなかった。誰の身にも起こり得ることで埋め尽くされている感じを受けた。それはメインの人物だけではなく、周りの人物たちも含めて。読んだだけで思考停止するのは勿体無い。一つ一つ読んだ人同士で語り合いたいと思わせる。
この群像劇がどこに行き着くのか、とても気になる。発売が楽しみだ。
様々な人の心の闇が描かれていて、タブーなことでも共感している自分がいました。
合法でも違法でも、人は自分の価値観で判断していく…、多かれ少なかれ人は抑圧した状況で生きていて、どこかで発散させたりそこから抜け出そうともがいている…。
結局「世間の状況」によって、正しいとか悪いとか評価が変わる…と言う世界でもあります。
後半の話もリアルに感じ、ヒヤリとすると言うか胸にググッと迫りました。
現代のもやもやしたストレスが爆発したよう。
なかなかヘビーな読み応え。
俳優と脚本家、会社員とライバーの女子高生。
華やかな世界のようで、現代のタブーに対する
矛盾を細かく指摘し、登場人物たちの
イライラが読者にも伝染する。
確かに…、と納得させられる部分も多く
こんな世の中の未来はああなっちゃう…?
と怖くもあった。
俳優・響悟の隠れ家「タブー・トラック」
格好いいようで格好悪い。
それすら現代を表しているようで皮肉だった。
七海の父親は、同世代なだけにやってることが
情けなくて。それでも、一番リアルだった。
もしかしたら自分も、意識せず、こんなだったり。
書店のカバーのくだりは笑ってしまった。
これは羽田さんご自身が感じているストレスかな。
北海道出身なので、複雑な気分にもなった。
未来を変えるには、どう行動したらいい?
答えられる人なんて、どこにもいない。
明言されたものから暗黙のものまで、規則に雁字搦めにされた現代を生き抜くため、なんでもありの改造車「タブー・トラック」で心を整える。フラストレーションを抱えた4人を軸に展開される長編群像劇。
かつてのタブーがタブーじゃなくなり、タブーじゃなかったものがタブーになり、変わらずにずっとタブーなものもあり―――複雑な社会から振り落とされないように、人や己を攻撃する。
激しい内容の割に淡々と流れていくような描写が、もの凄く的確に「現今」を魅せている気がして恐ろしくなった。現実の事柄が入る事でよりリアリティが生まれ、身につまされる思いで最後までページを繰った。
息が詰まる世界を体現させてくれるアグレッシブな物語。
前半は役者やライター、脚本家、アナウンサーなど、いわゆるおおざっぱに括ると芸能界の裏側が舞台。ドラマにオーディションで出演する高校生ユーチューバーとその家族や友人などが、交互にその心証まで丁寧に描かれている。無差別殺人、ドラッグ、不倫など、足元をちょっとした事件で危うくされてしまう危うさ。役者がタブートラックという、キャンピングカーを購入して、自分好みにカスタマイズして、そこでしか素の自分になれず、そこに親しい仲間と集い、つかの間の自由を味わったりしている。誰もが世間の目を気にしつつ、悩みを抱えて生きている。カウンセリングを受けたり、美容整形を受けたり。自由なはずなのに、自分が自分ではないような不自由さのなかで、手探りしながら生きている。
後半は、それから時代を経て、日常生活を脅かされるような大事件の後の日本が舞台。前半とは比較にならない悲惨なサバイバルな非日常に、前半の人びとが一人また一人と登場してくる。登場はしなくても、話の中で出てきて、あぁ、あの人はこういう変化を遂げたのかとちょっとホッとしたり。どう考えても前半の方が平和で自由なはずなのに、何故か後半の過酷な世界で生き生きと動いている人たち。前半の悩みと違った、後半の戦時下と言えるような日々を生き抜こうとする人間のたくましさと残酷さ。色々に考えさせられた小説だった。
タイトルの『タブートラック』とは世間の目を気にせず禁忌を犯せるプライベートスペースのこと。
大長編となっている本作は序盤は複数人の登場人物がタブーについてエピソードを織り成す。
ラスト100P は時代が十数年後の未来へと移り変わる。登場人物は同じ世界線で動かしているが、まるでもう1つの作品を合作したかのような感覚で話が進む。
序盤が壮大な振りなのか!?ラストまで辿り着ける読者がいるのか!?いささか不安ではあるが上記を踏まえて本作に挑めば作家の問いに何か感じるものがあるのではなかろうか...
私も近年常々「タブー」とか「コンプライアンス」について考えることも多いし友人との会話で出てくることも多い。
「タブー」がありすぎてそんなに前に押し出されてしまうと生きづらいと感じてしまうこともある。
最近では「失礼クリエイター」などと揶揄されるマナー講師の存在もあり、どんどん「タブー」は増えていく。そんな中生きる色々な世代の人の考えや思いは読んでいてなるほどと思った。
そして後編というか、最後、10年後くらいかな、世界というか日本は急変している展開へ。
ロシア兵が北海道に侵攻した後の時代ということで、ええ!いきなり何なの!と思った。このまま行くと世界はこういうふうになってしまうのだろうかと恐ろしく感じた。
とある芸能人が人目を気にせず自由でいられる空間をキャンピングカーの中に作った。(タブートラック)
その中では外の世界ではタブーとされていることもよしとされる。
タブーがあるから破らないようなルールがあったり、もしそれが合法だったとしても人から見えないよう隠して生活することも、時代が進むにつれパワハラやセクハラとなる事柄が変わってきたり、若気の至りというものでは通用しないことが出てきたり。人からよく見えるように生活するのも難しい。
どうやったって誰かの何かに刺さってしまうし全ての人に受け入れてもらえることもない。
誰に見られようとして誰の目を掻い潜るのか。読んでいて訳が分からなくなった。物語の中で感じた自分が謎だと思ったことがそれぞれの登場人物の立場で文章化されていて、でもだからなんなんだ、とまたスタート地点に戻ってきてしまう。
三人称小説と言うのでしょうか、客観的でなんだか人ごとのように感じるけれど、登場人物の心理の機微や状況に焦ったりヒヤヒヤしたり
そうかと思うとなんだったんだろう、と虚無感のようなものを感じたり不思議な感覚の読書だった。
散らばっているように見えた登場人物が線で繋がっていくところが面白かったです。
「千葉ハリウッド計画」は現実でもあり得そうだと思ったし、読んでいるものが現実でこちらが幻想なのかと思わず混乱してしまいました。