ムーンシャイン
円城塔
この作品は、現在アーカイブされています。
ぜひ本作品をお好きな書店で注文、または購入してください。
出版社がKindle閲覧可に設定した作品は、KindleまたはKindleアプリで作品を読むことができます。
1
KindleまたはKindleアプリで作品を閲覧するには、あなたのAmazonアカウントにkindle@netgalley.comを認証させてください。Kindleでの閲覧方法については、こちらをご覧ください。
2
Amazonアカウントに登録されているKindleのメールアドレスを、こちらにご入力ください。
刊行日 2024/07/29 | 掲載終了日 2024/07/30
ハッシュタグ:#ムーンシャイン #NetGalleyJP
内容紹介
円城塔初期の傑作と呼ぶべき二作「パリンプセスト あるいは重ね書きされた八つの物語」「ムーンシャイン」に、書籍未収録の「遍歴」「ローラのオリジナル」を加えた全四編。
円城塔初期の傑作と呼ぶべき二作「パリンプセスト あるいは重ね書きされた八つの物語」「ムーンシャイン」に、書籍未収録の「遍歴」「ローラのオリジナル」を加えた全四編。
出版社からの備考・コメント
・多くのレビューをお待ちしておりますが、物語の核心をつくような、所謂「ネタバレ」はお控えください。
・ネタバレ行為はネットギャリーのみならず、読書メーター、ブクログ、Twitter 等の多くの方が目にする場でも同様にお控えいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
・本作は校了前の大切なゲラデータを著訳者よりご提供いただいた上で公開をしています。本作の刊行を楽しみにお待ちいただいている、多くの読者のためにも、ご理解、ご協力のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
・多くのリクエストをお待ちしておりますが、過去のフィードバック状況やレビュー内容からリクエストをお断りする場合がございます。予めご了承ください。
・いただいたコメントは帯やPOP、X等SNSでのご紹介など、弊社販促活動に使用する場合がございます。予めご了承ください。
出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784488018443 |
本体価格 | ¥1,700 (JPY) |
ページ数 | 256 |
関連リンク
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
意味深い事を、あまりにも前衛的かつ飛躍して結びつける作品群。それを一つ一つ紐解くことで学際的な智の迷宮に閉じ込められるもよし、思考停止に陥りその恍惚に酔うもよし。
何を求め何を見出すかは、読者一人一人に委ねられている。
---------------------------
『パリンプセストあるいは重ね書きされた八つの物語』
ホワイトノイズの真逆、四角い黒から導き出される8つの物語。
非線形で解釈を許さず、前衛的で飛躍する文章により、読む者の思考を停止させていく。表記されていることから外れることさえ許さない、読むという受動的活動だけが続く。
それが〈僕〉なる存在の独白へとすり変わっていき、あたかも語りかける様を見せるが、でも同意も反論も正誤さえも求めることない独白。
そして最後に、このような一点に収束するとは。絶句。
『ムーンシャイン』
謎の組織に属する僕の物語は、「ファイト・トンプソンの定理」や80恒河沙の塔から成る街、数に特化した共感覚。ユニバーサル・チューリング・マシンあまりにも美しい数学や哲学、概念が並んでいく。そしてそれが崩壊していく様のなんと幻想的なこと。まさに「ムーンシャイン」=戯言。
『遍歴』
山口の凡庸な生涯から、開放系教義を持つオーダーメイドなオープンソース教団のめくるめく変遷へ。それは最終的にはバイオスフィアの最終段階ノウアスフィアに至ることなく、その根本教義「匿名化ソフトウェアあれと神は言われた。誰が世界を作ったのかを分からなくするためである」に基づき、振り出しに戻る様はまさに大いなる「遍歴」。
『ローラのオリジナル』
エクサバイトの画像データとキロバイトのテキストファイルから成るローラ。そのオリジンたる「わたしのローラ」とその〈機械生成〉発展の様は、まさに生成AIを巡る予言。人の欲望や必要とされるデータ量も、〈育てる〉事さえもが。そしてとうとう、これを記述している「わたし」が存在している〈階層〉さえも曖昧に。
現実と仮想の融合ではない。死の存在が現実の証明なら、実在さえもが曖昧模糊となる先が見えてくる気がした。
わけがわからない、を楽しませることは簡単ではない。円城塔はそれを可能にする稀有な作家であると、これを読んで認識を新たにした。
『パリンプセストあるいは重ね書きされた八つの物語』がお気に入り。
八つの■が並んだただそれだけのものから広がる豊饒なイメージを味わうことができる作品。抽象的で無機質な文章や、文法的に破綻した非文が八つの物語として展開する中で読み終えるころには意味らしきものを帯びるみたいで、騙されているようだった。煙に巻かれているといった方が適切だろうか。作者が意図するものを読むことができているとはあまり思っていない。正直、全然わからないから。そうではあるけれども、ロールシャッハみたいにそこから何某かの影を見出さずにはいられない魅力を持っていると感じた。