あのころの僕は

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刊行日 2024/09/05 | 掲載終了日 2024/09/15

ハッシュタグ:#あのころの僕は #NetGalleyJP


内容紹介

いつかきっと、いろんなことがわかるようになる。

母を病で失った五歳の「僕」は、いくつかの親戚の家を行き来しながら幼稚園に通っていた。大人たちが差し出す優しさをからだいっぱいに詰め込み、抱えきれずにいた日々。そんなとき目の前に現れたのは、イギリスからやってきた転入生のさりかちゃんだった。自分と同じように、他者の関心と親切を抱えきれずにいる彼女と仲良くなった「僕」だったが、大人たち曰くこれが「初恋」というものらしく……。
コンビーフのサンドイッチ、ひとりぼっちのハロウィン、ひみつの約束、悲しいバレンタインデー。
降り積もった記憶をたどり、いまに続くかつての瞬間に手を伸ばす。第36回三島由紀夫賞候補作、第45回野間文芸新人賞候補作となった『息』に続く、注目の若手による最新中編。

【著者略歴】
小池水音(こいけ・みずね)
1991年東京生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。2020年「わからないままで」で新潮新人賞を受賞。2022年発表の小説第三作「息」が第36回三島由紀夫賞候補となる。同作とデビュー作「わからないままで」を収録した初の単行本『息』が第45回野間文芸新人賞候補作となった。

いつかきっと、いろんなことがわかるようになる。

母を病で失った五歳の「僕」は、いくつかの親戚の家を行き来しながら幼稚園に通っていた。大人たちが差し出す優しさをからだいっぱいに詰め込み、抱えきれずにいた日々。そんなとき目の前に現れたのは、イギリスからやってきた転入生のさりかちゃんだった。自分と同じように、他者の関心と親切を抱えきれずにいる彼女と仲良くなった「僕」だったが、大人たち曰くこれが「初恋」...


出版情報

発行形態 ハードカバー
ISBN 9784087718805
本体価格 ¥1,600 (JPY)
ページ数 160

閲覧オプション

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NetGalley会員レビュー

母を5歳で亡くし、大人たちが差し出す優しさをからだいっぱいに詰め込み、抱えきれずにいた天と
イギリスから日本へ母と2人だけの生活の中、他者の関心と親切を抱えきれずにいるさりか。
そんな2人の出会いから降り積もりつづけた
記憶を辿る物語。

寄せては返す波の様に
不安や孤独はやってくる。

伝えたいのに。
伝えられない。

自分の感情を上手く受け止められない幼い2人のもどかしさに胸を締め付けられる。

丁寧に綴られる静かな文章の向こうには
2人の言葉にできなかった想いがあふれている。

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5歳で母を亡くした「僕」が、今の「僕」になるまでに重ねたたくさんの想いを辿っていく、珠玉の時間飛行物語。

幼い身体には抱えきれないほどの好意に押し潰されそうになった「僕」と、同じく過ぎた親切に居心地の悪いイギリス帰りの女の子。ありのままの感性で紡がれていく二人の密度の濃い交流が鮮やかに浮かび上がる作品。
誰もが寄り添ってくれる人を必要とし、しかし人それぞれ距離感が異なり、その絶妙なバランスを慎重に肌に覚えさせていく。コミュニケーション能力とは、肌に合う人を見極める能力なのかもしれない、と救いにも似た気付きもあり、満ち足りた気持ちになった。

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