ポコペン!
ギョウ・ヤマグチ/文、いしいつとむ/絵
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刊行日 2024/06/28 | 掲載終了日 2024/09/02
イマジネイション・プラス | imagination unlimited
ハッシュタグ:#ポコペン #NetGalleyJP
内容紹介
子どもたちが「缶蹴り」で遊んでいます。缶を蹴るためにとてもすごい案を思いつきました。隠れている子たちが数秒間隔で出て行って、オニの子が「ポコペン」まで言う時間を与えないのです。それを続けているので、オニの子はずっとオニをやることになってしまいました。一人それを見て「オニばかりじゃつまらないよな。皆んなで楽しく遊ぶためにオニを代わってあげよう」と思う子がいました。でも、数秒間隔で出て行く案は続いたので今度は代わってあげた子がずっとオニをやることになります。でも「オニばかりじゃつまらないよな。皆んなで楽しく遊ぶためにオニを代わってあげよう」と思う子は他にはいなかったのです。
おすすめコメント
昔懐かしい遊びの「缶蹴り」を通して「おもいやり」と「やさしさ」を考えていく絵本です。
昔懐かしい遊びの「缶蹴り」を通して「おもいやり」と「やさしさ」を考えていく絵本です。
出版情報
発行形態 | ハードカバー |
ISBN | 9784909809575 |
本体価格 | ¥1,700 (JPY) |
ページ数 | 40 |
閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
かんけりのルールの細かいところを思い出せず、夫に尋ねたりしました。なにせもう60年近く前に楽しんだ遊びですから。オニになった子が次のオニを作れない遊び方は、地方ルールやその場ルールなどあるでしょうが、オニ以外の子どもたちが必死でオニをやめさせないようにしていたのはこのお話と同じ。みんなが遊ぶようすを公園の入り口でじっと見守る少年が印象的でした。彼はどんな思いで見つめていたのでしょうか。オニを置いて帰っていった友だちのドライな態度にいろんな感情を抱いたでしょうか?ラストの場面が印象強く残りました。
みんなでかんけり、楽しいかんけり。でも鬼はずっとまあくん。だから声をかけたのがトムくん。最初からずっと見ていたのが緑色の服の子。夕焼けでみんな帰って残されたのは誰?
大切な事に気づかせてくれる絵本。
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「かんけりかぁ、懐かしいなぁ」と思いながら読み始めた。「みんなでかんけりしている。いいなぁ……」という、ひとつの引っ掛かりはあったけど。
生き生きした手足の動き、豊かな表情。みんな、楽しそう。
それが、なんだか妙な方向へ。まあくんが困っていく。泣きそうになっていく。それに声をかけるトムくんの向こうに緑色の服を着た子が。慌てて見返すと、どの絵にも彼がいた。ただただ、そこにいた。あれはこの子の言ったことだったのか。
そして再開したかんけりは、何とまあくんが困ったやり方だった。それも、まあくんが先頭だなんて。
そして夕方。トムくんだけのこして一斉に帰っていく子ども達の表情は、まあくんも含めて楽しそう。ただ、トムくんだけは違っていた。
そこにまた、あの言葉……
次のページは綺麗な綺麗な夕焼け。そして、トムくんに歩み寄っていく緑色の服を着た子。2人とも無言の後ろ姿。それぞれ、何を見ているのだろう。どんな表情をしているのだろう。これからどうしようとしているのだろう。
そして最後のページ。夕焼けで地面まで赤く染まる中、2人はこれからどんな話をするのだろう。何をするのだろう。
読み始めた時とは全く異なる思いに包まれて、しばらくこの絵本を閉じることができなかった。
2人は違う思いをしたのだろう。そして自分も、その両方の思いをした事があったことを思い出していた。何十年ぶりに。いや、忘れていたのではなく、押し込めていたのだった。
楽しいと寂しいの境界は薄く、思いはすっと入れ替わる。だから、2人は暗くなるまでの短い時間でも、楽しい気持ちを味わって欲しいと願った。
そして、楽しいだけが絵本ではなく、伝えたいことがある絵本もあり、それがこの本なのだと思った。
缶蹴りって私の所ではポコペンって言わなかったけど遊んだ思い出がある。
足の速さを考えたり、ここまで来た時にこんな反応をするって仮定をして試してみる、
みたいな自分と他人の力量を図る楽しいゲームだったな。
逃げるほうの力量と、鬼の子の力量が違いすぎると何度も繰り返しになったりもしたなあ。
この話では相手の気持ちをわかってあげる、そこから親近感が芽生えるかも、
という感じの雰囲気がさらりと描かれている。こういう独特な遊び、
今はみんな集まっても携帯ゲームだけど、読み手の大人がこれも楽しいよって教えてあげられるような機会があるといいなあって思わされました。
「缶蹴り」ってある意味残酷な遊びですよね。オニじゃない子がまとまると、まあくんのようにずっとオニをしなくなってしまうこともある。
この絵本はそんなつらさ・悲しさを体験できる本です。
…なんていうと、「こんな絵本、読みたくない」と思われそうですね。でもぜひ読んでみてください。
「読みたくない」と感じる子ほど、自分が思っていることが正しいんだと自信を持つようになる、そんな気がします。
また、そんなふうに自信を持った子が大人になってから活躍する世の中にどんどんなっていくでしょうね。いつもオニにならないまま「缶蹴り」を終わる子より。そう強く思います。