春のほとりで
君嶋彼方
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刊行日 2024/08/19 | 掲載終了日 2024/08/19
ハッシュタグ:#春のほとりで #NetGalleyJP
内容紹介
// デビュー作『君の顔では泣けない』の
映画化が決定した、著者の短編集!//
声を殺して泣いた日も、無理して笑ったあの日も。
大人になれば忘れてしまう、全力でもがいたあの日の痛みを、
君嶋彼方は掬いとる。
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「今日のこと、絶対に忘れない」
教室の片隅で過ごす高校生たちの、
青とも春とも限らない日々を描いた連作短編集。
▪走れ茜色
俺と同じ人を好きな君。だからこの噓は、絶対に隠し通す
▪樫と黄金桃
小学生時代の忘れたい過去。あの子だけがそれを知っている
▪灰が灰に
屋上で出会った不良。ある日、彼に屋上に呼び出され――
▪レッドシンドローム
偶然見つけてしまった親友の裏アカ。一体どうしてこんなこと
▪真白のまぼろし
初めて漫画を描いていると話せた友達。一緒に描こうと決めたのに
▪青とは限らない
唯一心を許せる男友達。男女の友情って成立しないの?
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著者/君嶋彼方(きみじま・かなた)
1989年生まれ。東京都出身。2021年「水平線は回転する」で第12回小説野性時代新人賞を受賞し、同作を改題した『君の顔では泣けない』でデビュー。他の著書に『夜がうたた寝してる間に』。
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★★★
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★★
出版情報
ISBN | 9784065363010 |
本体価格 | ¥1,800 (JPY) |
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誰もがきらっきらな青春をおくっていくわけではない。でもそれで良くて、自分だけの思い出の色になる。特に茜色というのはすごく刺さりました。
自分もその色の中にいたことがあるので。
学生時代の狭い社会の中での人間関係や、やり場のない感情など、ひとつひとつのお話の中で炸裂していました。そして自分の学生時代を思い出しては、胸がきゅっとなったり、、、。
そしてとにかく心にささる感情ばかりで、文章と気持ちの綺麗さが好きです。
「ただ静かに遠くから眺めて、一緒に歩けるだけで、それでいい。この欲望をひっそりと抱えたまま死んでいきたい。」ここなんて、好きすぎてぶっ倒れそうでした。
一冊の中で過去と現在が行き来していましたが、時代が変わっても教室の中は変わらないんだなぁと、しみじみ思いました。
胸がちくりと痛むような、それでも眩しい作品。素敵な作品をありがとうございました!
読み終わって、タイトルの意味がじんわりと胸にしみました。でも、その当事者であった頃は、自分が青春のど真ん中にいるとは思ってもいなかったけど、時が経って振り返ると、あの頃がそうだったと思える。だから、この作品の構成もとてもいいと思いました。何かあると思いながらも気がつけなかった仕掛けに驚かされ、ページを戻りながらそうか、そうかと納得し、自分の青春は何色だっただろうと思い返しました。
私は青春小説と呼ばれるものが好きだ。
自分が送った青春とはまったく違う。だけど、違うからこそ、描かれる中学生や高校生たちの心の動きに共感し、ときめき、感動するのかもしれない。
「春のほとりで」も高校生たちの学校生活が描かれた短編集だが、どの青春も苦い。
脱出しづらい閉鎖された空間や人間関係。
劣等感な苛立ち、輪の中に入れない疎外感や恐怖。
描かれているエピソードと同じ経験はしたことはない。出てくる誰とも私は違う。
だけど、時々ふっと思い出しては、「ギャーッ」と叫びたくなるようなあの頃の自分の感情や言動が、ガンガンに呼び起こされて、読んでいて痛かったですが、今青春の真っ只中でもがいている人には救われる部分が多くあるんじゃないかなと思いました。
読み終わった時に、もう1度読み返したくなるような構成でした。
青春ど真ん中にいることさえ分からず過ごすこの時代を様々な切り口で綴られていて胸アツでした。
裏アカの話がなければ中学校図書館にも入れたい。
あの頃感じた漠然とした不安や、まだ未来があると思って抱いていた夢や希望、同級生に対する嫉妬や憧れ、すべてがここに描かれている。
青春というものとは全く縁がなかった学生時代だったので、姫ちゃん先生の青春は『茜色』の言葉が心に残った。
君嶋さんの連作短編集。どこにでも転がっていそうな、でもそれぞれに痛切なお話。
よくぞこんなふうに書けるなぁと感服しました。
ものがたりとしては、風呂敷をひろげて畳まないままのように感じられた作品もありましたが、敢えてそうしたのかもしれません。
ラストの書き下ろしの1編には、読後感を良くしようという優しい気持ちを感じました。
そう、人生は長くて、春の後には夏、秋、冬も待っているのです。
若いからってそれが一律に眩しいわけでも無条件に輝きを放っているわけでもない、どこか泥臭く、割り切れないもやもやした気持ちを持て余してもがいていた等身大の惑いと愉快さが詰まってて、しかも、後半へ行けば行く程に『あれ?この人って…』と繋がりがチラリと見え隠れして最終章では色々と腑に落ちたり、単純なままでいられない人と人との関係性にうっすら切なさというか淋しさを感じたりしました。
決して楽しいだけじゃなかった筈なのに、時の経過が色々とろ過してしまって手元に残っているのは手放しがたい未熟だった頃の、今の自分の素。それを青春と呼ぶこともある…、と少し離れたところからドラマを見ているような感覚でした。
非常に好きな話がミチミチに詰まっている。
思春期特有の負の感情を抱えながら生きていても誰しも譲れないものや大切なものを持っているし、ふとした出会いや出来事で人生がガラッと変わることがあって。君嶋さんの登場人物の描き方がお見事で短編によって同じ登場人物でも見え方が全然違うことにハッとさせられながら読んだ。
ラストの文化祭のシーンは特にやられたーと思った。
「青とは限らない」が特に好きで、男女間の友情は成り立つのか問題を軽やかに超えてくる作品だったことに感動した。自分が中学生の時に似たようなことを陰で言われていたこともあり、あの頃の自分に差し出したい作品だった。
今のところ今年一おすすめしたい作品です!!
学校生活に嫌気が差していたり、学校に良い思い出がない人ほど読んでもらいたい。
ある高校での生き生きとした、初々しい、生々しい生徒達の様子を、魅惑的なタイトルと共に綴った短編集。
そして、さりげなく描かれる素晴らしいグランドフィナーレ。その素晴らしさを味わうためにも、彼ら1人1人に寄り添って読んでほしい。
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ある高校での生達達の様々な人間模様。それが不思議で魅惑的なタイトルに乗って、綴られていく。
『走れ茜色』
佐倉の秋津に対して抱く様々な心情が、ひしひしと伝わってきた。自分の想いと遠くから見るだけの辛さ。全てを知りたい欲求と、独占欲からの嫉妬を押し隠す辛さ。
更に衝撃的だったのは、佐倉が進藤に隠してやっていた事。そこまで独占したかったのか。程のいい身代わりになってまでも。
でも、最後は佐倉と進藤は茜色に向かって共に走る。秋津を置いて。その先にも道が続いていることを、切に願った。
そしてそれは…………
『樫と黄金桃』
食べ物に対して「残すべきではない」と言う謙虚な意識を持つ和香。その一方でスタイル維持に気をつかうが、SNSはしない。その理由を知った時、他人を基準にせざるをえなかった和香に対して複雑な心境になった。
雀子との再会から、演劇の配役、雀子との破局と続く。その末の絶望感。
そして、次の日に起きた事。それが本当のコミュニケーション。和香が初めてできた、相手の心情を汲み取ったうえでの、自己の意思による決断。ぴりっとした痛みは、きっと過去の自分との「さよなら」のしるし。
『灰が灰に』
小村が月斗を呼びつける本当の理由、それを知った時、小林の行動や月斗とのチグハグなやり取りがピタっとはまった。ぎこちない事しかできてこなかった2人のこれからを祝福するように、巣立った燕が、不器用でも必死に羽ばたいて空へと向かう。
小林の短い言葉が、一緒に吐き出された灰色の煙とともに、空にのぼっていく。月斗がむせて吐き出した灰色の煙も、空にのぼっていく。曇り空の灰色の空へと。そこで2人の気持ちは合わさる。だから、「灰は灰に」交ざっていくものなのか。
『レッドシンドローム』
何事でもその中心、主役であろうとする脅迫観念が「レッドシンドローム」。それに囚われつづけた赤彦。しかしそのパフォーマンスが、見え見えの茶番とバレていたのがわかった時の、あまりにも大きなショック。
それだけに、今まで無視同然だったマルオからのコメントか嬉しく、でもそれだけに自分の惨めさを実感したのだろう。
でも赤彦は名前の通りに生きるしかないのか。初めて感じた悔しさと卑屈さをひたすら隠し、今ではずっと小さくなってしまった彼の世界の、その中心を占め続けるために。
でも、その世界の大きさが、最初から赤彦の心に相応しかったのだろう。それに自分では気づかない、いや気づくことを拒否してきたのだから。
『真白のまぼろし』
ストーリーの雛と画力の遠野。この完璧なコンビを呆気なく崩す、雛の受賞。なんと言うタイミング。怒って然るべき遠野の対応を、雛はこれから背負い続けるのだろう。そして、その自己嫌悪と空虚感を「真白い紙」にぶつけて行く。それは、今まで貫き通してきた雛の強さの、さらに辛い延長。そしてその後悔は、「真白の紙に2人で描いて言ったであろうまぼろし」となって、ずっと残っていくのだろうか。
残された遠野は…………
『青とは限らない』
ひたすら脇役を望みつづける鹿島。気が良いが押しに弱い三宅。そんな2人が一緒にいれば、恋人だと皆が短絡する。目立たなかった2人だけに噂が長引く。
その為に三宅と一緒にいる時間を奪われた鹿島にとって、文化祭に向けての三宅のお願いは嘔吐感を感じるほどだったろう。でも、三宅は守った、鹿島を。
青春はアオハルとは限らない。青なんて無いかもしれない。そこに、さりげなく『茜色』と言う言葉が出てきたことに息を飲んだ。そう、全てが繋がっていく。登場人物達の過去と未来が、この瞬間に。
だからこそ、鹿島には信じていて欲しい。10年後の奇跡を。
青くもなく春でもない。
でもそれもきっと振り返れば青春と呼ぶのかもしれないと思う。
痛々しくて見てられないこともたくさんあるけど、大丈夫だから、若者よ今は走れ!
そしてとうに時代を過ぎ去った後方訳知り顔の大人も、あの時走れなかったならまだ間に合う、走れ!
茜色のラスト、泣きたくなるけど爽快だった。
赤から灰色まで、教室の片隅から時をこえても届く青春を眩しい気持ちで眺めていた。
青春って一体なんだったんだろうと思います。
どの場面を切り取ろうとしても青春になってしまう。
でもそうだとわかるのは卒業して一つ段階が上がった時で
テレビドラマとか映画とかみたいに「アオハルしてる!」なんて言うのはなかなか感じられないものなんですよね。
あの時は楽しかったって思えるだけで青春かもなんて本作を読んで思いました。一つ一つの短編にどこか懐かしさがあるからでしょう。
ひりひりした。
自分の青春ではないのに、わかってしまうのだ。
こんなお調子者だったこともないし、
しっかりものでもなかった。
でも、あのころの不安定でゆれていて、居場所がなくて、
必死で平気なふりしている自分が、
この子の中にもあの子の中にもいるのがわかって苦しかった。
くぐりぬけてきた時間の重さを感じる作品だった。
デビュー作『君の顔では泣けない』が強烈だった君嶋さん、
やはり独特な世界観だけれども、今回は短編集だったからか、
1話ずつは割とあっさり終わってしまう印象も覚えたが、
最終話で「そういうことか!」とまとめてくるあたりはさすが。
自分の高校時代を「青春とは呼べない」と主張することもまた、
その時代を過ぎ去った世代からすると「青い春だな」とも思うし、
渦中の人は「ほんそれ」という心情になるのではと思う。
青くなくても、春でなくても、やっぱり特別な時間ではあることが、
いろんな色で描かれた連作短編集。
同じ人を好きなあの子にひた隠しにしていた嘘、小学校時代の忘れたい過去を知っているあの子、屋上でいつも会う不器用な不良、偶然見つけてしまった親友の裏アカ、初めて漫画を描いていると話せた友達、唯一心を許せる男友達と男女の友情。それぞれに密かに抱えている嫉妬や苦手意識、劣等感、あるいは共感するからこそ言えない複雑な想いがあって、こうするしかなかった結末にはほろ苦さもありましたけど、だからこそ意外なところから明らかになる時が経過してもなんだかんだで続いていたかけがえのない絆には救われる思いでした。
高校生たちのさまざまな思いが溢れ出て来る小説。私にもそんな時代があったなあ、と懐かしく読みました。その時は誰もがそこで精一杯生きている。そして時が過ぎ、そんなこともあったね、とふと笑みがこぼれる。初読みの作家さん、他の作品も読んでみたいです。
うまくいかない日々、やり過ごすことに全力を注ぐ日々、もがきながら傷つき傷つける日々。まだ何者でもない高校生達の不器用な日々が切り取られていた。この二人はその後どうなっていくだろう…と思いを馳せていたら、最終話でパタパタと繋がる様が見事だった。小村くんと長ちゃんをチラ見せしてくれて嬉しい。鹿島&三宅ペアも、仲良しでいてほしいな。
若いから「春」をイメージし、青年からとった「青」。だから青春と言われるごくわずかな期間。 10代のあの頃、容姿や自分の過去があり、誰かと比べてマウントを取る。そして負けたと思ったり狡い自分に自己嫌悪を抱く。必ずキラキラしているとは限らないそれぞれの日々を、大人になって違う角度から見ると「懐かしい」「そんな時もあった」と思えるまでを、君嶋彼方が掬いとった連作短編集だった。青くなくても春じゃなくても良いと。目立つ人、そうでない人がいる。様々な人にスポットライトを。自分はあの頃、何色だっただろうか。
学生が思い悩みそうな複雑な友人関係などの心境について、色々な切り口から描写されています。学生の気持ちは大人になるにつれ薄れていきます。
そのため学生はもちろん、教職員や保護者が読むと参考になると思います。
今回も最後まで読んだことによるギミックを楽しませていただきました。
君嶋先生はこの”仕掛け”が面白いですね。
ネタバレになるから用語すら使えませんが(笑)
いったん読み終わった後に、どの線がどういった点になっているのかを書き出しましたね。
まさに”小説ならでは”の手法だったと思います。
群像劇としても面白く、最初はキャラが少しづつ関わっているのを気にして読んでいましたが、こんな種を仕込んでいたとは。
青春劇としても読みごたえがあり、一つ一つの物語がどれも深く沁みました。
次回作はどんな”驚き”を読ませてくれるのか。楽しみです!
初めましての君嶋彼方さん
苦くて生々しい高校生活
当事者にとってはしんどさもあると思うし、
きらきらの青春ではない…だからこその
春のほとり、なのかな?
でも高校生活が遠くなった私には
その苦さやしんどさも含めて爽やかな青春
連作短編集好き、仕掛け好きには
たまらない作品でした♡
好きな相手をそっと待つ自分の気持ちに気づかれた「走れ茜色」、容姿にコンプレックスをもつ女の子の「樫と黄金桃」、パシられている男子と周りから恐れられている不良の交流「灰が灰に」、SNSでバズっている友人に嫉妬する「レッドシンドローム」、自分の才能の限界に必死でもがく「真白のまぼろし」、恋心を持たない男子と女子の友情「青とは限らない」。ラストの作品でこの連作短編全体のしめくくり。満足感でため息が出る。
いいなぁ、過ぎ去った高校生活に思いを馳せる。当事者だった時にはいいもんだとはちっとも思ってなかった。なのに過ぎ去ると、はたから見ると、まぶしくてうらやましい。不思議だ。あの頃のつらくてしんどくてめんどくさい日々。人の数だけ青春の色がある。だって、青春は青いとは限らない。