ことばの番人
髙橋秀実
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刊行日 2024/09/26 | 掲載終了日 2024/12/31
ハッシュタグ:#ことばの番人 #NetGalleyJP
内容紹介
校正者の精密な仕事に迫るノンフィクション!
日本最古の歴史書『古事記』で命じられた「校正」という職業。
ノンフィクション作家の高橋秀実が、あまたの文献、辞書をひもとき、日本語の校正とは何かを探る。
ネットの普及によって目を覆うばかりの誤字脱字が氾濫する昨今。
事実関係を無視したデマの垂れ流し。これでいいのか?
──校正せよ!
第一線で活躍する校正者たちを取材し、校正のノウハウ、コツ、原点、心構えまで紹介する“校正ノンフィクション”!
【著者プロフィール】
たかはし ひでみね
1961年、横浜市生まれ。東京外国語大学モンゴル語学科卒業。テレビ番組制作会社を経てノンフィクション作家に。『ご先祖様はどちら様』で第10回小林秀雄賞、『「弱くても勝てます」開成高校野球部のセオリー』で第23回ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。『はい、泳げません』『おやじはニーチェ認知症の父と過ごした436日』など著書多数。
販促プラン
★集英社クォータリー『kotoba』連載「ことばの番人」に大幅加筆修正して書籍化したものです。
★校了前のデータを元に作成しています。刊行時には内容が若干異なる場合がありますがご了承ください。
★本作品のサムネイル画像はNetgalley用に作成したもので、実際の表紙画像とは異なる場合があります。
★発行元は集英社インターナショナル、発売元は集英社です。
★拡材も作成予定です!
ご希望の書店様は、恐れ入りますが<集英社インターナショナル 販促部>までお問合せください。
03-5211-2632
出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784797674514 |
本体価格 | ¥1,800 (JPY) |
ページ数 | 224 |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
ちょっと前に「プロフェッショナル仕事の流儀」で校正者が取り上げられていた。わかりやすく「校正者」と紹介されていたが、作業としては「校閲」だった。ただ字面を直すというよりも内容にも踏み込み、誤字・脱字だけではなく、内容にまで関わる客観的な判断をする作業。
この本で紹介されている「校正」の作業も、どちらかというと「校閲」に近い。明らかな間違いを正すことはもちろんだが、時代によって使われ方の変わった言葉をどうするのかも指摘する。本来「幼少」は自分には用いなかった。しかし今は自分に使っても全く違和感はない。今の時代の感覚としては自分に「幼少」を使っても良しと判断しなければならない。うーん、こいつはけっこう難しい。
テレビの仕事をしていても悩むことがある。ADがよく書いてくるテロップの「的を得る」は明らかな間違いである。これは間違いなく正す。しかし「弱冠18歳」は悩む。「若干20歳」とあれば「弱冠」と直せるが、「弱冠18歳」とあると気持ち的には「わずか18歳」と直したくなる。
テレビのナレーションは「聞き言葉」なので「約」は使わない。必ず「およそ」だ。「約50人」とナレーションで聞くと「150人」と聞き間違える可能性がある。だから「約」はナレーションで使わない。人が「食べれる」と喋っていても、テロップでは「食べられる」と正式な書き方に直す。そうしないと視聴者から「日本語を知らない」とクレームがくる。
この本でも書かれているが「シュミレーション」は「シミュレーション」だ。でもADはよく「シュミレーション」と書いてくる。享年に「歳」を付けて平気なディレクターもたまにいる。「馬から落ちて落馬する」なんてナレーションを書く構成作家だっていないわけではない。
とかく言葉は難しい。前に番組で「正しい言い方」のコーナーを放送したことがあるが、すぐに止めた。いくら専門家に確認しても絶対はない。時代によって慣用的に使われる言い方もあるし、たまにそもそもはその言い方で、今の言い方が誤用なんて例もある。
そしてこれからはAIだ。AIがある程度の校正作業を代行してくれる。しかしこの本にもあるように「絶対」ではない。あくまでも「補助」でしかない。この辺り、医療の画像解析に似ている。MRIの解析で、AIは補助ツール、事前診断ツールとしては抜群に力を発揮してくれる。しかし絶対ではない。人の目が合わさって診断してこそ真の力を発揮してくれる。まさに「校正」もそうだ。
そういえば前に、ある翻訳ベストセラーのオーディオ版を作ったことがある。もういくつも版を重ねている本だった。しかし文字データをもらいアナウンサーに読んでもらうと、明らかな校正ミスがあった。こんなに売れていても、誰もが読んでも気が付かれないミスもあるんだ。けっこうびっくりした経験を思い出した。
ちなみにこの本の作者は息子の大学の先輩だ。息子はスラブ語類の言語学を専攻している。なんとなくちょっと面倒そうなところが似ているなと微笑ましく感じた。
校正、校閲という仕事に関するノンフィクション。
じっくり掘り下げるというよりも、エッセイふうに話題があちこちに拡がる。
軽妙な語り口で、予想以上に楽しく読めた。
ただ、あまりにも話題を拡げすぎているかもしれず、終盤は少し読むのに努力を要した。
「あとがき」で終章について事情を語っておられるが、全体として構成にあと少し工夫があると良かったように思う。
校正のときは読んではいけない。だから面白い物語ほど気をつける。本書を読むとその理由がわかる。文字そのものを見ていくのだ。違和感がある時は辞書を引く。しかも何種類もだ。紹介される校正者、どの人も凄すぎて驚くばかりだ。高橋さんの言葉への探究心とその表現がとても面白かった。
髙橋秀実さんのちょっと斜めから物事をとらえる感じ、
個人的には好ましくいままでにも何冊か読んでいるのですが、
今回は「校正」にわりとがっつりぶつかっている印象。
個人的に興味のある「校正・校閲」についての高橋さんの文章なので、
期待しながら読んでたのしく読了しました。
どこまでも深く広く探れる正解のない世界である言葉。
その番人たろうとすることの困難さ。
だけれどその道にいる人たちはその言語沼に好んで浸かっている感じ。
正しさが慣用に負かされていく「生きた言葉」の相手は難しいけれど、
潜れば潜るほど深みにはまりそうな世界を垣間見せてくれています。
とても勉強になった。
最近仕事で文書を校正する機会が多くなったので、興味があり読みたいと思った。
読んでビックリ。私が校正だと思ってしていたことは校正ではないようだ。
読むほどに目からウロコがぽろぽろと落ち、とても勉強になった。
校正という仕事の細かさ、深さ、キリのなさ?が良く分かった。従事してる人たちの、もう異常なほどの仕事ぶりが面白い。また、取り上げる例が文学から法律、薬の解説など多岐に渡っていて、コレもか、アレもか!えっ、ソレもか!?と畳み掛けてくるのに身を委ね、校正畑に埋もれるのもまた楽しかった。終盤のAI校正との対決?が面白すぎる。