銀河の図書室
名取 佐和子
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刊行日 2024/08/01 | 掲載終了日 2024/07/30
ハッシュタグ:#銀河の図書室 #NetGalleyJP
内容紹介
先輩が消えた。
「ほんとうの幸いは、遠い」という言葉を残して――
図書室で活動する弱小同好会「イーハトー部」の部長だった先輩は、なぜ突然学校から消えてしまったのか。高校生たちは、宮沢賢治の作品、賢治が残した言葉に出会いながら、それぞれの「ほんとう」に直面し――。
NetGalleyリクエストランキング月間第1位、5刷を記録した『図書室のはこぶね』の舞台となった野亜図書室を舞台に、あらたな著者最高傑作の誕生です。
著者メッセージ
「根っからの読書家でなくても、本に助けられることはある。本に委ねるときもある。ままならぬ青春を宮沢賢治の本と進む高校生たちのお話です」
名取佐和子
著者略歴
(なとり・さわこ)
兵庫県生まれ。明治大学卒業。ゲーム会社に勤務した後、独立。2010年『交番の夜』で作家デビュー。著書に第5回エキナカ書店大賞を受賞した『ペンギン鉄道 なくしもの係』、『金曜日の本屋さん』『江の島ねこもり食堂』『逃がし屋トナカイ』『ひねもすなむなむ』『図書室のはこぶね』『文庫旅館で待つ本は』ほか多数。
『図書室のはこぶね』は京都府私立学校図書館協議会司書部会「中高生におすすめする司書のイチオシ本2022年度版」第6位、「埼玉県の高校図書館司書が選んだイチオシ本2022」第8位、うつのみや大賞2023第4位。
担当編集者より
初稿を読了したとき、十年に一度しか味わえないような思いがあふれ、この仕事を続けてこれて本当によかったと思いました。どうか多くの方にこの物語が届きますように。ご感想お待ちしています!
出版情報
発行形態 | ソフトカバー |
ISBN | 9784408538594 |
本体価格 | ¥1,700 (JPY) |
ページ数 | 320 |
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閲覧オプション
NetGalley会員レビュー
野亜高校の図書室を部室として借りる弱小イーハトー部。その面々の等身大の青春群像。
悲喜こもごもの1年が、宮沢賢治の詩や未完成の傑作『銀河鉄道の夜』に導かれ、人を思いやる事へと昇華していく様を、読んで確かめてほしい。
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突然高校に来なくなった風見先輩が送ってきた、《ほんとうの幸いは、遠い》という宮沢賢治からの一節。これが物語の根底をずっと流れつづけていく。
チカ達イーハトー部の面々を中心とした高校生活の1年間が、宮沢賢治の詩や作品を介して描かれていく。イーハトー部の勧誘活動、文化祭のビブリオバトルへの出場と棄権、伊吹との本の修理、キョンヘの弟の死。そして夏合宿(宮沢賢治の本に挟まれたそのメモを見た人はどうに感じるのだろうか)。
全てが素晴らしく輝いていたものではない。穏やかな思い出になったものもあり、後悔ばかり残ったもの、必死になったものもあった。
そしてこの1年が終わる時、風見先輩、〈まっくらな巨なもの〉に囚われた彼に対して向き合っていく。この1年は、宮沢賢治の作品と言葉に後押ししてもらっての、必要不可欠な1年間だったのたのか。
とうとう、イーハトー部の部室でもある図書室で風見先輩と向かい合うチカ達。互いの心情の露呈、これからの道を探っていこうとする様。この1年間に一人一人が味わってきた忌避こもごもが、この時に集中していた。そして、その力添えとなっていく宮沢賢治の詩や作品たち。全てが圧巻だった。
善意であっても結果は望んでいたものとは限らない。でも、それで〈終わり〉ではない。必ずどこかから手が差し伸べられる。また歩み出せる。だから、人を思いやることは大切であり、それによる人の歩みは〈永久の未完成これ完成である〉のだ。我々が今読んでいる「銀河鉄道の夜」がそうであるかのように。
《ほんとうの幸いは、遠い》。でも、そこに向かっていくことそのものが〈ほんたうのさいはひ〉。
そう思い、私も歩んでいこう。
「図書室のはこぶね」と同じ野亜高を舞台にした小説。今回は、「ほんとうの幸いは、遠い」という不登校になった先輩からのメッセージを軸に、悩みを抱えた高校生たちが、救い、救われながら日常を送る姿が描かれていました。自分の常識や感覚を基準にしてしまうことで、誰かを傷つけることに無頓着なのは、何も未熟な高校生だけではなく、大人も同じ。最近はやっと多様性を尊重する風潮となり、いろいろな角度から物事を見ようという意識が高まってきてはいても、万全とはいかないし、考え過ぎてナチュラルに親切ができなくなってしまうのもさびしい。だから、イーハトー部の卒業式がとても良かった。
高校図書室で図書委員を兼ねながら活動する弱小同好会「イーハトー部」
ひとりで同好会を立ち上げ、高校生活を全力で謳歌しているように見えた先輩が
修学旅行から戻ったらそのまま不登校に。
それから1年、理由もわからないまま、先輩不在のイーハトー部を守ってきた
チカと、仮入部してくれたキョンヘ、そして新入生マスヤス
全てを知って、彼らが選んだのは…
主要登場人物は、それぞれ痛みををかかえて
それを表に出さないまま生きていて
仲間といっしょの時間を重ねる中で、
自分の弱みや辛さを信頼できる相手に打ち明け、受け入れられるようになる。
高校時代という、限られた時間の中での、彼らの成長を感じられる。