かごいっぱいに詰め込んで
真下みこと
この作品は、現在アーカイブされています。
ぜひ本作品をお好きな書店で注文、または購入してください。
出版社がKindle閲覧可に設定した作品は、KindleまたはKindleアプリで作品を読むことができます。
1
KindleまたはKindleアプリで作品を閲覧するには、あなたのAmazonアカウントにkindle@netgalley.comを認証させてください。Kindleでの閲覧方法については、こちらをご覧ください。
2
Amazonアカウントに登録されているKindleのメールアドレスを、こちらにご入力ください。
刊行日 2024/08/05 | 掲載終了日 2024/08/07
ハッシュタグ:#かごいっぱいに詰め込んで #NetGalleyJP
内容紹介
「もう無理かもしれない」
そんな気持ちを真下みことは掬い上げ、
寄り添い、抱きしめてくれる。
「いいなあ、幸せそうで」。
スーパーを訪れる5編の「生活」。
-------------------------
▪
寿退社をして主婦となり、子どもが手を離れた美奈子。
社会に出て働こうと思い立つが、転職活動は思うようにいかない。
――「おしゃべりなレジ係」
▪
小学生の頃からのある癖によって痩せた、大学生の流花。
しかし「ぶた」と呼ばれて受け流してしまった当時の自分を未だに許せない。
――「小さな左手」
▪
元彼女に二股をかけられて以来、マッチングアプリで遊ぶようになった亮。
ある日会社の後輩から、SNSで自分がヤリモクの要注意人物として晒されていると知らされる。
――「気をつけてください!」
▪
友達の結婚ラッシュに焦り、婚活アプリで出会った貴文と結婚した咲希。
出産した友達に「次は咲希の番だね」と言われ、咲希も妊活を始める。
――「なわとびの入り方」
▪
IT化についていけず、早期退職した哲郎。
ハローワークで再就職先を見つけられず、妻にも愛想をつかされ、公園のベンチで昼食をとる日々が続く。
――「不機嫌おじさん」
-------------------------
著者/真下みこと(ました・みこと)
1997年埼玉県生まれ。
2019年『#柚莉愛とかくれんぼ』で第61回メフィスト賞を受賞し、2020年作家デビュー。著書に『あさひは失敗しない』『茜さす日に嘘を隠して』『舞璃花の鬼ごっこ』『わたしの結び目』がある。
出版社からの備考・コメント
発売前の大切なゲラをご提供させていただいております。弊社では、下記のような方からのリクエストをお待ちしております。
○発売に向けて、一緒に作品と著者を応援していただける方
○NetGalleyへレビューを書いてくださる方
○自分には合わない内容だった際、どういったところが合わなかったかなど、建設的なご意見をくださる方
下記に該当する方のリクエストはお断りさせていただく場合がございます。
ご理解のほど、宜しくお願いいたします。
○お名前・所属などに詳細な記載がなく、プロフィールにてお人柄が伺えない方
○作品ごとに設けました外部サイトへのレビューのルールをお守りいただけない方
○フィードバック率の低い状態が長く続く方
-----------------
※※リクエストの承認につきましては現在お時間をいただいております。
おすすめコメント
読者の皆さまそれぞれに、
一話ごと、共感し思わず涙がこみ上げるような情景があるかもしれません。
是非ご感想をお寄せください。
(NetGalley担当より)
読者の皆さまそれぞれに、
一話ごと、共感し思わず涙がこみ上げるような情景があるかもしれません。
是非ご感想をお寄せください。
(NetGalley担当より)
販促プラン
★
読み終わりましたら是非NetGalleyへレビューをご投稿ください!
著者・担当編集ともに楽しみにお待ちしております。
※発売前作品のため、ネタバレや、読書メーターやブクログなどNetGalley以外の外部書評サイトで発売前にレビューを投稿することはお控えください。
ご協力の程、何卒宜しくお願いいたします。
★★★
作品の拡材や指定配本をご希望の書店様は
恐れ入りますが<講談社 出版営業局>まで直接お問合せをお願いいたします。
★★
出版情報
ISBN | 9784065361764 |
本体価格 | ¥1,650 (JPY) |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
登場人物は、みんな何かにつまづいたり、何かこじらせていたりしています。世の中には同じ思いを抱えている人がたくさんいて、この物語に多くの人が共感するのではないかと思いました。「おしゃべりレジ」という試みは実際あるのかどうかわかりませんが、とても素敵で、私も利用したくなります。苦しさのなかにも希望のある内容でよかったです。身近にあるスーパーが舞台になっているのも、親近感がありました。私も楽しそうに働いていると思ってもらえるといいな。
セルフレジが普及し始めた頃、「スローレジ」が話題になったことがある。セルフレジに対応できない高齢者や障害者が、後ろに並ぶ人に焦らされることなくゆっくりと清算できるレジが地方のスーパーなどで設けられたというニュースだ。
その際にフランスの「おしゃべりレジ」も話題になった。店員と楽しくおしゃべりしながら会計できるというこのシステム、コロナ明けでコミュニケーションに飢える世代に人気になったという。
この小説もそんな「おしゃべりレジ」が舞台になっている。
第一話は、子供の手が離れた主婦が再就職しようとするがなかなか仕事はなく、やがてスーパーの「おしゃべりレジ」に仕事を見つけるという話。そこにはさまざまなお客がやってきて、そして店員の間にも色々な関係が生まれている。
そのほかの話は、「おしゃべりレジ」を利用するお客が主人公になってのストーリー。どれも今の時代を反映したチョットいい話たちだ。
例えば飲食店のタッチパネルで注文のできない老人の話。すごく共感できる。先日も成田空港で航空チケットの発券で手間取っていたら、中国人のツーリストに「ここにパスポートを差し込むんだ」と教えられた。自分が老人になってきたことを実感させられる瞬間だ。
老人は会社をリストラされ、家では妻に疎まわれている。いわゆる居場所のない年寄りだ。しかし「おしゃべりレジ」との出会いをきっかけに、自分の生き方を取り戻し始める。
社会がDXによってハイテク化し、必然的に老人は取り残されることになる。一方でAIにより、単純作業はどんどんとコンピュータに取って代わられる。その結果、テクノロジーに取り残された行き場のない老人が大量に発生する。
これからの社会は、この年寄りをいかに有効活用するかがキーになる。無理にずっと働かせるということではなく、必要なところに適材適所で人を配置する。年寄りの経験に裏打ちされた知見を巧く活用し、無理のない範囲で若い世代と協業する。それが互いにハッピーに社会を形成することにつながるである。
読んだことのない作家だったのでプロフィールを見たが、この人もメフィスト賞出身の作家だ。なかなか振り幅の広い賞であることに驚かされる。
身近なスーパーが舞台になっている。
働いている人の話かと思ったら利用者の立場での話が続く。最後の最後にスーパーに行き、おしゃべりレジと出会う。ちょっとした会話だけど相手の心を温かくする。
1話2話最後の話が気に入った。
「主婦は無職扱い」が悲しかった。確かに社会的にはそうなってしまうかもと思うけれど。そこを短所から長所に変えた家族の会話が良かった。
なんでもIT化していく社会。高齢化も進む。高齢者にとってはセルフレジなどは難しいと思う。なので「おしゃべりレジ」が各地に広がればいい。希望が膨らむ本だった。
凝り固まった体と心をほぐしてくれるような一冊。これは身体に良い…!
誰かに必要とされる喜び、社会との繋がり、感謝し、感謝されることの嬉しさなどなど、それわかるなぁという場面がたくさん!
そして登場人物それぞれが、自分と付き合い、自分の中のモヤモヤに気付く。気付けたことで前に進んでいく。その過程がすごくよかったです。
おしゃべりレジもいいですね、私も利用してみたいですし、なんなら働いてみたいです!笑
あらゆる機械化が進み、便利な方へと変わっていく世の中で、変わらないもののありがたさ。誰も置いてきぼりにしない優しさ。そんなあたたかさをこの作品から感じました。
とても素敵な作品でした。
スーパーの有人レジという、あまりにも平凡な日常で普通な設定なのに、人と関わる事にフォーカスするとこんなに様々な人間模様が浮かび上がってきてドラマチックになるのか!とびっくりです。
誰にでも根源的に誰かの役に立ちたい、必要とされたい気持ちがある、とは思うんですけど、その考えにがんじがらめになってしまってドツボにハマるくらいなら、もっと自由にフラットにおおらかに構えて、息がしやすいようにボタンをいつもより一個多めにはずすくらいがいいのかも。
そして、切り札になる魔法の言葉は『いつもありがとう』。
セルフレジが台頭しているが、私はスーパーへ行くと無意識に「いつもの店員さん」のレジに並んでしまう。北川さんの様に明るく接客されると元気が出るし、嫌な事もちょっと吹き飛ぶ。
5分も関わらないスーパーのレジでのコミュニケーションが転機になるという着眼点に優しい希望が散りばめられていて、体中に酸素が行き渡った。
みんな悩みを抱えている。人に優しくありたいと強く思った。
うまくいかない悩み多き人生を生きる人たちが、あるスーパーの"おしゃべりレジ"での会話を通して何かに気付き、希望を胸に灯すような物語。この"おしゃべりレジ"というのがなんとも優しい試みで、そこで働く北川さんも、履歴書上では"無職"扱いの専業主婦から1歩踏み出した人。いろんな場所でのIT化に取り残され戸惑う高齢者にさり気なく寄り添い、見守る役割もある。高齢者だけでなく、様々な背景やその時々の気持ちを抱えて買い物に来るお客さんが、レジのあと持ち帰る袋に"ホッとする気持ち"を入れて帰途につく笑顔が見えるような、素敵な物語だった。
「おしゃべりなレジ係」という役割がとても良いと思った。美奈子は周りのことがよく見えていて声の掛け方も的確で街にそういう人が働いているスーパーが欲しくなる。
特に面白いと思ったのが「なわとびの入り方」と「不機嫌おじさん」の二編。
「なわとびの入り方」は今まさに自分が直面している問題なので咲希に最初はハラハラしつつもエールを送りながら読んだ。環境を変えることで見え方がガラッと変わるのも面白いし、頭が凝り固まっている時こそハッと気付かされることが多くて面白い作品だと思った。
「不機嫌おじさん」は個人的に反省したところがあった。不機嫌を撒き散らすのもどうかと思うが、私も店員としてどこかおざなりにしていたと気付かされた。何に不満を持っているのか注意深く見ようとすることも大事だと教わった。
ラストとても良かった。最後まで目が離せない小説だった。
スーパーマーケットを題材にしているだけに、とても身近で親近感のわくストーリーでした。登場人物たちも等身大で特に劇的な事件や出来事が起きるわけではないけれどその分普段の自分自身と重ねて感情移入出来るような、ともすればそうなるはずだった自分を見ているような気持ちになりながら読み進めました。不穏な空気感を感じながら苦しい日常を送る人々もフューチャーマートに立ち寄りおしゃべりレジを利用したことをきっかけに自分の人生を見つめ直して前を向いていく。それぞれの人生が交錯する上で大切なのはやはり他者を思いやる心と会話なのかもしれないとしみじみ感じました。人の心の温かみに救われるような作品です。
レジで必要以上の会話をしたくない人もいる。だからお客様との会話は、余計なことを言わないようにと気を使う。だけど「おしゃべりレジ」なら、会話があることをお客様がわかった上で利用しているはずだから、店員側としてはやりやすいと思う。
美奈子が見つけた仕事は、人と話すのが好きな彼女にぴったりだった。買うものもその量も、抱える悩みも人それぞれ。彼女の何気ない一言が、人々の心を軽くしてくれる。
レジ打ちの短い時間に、たくさんのドラマが隠れている。明日スーパーに行ったら、他のレジのことが気になってしまいそうな物語だった。
人はそれぞれ何かを抱えて生きている。
表面に見えることだけがその人の全てではないということを年を重ねるごとに身をもって実感している。
読みながら、そうか・・・と思いながら、人に対する知った気・分かった気にならないようにしようと強く思った。
スーパーのセルフレジ、慣れると便利だけど、店ごとに機種が違うので最初は戸惑うし、高齢の方々は本当に大変そう。
「おしゃべりレジ」はとても良いアイデアだと思った。
一言声をかけてもらえる、気負わず一言挨拶を交わせる関係が必要な時があるもの。
人のことよくみてるなぁ〜というか見る目線が同じなのかな?
すごく共感して、電車で読んでいるのに思わず声が出てしまった(笑)こういうどうしようもなく愛おしい日常を読むのが好きだなと改めて感じさせてくれた作品でした。人はいろんなものを吸収しては吐き出しての繰り返しである映画では1日に千以上なにかしらの選択をしていると言っていたほどに目まぐるしい生き物なんです。なにもしていなくたってきっと思う以上にいろんなことを考えている。でも、吐き出したもののなかにも光るものはまだ残っていてそこから自分にとって大切な何かを戻せることもきっとあるんだろうなとスーパーのカゴに入れられた食材を見て思い返す日々でした。
おしゃべりレジで働き始めた主婦と、そのおしゃべりレジにきたお客さんたちの人生の物語。
レジってたしかに最近効率化で自動化が進んでいたりセルフレジでお年寄りの方が困っていたりするのでこういうスーパーっていいなと思いました。
特に拒食症の女の子の話がすごく心に残った。
『あさひは失敗しない』で鮮烈な印象を受けた
真下みことさんの新作は、
スーパーを訪れる5編の「生活」を描く
なんだかうまくいかないなーと思っていても
スーパーのスローレジでの会話が転機となり、
ちょっと前向きな気持ちになる
夕方の慌ただしい買い物時間はどうしても
タイパを重視しがちだけど、
ほんの少し気持ちに余裕を持ってゆっくり
を心がけるのも良いなぁと思わせてくれました
連作短編集のため、独立していて読み進めやすかった。1話目の主人公がメイン?(軸?)となっているようで、少しずつ他の話に絡んでくるのも楽しんで読めた。各話の主人公がラストで前へ進んでいく感じもよかったと思った。
作中に登場する【おしゃべりレジ】
私もそこで働きたい!
接客業はコミュニケーションを取ることで、顧客のニーズを探っていくことができます。
この作品にも書いてあるように、現代社会は効率を重視するあまりセルフレジが増え、お客さんとの会話が激減しました。
でもそれって顔見知りの店員さんが作りづらいし、逆を言えばお客さんの好みを知ることもできない。
これは小売業としては損しているなと思います。
本はどこで買っても同じ値段です。
だからこそ自分の嗜好ややって欲しいことを知っているお店に行きたくなる。
接客業をしている方、その業務をマネジメントしている方。
ぜひとも本作を読んで、【数分間で生まれる関係が数十年の関係に昇華する】事実を知って欲しいですね。
真下先生のちょっと毒のある展開も好きです。