酔い醒めのころに

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刊行日 2024/09/01 | 掲載終了日 2024/09/18

ハッシュタグ:#酔い醒めのころに #NetGalleyJP


内容紹介

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人気お笑いコンビ「エレガント人生」、初の書き下ろし小説!!

チャンネル登録者数50万人超え! ホストとホス狂カップルからおばあちゃんと孫娘、はては地下アイドルとそれを推すファンなど、多彩で幅広いキャラクターを確かな演技力と深い洞察力で切りとった動画で、若い世代からの支持を集めている男女コンビ「エレガント人生」。

動画配信を主戦場にするシン・芸人とも言える彼らがコンビ共著という形で、動画の世界観とは一線を画した珠玉の初小説を上梓。パパ活、インフルエンサー、メンズメイク、ブラック企業、学歴マウント、モブなど、今の時代のキーワードがちりばめられ、Z世代のリアルを感じさせる傑作がここに誕生。


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『なにごとも一旦取り繕うことを覚えると、

素の自分に戻るのが怖くなってしまう。

それまで当たり前に“素面”で生きていたとしても』

『全てはしあわせになるために。

 しあわせに見せるために』

『俺は何のために頑張ってるんだろう。

誰のために頑張ってるんだろう。

自分のためにってどうすればいいの?』(以上、本文より)

Z世代の6人の男女が集まり、飲み会で繰り広げられる人間模様。一見、お気楽に見える彼らが見せるオモテの顔とウラの顔。酔っている自分と素面な自分、本当の自分とはなんなのか?

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<目次>

プロローグ

1章 缶チューハイ

2章 ビール

3章 生グレープフルーツサワー

4章 芋焼酎(ストレート)

5章 アイリッシュコーヒー

6章 勝利の美酒

7章 酔い醒めの水


著者プロフィール『エレガント人生』

吉本興業所属の男女コンビ。共に東京NSC19期生。2020年5月18日コンビ結成。中込 悠(なかごめ ゆう):1989年1月6日生まれ。山井祥子(やまい しょうこ):1994年2月16日生まれ。登録者数約50万人のYouTubeチャンネル「エレガント人生チャンネル」(https://00m.in/NeMua)ではほぼ毎日20時に新作を発表。中込悠と山井祥子の共著で初小説を執筆。


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出版情報

発行形態 ソフトカバー
ISBN 9784768319628
本体価格 ¥1,800 (JPY)
ページ数 208

閲覧オプション

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NetGalley会員レビュー

本書をこのサイトで見つけた時は衝撃でしたね。なぜなら、コンビ作家は古くは岡嶋二人さんや最近では雛森寧子さんなど海外ほどではないが少なくないし、お笑いタレントが小説を発表した例も数多く、近年は芥川賞を受賞した例もあるので誰も驚かない時代になりました。しかし、売出し中のお笑いコンビがコンビ作家となり発表した作品は少なくとも僕は初めて読ませていただきました。作品そのものもお笑い同様、テンポが良い。どこにでもいそうな男女の人間関係が絡み合う様を描く連作ですが、最後は意外なカップル?が誕生する。でもそれがこれからも発展するのか一夜だけの遊びの関係で終わるのか読書にははっきりわからないところがエレガント人生らしいなぁと思わず頷きましたが、もしかすると続編も考えているのかな?

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「シラフもすっぴんも漢字だと素面と書く。酒も化粧も弱い素顔を隠すための道具なのかなぁ。何事も一旦取り繕うことを覚えると、素の自分に戻ることが怖くなってしまう」

パパ活やユーチューバー、飲み会など若者の日常を切り取った連作短編集。

「人生はおとぎ話じゃない」

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職場で我々を悩ませるZ世代の意外な裏側を知れた気がします。
「好かれる努力より嫌われない努力」
「口だけの人よりも実際に行動した人の方がすごい」
この辺りの言葉は同感。
テンポよく進むお話ですが、若者たちの悩みも交差して軽すぎない軽妙さが良いです。矛盾している感じですが。
そろそろ私もお酒を飲んで自分を解放していきますか。ホント大事な時間ですね。

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Z世代が抱える様々な悩みが、それぞれが飲むアルコールを介して語られていく短編集。それがいつしか結びついていく。
そして、とうとう『酔い覚め』の時を迎える。その時、彼らはどうなっているのだろうか。

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『缶チューハイ』
育った家庭環境のためから、「自己肯定感」を何よりも求める瑛美。その口癖は「しあせになりたい。しあわせになりたい。しあわせになりたい」
そして、とうとう相手を幸せにする。そう、こんな方であっても幸せへの中立ちができたのだから、いつかくる、自分の番が。そのために、幸せであるように見せていこう。幸せの方からが来るように。安い缶チューハイを飲みながら。

『ビール』
ふとしたきっかけで、友人のTikTokに写った自分がバズっていることを知った燿成。それを踏み台にして、インフルエンサーとなっていく燿成。そして、店でのビールを飲みながらの未央とのやりとり。修学旅行の夜みたいなノリの果てに…… 燿成、今夜は思う存分、苦手なビールを飲んでいけよ。

『生グレープフルーツサワー』
知世は自己肯定感は極低、直ぐ思考停止に陥る口下手、でも自意識は過剰で周りの視線を気にしすぎる。
ところが「いちごサワー」を口にした途端、陽キャへと変貌。さらに「生グレープフルーツサワー」へと手を伸ばす。
店員の言葉「自分を解放できる瞬間があることは大事」が心に残った。
1日1日を賢明に生きるZ稲田にはそれが必須。知世もまた、それを見つけられた。ただし、飲みすぎて解放し過ぎるなよ。

『芋焼酎(ストレート)』
高度成長時代、バブル崩壊世代、新人類世代、そしてZ世代。それぞれにここまでギャップがある。その中で早坂は盛り上げ役であり、いじられ役でもある。そのストレスは半端ないものなのだろう。
でもやっと早坂は自分に気づくことができた。ならば、部屋に転がる芋焼酎のたくさんの空ビンをなくすための行動、自分の体と心を守るための行動をとることができるはず。きっと。

『アイリッシュコーヒー』
自分の中身を見て欲しくて、美貌への単なる羨望の眼差しが大嫌いな茉莉乃は、気まぐれで健太郎を振り回す。でもそれは、健太郎の茉莉乃への想いを知っていているから。知って欲しい内面に逆に失望されるのがが怖いから。
だから、アイリッシュコーヒーも飲み切ることができず、茉莉乃は占い師の所に向かう。自分の弱さを素直に出せるところに。ここまで気を使う健太郎こそが、それに最も相応しい事にいつか気づくことを願う。

『勝利の美酒』
今までの短編に出てきた登場人物たちが大集合。知世、早坂、燿成、早坂などなど。みな、山を乗り越え自分なりの足取りで進んでいることが分かり、一安心。
その中で、茉莉乃を落とそうと企む、エリートサラリーマンの信道。そのために、とにかく気を使う、作戦を練る。そして、最後にエリートらしい決めゼリフ!
だが、その声に対する茉莉乃の一言に爆笑した。信道、本当にお疲れ様。どうか、気を落とさないでくれよ。

『酔い覚めの水』
あのあとの燿成と知世の2人。2人が以前から相手に気づいていたとは。
燿成が語る、地道な仲間と比べたインフルエンサーの価値。それはかつての知世と同じだった。
酒に寄っていない「素面」とは、「素」の「顔」。でも、それではいられないから、皆は酒を飲んで仮面を被ってきた。でも、そこから卒業する時がきたのだろう。だから、まずは知世が「酔い覚めの水」を一気に飲み干した。

きっと、他の人も続くことだろう。一旦酒に溺れることは、皆にとって必要なことだった。人生にはそんな時もある。でも、もう酒に頼らずとも進んでいける。みな「酔い覚め」の時を迎えたのだ。
最後に起きるであろうパプニングをニヤニヤと想像しながらも、「今の時代の様々な側面」を生きるZ世代の様子を最初は笑いながら読んでいたが、最後はとても落ち着いた気持ちで本を読み終えた。それは、皆が前を向く事ができたから。酒に求めた助けを、もう必要としなくなったから。
みんな、自分なりに頑張ったんだなぁ。

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